造血器疾患に併発した感染症109例に対し, Imipenem/Cilastatin sodium (IPM/CS) の単独療法 (単独群) とIPM/CSと他剤との併用療法 (併用群) の比較検討を封筒法にて実施し, 以下の結果を得た。
1. IPM/CS単独群および他抗菌薬併用群はそれぞれ53例, 56例で, うち評価可能な症例はそれぞれ47例, 48例であった。症例の年齢分布, 造血器疾患の種類などに両群間で差はなかった。
2. 細菌感染症別の症例数および有効率は単独群で敗血症8例, 625%, 敗血症疑い23例75.0%, 肺炎10例, 50.0%で, 全体では, 47例68.3%であった。一方, 併用群はそれぞれ7例, 85.7%, 24例, 63.6%, および8例, 50.0%で, 全体では48例, 67.4%であり, 単独群と併用群の有効率に有意差は認められなかった。
3. 併用薬剤のなかではペニシリン系, セフェム系, アミノ配糖体系以外の抗菌薬の使用例が12例, 有効率が91。7%と高かった。
4. 細菌学的には単独群で19株, 併用群で17株の分離菌が得られ, 消失率はそれぞれ100%, 88.9%であった。
5. 副作用は単独群2例, 併用群7例に嘔気・嘔吐, 食欲不振の消化器症状を認め, 臨床検査値異常は単独群2例, 併用群7例に肝機能異常を, 併用群の1例に好中球増多を認めたが, いずれも本剤投与中止または終了後に消失した。
以上により造血器疾患に併発した重症細菌感染症に対するIPM/CSの単独療法と併用療法において有効率に有意差は認められなかった。
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