The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
Print ISSN : 0368-2781
ISSN-L : 0368-2781
50 巻, 5 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 池本 秀雄, 渡辺 一功, 森 健, 猪狩 淳, 小栗 豊子, 川口 秀明, 清水 義徳, 松宮 英視, 斎藤 玲, 寺井 継男, 井上 洋 ...
    1997 年 50 巻 5 号 p. 421-459
    発行日: 1997/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    我々は1981年以来, 全国各地の病院・研究施設と共同で下気道感染症(以下, 呼吸器感染症と略す)分離菌を収集し, 分離菌の各種抗菌薬に対する感受性, 患者背景と分離菌などを経年的に調査してきた1~13)。今回は, 1995年度の調査結果を報告する。
    1995年10月~1996年9月の間に全国23施設において, 呼吸器感染症患者から採取された検体を対象とした。それらの検体(主として喀痰)から分離され, 起炎菌と推定された細菌567株について感受性を測定した。分離菌の内訳Staphylococcus aureus 74株, Streptococcus pneumoniae82株, Haemophilus influenzae 104株, Pseudomonas aeruginosa (non-mucoid株)85株, Pseudomonas aeruginosa (mucoid株) 18株,Moraxella subgenus Branhamella catarrhalis 52株, Klebsiella pneumoniae 25株などであった。主要菌株の抗菌薬に対する感受性は, ほとんどの菌種で前年とほぼ同様の成績を示した。S.aureusではOxacillinのMICが4μg/ml以上の株(methicillin-resistant S.aureus)が1994年度とほぼ同様の39株, 52.7%を占あた。これらMRSAも含め, ArbekacinとVancomycinは優れた抗菌力を示した。P.aeruginosaに対しては一部の薬剤を除き抗菌力は弱かったが, その他の菌種に対する抗菌力は比較的強いものが多かった。また, 患者背景と感染症と起炎菌の推移等についても検討した。
    患者背景については, 呼吸器感染症患者459例から採取された567株を対象とした。年齢別の分布では高年齢層の感染症が多く, 60歳以上の症例が66.3%を占め1994年度よりわずかではあるが漸増している。疾患別の頻度では, 慢性気管支炎, 細菌性肺炎がそれぞれ38.8%, 29.6%と多く, 全体の約70%を占めた。疾患別の起炎菌の頻度についてみると, 慢性気管支炎ではH.influenzae及びS.pneumoniaeの分離頻度が高く, それぞれ18.0%, 17.6%であった。細菌性肺炎ではS.aureusとP.aeruginosaの分離頻度が最も高く, それぞれ16.2%, 次いでH.influenzae12.8%, S.pneumoniae 10.6%の順であった。抗菌薬の投与の有無, 投与日数ごとの分離菌についてみると, 投与前に分離頻度の高い菌はH.influenzae 24.7%, S.pneumoniae 21.0%, M.(B.)catarrhalis 13.9%であった。抗菌薬投与14日以内では, 薬剤感受性が比較的良好な菌(S.pneumoniae, K.pneumoniae, M.(B.)catarrhalis)では, 抗菌薬の投与日数の増加に伴い分離頻度が減少する傾向にあったが, 多くの薬剤に耐性を示すS.aureusは投与日数の増加に伴い分離頻度は増加する傾向にあった。感染抵抗力減弱を誘起する因子・手術の有無によるMRSAの分離頻度は「有り」で57.7%,「無し」で35.0%となり, 因子・手術の有りの症例でMRSAの分離頻度が高い傾向は例年通りであった。抗菌薬の投与前後におけるMRSAの分離頻度は「投与前」で34.2%,「投与後」で70.6%となり, 抗菌薬投与後で高値を示した。また, 入院患者からのMRSAの分離頻度は外来患者に比べ多く60.4%(32/53)を占めた。外来患者からの分離頻度は1994年度の7.1%(1/14)に比べ1995年度は26.3%(5/19)と多かった。
  • 品川 長夫, 小出 肇, 由良 二郎, 真辺 忠夫, 真下 啓二, 石川 周, 水野 章, 平田 公一, 傳野 隆一, 向谷 充宏, 石引 ...
