日本畜産学会報
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53 巻, 8 号
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  • 湊 芳明, 豊田 裕
    1982 年 53 巻 8 号 p. 515-520
    発行日: 1982/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    体外におけるブタ卵母細胞-卵丘細胞複合体の成熟誘起に及ぼす同種の血清および卵胞液の影響について検討した.化学的成分の明らかな基礎培地に血清または卵胞液のいずれか一方を添加した培地においては,卵母細胞を取り囲んでいる卵丘細胞層の膨化は起らなかった.さらに,卵母細胞の成熟分裂の再開が抑制され,その抑制作用は添加量を増加することによって増強される傾向が認められた.一方,これらの培地に性腺刺激ホルモン(PMSGまたはhCG)を添加することにより,卵丘細胞層の膨化が誘起され,第2成熟分裂中期に達した卵母細胞の割合が増加した.ほぼ同様の結果が,血清または卵胞液の限外濾過画分(分子量10,000以下)を含む培地においても得られた.これらの結果から,ブタの血清および卵胞液の中には,ブタ卵母細胞-卵丘細胞複合体における卵丘細胞層の膨化の発現に必要な成分と卵核胞崩壊抑制成分が存在し,これらの成分はともに比較的低分子の物質(分子量10,000以下)であることが明らかにされた.また,卵胞内における卵母細胞の成熟分裂は,卵胞液中に存在する卵核胞崩壊抑制成分の抑制効果が性腺刺激ホルモンの作用によって解除されて再開し,これと並行して,卵丘細胞層は卵胞液中の成分と性腺刺激ホルモンの共同作用によって膨化するものと推察された.
  • 勝又 誠, 天野 卓, 田中 一栄, 野澤 謙, 朴 根植, 朴 鳳祚, 李 載洪
    1982 年 53 巻 8 号 p. 521-527
    発行日: 1982/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    1978年および1980年の2度にわたり韓国在来山羊合計6地域集団,190個体より採取された血液試料を材料として32の遺伝子座位について血液蛋白多型の検索を行なった.その結果,transferrin, plasma non-specific esterase, alkaline phosphatase, prealbumin-3, cell esterase D, lactatedehydrogenase-Aおよびpeptidase Bの7座位において多型が検出されたが,いずれの地域集団においても各座位の遺伝子頻度には大差がなかった.またPpolyの値は9.4~18.8%,Hの値は2.1~3.1%の範囲であり,日本ザーネン種の埴をやや下回り,各地域集団間の遺伝距離は0.0001~0.0056(平均0.0017)という極めて近い関係を示した.これらのことより韓国在来山羊の各地域集団間の遺伝子構成はほぼ均一と認められ,これまでに報告されたシバヤギ,沖繩肉用山羊,日本ザーネン種とも近似の遺伝子構成をもつことが明らかになった.
  • 小林 剛, 松本 光人, 板橋 久雄
    1982 年 53 巻 8 号 p. 528-534
    発行日: 1982/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ルーメン発酵に及ぼすモネンシン添加の影響を去勢牛(体重約250kg)4頭を用い,1期3週間とする反転試験法により検討した.添加区ではモネンシンを濃厚飼料と混合して40ppmとした.濃厚飼料とグラスサイレージをそれぞれ2kgおよび10kgづつ,1日2回給与した.ルーメン液を各期の最終日に給餌直前と給餌後6時間にわたり経時的にフィステルにより採取し,分析に供した.1)プロトゾア数は,モネンシン添加区では,各採取時刻を通じて対照区の50~60%に減少したが,種属構成には両区で差異は認められなかった。両区とも,採食により総数が減少し,その後漸増する類似の経時変化パターンを示した.2) 浸透圧は,採食に伴い上昇したが,添加区で常に低かった.3) アンモニアア濃度は,両区とも採食1時間後にピークを示したが,1~6時間後の添加区での濃度は,対照区の50~80%に減少した.4) メチルアミン濃度は,両区とも採食4時間後にピークを示したが,4,6時間後の添加区での濃度は,対照区のそれぞれ74%,50%に減少した.5) 総VFA濃度は,添加区の方が,対照区よりも低い傾向を示した.プロピオン酸のモル比率は,添加区で増加し,酪酸のそれは減少した.酢酸のモル比率には,両区で明確な差異は認められなかった.
