The Japanese Journal of Antibiotics
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40 巻, 7 号
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  • 松本 慶蔵
    1987 年 40 巻 7 号 p. 1221-1242
    発行日: 1987年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Aspoxicillin (ASPC) は田辺製薬株式会社で開発された注射用ペニシリン剤である。その構造をFig.1に示すが, Amoxicillin (AMPC) のフェニル基に結合した水酸基に着目して体内動態の改善を計り, アミノ基にN4-Methyl-Dasparaginyl基を導入して抗菌スペクトルを拡大したアミノ酸型ペニシリン剤である。ASPCは強い殺菌作用を保持し, 高い血中濃度と長い血中半減期によりin vitro効果から予想されるよりも優れたin vivo効果を発揮することを特長としている。本剤の臨床的有効性及び安全性については, 第30回日本化学療法学会総会の新薬シンポジウム (1982年6月, 東京) にて報告された1)。今回, それらの成績並びに呼吸器感染症, 術後創感染及び化膿性中耳炎に対する他剤との比較試験, 小児科領域の試験等において, 優れた有効性と安全性が確認された成績をも含めて報告し, 本剤の特長を明らかにしたい。
  • 新藤 邦雄, 及川 直弘, 千田 定則, 円谷 隆, 佐藤 昌幸
    1987 年 40 巻 7 号 p. 1243-1252
    発行日: 1987年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    子宮筋腫患者の手術時にLatamoxef (LMOX) を1日, 192回, 5日間使用し組織内移行と術後感染予防について検討し次の結論を得た。
    1.LMOXの組織内移行を濃度曲線下面積 (AUC) の比で見ると子宮漿膜 (45.3%), が最も高く, 次いで子宮頸部 (39.2%), 子宮内膜 (35.9%), 卵管 (35.1%), 子宮筋層 (29.5%), 卵巣 (24.4%) の順であつた。
    2.Cmaxは卵管 (46.9μg/9) において最も高く, 次いで子宮漿膜 (44.2μg/9), 子宮頸部 (35.8μg/9), 子宮筋層 (26.9μg/9), 子宮内膜 (25.6μg/9), 卵巣 (24.3μg/9) であつた。
    3.血清中濃度の半減期はT1/2 (α) で0.27時間, T1/2 (β) で1.81時間であつた。
    4.術後感染予防効果は94.3%, Febrilemorbidityは5.7%であつた。術前, 術後の検査値に異常はほとんど認められず, 又, 副作用はなかつた。
    今回LMOXは婦人科組織に良好な移行性を示し, 感染症の治療に, 又, 術後管理に有用性が極めて高いことが示唆された。
  • 千村 哲朗, 佐藤 聡, 鈴木 利明, 伊藤 久仁子, 住吉 勇一, 金杉 浩, 中岫 正明, 阿部 雪江, 阪西 通夫
    1987 年 40 巻 7 号 p. 1253-1258
    発行日: 1987年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    産婦人科領域の術後感染予防に対し, Latamoxef (LMOX) とTobramycin (TOB) を81例に投与し, 感染予防効果と安全性について検討し, 以下の結果を得た。
    1.単純子宮全摘術を施行した61例でのFeverindexは3.38±2.30degreehours, 帝王切開術例 (12例) では3.21±3.84degreehoursを示し, その他の手術群 (8例) で3.53±2.78degreehoursを示した。
    2.術後の臨床検査値の変動では, 血液一般, 肝・腎機能で異常は認められなかつた。vitamin K欠乏時に出現する異常プロトロンビン (PIVKAII) の術後14日目の出現率は3例/32例 (9.4%) に認められた。
    3.術後4~6日目に下痢症状が7例/81例 (8.6%) に認められたが, 他の自他覚的副作用は認められなかつた。
    LMOXとTOBの併用投与法は術後感染予防の面からみて, 高い有用性と安全性が示唆された。
  • 小幡 功, 小池 清彦, 森本 紀, 蜂屋 祥一, 大和 竜夫, 林 茂興, 林 茂一郎
    1987 年 40 巻 7 号 p. 1259-1274
    発行日: 1987年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftriaxone (CTRX) の子宮組織及び子宮附属器組織への移行性と産婦人科領域感染症に対する有用性と安全性を検討し, 次の結果を得た。
    1.CTRX190neshot静脈内投与により子宮組織及び子宮附属器組織はCmax42.2~80.5μg/9, Tmax0.42~0.81時間, 濃度曲線下面積 (AUC) 314.9~606.9μg・hr/gと良好な移行性が認められた。
    2.本剤投与により産婦人科感染症29例は全例が総合的効果判定基準で有効以上の成績を得た。
    3.細菌学的効果においても本剤投与により投与前に認められた分離菌の90%が消失した。
    4.本剤投与前, 後に施行した臨床検査成績から本剤の影響が疑われるEosinophilia1例が認められたが, その程度は軽度で特に加療の必要も認めなかつた。
  • 神谷 忠, 斎藤 英彦, 桜川 信男, 今岡 真義, 蔵本 淳
    1987 年 40 巻 7 号 p. 1275-1293
    発行日: 1987年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    種々の感染症に対し, Cefotaxime (CTX) を投与された全国368施設での成人患者1,043症例について, 凝血学的検査結果を集積し, 抗生剤投与による影響の有無を検討した。
    背景に血液疾患を有しない症例は1,012症例で, 血液疾患を有する症例は31例であつた。
