The Japanese Journal of Antibiotics
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57 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 賀来 満夫, 井上 松久, 砂川 慶介, 那須 勝, 横山 隆
    2004 年 57 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
  • 品川 長夫
    2004 年 57 巻 1 号 p. 11-32
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    術後感染症の防止を目的とした周術期抗菌薬投与は外科系各科において広く実施されているが, 我が国では欧米と異なって, 偽薬をおいた二重盲検試験もなく, 術後感染症のサーベイランスも不十分なため, 説得力のある学問的根拠が少ない.また, 予防投与は保険適用が必要であると指摘されながらも未だに実現していない. 日本独自のガイドラインを作成するにはエビデンスの蓄積が必要である. 周術期抗菌薬投与についての考え方としては, 術後感染症の分類と術野の汚染度による手術の分類を踏まえ, 手術の対象臓器ごとに可能性の高い術野汚染菌に対して有効な抗菌薬を選択し, 手術に応じた投与方法をすべきである. 術後感染予防薬の選択には, 感受性・耐性率, 血中濃度・尿中排泄・体液・組織移行, 副作用などを勘案する.第一・第二世代セフェム系薬や, セファマイシン系薬が候補となるが, メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) やpenicillin-resistant Streptococcus pneumoniae (PRSP) を初めとする耐性菌対策としては多種抗菌薬を考えねばならない.耐性菌対策の一つとして, ペニシリン系薬 (合剤を含む), セフェム系薬 (セファマイシン系薬も含める), ホスホマイシン系薬を3つの柱としてサイクリックに使用することも考慮すべきであろう. 現時点で, 術後感染防止に関する抗菌薬の役割についてのエビデンスは, 十分とはいえない. 医療経済性も考慮し, 批判に耐えるプロトコールでの臨床比較試験が望まれる.
  • 02年度分離菌を中心に
    品川 長夫, 平田 公一, 桂巻 正, 向谷 充宏, 牛島 康栄, 牛田 知宏, 相川 直樹, 関根 和彦, 高山 忠利, 加藤 高明, 佐 ...
    2004 年 57 巻 1 号 p. 33-69
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1982年7月から外科感染症分離菌に関する多施設共同研究を行ってきたが, ここでは2002年度(2002.4-2003.3)の成績を中心にまとめた。 1年間で調査対象となった症例は174例であり, このうちの131例(75.3%)から334株の細菌が分離された。 一次感染症から171株, 術後感染症から163株分離された。 一次感染症では, 術後感染症と比較し,嫌気性グラム陽性菌の分離率が高く, 術後感染症では,一次感染症と比較し, 好気性グラム陽性菌の分離率が高かった。 好気性グラム陽性菌については, 一次感染症でStaphylococcus aureusの分離頻度が高く, 次いでEnterococcus faecalisであり, 術後感染症ではその逆でE. faecalisなどのEnterococcus spp.の分離頻度が高く, 次いでS. aureusであった。 嫌気性グラム陽性菌では, 一次感染症, 術後感染症ともにPeptostreptococcus spp.が多く分離された。 好気性グラム陰性菌では, 一次感染症から.Escherichia coliの分離頻度が最も高く, 次いでKlebsiellaPneumoniae, Pseudomonas aeruginosaなどであった。 術後感染症からはE. coliの分離頻度が最も高く, 次いでP. aeruginosa, Enterobacter cloacae, Citrobacter freundii, K. pneumoniaeなどであった。 嫌気性グラム陰性菌では,一次感染症および術後感染症ともBacteroidesfragilis groupの分離頻度が高かった。 年次的変動では,一次感染症で好気性グラム陰性桿菌が, 術後感染症で好気性グラム陽性球菌の分離頻度が高くなっていた。 Ecoliの30株中MIC 128μg/mLの3株(1O%)は, Extended spectrum β-lactamases (ESBLs)産生菌と考えられた。 しかし, Vancomycin (VCM)耐性グラム陽性球菌あるいはmetallo-β-lactamase産生Paerugiosaと考えられる耐性菌は認められなかった。
  • 山口 惠三, 石井 良和, 岩田 守弘, 渡邊 直樹, 上原 信之, 保嶋 実, 葛西 猛, 諏訪部 章, 小畑 律子, 賀来 満夫, 金光 ...
