The Japanese Journal of Antibiotics
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49 巻, 2 号
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  • 池本 秀雄, 渡辺 一功, 森 健, 猪狩 淳, 小栗 豊子, 小林 邦彦, 佐藤 清, 松宮 英視, 斎藤 玲, 寺井 継男, 丹野 恭夫 ...
    1996 年 49 巻 2 号 p. 107-143
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    我々は1981年以来全国各地の病院・研究施設と共同で呼吸器感染症分離菌を収集し, 分離菌の各種抗菌薬に対する感受性, 患者背景と分離菌などを経年的に調査してきた1~8) 。今回は, 1993年度の調査結果を報告する。1993年10月~1994年9月の問に全国20施設において, 呼吸器感染症患者473例から採取された検体を対象とした。それらの検体 (主として喀疾) から分離され, 起炎菌と推定された細菌は584株であった。このうち, MICの測定できた菌株数は580株であった。その内訳はStaphylococcus aureusg1株, Streptococcus pneumoniae98株, Haemophilus influenzae122株, Pseudomonasaeruginosa (non-mucoid) 91株, Pseudomonas aeruginosa (mucoid) 34株, Moraxella subgenus Hranhamella catarrhalis42株, Klebsiella pneumoniae25株, Escherichia coli6株などであった。
    主要菌株の抗菌薬に対する感受性は, H.influenzaeについては前年とほぼ同様の成績を示し, P.aeruginosaについても大きな変動は見られなかったが, Saureus, K.pmumoniaeとM (B.) catarrhalisおについてはやや変動が認あられた。S.aumsではMPIPCのMICが4μg/ml以上の株 (Methicillin-resistant S.aums) が51株, 56.0%を占めたが, これは1992年度に比べるとやや少ないように思われる。
    また, 患者背景と感染症と起炎菌の推移等についても検討した。
    患者背景については, 年齢別の分布では高年齢層の感染症が多く, 60歳以上が61.3%を占め, 高齢者の割合は前年とほぼ同程度であった。疾患別の頻度では, 慢性気管支炎, 細菌性肺炎がそれぞれ31.196, 26.0%と多く, 以下気管支拡張症, DPBの順であった。
    疾患別の起炎菌の頻度についてみると, 慢性気管支炎ではS.pneumoniae23.2%, H.influenzae22: 2%, Pamginosa16.7%, 細菌性肺炎ではP.amginosa21.0%, S.aums519.8%, 気管支拡張症ではPamginosa43.8%, S.aureus19.3%, DPBではP.aeruginosa48.6%, H.influenzm25.7%が上位を占めた。
    抗菌薬の投与の有無, 投与日数ごとにみた分離菌についてみると, 投与前に分離頻度が多い菌はH.influmm24.6%, S.pneumoniae19.5%である。一方, 投与前に14.7%を占めたS.aums17.296を占めたPamginosaでは逆に投与後の分離頻度が高く, S.aureusが17.996, Pamginosaが30.5%を占めた。この傾向は1992年度と同様の結果であった。因子・手術の有無によるMRSAの分離頻度は「有り」で66.7%, 「無し」で26.9%となり, 因子・手術の有りの例でMRSAの分離頻度が高い傾向を示した。抗菌薬の投与前後におけるMRSAの分離頻度は「投与前」で44.8%, 「投与後」で73.5%となり, 抗菌薬投与後で明らかに高値を示した。
  • 齋藤 篤, 坂本 光男, 齋藤 玲, 大道 光秀, 平賀 洋明, 菊池 健次郎, 大崎 能伸, 佐々木 信博, 松本 博之, 須田 俊宏, ...
    1996 年 49 巻 2 号 p. 144-174
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたペネム系経口抗生剤, Ritipenemacoxil (RIPM-AC) の細菌性肺炎に対する有効性, 安全性および有用性を客観的に評価するため, Cefotiamhexetil (CTM-HE) を対照薬として多施設二重盲検群問比較試験を行った。RIPM-AC, CTM-HEとも1回200mgを1日3回, 原則として14日間連続経口投与した。
    総投与症例208例中, 臨床効果解析対象例数は152例 (RIPM-AC群73例, CTM-HE群79例) であった。
    1.臨床効果
    有効率 (著効+有効) ではRIPM.AC群で91.8% (67/73), CTM-HE群で94.9% (75/79) であり, 両群問に有意差は認められず, 同等性の検討では両薬剤の臨床効果は同等であることが示された。
    2.細菌学的効果
    臨床効果解析対象例における起炎菌消失率は, RIPM-AC群で84.6% (22/26), CTM-HE群で91.796 (22/24) であり, 両群間に有意差は認められなかった。
    3.安全性
    副作用発現率は, RIPM-AC群で9.6% (9/94), CTM-HE群で4.9% (5/102) であった。また臨床検査値の異常変動の発現がみられたのはRIPM.AC群で26.7% (23/86), CTM-HE群で15.6% (15/96) であった。安全性判定では, RIPM.AC群で94例中64例 (68.1%), CTM-HE群で102例中82例 (80.4%) が安全であると判定された。いずれについても両群間に有意差は認あられなかった。
    4.有用性
    有用率 (極めて有用+有用) はRIPM-AC群で86.5% (64/74), CTM-HE群で92.5% (74/80) であり, 両群間に有意差は認あられなかった。
