The Japanese Journal of Antibiotics
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32 巻, 12 号
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  • 西村 忠史, 広松 憲二, 高島 俊夫, 田吹 和雄, 小谷 泰
    1979 年 32 巻 12 号 p. 1211-1218
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    細菌感染症に対する化学療法の進歩は, 実際の治療面に大きな効果を上げてきた。とくに, セファロスポリン系薬剤の発展は, 広域性と同時に, 耐性菌に対しても有効性を上げている。しかし, 今日の化学療法において, 感染症にみられる宿主側および病原微生物側因子の影響は大きく, 重症難治感染症の増加および耐性菌, とくにβ-Lactamase産生菌による耐性化傾向など, 考慮すべき問題は多い。今度, 英国のGlaxo研究所で開発された新らしい注射用セファロスポリン系であるCefuroxime (CXMと略す) は, 7位のAmino基に2-Methoxyimi-nofurylaceticacidを結合することによつて, β-Lactam環のC-N結合に対するβ-Lactamaseの作用を阻害し, そのためβ-Lactamaseに対する安定性も高められたものである。本剤は, グラム陽性および陰性菌, とくにCitrobacter, Enterobacter, Indole陽性Proteus, セファロスポリン耐性Klebsiella, Escherichia coliに優れた抗菌力を示す。また, さらに従来のセファロスポリン剤では抗菌力が弱いとされるH. influenzaeに対しても, 優れた抗菌力をもつている。本剤は体内で代謝を受けず, 腎を介して排泄され, 投与量の80~90%が活性型のまま尿中に回収される。その一般毒性の検討によつても, それは従来のCephalosporin系薬剤と同程度, もしくはそれ以下で, とくに腎毒性についてはCephalothin (CET) と同等または, それより低い程度であるといわれている。すでに本邦では, 成人において基礎的, 臨床的検討, 評価がおこなわれているが1), 今回著者らは, 本剤の基礎的および臨床的検討をおこなう機会を得たので, その成績について述べる。
  • 小林 裕, 森川 嘉郎, 春田 恒和, 藤原 徹
    1979 年 32 巻 12 号 p. 1219-1229
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefuroxime (CXM) は, 英国Glaxo研究所で開発された, 7位のAmino基に2-Methoxyiminofurylaceticacidが結合した新Cephalosporin剤で, β-Lactamaseに対する安定性が増しており, 従来のCephalosporin剤耐性株やIndole陽性グラム陰性桿菌にも抗菌力を示し, Haemophilus influenzaeNeisseriaに対しても非常にすぐれているといわれる1~4)。
    本剤は, わが国で検討される以前に, ヨーロッパにおいて多くの研究がおこなわれ, わが国での検討結果は, 1978年の日本化学療法学会総会において論議され, その有効性と安全性がみとめられた5)。それらの成績に加え, 幼若動物における安全性の検討などから, 小児に試用可能と考えられたので, 小児科領域における研究会が開始された。われわれもその1員として, 本剤について多少の基礎的, 臨床的研究をおこなつたので, その成績を報告する。
  • 第1報急性毒性
    田内 清憲, 川西 広明, 五十嵐 章之, 前田 康行, 前山 由紀, 海老野 耕一, 鈴木 勝士, 今道 友則
    1979 年 32 巻 12 号 p. 1230-1232
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefadroxil (S-578) は, 新らしい半合成セファロスポリン系抗生物質で, 広範な抗菌スペクトルをもつことが報告されている1)。また, 吸収, 排泄, 代謝および安全性に関する検討2) が米国ブリストル社の研究グループによつて報告されている。今回, 著者らは, S-578の急性毒性について検討したので報告する。
  • ラットにおける亜急性毒性
