1994年-1996年の10月-12月に全国21施設で臨床材料から分離した10菌種, 3,849株を収集し, カルバペネム系4抗菌薬 (IPM, PAPM, MEPM, BIPM) 及び他の代表的抗菌薬のMICを測定し, それぞれの抗菌薬の抗菌力年次推移を検討した。
カルバペネム系抗菌薬は, MSSA, S.pneumoniae, E.faecalis, H.influenzae, E.coli, K.pneumoniae, E.cloacae, S.marcescens, B.fragilis group に対し強い抗菌力を示し, その抗菌力も安定していた。しかし, MRSA, P.aeruginosa に対するカルバペネム系抗菌薬の抗菌力はいずれも弱かった。
抗菌力の年次推移 (MIC90値の変動) は, 検討した細菌に対し全般的には安定した推移を示していた。なかでも, S.pneumoniae に対しIPM, BIPM, H.influenzae に対しIPM, PAPM, S.marcescens に対しIPM, PAPM, BIPMで, MIC90の年次的回復がみられた。一方, MRSAに対しIPMをはじめとしたカルバペネム系抗菌薬は必ずしも抗菌力は強いとはいえなかったが, 年次的にMIC90値の回復が認められた。
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