The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
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46 巻, 12 号
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  • 岩田 敏, 川原 和彦, 磯畑 栄一, 金 慶彰, 横田 隆夫, 楠本 裕, 佐藤 吉壮, 秋田 博伸, 老川 忠雄, 砂川 慶介, 市橋 ...
    1993 年 46 巻 12 号 p. 1045-1062
    発行日: 1993/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しいエステル型の経口用セフェム系抗生物質であるS-1108について4菌種感染マウスおよび小児臨床例の腸内細菌叢に及ぼす影響を検討した。Escherichia coli, Enterococcus faecalis, Bacteroides fragilis, Bifidobacterium breveの4菌種を腸管内に定着させた4菌種感染マウスに, S-1108細粒15mg/kgを1日1回, 連続5日間経口投与した結果, 糞便中の生菌数は4菌種いずれも投与開始5日目に軽度の減少が認められた。小児臨床例における検討は感染症の男児5例 (年齢2歳4ヵ月~9歳3ヵ月, 体重12.0~42.0kg) に対し, S-1108細粒1回2.3~6.0mg/kgを1日3回, 5~11日間経口投与して行つた。その結果3例で主要な好気性菌, 嫌気性菌が減少し, 嫌気性菌総数の著明な減少がみられた。他の2例においては主要菌種の大きな変動はなく, 好気性菌総数および嫌気性菌総数に大きな変動は認められなかった。ブドウ糖非発酵性グラム陰性桿菌が優勢菌種となる症例はなかつたが, 真菌に関しては, 他の菌種が著明に減少した3例でCandidaが最優勢菌種となった。主要な好気性菌, 嫌気性菌が減少した3例の投与中の糞便からS-1108の活性型であるS-1006が検出され, その濃度は235~516μg/gであった。S-1006が検出された糞便のβ-Lactamase活性は陰性を示した。
    以上の成積から, S-1108細粒は, 他の新経日セフェム剤と同様に4菌種感染マウスの腸内細菌叢に及ぼす影響が少ない薬剤と考えられるが, 小児に投与した場合, 症例によっては高濃度の薬剤が糞便中に検出され腸内細菌叢が大きく変動する場合もあり, 注意が必要である。
  • 青木 信樹, 薄田 芳丸, 甲田 豊, 高沢 哲也, 若林 伸人, 林 静一, 新田 功, 小浦方 洋一, 渡辺 京子, 本間 康夫, 北村 ...
    1993 年 46 巻 12 号 p. 1063-1074
    発行日: 1993/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    種々の腎機能障害患者において, 新経口セフェム剤S-1108の体内動態について検討した。本剤150mgを朝食後30分に経口投与した際の血中濃度のピーク値は投与3~6時間後に得られ, 腎機能低下が高度になるにつれ高い傾向を示し, 血中濃度の低下は, 腎機能障害が重度になるに従い緩徐となり, 特に血液透析導入例において著明であった。すなわち血中濃度半減期 (β相) は軽度障害例 (クレアチニンクリアランス, 以下Ccr, ≥60ml/min), 中等度障害例 (40≤Ccr<60ml/min), 高度障害例 (Ccr<40ml/min), 透析導入例において平均で, それぞれ1.86, 2.00, 3.69, 11.30時間であった。24時間までの累積尿中回収率では大差を認めなかったが, 腎機能低下が高度になるに伴い低下する傾向であった。
    呼吸器感染症27例に使用し, 有効26例, 無効1例で, 有効率96.3%の結果を得た。副作用は1例で下痢がみられ, 検査成績上GOT, GPTの上昇, γ-GTPの上昇を各1例で認めたが, いずれも軽度のものであった。
  • 木野 稔, 東野 博彦, 小林 陽之助
    1993 年 46 巻 12 号 p. 1075-1082
    発行日: 1993/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しいエステル型経口セフェム系抗生物質S-1108の小児科領域外来感染症における臨床的検討を, 咽頭炎12例, 扁桃炎5例, 気管支炎1例, 百日咳1例, 伝染性膿痂疹8例, 蜂窩織炎1例, 化膿性リンパ節炎1例, 膀胱炎1例の計30例について行なつた。臨床効果は, 判定不能の伝染性膿痂疹3例と百日咳1例を除くと, 10例が著効, 15例が有効で, 1例がやや有効であり, 有効率は96%であった。一方細菌学的検索では, 10例よりHaemophilus influenzne 2株, Haemophilus parainfluenzae 3株, Staphylococcus aureus 5株, Streptococcus pyogenes 1株が検出され, その効果は消失5例, 減少1例, 存続1例, 不明3例であった。
    副作用は, 本剤投与前後の臨床症状・所見および検査所見の異常について検討した。30例中1例にGOT, GPTの軽度上昇を認め, 2例に下痢を認めた。下痢の2例は, 整腸剤の使用により本剤投与は継続可能で, いずれも重篤なものでなく, 臨床的にも問題はなかった。
  • 春田 恒和, 黒木 茂一, 大倉 完悦, 小林 裕
