The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
Print ISSN : 0368-2781
ISSN-L : 0368-2781
57 巻, 5 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
  • ithromycinの作用機序・耐性機序も含めて
    井上 松久, 兼子 謙一, 中野 竜一, 佐藤 義則, 新井 進
    2004 年 57 巻 5 号 p. 425-437
    発行日: 2004/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    PROTEKT (Prospective Resistant Organism Tracking and Epidemiology for the Ketolide Telithromycin) は呼吸器感染症の主要原因菌に対する薬剤感受性を把握するための世界的な疫学調査であり, 加えて, ケトライド系抗菌薬Telithromycin (TEL) の耐性肺炎球菌に対する作用機序及び耐性機序を明確にするとともに, マクロライド及びケトライド耐性肺炎球菌についての分子解析を目的としている。
    TELのマクロライド耐性肺炎球菌に対する抗菌作用は, 耐性機序に関係なく発揮され, ermB遺伝子保有株, mefA遺伝子保有株及びリボソーム変異株の全てに対し強い抗菌活性を示した。この結果は, TELがermB耐性を誘導しないことに加え, 突然変異による耐性菌の選択能も極めて低い事実を反映していると考える。また, これらの作用は, TELの新規性の高い化学構造に由来しており, マクロライド系薬にはないケトライド系薬特有の特徴と考えられた。
    PROTEKTの1999~2002年の調査において, 全世界的に分離された肺炎球菌13,864株中ケトライド耐性菌 (TELMIC≥4μg/mL) は10株 (0.07%) に認められた。これら10株のMICは4または8μg/mLで, 全てermB遺伝子保有株であった。このことから, ケトライド耐性肺炎球菌の出現の背景には, ermB遺伝子産物であるアデニン・ジメチラーゼの何らかの関与が考えられた。
  • 那須 良次, 安部 美稚子, 小野 憲昭, 荒木 雅史, 堀見 忠司, 高橋 功
    2004 年 57 巻 5 号 p. 438-448
    発行日: 2004/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    高知県立中央病院において2001年から2003年までに分離された緑膿菌の各種薬剤に対する感受性をNCCLSの判定基準に基づいて集計し, 以下の成績を得た。
    1.piperacillinに対する感受性率は92.9%であった。
    2.セフェム系薬剤の中ではceftazidimeに対する感受性率が96.0%と最も高かった。
    3.アミノ配糖体系に対する感受性は, tobramycinに対して93.2%, amikacinに対して94.8%と保たれていた。
    4.カルバペネム系薬に対しては高い感受性を維持していたが, imipenem (88.3%) よりmeropenem (94.1%) に高い感受性を示した。
    5.尿由来株の耐性化を認めた。今回検出された多剤耐性緑膿菌 (imipenem, amikacin, ofloxacin全てに耐性であった緑膿菌) 4株であり, すべて尿から分離されていた。
    6.IPM耐性株は388株中34株であったが, メタロ-β-ラクタマーゼ産生菌のスクリーニングでは陽性株は認められなかった。
  • 金澤 勝則, 上田 豊
    2004 年 57 巻 5 号 p. 449-464
    発行日: 2004/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    2000年~2002年の3年間に全国の医療機関において患者検体から分離された各種臨床分離株 (Methicillin-susceptible Staphylococcus aureus (MSSA), Methicillin-resistant S.aureus (MRSA), Escherichia coli, Serratia marcescens, Enterobacter cloacae, Pseudomonas aeruginosa, Burkholderia cepacia) に対するグルコン酸クロルヘキシジンのMICおよび殺菌力を検討し, 以下の結果を得た。
    1.グルコン酸クロルヘキシジンは, MSSA, MRSA, E.coliおよびB.cepaciaの増殖を0.002%以下で阻止し, S.marcescens, E.cloacaeおよびP.aeruginosaの増殖を0.008%以下で阻止した。
    2.グルコン酸クロルヘキシジンは, E.coli, E.cloacaeおよびP.aeruginosaに対し, 低濃度 (0.02~0.05%) においても速やかな殺菌効果を示した。
    3.S.aureus, S.marcescensおよびB.cepaciaでは, グルコン酸クロルヘキシジンが十分な殺菌効果を示すために比較的高濃度あるいは長時間の作用を必要とする菌株が認められた。
    以上の結果からグルコン酸クロルヘキシジンは, 近年分離の各種細菌に対しても優れた抗菌力が期待できる有用性の高い消毒薬であることが示唆された。また, 本剤を用いて確実な消毒効果を得るためには, 使用目的や対象菌種に応じて適切な作用濃度および作用時間を設定する必要があることが示された。
feedback
Top