    1997 年 50 巻 5 号 p. 460-473
    発行日: 1997/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1982年7月から1996年6月の間の多施設における外科感染症からのEnterococcusspp. の分離頻度とその薬剤感受性の変遷について検討した。一次感染症においては, Enterococcus faecalis およびその他のEnterococcus spp.の分離頻度は, 調査期間を通じそれぞれ数%と低かった。しかし, 術後感染症においては, 1993年度からE.faecalisは第1位の分離頻度となったが, その他のEnterococcus spp.の分離頻度は数%であった。Efaecalisに対してはmpicillin(ABPC)の抗菌力がもっとも優れており, 次いでVancomycin (VCM), Imipenem (IPM), Levofloxacin (LVFX), Meropenem (MEPM), Cefozopran (CZOP)などであった。その他のEnterococcusspp. に対して, E.faecalisより薬剤耐性率が高かったが, VCMの抗菌力がもっとも優れており, 次いでABPC, LVFXの順であった。VCM耐性菌は認めなかったが, 諸外国では問題となっており, 今後, 注目していく必要があろう。
  • 千村 哲朗
    1997 年 50 巻 5 号 p. 474-478
    発行日: 1997/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    膣内細菌叢と膣内顆粒球Elastase及びpHの関係について, 膣・頸管部分泌物異常を認めた95例 (妊婦49例, 非妊婦46例) を対象とし以下の結果をえた。
    1) 膣分泌物中よりの検出菌は, グラム陽性菌87/144 (60.4%)と高く, Lactobacillus sp. 67/144(46.5%)が主要菌種であった。次いで嫌気性菌26/144 (18.1%), 真菌26/144 (18.1%) であった。
    2) 主疾患としての頸管炎・膣炎の症例は, 膣部ビラン群に比してElastaseは高い傾向を示した (6.65~6.69μg/ml)。膣内pH>5.0群は, pH<4.5群に比して有意なElastaseの上昇 (6.44±1.40μg/ml) を示した。
    3) 検出菌種とElastaseの関係では, Lactobacillus sp.(pH<4.5) 群に比して嫌気性群(6.58±1.40μg/ml), グラム陰性菌群 (6.01±3.61μg/ml), グラム陽性菌群 (5.02±0.94μg/ml), 真菌群 (5.14±1.08μg/ml) ともに高値を示した。膣内pHもLactobacillus sp.群 (4.04±0.04)に比して全群で>4.5を示した。
  • 千村 哲朗
    1997 年 50 巻 5 号 p. 479-484
    発行日: 1997/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    子宮頸管部の炎症は, 一般細菌・Chlamydiae trachomatisなどにより帯下異常など臨床症状を呈するが, 慢性頸管炎 (cystic cervicitis) の切開術後 (n=66) に対し, Levofloxacin 300mg/日の5~14日間投与を行った。同時にChloramphenicolまたはSolcoseryl膣錠の併用により全例有効であった。
    クラミジア感染のスクリーニングとしてIgA・IgG抗体検査(セロイパライザー)を施行(n=258)した。抗体陽性率は非妊婦で48/160 (30.0%), 妊婦で26/98 (265%) であり, 15~24歳代で50%, 35~39歳代で41%を示した。抗体価の測定結果では, cut-off index>1.11はIgA 61/87, IgG 56/87であり,>3.01はIgA・IgGともに11/87 (12.6%), 1.11~3.00は24/87 (27.6%) であった。
    クラミジア感染 (非妊婦n=48) に対しLevofloxacin 300mg/日の14日間投与を1~3回施行した。妊婦 (n=26) にはClarithromycin 400mg/日の14日間投与を1~2回施行した。全例に副作用は認められなかった。治療開始後のIgA・IgG抗体価の推移 (n=14) の検討では一定の傾向は認められなかった。
feedback
Top