The Japanese Journal of Antibiotics
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27 巻, 5 号
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  • 小林 裕, 赤石 強司, 小林 陽之助, 西尾 利一, 寺村 文男, 望月 康弘, 森本 健一, 福田 文男
    1974 年 27 巻 5 号 p. 601-619
    発行日: 1974/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Amoxycillin (以下AMPC) は, Ampicillin (ABPC) と類似の構造をもつ新誘導体で, その抗菌域および抗菌力などでは, ABPCと差がないが, 経口投与時の吸収がすぐれているのが特徴である1-8). AMPCカプセルの小児細菌感染症への応用成績については, すでに報告し, 有望な広域ペニシリンであることを述べた9)が, カプセルという剤形では, 小児への投与はきわめて制限されるので, 小児に受入れられやすい剤形のものが必要である.
    AMPC細粒は, AMPCそれ自体に, 賦形剤その他で適当に味と匂いをつけたもので, 顆粒状になつており, そのままでも, 水で溶解して液状にしてでも, どちらでも内服できる. 著者らの感覚では, 味の良いこと, 嫌な匂いの少ないことにおいて, 内服用ペニシリン剤中, 筆頭に位するように思われる.
    したがつて, この細粒の吸収がカプセルに劣らず, また同等の臨床効果が得られるならば, 小児細菌感染症の治療において, きわめて有力な武器となりうるであろう. 著者らがカプセルよりも細粒の検討に力を注ぎ, その成績をカプセルとは別に報告する所以である.
  • 権田 信之, 島田 佐仲, 藤森 一平, 勝 正孝, 宮崎 亮之助, 浅羽 理代子
    1974 年 27 巻 5 号 p. 620-624
    発行日: 1974/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Amikacin (BB-K8) は, ブリストル万有研究所で開発された新らしいアミノ配糖体抗生物質で, Kanamycin Aに4-アミノ-2-ヒドロキシ酪酸を作用して合成された新らしい抗生物質である. 化学名は, 1-N- [L (-)-γ-Amino-α-hydroxybutyryl] kanamycin Aである.
    本剤は, Kanamycin (KM) を母体としているが, その抗菌力はKMにまさり, さらに特長的なことは, KM, Gentamicin (GM) などに交叉耐性がないという点である. また, 抗菌スペクトラムでも従来KMが無効であつた変形菌, 緑膿菌にまで強い抗菌力を示すとされている.
    私達は, 今回, 本剤を万有製薬から提供を受け, 臨床的に治験する機会を得たので, 基礎的研究と併わせて報告する.
  • 柴田 清人, 藤井 修照, 品川 長夫, 鈴木 芳太郎, 村松 泰, 高岡 哲郎, 内田 吉則
    1974 年 27 巻 5 号 p. 625-632
    発行日: 1974/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Amikacin (以下BB-K8) は, 梅沢らのアミノ配糖体抗生物質の耐性機転の理論に基づいて, ブリストル万有研究所で開発された耐性菌にも有効な抗生物質で, Kanamycin (以下KM) の1-NHを4-アミノ-2-ヒドロキシ酪酸で修飾したものを合成し, このものがKM耐性菌および緑膿菌などに抗菌力を示すことが確認された. しかも本剤は, アミノ配糖体特有の副作用としての聴器毒性, 腎毒性をもつが, 動物実験においてKMと比較しその毒性は軽度であり, 薬理学的性状もKMとほぼ同様の新しいKM誘導体である.
    われわれは, 本剤の提供を万有製薬 (株) から受け, 抗菌力, 吸収排泄などの基礎的検討を加えるとともに, 外科的感染症に使用したので, その成績についてもあわせ報告する.
  • 松田 静治, 森 操七郎, 丹野 幹彦, 柏倉 高
    1974 年 27 巻 5 号 p. 633-636
    発行日: 1974/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Amikacin (BB-K8) は, ブリストル万有研究所で開発された新らしいアミノ配糖体系抗生物質で, Kanamycin Aの構成分である2-Deoxystreptamine部分のC-1アミノ基をL (-)-γ-Amino-α-hydroxybutyric acidでアシル化したKM誘導体である.
