The Japanese Journal of Antibiotics
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50 巻, 7 号
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  • Faropenemを中心として
    斎藤 厚, 守殿 貞夫, 荒田 次郎, 斎藤 篤
    1997 年 50 巻 7 号 p. 579-590
    発行日: 1997/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
  • 堺市での集団食中毒から
    森口 直彦, 八木 和郎, 山本 隆, 吉岡 加寿夫, 久保 修一
    1997 年 50 巻 7 号 p. 591-596
    発行日: 1997/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1996年7月, 堺市で小学校児童を中心に, 5,000人を超える腸管出血性大腸菌O157による急性出血性大腸炎の集団発生が見られた。これらの患者の便から検出された腸管出血性大腸菌に対する抗菌剤のin vitroでの抗菌力を測定した結果では, norfloxacinは最も強い抗菌活性を示し, fosfomycin, kanamycin, ampicillin, cefaclorも強い抗菌力を示した。しかし, doxycyclineにはやや高いMICを示しており, 今後, この菌の耐性株の出現には, 注意が必要と考えられた。
    当院を受診した出血性大腸炎または保菌者に対して, 私達は, 初期の抗菌剤投与を原則として加療を行った。95名の出血性大腸炎または保菌者に対してfosfomycinの経口投与を行った結果では, hemolytic uremic syndrome(HUS)の合併は1例もみられなかった。一方, HUSまたはHUS疑いとして紹介され, 当院で加療を行った17名について腸炎の初期に使われた抗菌剤の種類を検討した結果では, fosfomycinの静注が多く行われていた。以上から, 出血性大腸炎に対しては, 消化管内で十分な濃度を得るためにも, 有効な抗菌剤の経口投与の必要性がうかがわれた。
  • Cefluprenam小児科領域研究会
    藤井 良知, 阿部 敏明, 田島 剛, 小林 正明, 寺嶋 周, 目黒 英典, 砂川 慶介, 横田 隆夫, 秋田 博伸, 楠本 裕, 岩田 ...
    1997 年 50 巻 7 号 p. 597-621
    発行日: 1997/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新規に創製された注射用セフェム系抗生物質cefluprenam(治験コード番号: E1077, 以下CFLPと略す)は, 成人領域において安全性, 有効性が検討された。その結果, 本剤が小児科領域でも検討に値する特長を有する抗菌剤であると考えられた。また, 小児科領域への臨床導入に際して要求される幼若動物での安全性試験などで問題がないことが確認された。これらの成績を踏まえて小児科領域における基礎的・臨床的検討を目的とした研究会を組織し, 全国39施設による共同研究を実施し, 以下の成績を得た。なお, 患者はすべてその親権者等の法定代理人から同意を取得した症例であった。
    1.臨床成績
    総症例321例から, 除外・脱落例を除いた281例に肺炎と中耳炎の2疾患合併の8例をそれぞれの疾患に加えた289例が臨床効果解析症例であった。
    臨床効果は, 原因菌の判明したA群154例で著効109例, 有効39例であり,「有効」以上 (有効率) は96.1%であった。疾患別に層別した場合の有効率は化膿性髄膜炎で6/6, 敗血症・菌血症で4/5, 肺炎で95.4% (62/65), 尿路感染症で100.0% (29/29), 皮膚・軟部組織感染症で94.1% (16/17) であった。著効経過率(「著効」/「有効」以上)は73.6% (109/148) であり, 最近のβ-lactam注射剤で最も高い値であった。Streptococcus pneumoniaeでは, 複数菌感染例を含み100.0% (32/32) の有効率であった。原因菌不明のB群135例で著効86例, 有効42例であり有効率94.8%であった。