    田内 清憲, 川西 広明, 五十嵐 章之, 前田 康行, 前山 由紀, 海老野 耕一, 鈴木 勝士, 今道 友則
    1979 年 32 巻 12 号 p. 1233-1257
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefadroxil (S-578) は, 新らしい半合成セファロスポリン系の抗生物質で, 広範囲の抗菌スペクトル1) をもち, 吸収・排泄, 代謝および安全性に関する研究2) が米国ブリストルの研究グループによつて報告されている。なお, 急性毒性3) については, すでに報告した。今回著者らは, S-578のラットによる亜急性毒性について検討したので報告する。
  • 第3報ラットにおける慢性毒性
    田内 清憲, 川西 広明, 五十嵐 章之, 前田 康行, 前山 由紀, 海老野 耕一, 鈴木 勝士, 今道 友則
    1979 年 32 巻 12 号 p. 1259-1287
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefadroxil (S-578) は, 半合成セファロスポリン系抗生物質で, 広範囲の抗菌スペクトルをもち1), 吸収・排泄, 代謝および安全性に関する研究2) が米国ブリストルの研究グループによつて報告されている。なお, 急性毒性3) およびラットにおける悪急性毒性4) については, すでに報告した。今回著者らは, S-578のラットによる慢性毒性試験について検討したので報告する。
  • 第4報イヌにおける亜急性ならびに慢性毒性
    田内 清憲, 川西 広明, 五十嵐 章之, 前田 康行, 前山 由紀, 海老野 耕一, 鈴木 勝士, 今道 友則
    1979 年 32 巻 12 号 p. 1289-1334
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefadroxil (S-578) は, 新らしい半合成セファロスポリン系抗生物質で, 広範囲の抗菌スペクトルをもち1), 吸収・排泄, 代謝および安全性に関する研究2) が米国ブリストルの研究グループによつて報告されている。なお, 急性毒性3) およびラットによる亜急性4) ならびに慢性毒性5) については, すでに報告した。今回著者らは, ビーグル犬を用い亜急性毒性試験 (30日間経口投与) および慢性毒性試験 (180日間経口投与) について検討したので報告する。
  • 江角 凱夫, 大槻 俊治, 三輪 明美, 南保 俊雄
    1979 年 32 巻 12 号 p. 1335-1349
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefadroxil (BL-S578) は, Fig.1に示す化学構造をもつ半合成セファロスポリン系抗生物質である。BL-S578は, グラム陽性菌および陰性菌に対して広範囲なスペクトラムをもつている1, 2)。BL-S578の実験動物における生体内動態については, 荒谷等3) および著者等4) の報告がある。ヒトにおいては, 経口投与によつて速やかに吸収され, 血中半減期が長く, 食事の影響を受けにくい特徴をもつている5~7)。今回, 14C-Cefadroxil (14C-BL-S578) をラットに経口投与したさいの吸収, 分布, 代謝および排泄について検討したので, その結果について報告する。
  • 江角 凱夫, 大槻 俊治, 南保 俊雄
    1979 年 32 巻 12 号 p. 1350-1355
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefadroxil (BL-S578) は, Cephalexin (CEX) の芳香環のパラ位に水酸基で置換したセファロスポリン系の抗生物質であり, その化学構造をFig.1に示す。BL-S578は, グラム陽性菌, 陰性菌に対して広範囲な抗菌スペクトラムをもち, その抗菌力はCEXの1~2倍であると報告されている1,2)。BL-S578は, 吸収が速く, 血中半減期が長く, 食事の影響を受けにくい特徴をもつている3~5)。今回, BL-S578のラットにおける生体内動態をCEXと比較して検討したので報告する。
  • 長谷川 嘉成, 武藤 紀生, 森田 真寿行
    1979 年 32 巻 12 号 p. 1356-1371
