アミノ配糖体抗生物質Astromicin(ASTM)をラットに筋注, One shot静注及び点滴静注(15, 30, 60分)した時の体内動態について検討し, 次のような結果を得た。
1. 実測されたASTM(20mg/kg投与)の最高血清中濃度は, 筋注時で48.6μg/ml(投与後5分), One shot静注時で255.3μg/ml(投与直後)であつた。点滴静注(15, 30, 60分)では, いずれも投与終了直後に, それぞれ57.5, 45.9, 39.1μg/mlの最高血清中濃度が観察された。
2. One shot静注時の薬動力学的パラメーターに基づき, 20mg/kg筋注時の最高血清中濃度(C
max=50.2μg/ml)は, 20mg/kgを26.4分かけて点滴静注した時のC
maxに等しいと算出された。
3. ASTM(20mg/kg投与)のラット臓器内分布についてみると, ASTMは腎臓内に最も高濃度に分布し, 且つ持続した。そのピーク値は, 筋注時で156.8μg/g, One shot静注時で185.2μg/g, 点滴静注時(15, 30, 60分)ではそれぞれ132.9, 135.3, 117.3μg/gであつた。他の臓器では肺臓が腎臓についで高い分布を示し, 心臓, 脾臓, 肝臓では低かつた。
4. ASTM(20mg/kg投与)のラット尿中への回収率は, 0~24時間に85.5%(筋注), 99.5%(One shot静注), 87.9%(30分点滴静注)であつた。
5. 薄層クロマトグラフィー(TLC)によりASTMの尿中代謝物を検索したところ, 筋注時, 30分点滴静注時, いずれの場合も活性を示す代謝物は検出されなかつた。
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