骨・関節の感染症の治療は, 抗生物質の発達によつて著るしく向上するかにみえたが傷性骨髄炎, 近年は耐性菌の増加, 外の増加に伴い, その予後は決して楽観を許さない。
当院における1970年から1976年の期間の局所持続洗浄療法をおこなつた骨・関轍症の鵬118名中, 外傷性は77名 (65.3%) におよび, 起炎菌は緑膿菌が最も多くなつている1)。
交通事故や労災事故による骨折に伴う外傷性の骨・関節感染症は増加の一途であり, その起炎菌として最もしばしば検出される緑膿菌に対して, 最近はいく種類もの抗生物質が使用されているはずであるが, 骨髄血内移行濃度までしらぺだ研究は意外と少ないのが現況である。
Tobramycin (以下TOB) は, Nebramycin (1967年W.M.STARKらが発表した新広域抗生物質複合体) のFactor6で, 1970年K.F.KOCHらが, その化学構造とともに, Tobramycinと命名したアミノ配糖体抗生剤である。
われわれは, 日常の骨・関節手術時に感染予防のために術前投薬としてTOBを使用し髄血を採取, 手術直前に静脈血, 骨して骨髄血内移行濃度を検討してみたので報告する。
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