A群及びB群を合計した全体では, 95.5% (276/289) の有効率, 70.7% (195/276) の著効経過率であった。重症感染症である髄膜炎8/8, 敗血症3/5及び重症肺炎で100.0% (22/22) と高い有効率であった。細菌学的効果 (消失率) は95.2% (177/186) であった。グラム陽性菌では, staphylococcus aureusで94.3% (33/35), S.pneumoniaeで93.3% (28/30) の消失率であり, 陽性菌全体で92.7% (76/82) の消失率であった。グラム陰性菌ではEscherichia coliで100.0% (22/22), Haemophilus influenzaeで97.5% (39/40), Molaxella catarrhalisで100.0% (19/19) の消失率であり, 陰性菌全体で97.1% (101/104) の消失率であった。
    先行抗生物質3日以上投与で「無効」であった104例に対して, 本剤に変更後著効68例, 有効30例であり, 有効率94.2%と優れた臨床効果であった。細菌学的効果 (消失率) は98.1% (52/53) であった。
    2. 薬物動態試験成績
    小児12例にCFLP20~40mg (力価)/kgを点滴静注し, 薬物動態を検討した。20mg (力価)/kg投与した1歳以上の小児9例での血清中最高濃度は155.3±9.8μg/ml, 血清中半減期は1.43±0.18時間, AUCは111.7±15.0μg・hr/mlであった。20mg (力価)/kg投与した1歳以下の乳児2例では, 平均血清中最高濃度は153μg/ml, 平均血清中半減期は1.6時間, 平均AUCは81μg・hr/mlであった。40mg (力価)/kg投与1例で血清中最高濃度は332μg/ml, 血清中半減期は0.93時間, AUCは157.3μg・hr/mlであった。20mg (力価)/kg投与例10例の尿中濃度は0~2, 2~4, 4~6時間でそれぞれ2413±512μg/ml, 1471±524μg/ml及び470±115μg/mlであり, 投与後6時間までの累積尿中回収率は61.4±6.3%であった。40mg (力価)/kg投与1例では0~2, 2~4時間で尿中濃度5700μg/ml, 4770μg/mlであり, 投与後4時間までの累積尿中回収率は42.1%であった。髄液中濃度は, 病日4日以内で化膿性髄膜炎の40~103mg (力価)/kg投与10例で, 投与後0.5~2時間後で3.2~32.9μg/ml(Cmax32.9μg/ml), 無菌性髄膜炎の20~41mg(力価)/kg投与4例で, 投与後1時間後で0.5~23.2μg/mlであった。
    3. 副作用, 臨床検査値異常変動及び安全性
    安全性の解析対象例は, 総症例321例から併用薬違反, 投与日数不足, 年齢違反, 同一患者への再投薬例等の20例を除いた301例であった。
    副作用は3.7% (11/301) に発現し, その内訳は, 下痢, 発疹, 発熱, 嘔気, 低体温であった。臨床検査値異常変動は13.7% (39/285) に発現し, その内訳は, GOT, GPTの上昇, 好酸球増多等であった。副作用及び臨床検査値異常変動は-過性で重篤化したものはなかった。
    副作用と臨床検査値異常変動を勘案して301例中226例 (75.1%)が「安全である」と判定された。「ほぼ安全である」と判定された67例中26例は, 副作用及び臨床検査値異常変動は認められなかったが, 臨床検査項目不足, 検査日違反及び投与後臨床検査未実施のために「小児科領域の抗菌薬の判定基準」に従って1ランク下げて判定されたものであった。
    以上の成績から, CFLPは小児科領域において, 中等症から重症感染症に対し高い有用性を示す薬剤であり, 広域かっ強力な抗菌力を有することから, 原因菌が判明しない段階の経験的化学療法 (empiric therapy) の第1選択薬になり得るものと評価された。また, A群での著効経過率が73.2%と高く, 臨床症状の改善が早いことから, 7日以内で治療目的が達成される薬剤であると考えられた。
  • 半田 紀彦, 川上 照彦, 北岡 謙一, 上田 英輝, 新庄 英司, 清水 隆, 伊藤 謙, 岩河 正典, 山本 博司, 安藤 正明, 山中 ...