    本剤は, その特徴として緑膿菌 (Pseudomonas) を含むKanamycin (KM) 耐性菌に対しても抗菌作用をもつことが指摘されている.
    われわれは, Amikacinについて抗菌試験, 吸収, 体内移行に関する基礎的検討を試みたほか, 産婦人科領域における臨床効果を検討したので, 以下に報告する.
  • 山作 房之輔, 青木 正作, 関 剛, 伊藤 文弥, 貝沼 知男
    1974 年 27 巻 5 号 p. 637-642
    発行日: 1974/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    呼吸器感染症は, 喀痰培養時に咽頭常在菌が混入したり, 持続的に病原細菌が証明されないことが少なくなく, 起炎菌の決定がしばしば困難である. したがつて, 細菌性肺炎に対しては, 抗菌スペクトルが広く, 耐性菌出現率の低い抗生剤を用いるのが安全である. Cephalexin (CEX) は, 上述の条件に合つており, CEXの1製剤であるSync1®の提供を受けたので, 17例の急性肺炎, 急性気管支肺炎に使用し, 好成績をおさめた.
  • 石山 正光, 中沢 昭三
    1974 年 27 巻 5 号 p. 643-652
    発行日: 1974/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Rifampicin (RFP) は, 1957年イタリアのLepetit社において放線菌Streptomyces mediterraneiから分離されたRifamycin SVの誘導体である. Rifamycin SVについては, すでに第11回日本化学療法学会総会 (大阪) の新薬シンポジウムとして, 基礎, 臨床面から検討が加えられたが, 生体内抗菌力が試験管内抗菌力と平行しなかつた点, 臨床適用時の注射局所の疼痛など問題点が多く, 我国ではついに日の目をみることができなかつた抗生物質である1). ところが, 10年後の1967年Rifampicinが半合成抗生物質として再登揚し, 優れた生体内効果や経口投与による有効性, 結核菌や1部のウイルスにまで有効なことなど, その面目を一新した成績が報告されている2, 3, 4, 5). 我々の教室においても, このRFPの細菌学的基礎研究をおこない, すでに一部報告をおこなつているが, RFPはin vitroにおいてGram陽性菌, Gram陰性球菌, 結核菌に対して非常に強い抗菌力を示すが, 大腸菌をはじめGram陰性桿菌に対する抗菌力は比較的弱く, これらの成績はマウス実験的感染症における治療実験の成績とよく一致していた5). 一方, RFPの抗菌作用の型式 (Growth curveで検討) については, 著明な殺菌作用 (Bactericidalaction) であることもみとめているが, この薬剤の大きな欠点として, in vitroでの耐性獲得が非常に急速であり, その原因として自然耐性細胞の出現が考えられる. 1968年McCABEらは, Skip tubeという現象 (液体希釈法でRFPのMICを測定したばあいにMIC以上の薬剤を含む試験管内に, まれに菌の増殖がみとめられること) を発見し, RFPに対する耐性ブドウ球菌の出現率を報告している6). 今回, 我々がRFPに対する耐性を防止または遅延する目的で併用したNalidixic acid (NA) は, 1962年米国Sterling-Winthrop社において合成されたNaphthyridine誘導体の抗菌剤である. 本剤の化学療法剤としての価値については, 多くの研究者によつて詳細に検討され, 現在各国でGram陰性桿菌による腸管系, 尿路系感染症などの治療に使用されている7, 8, 9).
    NAは, Gram陰性桿菌に対して, MIC以上の濃度では殺菌作用は比較的強いが, RFPと同様に試験管内耐性獲得がかなり早い欠点をもつている. 我々は, RFPの高度耐性菌の出現またはこれによると考えられる薬剤耐性化を抑制または遅延する目的で, RFPと種々の抗菌剤との併用を検討したところ, 2, 3の菌種に対して, NAとの併用において最も優れた協力効果を示すとともに, 興味ある知見が得られたので報告する.
