The Japanese Journal of Antibiotics
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43 巻, 12 号
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  • Cefaclorを対照とした二重盲検比較試験
    佐々木 次郎, 森鼻 健史, 金子 明寛, 道 健一, 高橋 浩二, 福岡 富士雄, 佐藤 田鶴子, 吉成 伯夫, 大根 光朝, 原 英之, ...
    1990 年 43 巻 12 号 p. 2035-2068
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    急性歯性感染症 (歯周組織炎, 歯冠周囲炎及び顎炎) に対するCefuroximeaxeti1 (CXM-AX) の有効性, 安全性及び有用性を客観的に評価する目的でCefaclor (CC恥を対照薬として比較試験を実施した。なお, 薬剤はいずれも1回250mg (力価) を1日3回食後経口投与し, 投与期間は3~7日間とした。
    1.総症例における臨床効果は主治医判定ではCXM-AX群81.6% (102例/125例), CCL群82.5% (104例/126例), 点数判定ではそれぞれ89.6% (112例/125例) 及び83.3% (105例/126例) の有効率であり, 両群間に有意の差はみられなかつた。又, 背景因子別の臨床効果 (点数判定) は開始日外科処置「無」の症例においてCXM-AX群90.6% (58例/64例), CCL群75.0% (48例/64例) とCXM-AX群が有意に高い有効率を示したが (P<0.05), 他の背景因子並びに投与開始日評点別においては両群間に有意の差はみられなかった。
    2.総症例における細菌学的効果はCXM-AX群73.7% (28株/38株), CCL群78.3% (36株/46株) の消失率であり, 両群間に有意の差はみられなかった。
    3.副作用はCXM-AX群で128例中1例 (0.8%), CCL群で132例中6例 (4.5%), 臨床検査値異常はCXM-AX群で86例中8例 (9.3%), CCL群で91例中5例 (5.5%) にみられたが, いずれも両群間に有意の差はみられなかった。
    4.有用性は総症例でCXM-AX群81.6% (102例/125例), CCL群81.7% (103例/126例) の有用率であり, 両群間に有意の差はみられなかった。
    以上の成績から, CXM-AXはCCLと同様に急性歯性感染症に対し有用な薬剤であると考えられた。
  • 多施設共同研究
    廣津 卓夫, 赤塚 順一, 星 順隆, 内山 浩志, 藤沢 康司, 小林 尚明, 石戸谷 尚子, 大平 睦郎, 高山 順, 石田 也寸志, ...
    1990 年 43 巻 12 号 p. 2069-2077
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児血液・腫瘍疾患に併う104例の感染症に対し, Aztreonam (AZT) と他の注射用抗生剤とを併用し, 全体で69.2%の有効率を得た。AZT単独で63.2%, Cefmetazole (CMZ) 併用で73.6%, Piperacillin (PIPC) 併用で74.1%, Amikacin併用で20.0%の有効率で, 敗血症及び敗血症疑いで53.2%, 肺炎, 上気道炎で78.9%, 不明熱で93.1%, その他で55.6%の有効率であった。起炎菌同定不能例の有効率は71.3%で, 起炎菌判明例の有効率は50.0%であった。グラム陰性菌が大部分を占め, その有効率は50.0%であったが, Escherichia coli感染症3例中3例 (100%) は有効であつた。投与前好中球数別では100/μ1以下で59.3%, 101~500/μ1で78.6%, 501/μ1以上で82.4%の有効率であつた。副作用は軽度であった。AZTと第2世代セフェム系抗生物質 (CMZ) 及びペニシリン系抗生物質 (PIPC) との併用療法は小児血液・腫瘍疾患に併う感染症対策として副作用が少なく有用な治療法と考えられる
  • 水野 晴光, 山雄 久美, 齋藤 英彦, 大野 竜三, 堀田 知光, 大西 一功, 村手 隆, 鏡味 良豊, 御供 泰治, 仁田 正和, 児 ...