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefadroxilは, 米国Bristol社で合成された半合成Cephalosporin系抗生物質で, 広範囲の抗菌スペクトラムをもち1), 経口剤として開発中2) の物質である。化学名は,(6R, 7R)-7-[(R)-2-Amino-2-(p-hydroxyphenyl)acetamido] -3-methyl-8-oxo-5-thia-1-azabicyclo[4, 2, 0]oct-2-ene-2-carboxylic acid monohydrateであり, 化学構造は, CephalexinのHydroxy体である。Cefadroxilの分子量は, 381.40で, 白色~黄白色の無味, 特異臭のある結晶性粉末である。本物質の水に対する溶解性はおよそ13mg/mlで, やや溶けにくく, エタノールにはきわめて溶けにくい性状をもつている。
    われわれは今回, 本物質の一般薬理作用を検討したので, その成績を報告する。
  • 佐々木 次郎, 松崎 輝宏, 近内 寿勝, 椎木 一雄, 山田 善雄, 磯部 博行
    1979 年 32 巻 12 号 p. 1372-1377
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefadroxilは, Fig.1のような構造をもつ, 新らしい半合成セファロスポリン系抗生物質である。
    Fig. 1 Structure of cefadroxil and cephalexin Cefadroxil
    Cefadroxilは, Cephalexinとほぼ同等の抗菌活性を示し, 経口投与で速やかに吸収され, Cephalexinより血中の生物学的半減期が長いことが報告されている1~4)。
    今回, 健康成人男子におけるCefadroxilおよびCephalexinの血中濃度および尿中排泄量を測定し, その結果からPharmacokineticの解析をおこなつたので, 報告する。
  • 佐藤 清, 松宮 英視, 斉藤 玲
    1979 年 32 巻 12 号 p. 1378-1384
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    ブドウ糖非醗酵グラム陰性桿菌 (以下, 非醗酵菌と記す) の病原性は, きわめて弱いとされているが, ここ数年来, 非醗酵菌による感染症は, 多くの研究者によつて報告されている。従来, 当検査室において「腸内細菌類似菌」として片付けられていたこれら一連の非醗酵菌の鑑別・同定法などが藪内1) によつて確立されてきており菌群, 本の同定は日常化されつつある。しかし, これらの菌群による感染症の臨床細菌学的知見耐性, および化学療法剤にの菌種や消毒薬に耐性の菌種など多くの問題がある。著者らは, 本菌群のOpportunistic pathogenとしての基礎的資料とし, かつ今後の感染症研究の資料とするために, 当検査室における本菌群の検出状況および薬剤感受性の現況をしらべたので報告する。
  • ブドウ糖非醗酵性グラム陰性桿菌感染に対する点滴静注用ミノマイシンの使用経験
    吉田 博, 中村 善明, 平栗 誠, 鈴木 照夫, 五十嵐 忠行, 竹沢 将俊, 高畑 秀夫, 木村 秀夫, 田中 鉄五郎, 松田 信, 秋 ...
    1979 年 32 巻 12 号 p. 1385-1389
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    血液疾患, 特に急性白血病の化学療法は, 抗腫瘍剤の開発, 投与方法の改善さらに補助療法の進歩によつて完全寛解率は向上し, 長期生存例が多数みられるようになつてきた1, 2)。しかし, 急性白血病の2大直接死因としての出血および感染の問題は, 解決されたわけではなく, 急性白血病の治療上重要な合併症として存在している。 出血の対策としては, 血小板輸血が臨床上利用されるようになり, 出血死の割合は減少してきているが, 反面, 感染死は増加の傾向にある3~7)。 感染症は, 各種抗生物質の出現によつて, グラム陽性菌は激減し, グラム陰性菌, とりわけKlebsiella, Pseudomonasaeruginosa, Escherichia coliなどによる感染症が主体を占めている。 最近, 急性白血病の起炎菌としてのPs. aeruginosaの検出率は, 減少傾向にあるのに反して, 緑膿菌以外のブドウ糖非醗酵性グラム陰性桿菌, Acinetobacter, Enterobacter, Serratiaなどの検出率が増加傾向を示している8~12)。これらの菌種は, 従来のセフアロスポリン系薬剤や合成ペニシリン製剤に耐性を示し, 臨床上大きな問題となつてきた。