  • 特に尿路感染症について
    小林 裕, 赤石 強司, 西尾 利一, 小林 陽之助, 寺村 文男
    1974 年 27 巻 5 号 p. 653-663
    発行日: 1974/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Minocycline (MNC) は, 1967年MARTELL & BOOTHE1)がDemethylchlortetracycline (DMCT) からジメチルアミノ基の導入によつて合成した新Tetracycline (TC) 系誘導体で, TCと比較して, 抗菌範囲はほぼ同様であるが, 抗菌力がグラム陽性菌では2-4倍強く, しかもTC耐性ブドウ球菌にも有効であり, 血中濃度は経口投与後3時間にPeakがあり, 有効血中濃度が12時間以上持続し, 24時間でもかなりの濃度が血中にみとめられるといわれ, その臨床効果については多くの報告があり2-10), すでに実用に供されている. ただし, グラム陰性桿菌 (GNB) に対する抗菌力はTCとほぼ同等とする報告が多く2, 6, 10), 尿中への排泄は従来のTC系抗生剤にくらべて少ないといわれ3-8), 石神ら8)はGNBによる尿路感染症に対しては満足すべき効果は得られなかつたと報告している.
    しかし, 以上の成績はCapsule剤によるものであり, 本剤に利点があるとしても, 剤形の点から乳幼児には使用困難であつた. そこで乳幼児に投与の容易な穎粒がつくられ, 以上の本剤の特徴から, まず上気道の細菌感染症に対する効果が検討され, 有用であるという結論が得られている11-14).
    しかし, 尿路感染症に関する報告は乏しく12, 13), その声価は一定していない. 上述の本剤の性格から, あまり期待し得ないとも考えられるが, 中沢ら2)によれば, 本剤は肺炎桿菌にはTCと同様有効であり, Proteus vulgarisに対してはTCよりすぐれた抗菌力を示すといわれ, このことがそのまま臨床効果に反映するとすれば, これらの細菌による感染症が増加しつつあり, しかもこれらに有効な経口投与可能な抗菌剤が少ない現在では捨て難い魅力をもつものといわねばならない. なおまた, 大腸菌による尿路感染症に対してあまり期待できないとしても, その理由が本剤の尿中への排泄が少ない点にあるのか, あるいはTCとの交叉耐性によるのかを明らかにしておくことは, もし後者であるとすれば, 本剤のLong-actingという性格にも得失両面があるということを承知した上で, 本剤の正確な適用に対して有力な示唆を与えることになるであろう.
    耐性ブドウ球菌に有効な抗生剤は少なくはない。逆説的にいえば, たとえ限定はあつても, GNB感染症に対する効果の実態を明らかにしておくことこそ, むしろ重要であるともいい得よう. このような観点から, 尿路感染症に対するMNC顆粒の使用成績の分析を試みたので, その成績について報告したい.
    なお, マイコプラズマに対して, TCは, 最小発育阻止濃度 (MIC) においては, マクロライド剤には劣り, 陰影消失も遅いにもかかわらず, 臨床効果はほぼ同様といわれる15). 本剤の抗菌力はTCに劣るといわれるが16) , 臨床的に有効であるかどうか, その適用範囲にマイコプラズマ感染症を含みうるかどうかは, 呼吸器感染症の治療に関して重要な点であり, その使用成績は今までの諸報告に散見され有効とされてはいる7, 12)ものの, 症例数はまだ少ないので, 例数を重ねる意味で, 少数ではあるが, わわれの使用経験もあわせ述べる.
  • 南 浩, 野田 友一, 吉成 昌郎, 中尾 伊都子, 上田 陽子
    1974 年 27 巻 5 号 p. 664-670
    発行日: 1974/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
  • 寺尾 暎治
    1974 年 27 巻 5 号 p. 671-674
    発行日: 1974/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Lividomycin (LVDM) は, Streptomyces lividus nov.sp.ATCC 21178によつて産生されるAminoglycoside系の新抗生物質で, グラム陰性菌・陽性菌および結核菌に対して広い抗菌力をもつとされている1-6). さらに, Gentamicin (GM), Kanamycin (KM) に耐性を示す緑膿菌に対しても抗菌力をもつことが報告されている5, 6, 7).各種の感染症に対するLVDMの効果については各科領域で検討され, 治療効果が期待できる薬剤であると評価されている8).
    今回, 泌尿器科領域の感染症のうち, 比較的報告の少ない急性淋菌性尿道炎に対して本剤を投与し, その治療効果について検討した.
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