1956年来, 日本国内でも人のPsittacosis (オーム病) が発生していることが徐ら1), 北本ら2), 藤井ら3), 後藤ら4) によって明らかにされている。われわれ5~8)も, 1966年以来本症の6例を経験し, その臨床, 胸部X線所見, 病因的検索, さらに治療薬剤としてのTetracycline系薬剤, Macrolide系薬剤, Penicillin剤, Cephalosporin剤の効果についても報告した。現在, 本症に対する抗生剤の効果については, すでに諸家9~11)によって多くの検討が加えられ, Tetracycline系薬剤が第1選択剤とされている。
1973年に徐12)は,
Chlamydia psittaciの発育卵黄ノウ内接種とマウス鼻腔内接種における治療実験で, Rifampicin はTetracvclineとほぼ同程度の効果を示したが, マウス脳内接種に対してRifampicinはTetracyclineより多少すぐれた治療効果を示したと報告した。また, TRIBBYら18)(1973) は, 組織培養中のマウス線維芽細胞 (L細胞) 中における
Chlamydia psittaciに対するRifampicinの作用を観察し, 本剤はそのRNA合成っづいて蛋白合成をそれぞれ阻害し, さらに同時に検討したChloramphenicolにくらべ, 著るしく低濃度で
Chlamydiaの分裂増殖を阻止すると報告した。したがって, Rifampicinの本症に対する臨床効果の観察が強くのぞまれたが, 私どもは最近, 本症の1例にRifampicinを投与し, その臨床効果を検討することができたので報告する。
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