    1990 年 43 巻 12 号 p. 2078-2086
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    造血器疾患患者93例に併発した重症感染症を対象に, セファマイシン系抗生物質, Cefbuperazone (CBPZ) の有効性と安全性について検討した。
    有効性評価の対象となった85例における基礎造血器疾患は, 白血病が49例 (57.6%), 悪性リンパ腫が18例 (21.2%) であつた。
    有効性評価対象症例85例について著効, 有効合わせた有効率は50.6%であり, 感染症別の臨床効果においては, 敗血症・敗血症疑は53.4%の有効率であった。
    併用頻度の最も高かつたアミノ配糖体系抗生物質との併用37例において62.2%と併用例全体の有効率48.5%を上回る高い有効率が得られている一方, ペニシリン系抗生物質との併用16例では31.3%と低い有効率であった。
    末梢好中球数が投与前に100/mm3未満の23症例では52。2%, 100~499/mm3の13症例では46.2%, 500/mm3以上の39症例では51.3%の有効率であり, 投与前の末梢好中球数が少ない時も, 多い時も変わらぬ有効率を示した。
    以上のことからCBPZは造血器疾患に合併した重症感染症に対し, 単独ないし, アミノ配糖体系抗生物質などとの併用により優れた有用性が期待できる薬剤であると考えられた。
  • 塚田 哲也, 片山 直之, 影山 慎一, 西川 政勝, 小林 透, 出口 克巳, 白川 茂, 南 信行
    1990 年 43 巻 12 号 p. 2087-2093
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    造血器疾患に合併した重症感染症68例を対象としてImipenem/Cilastatin sodiumを投与し, その有効性と安全性を検討した。
    1.有効性評価対象59例での臨床効果は著効10例, 有効24例, やや有効11例, 無効14例で, 有効率は57.6%であった。
    2.感染症別では, 敗血症及び敗血症疑いを合わせた有効率は62。0%で, 肺炎の有効率は40.0%, 尿路感染症の1例は有効であつた。
    3.投与後好中球数が100/mm3以下, 101~500/mm3, 501/mm3以上の3群において, 44.4%, 58.3%, 60.5%の有効率を認めた。又, 投与前後とも好中球数が100/mm3以下の症例においても60.0%の有効率であった。
    4.安全性評価対象症例68例中, 副作用は5例に認あられたが, いずれも軽微で投与中止後に速やかに消失した
  • 尾花 芳樹, 村上 龍敏, 葛井 久嗣, 西野 武志
    1990 年 43 巻 12 号 p. 2094-2101
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    臨床分離のEscherichia coli, Proteus vulgaris, Serratia marcescens 及びPseudomonasaeruginosa の合計88株に対するCarumonam (CRMN) と他の8薬剤のin vitro における相互作用についてチェッカーボード法で検討した。CRMNと他の8薬剤の併用は全般的に相加的か不干渉的作用であった。S. marcescens あるいはP. aeruginosa では, CRMNとFosfomycin, Gentamicin (GM) あるいはDibekacinの併用により相乗作用が認あられた。又, 拮抗現象はいずれの併用においても認められなかった。位相差顕微鏡観察により, P. aeruginosa 15846に対して, CRMNとGMの併用で相乗作用が確認できた。P. aeruginosa を用いた実験的尿路感染症に対して, CRMNとGMの相乗効果が認あられた。
    CRMNと種々の抗菌剤の併用は拮抗現象が認あられないことから, 感染症の初期治療に適当であると思われる。
  • 大森 弘之, 公文 裕巳, 金政 泰弘, 平井 義一, 斎藤 泰一
    1990 年 43 巻 12 号 p. 2102-2132
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    複雑性尿路感染症に対する新規経口セフェム系抗生物質Cefetamet pivoxil (CEMT-PI, Ro15-8075) の臨床用量を検討する目的でCefaclor (CCL) を対照薬とした比較試験を行った。