    1993 年 46 巻 12 号 p. 1083-1087
    発行日: 1993/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児科領域におけるS-1108細粒の臨床使用成績を検討し, 以下の結論を得た。
    1. 9例に投与した。対象疾患は咽頭炎5例, 腺窩性扁桃炎, 気管支炎, 肺炎, 尿路感染症各1例であった。投与量は1日6.85~17.6mg/kgで, 3回に分割して投与した。臨床効果は著効4例, 有効5例で有効率は100%であった。
    2. 検出された菌はHaemophilus influenzae, Haemophilus parainfluenzae各2株, Streptococcus pyogenes, Staphylococcus aureus, Escherichia coli, Enterococcus faecalis各1株であった。菌消失7株, 減少1株で, 消失率87.5%であった。
    3. 副作用は軟便, 下痢が各1例にみられた。臨床検査値異常としてGPTの上昇が1例において認められた。
    4. 服薬拒否はなかった。
    5. 以上の成績から, 本剤は小児科領域において有用な新経口抗生物質と考えられた。
  • 古川 正強, 岡田 隆滋
    1993 年 46 巻 12 号 p. 1088-1095
    発行日: 1993/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しいエステル型経口セフェム系抗生物質S-1108を小児科領域外来感染症に使用し, 臨床的検討を行った。
    1日投与量は体重1kg当り4.9mgから11.7mgを分3で食後内服, 投与期間は4日間から20日間であった。
    臨床試験成績は咽頭炎2例, 扁桃炎2例, 気管支炎8例, 肺炎1例, 猩紅熱3例, 百日咳2例, 化膿性リンパ節炎2例, 伝染性膿痂疹2例の計22例に使用し, 著効12例, 有効7例, やや有効1例, 無効1例, 判定不能1例で, 有効率は90.5%であった。
    細菌学的効果では, Staphylococcus aureus 2株, Streptococcus pnemnoniae 3株, Streptococcus pyogenes 4株, Moramxella subgenus Branhamella catarrhalis 3株, Haemophilus influenzae 3株はいずれも消失し, 除菌率は100%であつた。なお, S. aureusの1株は不明であった。
    副作用および臨床検査値異常の発現は全例に認められなかった。
    S-1108は服薬性にも優れ, 服薬を拒否した症例はなかった。
    以上のことから, S-1108は小児科領域の各種細菌性感染症の治療に有用な薬剤と考えられた。
  • 武田 英二, 伊藤 道徳, 黒田 泰弘
    1993 年 46 巻 12 号 p. 1096-1101
    発行日: 1993/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しいエステル型経口セフェム系抗生物質であるS-1108の小児科領域感染症に対する臨床的効果について検討した。咽頭炎2例, 扁桃炎1例, 気管支炎3例, 肺炎1例, 頸部リンパ節炎1例, 腸炎1例, 膀胱炎1例の計10例に, S-1108, 1日9.3mgから12.4mg/kgを食後3回に分け5日間から11日間投与した。
    臨床成績は著効3例, 有効6例, 判定不能1例であり, 有効率は100%であった。
    細菌学的効果はStreptococcus pneumoniae, Streptococcus pyogenes, Klebsiella pneumoniaeの各1株, Haemophilus inftuenzae 2株はいずれも消失した。また, 副作用および臨床検査値異常は全例に認められなかった。S-1108細粒製剤は服薬性にも優れ, すべての症例が非常に飲みやすい, 飲みやすいであった。
    以上より, S-1108は小児科領域の細菌性感染症の治療に有用な薬剤と考えられた。
  • 石川 純一, 貴田 嘉一, 松田 博, 村瀬 光春
    1993 年 46 巻 12 号 p. 1102-1106
    発行日: 1993/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    S-1108の小児科領域における有効性と安全性を明らかにする目的で14例に投与し, 判定不能の膀胱炎2例と肺炎1例を除いた11例の小児で臨床的有効性, 細菌学的有効性および副作用について検討し以下の結果を得た。
    1. 扁桃炎2例, 咽頭炎5例, 百日咳2例, 膀胱炎2例の計11例でS-1108を11.5~13.2mg/kg/日の経口投与による臨床的有効率は, 百日咳の2例を除いて有効以上であり81.8%であつた。
    2. 起炎菌の同定された5症例 (Staphylococcus aureus 1株, Streptococcus pyogenes 1株, Streptococcus pneumoniae 1株, Haemophilus influenzae 1株, Escherichia coli 2株) における細菌消失率は100%であった。
    3. 副作用は1例に下痢を, 1例に白血球減少と好酸球増多を認めた。
    以上の結果から, S-1108は小児科領域の細菌感染症に対して有効かっ安全な第1選択剤となりうるものと考えられた。
