急性膀胱炎は, 日常の外来診療にあつては最も多い疾患で, われわれの所での年間外来統計でも全外来患者の1/4であり, 女性だけでは半数を占めるほどである。
これまで本疾患は自覚症状と尿所見から診断されて, 抗生物質ないしは化学療法剤が投与され治療効果を挙げてきた。ところが, 時には治療効果の発現が遅かつたり, あるいは効果が現われず, 止むなく他剤に変更することもあった。「本症の治療にあたつては, 1日でも早く治癒できる薬剤を選択することが大切である」1)ことから, 感受性のある薬剤を投与することにあると思われるが, 最近のわれわれの所での初診時尿培養結果をみると, 大腸菌のDisc法による薬剤感受性分布ではGentamicin (GM), Nalidixic acid (NA), Ampicillin (ABPC), Carbenicillin(CBPC) などに高感受性を示している。
そこで, ABPCときわめて類似した性状をもつていて, しかも経口投与で吸収性がよく, 同量内服でABPCより約2倍高い血中濃度が得られると報告2) されているAmoxicillin (AMPC) を使用する機会があったので, 尿路感染症患者から検出された細菌のAMPCのMICを測定するとともに, 実際にも内服させて治療効果を検討してみたので報告する。
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