    1997 年 50 巻 7 号 p. 622-627
    発行日: 1997/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    カルバペネム系抗生剤であるimipenem/cilastatin sodium(IPM/CS)の整形外科領域の感染症および術後感染予防に対する臨床効果および骨移行性について検討した。
    骨髄炎, 褥創感染および術後感染6例に対する臨床効果は有効3例, やや有効3例であった。細菌学的には8株の分離菌が得られ, 消失率は87.5%だった。全人工股関節置換術等39例の術後感染に対する予防投与は, 平均投与期間4.4日, 総投与量4.4gで行い, 全例で感染はみられなかった。
    骨移行濃度は予防投与群の5例を対象として測定し, 本剤の投与1時間後の平均骨髄血中濃度は17.3μg/ml, 骨組織中濃度は5.9μg/gで, 整形外科領域感染症の臨床分離菌として代表的なStaphylococcus aureus, Staphylococcus epidermidis, Streptococcus pneumoniae, Pseudomonas aeruginosaに対する本剤のMIC8。値以上であり, 移行率は34.6%であった。
    本試験で得られた臨床効果および十分な骨移行濃度を認めたことにより, 整形外科領域の重症感染症およびその予防に対しIPM/CSの有用性が示唆された。
  • 進藤 和彦, 堀 建夫, 林 幹男, 清川 新一, 前田 兼徳, 岩崎 昌太郎, 丸田 直基, 山田 潤, 森光 浩, 田出 公克, 星野 ...
    1997 年 50 巻 7 号 p. 628-639
    発行日: 1997/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Imipenem/Cilastatin sodium (IPM/CS) 筋注用製剤500mg/500mgを複雑性尿路感染症 (膀胱炎, 腎孟腎炎) 59例に投与し, 有効性と安全性を検討し, 以下の成績を得た。膀胱炎に関しては1日の投与回数別による検討も行った。
    1. 主治医判定による総合臨床効果は有効率80% (45例/56例) であった。膀胱炎1日1回投与群では89%, 膀胱炎1日2回投与群では67%, 腎孟腎炎群では84%の成績であった。
    2. UTI薬効評価基準による総合臨床効果は77% (37例/48例) であった。膀胱炎1日1回投与群では93%, 膀胱炎1日2回投与群では79%, 腎孟腎炎群では63%の成績であった。
    3. 菌消失率は88% (59株/67株) であり, グラム陽性菌では95% (20株/21株), グラム陰性菌では85% (39株/46株) であった。E. faecalis, P. aeruginosaに対する効果はそれぞれ100%, 73%であった。
    4. 自他覚的副作用は1例に注射部位の疹痛が見られた。臨床検査値異常は2例に認められたが, いずれも軽度で投与終了によりすみやかに消失した。
    以上の成績から, IPM/CS筋注用製剤は, 複雑性尿路感染症に有用な薬剤であると考えられた。
  • 猪狩 淳, 小栗 豊子, 立花 勇一, 三澤 成毅, 中村 文子, 設楽 政次, 梅津 静子, 中村 良子, 田澤 節子, 下浦 美香, 宇 ...
    1997 年 50 巻 7 号 p. 640-649
    発行日: 1997/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    臨床分離株に対するRoxithromycin(RXM)の抗菌力を測定し, 他のマクロライド系抗菌薬; Erythromycin(EM), Clarithromycin(CAM), Rokitamycin(RKM), Midecamycin(MDM)およびClindamycin(CLDM), Cefaclor(CCL), Amoxicillin(AMPC)の抗菌力と比較した。
    RXMは, 1. メチシリン感性黄色ブドウ球菌, S. pyogenes, S.agalactiae, M.(B.) catarrhalis, M.pneumoniae に対し, すぐれた抗菌力を示した。
    2. メチシリン感性表皮ブドウ球菌に対しては, 比較的良好な抗菌力を示しているものの, MIC 128μg/ml以上の耐性株が20%程度認められた。
    3. S.pneumoniaeに対する抗菌力は弱く, EM, CAM, MDM, CLDMと同程度の抗菌力であった。
    4. メチシリン耐性黄色ブドウ球菌および同表皮ブドウ球菌に対する抗菌力は, 他のマクロライド系薬剤と同様弱かった。
  • 1997 年 50 巻 7 号 p. 651-668
    発行日: 1997/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
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