    2004 年 57 巻 1 号 p. 70-104
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Meropenem (MEPM) を含むカルバペネム系抗菌薬を中心に, 全国の医療機関28施設より収集した2002年の臨床分離株2557株 (グラム陽性菌1500株, グラム陰性菌899株, 嫌気性菌158株) に対する最小発育阻止濃度 (MIC) を測定し, 以下の結果を得た。
    1MEPMは, グラム陰性菌全般, 特に腸内細菌科, Haemophilus influenzaeに対し, 優れた抗菌活性を示した。また, Pseudomonas aeruginosaに対するMEPMのMIC90は供試薬剤の中で最も低く, imipenem (IPM) あるいはciprofloxacin (CPFX) 耐性株に対する交差耐性率も低値であった。更に, グラム陽性菌・嫌気性菌に対しても, MEPMは, methicillinresistantStaphylococcus aureus, methicillin-resistant Staphylococcus epidermidis等の多剤耐性菌を除くほとんどの臨床分離株に対し, 優れた抗菌活性を示した。
    2.基質拡張型β-ラクタマーゼ (ESBL) 産生株が, Escherichia coliにおいて4株 (3.1%), Klebsiella pneumoniaeにおいて2株 (19%) 認められたが, これら菌株に対し, MEPMをはじめカルバペネム系抗菌薬は優れた抗菌活性を示した。
    以上より, MEPMは上市後7年以上を経過した時点においても, 広域かつ強力な抗菌活性を保持していることを確認し, 依然として臨床的に有用性の高いカルバペネム系抗菌薬であるとの結論を得た。
  • 岩島 明, 佐藤 和弘, 木口 俊郎, 山口 美沙子
    2004 年 57 巻 1 号 p. 105-117
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    2000年 (3-5月), 2001年 (1-5月), 2002年 (3-5月) の期間に新潟県長岡地区において分離されたStreptococcus pneumoniae, Haemophilus influenzae, Pseudomonasaeruginosaに対する各種抗菌薬のMICを測定し, 以下の結果を得たので報告する。
    S. pneumoniae: 2000年56株, 2001年119株, 2002年88株分離されPenicillin intemediateStreptococcus pneumoniae (PISP) はそれぞれ24株 (42.9%), 58株 (48.7%), 40株 (45.5%) で推移。また, Penici11in resistant Streptococcus pneumoniae (PRSP) は4株 (7.1%), 12株 (10.1%), 7株 (8.0%) で推移している。薬剤感受性は, PSSP (Penicillin susceptible Streptococcuspneumoniae), PISP, PRSPともにカルバペネム系に対して高く, 次いでPCGに対して良好な感受性を示した。
    H. influenzae: 2000年76株, 2001年154株, 2002年91株分離されβ-ラクタマーゼ産生ABPC耐性株 (MIC≥2μg/ml) はそれぞれ6株 (7.9%), 8株 (5.2%), 7株 (7.7%) で推移し上昇傾向は見られない。またβ-ラクタマーゼ非産生ABPC耐性株 (MIC≥2μg/ml) は14株 (18.4%), 70株 (45.5%), 31株 (34.1%) で推移し, 近年上昇傾向が見られる。これらの耐性株の薬剤感受性は, CTRX, MEPM, LVFXに対して高かった。
    P. aeruginosa: 2000年135株, 2001年74株, 2002年91株分離され, IPM耐性株 (MIC≥16μg/ml) はそれぞれ14株 (10.4%), 17株 (23.0%), 24株 (26.4%) で推移し, 年次的に上昇傾向が見られる。P. aeruginosaの薬剤感受性は, MEPM, BIPM, CPFXに対して高かった。
  • 谷村 弘, 大西 博信
    2004 年 57 巻 1 号 p. 118-123
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新規ニューキノロン系抗菌薬cadrofloxacinの胆嚢組織および胆汁中移行について検討した。 和歌山県立医科大学第2外科で胆嚢摘出手術を予定された6例と胆管・胆嚢ドレナージ施行6例の計12例に対して, cadronoxacin200mgを経口投与し, 所定の時間後に血液, 胆嚢組織あるいは胆汁を採取し, cadronoxacinとcadronoxacinのグルクロン酸抱合体濃度を測定した。 その結果, 薬剤投与後2.9-5.7時間における血清中濃度は0.6-2.5μg/ml, 胆嚢組織内濃度は0.6-8.6μg/mlで, 胆嚢組織移行率は0.6-3.4であった。 薬剤投与後12時間までの胆汁中濃度推移では, 最高値を得た時間には個人差があったが, 最高値が2.5-12.9μg/mlであり, 薬剤投与後0-6時間での胆汁中回収率 (未変化体+グルクロン酸抱合体) は0.02-0.49%, 0-12時間でのそれは0.08-0.75%であった。 また, 胆汁中のグルクロン酸抱合体濃度/未変化体濃度は平均37%であった。\
  • F. YAMAMOTO, S. HARADA, T. MITSUYAMA, Y. HARADA, Y. KITAHARA, M. YOSHI ...
    2004 年 57 巻 1 号 p. 124-133
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Clarithromycin (CAM) and rifampicin (RFP) have both been recognized to be effective antibiotic agents against Mycobacterium avium complex (MAC) infection. Rifamycin derivatives including RFP and rifabutin modulate the CAM metabolism by inducing the hepatic cytochrome p-450 3A4. To clarify the effect of RFP on the CAM metabolism, we measured the plasma concentration of CAM and 14-R-hydroxyclarithromycin (M-5), the major metabolite of CAM, in 9 patients suffering from MAC infection before and after the addition of RFP. After the addition of RFP, the mean plasma concentration of CAM significantly decreased, while that of M-5 did not. In addition, the amount of CAM+M-5 concentration also significantly decreased. As M-5 is less effective against MAC infection than CAM, more attention should thus be paid to the plasma CAM concentration in patients administered CAM and RFP concomitantly.
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