    現在, すべての病原菌に抗菌作用を有する抗生物質が存在しないこと, および急性白血病の感染症は原疾患自体および強力な化学療法によつて, 骨髄およびリンパ球機能の抑制によつて患者の末梢血穎粒球数の激減, 細胞性および体液性免疫不全を惹起し, 各種の重症難治性感染症を合併する。 したがつて, 急性白血病治療の成否は, 出血の管理と同時に, 感染症の予防と治療が重要な因子となつている。
    今回, われわれは, 日本レダリー社の点滴静注用ミノマイシン (注射用塩酸ミノサイクリン) を血液疾患, とりわけ急性白血病に合併した種々の感染症患者に投与し, 知見を得たので報告する。
  • 松島 敏春, 田野 吉彦, 二木 芳人, 副島 林造
    1979 年 32 巻 12 号 p. 1390-1393
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefadroxil (BL-S578) を主として外来通院中の呼吸器感染症5例, 尿路感染症3例の計8例に使用し, 臨床効果ならびに副作用について検討した。
    臨床効果は効果判定が可能であつた7例中6例が著効または有効であり, 1例が無効であつた。残りの1例は, マイコプラズマ肺炎であり, 判定から除外した。 副作用および本剤投与後の検査成績で異常のみとめられたものはなかつた。
    Cefadroxil (BL-S578) は, 新らしく開発された半合成セファロスポリン系の広域抗生物質で, 経口投与によつて使用される。 その抗菌力はCephalexin (CEX) とほぼ同等か, 一部の菌種に対してはCEXよりも抗菌力がすぐれているといわれている1, 2, 4)。 その吸収, 排泄などの点も, CEXとほぼ同様であるが, CEXにくらべて血中半減期が長いのが特徴とされている2, 3)。 私どもは今回, 5例の呼吸器感染症と3例の尿路感染症, 計8例にCefadroxilを使用する機会をえたので, その臨床効果および副作用などについて検討した結果を報告する。
  • 土光 文夫
    1979 年 32 巻 12 号 p. 1394-1400
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cephamycin系抗生剤の嚆矢として米Merck社が開発したCefoxitin (CFX) は, Cephalothin (CET), Cefazolin (CEZ) 等, Cephalosporin (CEP) に非感受性のIndole陽性Proteus, SerratiaさらにBacteroides fragilisを初めとする嫌気性菌にも強い抗菌力をもつている1, 2, 7, 8, 19, 20, 26, 28)。また, CFXがβ-Lactamaseに対して強い抵抗性をもつことから, CEP耐性のE.coli, Klebsiella等にもすぐれた抗菌力を示すことが種々報告されている4, 7, 13, 17, 28)
    産婦人科領域感染症に対するCFXの臨床例は数多く報告されており, その有用性が高く評価されている3, 5, 6, 9, 10, 11, 12, 14, 15, 16, 18,2223, 25, 29)。今回, 著者も少数例ではあるが, 他抗生剤無効症例や難治症例にCFXを投与し, 多少の知見を得たので, ここに報告する。
  • 山作 房之輔
    1979 年 32 巻 12 号 p. 1401-1407
    発行日: 1979/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cephaloridine (CER) は, グラム陽性球菌, および大腸菌などのグラム陰性桿菌にすぐれた抗菌作用をもち, 従来, 主に筋注剤として用いられてきた。しかし, 最近, 小児科を中心に, 筋注時の筋組織障害が問題視されるようになり, 静注法にも関心がもたれている。
    真下ら1) は, CER点滴静注時の吸収・排泄を測定し, その薬動力学的解析をおこない, 投与量, 注入速度および血中濃度の関係について報告している。今回は, FOORD 2) の報告に基づいて, CERの腎に対する血中濃度の安全域を100mcg/ml以下として, その条件をみたすであろうと思われる2種の投与法について, 腎機能正常な志願者に定速度点滴静注をおこない, 血中, 尿中濃度を測定し, あわせて, 薬動力学的解析を試みたので報告する。
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