    1,043症例中13症例 (1.2%) に, CTX投与後, 凝血学的検査に異常値がみられた。これら13症例はいずれも食事摂取不良か, 又はCTX投与前, 又は投与中に肝機能障害がみられた症例であつた。いずれの症例も臨床的な出血症状は認められなかつた。
    以上から, CTX投与による凝血学的検査値異常の出現率は小さく, 異常値の出現は患者の状態によるものが大きいと考えられた。
  • 中畑 久, 平井 裕一, 熊坂 義裕, 宮沢 正, 中村 光男, 今村 憲市, 牧野 勲, 武部 和夫, 工藤 肇
    1987 年 40 巻 7 号 p. 1294-1298
    発行日: 1987年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    分子構造上3位にMethyltetrazolethiol基 (以下Tetrazole基) を有するCephem系抗生物質投与時の血中遊離Tetrazole濃度を検討するため, 肝, 腎障害を有しない感染症患者にCefbperazone (CPZ) 19, Latamoxef19, Cefmetazole29を, 更に肝硬変患者にもCPZ19を投与し血中遊離Tetrazole濃度を高速液体クロマトグラフ法にて測定した。肝機能正常者では, 血中Tetrazole基は薬剤投与3時間後に各薬剤間では差があるものの0.5~2.0μg/ml, 12時間後に0.14~0.26μg/mlの濃度で出現していた。又, 肝硬変患者では, 正常者で血中Tetrazole濃度が投与24時間後に測定感度以下なのに比べ, 約0.14μg/mlと遷延する傾向が認められた。以上のことから抗生物質投与時のDisulfiram。like reactionは抗生物質の肝での代謝が密接に関連し, その結果出現した遊離Tetrazole基が, 肝Acetaldehyde ehydrogenase活性を抑制するため出現する可能性があり, 又, 各種抗生物質の生体内での安定性が関係するものと思われた。
  • 鈴木 恵三, 高梨 勝男, 長久保 一朗, 清崎 寛, 名出 頼男
    1987 年 40 巻 7 号 p. 1299-1310
    発行日: 1987年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Astromicin (ASTM) を1日200~800mg, 点滴静注 (i.v.d.) により22例の慢性複雑性尿路感染症に投与して, 有効性と安全性について検討した。UTI薬効評価基準では21例が評価可能であり, 有効15例 (著効6例, 有効9例), 無効6例で有効率71.4%を得た。菌種別ではグラム陰性桿菌 (GNR) のうちEscherichia coli, インドール陽性変形菌, Serratia marcescensなどに優れた除菌率を得たが, Pseudomonas aeruginosa2株については無効であつた。
    安全性では投与後3日目から頭痛を訴え, 5日目で中止した例が1例あつたが, この他では本剤による副作用をみなかつた。副作用をみた例では, 中止後無処置で1日後正常に復した。末梢血, 肝・腎機能検査では全例本剤に基づく異常をみなかつた。
    ASTMを慢性複雑性尿路感染症に対する治療に点滴静注で投与し, 有効性と安全性について優れた成績を得た。
  • 渡辺 俊彦, 中村 郁哉, 野々田 亨, 子安 春樹, 北條 泰男, 小崎 武, 畑 忠善
    1987 年 40 巻 7 号 p. 1311-1316
    発行日: 1987年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1.新生児10例にPiperacillin sodium (PIPC) 50mg/kgを30分かけて点滴静脈内投与を行い, 経時的に血清中濃度を測定し, 薬動力学的解析をOne-compartment openm odelにて行つた。
    2.全例の平均の分布容積 (Vd), 生物学的半減期 (T1/2), 及び総クリアランス (Clt) 値はそれぞれ0.527±0.169L/kg, 142.33±76.81分及び2.93±1.08ml/min/kgであり, 投与間隔は1日2回から4回が望ましい。
    3.出生後4日目までの出生から本剤投与開始時間と, T1/2とに相関が認められ, 一次回帰直線Y=-2.57X十308.281 (r=-0.8267) が得られた。
    4.本剤投与による副作用及び臨床検査値の異常は認められなかつた。
  • 浅利 誠志, 堀川 晶行, 塚本 寿子, 甲田 一馬, 林 長蔵, 宮井 潔
    1987 年 40 巻 7 号 p. 1317-1331
    発行日: 1987年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1.各菌種別における感受性傾向
    今回比較検討したAztreonam (AZT), Cefoperazone (CPZ), Latamoxef (LMOX), Cefo。taxime (CTX) は, ほぼ全菌種に対し優れた抗菌スペクトルを示したが, 中でも耐性頻度の高いEnterobacter cloacae, Serratia marcescens, Pseudomonas aeruginosa (Cefsulodin (CFS) と同じ値) については, AZTが最も優れた抗菌力を示した。
    2.各菌種の材料別, 診療科別における感受性傾向
    AZTは喀疾・咽頭, 尿, 膿, 胆汁, 穿刺液, 血液及びその他の材料由来の株すべてに対し最も強い抗菌力を示した。更に, 診療科別でみても全科において最も優れた抗菌力を示した。
    3.入院患者, 外来患者別における感受性傾向
    AZTは入院患者由来株 (P.aeruginosaを除く) に対し感受性率87.0%と最も強い抗菌力を示した。又, EaeruginosaについてもCFSと同値 (81.4%) を示し最も優れていた。以下, 次のような傾向がみられた。
    AZT>LMOX>CPZ>CTX>Cefmetazole (CMZ)
    外来患者由来株に対しAZTは全科, 全菌種に対し感受性率すべて100%と最高値を示した。以下, 次のような傾向がみられた。
    AZT>CPZ>LMOX>CTX>CMZ
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