    対象は尿路に基礎疾患を有する複雑性尿路感染症で, カテーテル非留置症例であることを条件とし, 前立腺術後1ヵ月以内並びに緑膿菌感染症例を除外した症例を有効性解析対象とした。CEMT-PIの投与量は1日500mg分2 (CEMT-PI-L投与群) 及び1,000mg分2 (CEMTPI-H投与群), CCLは1,500mg分3 (CCL投与群) で7日間投与とし, 3日目及び7日目に総合臨床効果をUTI薬効評価基準 (第3版) に準拠して判定した。
    臨床効果の評価対象としたCEMT-PI-L投与群の36例, CEMT-PI-H投与群の37例及びCCL投与群の30例について背景因子の検討を行つたが, いずれの項目においても3群間に有意な差は認められなかった。
    総合臨床効果は3日目判定でCEMT-PI-L投与群で67.9% (19例/28例), CEMT-PI-H投与群で60.0% (18例/30例) 及びCCL投与群で72.0% (18例/25例) の有効率であり, 3群間に有意な差を認めなかった。7日目判定ではCEMT-PI-L投与群で63.6% (21例/33例), CEMTPI-H投与群で66.7% (24例/36例) 及びCCL投与群で72.4% (21例/29例) の有効率であり, 3群間に有意な差を認めなかった。細菌学的効果は3日目判定でCEMT-PI-L投与群の39株で79.5% (31株/39株), CEMT-PI-H投与群で73.2% (30株/41株) 及びCCL投与群で84.4% (27株/32株) の細菌消失率であり, 3群問に有意な差を認めなかった。7日目判定ではCEMTPI↓投与群で78.7% (37株/47株), CEMT-PI-H投与群で85.5% (47株/55株) 及びCCL投与群で94.9% (37株/39株) の細菌消失率であり, 3群間に有意な差を認めなかった。なお, 分離菌別に層別化した成績では, 有意差は認められないものの, 総合臨床効果, 細菌学的効果共に, グラム陽性菌ではCCL投与群, グラム陰性菌ではCEMT-PI-H投与群の成績が優れていた。
    CEMT-PI-L投与群とCEMT-PI-H投与群の両群を比較した場合, 投与前分離菌に対するMIC分布がCEMT-PI-L投与群のほうがCEMT-PI-H投与群に比べて有意に感性側に偏っていたにもかかわらず, 7日目判定の総合臨床効果及び細菌学的効果はいずれもCEMT-PI-H投与群で高いこと, 副作用はCEMT-PI-L投与群及びCEMT-PI-H投与群で各1例しか認めなかったことなどを考慮すると, 1日1,000mg分2が複雑性尿路感染症に対するCEMTの至適投与量と考えられた。
  • 出口 浩一, 横田 のぞみ, 古口 昌美, 中根 豊, 福島 よし子, 深山 成美, 石原 理加, 小田 清次, 田中 節子, 佐藤 久美子 ...
    1990 年 43 巻 12 号 p. 2133-2141
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1989年に検出した新鮮臨床分離株を対象に, Macrolides (MLs) の抗菌活性を測定し, 過去の自験例と比較して, 臨床分離株のMLs耐性の経年的推移を疫学的な考察も加えて検討した。
    1. Staphylococcus aureus に対するMLsのMIC分布は感受性側と耐性側の2峰性を示し, 耐性株の占める割合はErythromycin36%, Kitasamycin, Josamycin, Midecamycin, Midecamycinacetateが各々24%である。しかし, Rokitamycin (RKM) のMIC分布は≤0.39μg/ml (76%), 1.56~3.13μg/ml (12%), そして≥100μg/ml (12%) の3峰性を示した。
    Staphylococcus epidermidis の成績も含めたStaphylococcus spp. のMLs耐性は, 14員環MLsと16員環MLsとでは耐性率に差があり, 更に16員環MLsの中では, RKMの耐性率が最も低いが, これらの差は耐性誘導能の強弱の差であることが考えられる。上述したS. aureus のMLs耐性株の占める割合は, 1975年以降の自験例の経年的比較では, 耐性率に変動が認められない。
    2. Streptococcus pyogenes のMLs耐性株は4%, Streptococcus pneumoniae のMLs耐性株は18%である。1985年以降の自験例の経年的比較では, S. pyogenes のMLs耐性は明らかな減少, S. pneumoniae のMLs耐性は増加傾向を示唆していた。
    3.グラム陽性菌のMLs耐性は耐性誘導すなわち誘導型の耐性であることから, 臨床でのMLsの使用にあたっては, 誘導能の弱い薬剤を選択することが大切である。
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