    以上の結果から, RIPM-ACはCTM-HEと比較して同等の臨床効果を示し, 安全性にも特に問題はなかったことから, 細菌性肺炎に対して有用性が期待できる抗生剤であると考えられる。
  • 出口 浩一, 古口 昌美, 鈴木 由美子, 田中 節子, 深山 成美, 石原 理加, 小田 清次, 中根 豊, 福本 寅雄
    1996 年 49 巻 2 号 p. 175-193
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1993年に検出した臨床分離多数株を対象とし, Meropenem (MEPM) の抗菌活性を知ることをII的に, 対照薬剤を加えた最小発育阻止濃度 (MIC) を測定して以下の結果を得た。
    1.グラム陽性菌に対するMEPMの抗菌活性は, Cephems (CEPs) には勝るものの, Panipenem (PAPM) とほぼ同等, Imipenem (IPM) にはやや劣つていた。
    2.Enterobacteriaceae, Glucosenon-fermentative Gram-negative rods, 及びーBacteroides fragilis groupのいわゆる第三世代CEPsを含む多剤耐性株に対するCarbapenemsの強い抗菌活性が認められたが, 中でもこれらの菌種に対するMEPMの抗菌活性はIPMとPAPMに勝っていた。
    3.MEPMはEnterobacteriaceaeとHaemophilue influenzaeに対してはIPMとPAPMに比較してはるかに低いMIC-rangeを示したが, これらはH.influenzaeにおいて知られているMEPMのPenicillin-binding proteinsの3~5を含む幅広い結合親和性と透過性の向上, 及びβ-ラクタマーゼに対する安定性によることが示唆された。
  • 第1報Staphylococcus aureus を対象とした成績
    出口 浩一, 古口 昌美, 鈴木 由美子, 田中 節子, 深山 成美, 石原 理加, 小田 清次
    1996 年 49 巻 2 号 p. 194-202
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年に検出したStaphylococcus aureus を対象にしてIsepamicin (ISP) とβ-ラクタム系薬剤との試験管内抗菌併用効果を検討することを目的に, 各々単独と複数の組み合わせによる最小発育阻止濃度 (MIC) を測定して, 以下の結果を得た。
    1. Methicillin (DMPPC)-susceptible S. aureus (MSSA) に対するISP+Cefazolin (CEZ), ISP+Cefotiam (CTM), ISP+Flomoxef (FMOX) のいずれにおいてもISPの濃度依存的にMICが低下していたが, ISPのsub-MIC濃度 (1/2~1/4MIC濃度) 存在下においても併用効果が認あられた。
    2. DMPPC-resistant S. aureus (MRSA) に対するISP+CEZ, ISP+CTM, ISP+FMOX, ISP+Imipenem, ISP+Panipenemのいずれの結果も, MSSAと同様にISPの濃度依存的にMICが低下していたが, ISPのsub-MIC濃度存在下においても併用効果が認められた。その併用効果は, ISP4~16μg/ml存在下におけるMIC50又はMIC90の低下で示された。
    3.上記の結果は, ISP400mg単回投与時の血中Cmax20μg/mlを超えていることから, MRSA感染症に対するISP+β-Lactamsの臨床的有用性が示唆された。
  • 第1報利便性と作業効率について
    平山 武司, 黒山 政一, 島田 慈彦
    1996 年 49 巻 2 号 p. 203-210
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    抗生物質をプラスチック容器に充填したマルチチャンバーバック方式のキット製品と従来からのガラスバイアル瓶製品とその有用性を比較検討した。試験に供したキット製品 (TMBキット) はプラスチック製バッグを2室に区切り, 1室には主薬であるイミペネム/シラスタチンが他の1室には溶解液である生理食塩水100mlが充填されている。北里大学東病院に勤務する看護婦と薬剤師を対象としてTMBキット製品とガラスバイアル瓶に入った従来からの製品との比較試験を1.溶解調製使用時の印象に基ずいた利便性, 2.溶解調製時間の測定による作業能率の2点について行った。利便性の評価は非常に高かった。作業能率ではTMBキットは従来からの製品に比べ約46~59%の時間短縮が認められた。
  • 第2報調製精度の検討
    平山 武司, 黒山 政一, 島田 慈彦
    1996 年 49 巻 2 号 p. 211-217
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    抗生物質のマルチチャンバーバック方式キット製剤化による医療上の有用性を調製精度の面から検討した。試験に供したキット製品はプラスチック製バッグを2室に区切り, 1室には主薬であるイミペネム/シラスタチンが他の1室には溶解液である生理食塩水100mlが充填されている。北里大学東病院に勤務する看護婦と薬剤師を対象として従来のガラスバイアル瓶に入ったイミペネム/シラスタチンを通常の溶解調製法である注射器を用いる方法と両頭針を用いる方法との調製精度の研究を行った。注射器法の平均残存率はイミペネム5.58±2.60%, シラスタチン4.08±1.77%であった。両頭針法の平均残存率はイミペネム3.99±2.28%, シラスタチン3.71±2.09%であった。一方, TMBキット法では主薬が充填されている容器がそのまま投与容器になるため元の容器に残存する薬剤量は無いものと考えられ, 注射器法, 両頭針法に比較して調製精度が正確であることが明かとなった。
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