  • 森田 英雄, 森澤 豊, 浜田 文彦, 倉繁 隆信
    1993 年 46 巻 12 号 p. 1107-1113
    発行日: 1993/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児科領域におけるS-1108細粒の臨床的検討を行い, 下記の成績を得た。
    1. 急性扁桃炎8例, 急性咽頭炎3例, 猩紅熱2例, 急性気管支炎, 百日咳, 尿路感染症各々1例の計16例を対象とした。
    臨床効果は著効1例, 有効13例で有効率875%であった。
    2. 細菌学的効果は11株で検討し, 10株 (91%) が消失した。
    3. 副作用症状を認めた症例はなかったが, 臨床検査で好酸球の増加を1例で認めた。
    以上の成績からS-1108細粒は小児科領域における細菌感染症治療に期待される薬剤である。
  • 横尾 哲也, 林 克敏, 辻 芳郎, 冨増 邦夫, 木戸 利彦, 上原 豊, 森 淳子, 森 剛一, 内田 哲也, 大塚 祐一
    1993 年 46 巻 12 号 p. 1114-1121
    発行日: 1993/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しい経口セフェム系抗生物質S-1108について小児科領域感染症に対し臨床的検討を行ない, 以下の成績を得た。
    1. 18例の細菌性感染症に本剤1日量4~20mg/kgを1日3回, 3~12日間投与した。臨床効果は, 著効5例, 有効10例, やや有効1例, 無効2例であり, 有効率は83.3%であった。細菌学的効果は16株中消失15株, 不明1株であり, 菌消失率は100%であった。
    2. 副作用及び臨床検査値異常反応は, 全例に認あられなかった。
  • 本廣 孝, 半田 祥一, 山田 秀二, 沖 眞一郎, 吉永 陽一郎, 荒巻 雅史, 織田 慶子, 阪田 保隆, 加藤 裕久, 山下 文雄, ...
    1993 年 46 巻 12 号 p. 1122-1144
    発行日: 1993/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    S-1108は抗菌活性を有するS-1006の4位のカルボン酸にPivaloyloxymethyl基をエステル結合することによつて吸収を良好にした新しい経口Cephem剤である。本剤は経口投与後, 腸管から吸収され, 腸管壁のエステラーゼにより加水分解を受け, 活性体としてS-100bは体液中に存在し, このS-1006は広範囲な抗菌スペクトルを有し, 一部の細菌が産生するβ-Lactamase以外は極めて安定である。この度, 本剤の小児用として新しく細粒が製剤化されたことから, その基礎的・臨床的検討を行ったところ, 次のような成績が得られた。
    1. 薬剤感受性試験ではグラム陽性球菌中Staphytococcus aureusの保存株456株に対するS-1006のMIC80は6.25μg/mlで, Cefaclor (CCL) とMethicillin (DMPPC) のMICに類似の傾向にあり本剤投与症例から分離のS. aureus 20株でのS-1006のMICは保存株と同じく1.56μg/mlを示した株が最も多く, CCL, Amoxicillin (AMPC), DMPPCのMICに類似の傾向を呈した。Streptococcus pyogenesの保存株449株と本剤投与症例から分離の7株に対するS-1006のMICは全株が0.025μg/ml以下で, Cefteram (CFTM) のMICと同じであった。本剤投与症例から分離のStreptococcus pneumoniae 5株に対するS-1006のMICは0.025μg/ml以下, 0.10μg/mlか0.39μg/mlでAmpicillinのMICとほぼ類似, CFTMのMICに類似した。グラム陰性桿菌では本剤投与症例から分離したHaemophilus influenzae 4株についてのみのMICであるがS-1006のMICは0.05μg/mlか0.10μg/mlで, CFTMのMICに類似した。
    2. S-1108細粒を1例に4.0mg/kg, 2例に6.0mg/kgを投与してのS-1006の血漿中濃度は, 前者では投与3時間後, 後者では投与3時間後か投与4時間後に最高濃度を示し, 各々1.25, 2.43, 2.23μg/ml, 半減期は前者では1.11時間, 後者ではいずれも1.28時間, AUCはそれぞれ4.06, 8.37, 7.73μg・hr/mlで, 両投与群間にDose responseが認められた。
    3. 血漿中濃度を測定した同一の症例における尿中濃度は4.0mg/kg投与の1例では投与後4~6時間, 6.0mg/kg投与の2例は投与後0~2時間か投与後4~6時間が最高濃度で, 各々258.0, 602.0, 500.0μg/ml, 投与後8時間までの回収率はそれぞれ38.9, 38.3, 23.1%であった。
    4. 臨床効果は13疾患93症例中88例が有効以上で, 有効率は94.6%と優れた成績を示した。
    5. 細菌学的効果8菌種48株中43株が消失し, 消失率は89.6%と優れた成績であった。
    6. 副作用はふらふら感が1例1%, 下痢が2例2.1%に出現した。
    7. 臨床検査値では末梢血の好酸球増多が47例中1例2.1%に出現した。
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