髄液中では, オプソニン作用, 食菌能など, 生体の防御機構の働きが弱い1~3)ために, 化膿性髄膜炎の化学療法では, 抗生剤が殺菌的に作用する必要があり, 特にグラム陰性桿菌性髄膜炎には静菌剤の効果は乏しい4)。従つて, 本症において抗生剤を評価する場合, 本来は最小殺菌濃度 (MBC) を指標とすべきであるが, 適切なMBC測定成績を得にくいため, 最小発育阻止濃度 (MIC) で代用しているのが現状である。しかし髄膜炎時の髄液中の菌量は一般に多く, 時に10
8cells/mlにも達し5), 普通行われている接種菌量10
5cells/mlあるいは10
6cells/mlでのMICの結果は, 治療成績と一致しない可能性がある。
そこで本症の主要起炎菌である
Streptococcus pneumoniae, Streptococcus agalactiae, Haemophilus influenzae,Eschertchia coliの4菌種6, 7) について, 今後治療の主役を演じると考えられるCefotaxime (CTX), Ceftriaxone (CTRX) のMIC, MBCを接種菌量10
6, 10
8cells/mlにおいて測定した。なお, CTXは髄液中においてもDesacetyl化され, 投与後時間の経過と共にDesacetylcefotaxime (Des-CTX) がCTXを上回るようになる8)ので, Des-CTXも検討対象に加えた。対照薬剤としては, 従来の化学療法の中心であるBenzylpenicinin (PCG), Ampicillin (ABPC) を, 前者は
S.pneumoniae, S.agalactiae, 後者は
H. influenzae, E.coliの場合に使用した。
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