一次医療機関において急性咽頭・扁桃炎患者より分離した主要検出菌2865株に対するlevofloxacin (LVFX) およびその他経口抗菌薬のMICを測定し, NCCLSのbreakpointにより検討を行った。
その結果
Haemophilus influenzae773株に対しLVFX, cefditoren (CDTR), cefeapene (CFPN) のMIC
50は≤0.06μg/mLと極めて強い活性を示し, LVFXのMIC
90値はMIC
50と全く変わらなかった。
各種腸内細菌 (Enterobacteriaceae) 496株に対してもLVFXのMIC
50は≤0.06μg/mLと最も強い活性を示し, 次いでCDTR, cefdinir (CFDN), cefpodoxime (CPDX) の0.5μg/mLであった。本菌群に対してこれらのセフェム系抗菌薬のMIC
90は著しく上昇するのに対し, LVFXは2倍の上昇で0.12μg/mLであった。
Streptococcus pyogenes555株,
Streptococcus spp. 495株に対してはCDTR, CFDN, CPDX, CFPNのセフェム系抗菌薬およびclarithromycin (CAM) のMICが低く, ほとんどの試験菌は≤0.06μg/mLで, 次いでazithromycin (AZM) が0. 12~0.25μg/mLと強い活性を示した。
S. pneumoniae92株に対して, CDTR, CFPNのMIC
50は0.12, 0.25μg/mLと低い値であったがMIC
90では4倍高かった。
Moraxella (Branhamella) catarrhatis454株に対してはLVFXが強い活性を有し, MIC
90は≤0.06μg/mLでセフェム系抗菌薬は0.5μg/mL以上であった。
これらの試験菌の抗菌薬感受性をNCCLSの基準によって判定すると, LVFXはその他の
Streptococcusspp. に約3%程度の耐性株を認めたが,
H. influenzae, S. pyogenes, Entero-bacteriaceaeには全く耐性株が存在しなかった。NCCLSに感性/耐性の基準が存在するセフェム系抗菌薬の感受性率は60~90%程度と薬剤, 菌種に対し様々であった。また
S. pneumoniaeはCFDN, CPDXに対して21~25%の株が耐性, CAM, AZMに対し50%以上が耐性であったが, LVFXに対する耐性株は全く存在しなかった。
以上の成績から一次医療機関において急性咽頭・扁桃炎患者より分離された主要検出菌はLVFXに高い感受性率を示し, 経口セフェムおよびマクロライド系抗菌薬耐性株に対してもLVFXは有用な薬剤である事が示唆された。
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