  • 宇佐川 智也, 西野 武蔵
    1982 年 53 巻 8 号 p. 535-540
    発行日: 1982/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    モネンシンの鼓脹症抑制効果について,めん羊の第一胃内容液の性状の面から検討した.めん羊8頭を2区(モネンシン添加区,無添加区)に分けて供試し,基礎飼料には大麦,アルファルファミール,大豆粕および食塩からなる鼓脹症誘起飼料を用いた.モネンシンは基礎飼料に20ppm添加した.朝の給餌後2時間目に第一胃フィステルより内容液を採取し,その性状を調べた.モネンシン添加により,Ingests Volume Increase (IVI)は小さくなり(P<0.001),Stable IVIも小さくなる傾向を示した.さらに,第一胃液採取後2時間のガス産生量も少なくなった(P<0.01),とれらの結果から,モネンシンの鼓脹症抑制効果が示唆された.また,pHは高くなり(P<0.05),cell-freeの状態での粘度も高くなり(P<0.05),飲水量は減少した(P<0.05).さらに,モネンシン添加区では,第一胃内容液1ml中の総繊毛虫数が減少し(P<0.05),中でもOphryoscolex属の減少が目立った(P<0.001).また,総菌数はモネンシン添加により,影響を受けなかったが,グラム陰性,グラム不定,グラム陽性の球菌の総菌数に占める比率が,増加する傾向を示し,グラム不定,グラム陽性の連鎖球菌,およびグラム陰性の桿菌の比率は,いずれも減少する傾向を示した.
  • 中嶋 隆文, 増野 朋也, 坂内 良二, 星野 貞夫
    1982 年 53 巻 8 号 p. 541-546
    発行日: 1982/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    サリノマイシン(SL)30ppm添加濃厚飼料を肥育牛に40週間給与し,増体,飼料摂取量,飼料効率,第一胃液VFA,pH,アンモニア濃度および血液成分におよぼす影響について検討した.SL給与区は対照区に比較し,増体は変らなかったが,飼料摂取量が減少し,濃厚飼料の飼料効率は対照区12.7%,SL給与区14.2%で約12%の改善が認められた.第一胃液のVFA総量は,両区間に差はみられなかったが,SL給与区では酢酸と酪酸割合が減少し,プロピオン酸割合が増加し,酢酸:プロピオン酸比の低下がみられた(P<0.01).アンモニア濃度は,SL給与区で低下の傾向がみられた.第一胃液のpHと血液成分の血清タンパク質,カルシウム,リン,マグネシウム,コレステロール,尿素態窒素などの濃度は,いずれも生理的な範囲にあり,SLによる影響は認められなかった.
  • 松本 光人, 小林 剛, 板橋 久雄
    1982 年 53 巻 8 号 p. 547-552
    発行日: 1982/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    血漿遊離アミノ酸,尿素N,グルコースおよびインスリン濃度の経時変化に及ぼすモネンシン添加の影響を,去勢牛(体重約250kg)4頭を用い,1期3週間とする反転試験法によて検討した.添加区では,モネンシンを配合飼料と混合して40ppmとした.配合飼料とグラスサイレージをそれぞれ2kgおよび10kgずつ,1日2回給与した.血液は,各期の最終日に給餌直前と給餌後6時間にわたり経時的に頸静脈より採取し,分析に供した.1) Ht値は,両区とも採食後に低下し,採食4~6時間目に回復したが,添加区で常に高かった.2) 血漿尿素Nは,採食2~4時間目まで上昇する傾向を示し,添加区で常に高かった.3) 血漿グルコース濃度は,両区とも採食4時間目にピークを示したが,モネンシン添加の影響は認められなかった.4) 血漿インスリン濃度は,採食1,2時間後に上昇し,6時間後まで高水準が続き,採食2~6時間後では添加区の方が高い傾向を示した.血漿グルコースによるインスリン分泌刺激は認められなかった.5) 血漿遊離アミノ酸は,両区で,総アミノ酸,必須アミノ酸,可欠アミノ酸とも採食2~4時間目に低下を示し,グリシン,アラニン,バリン,リジンでその傾向が顕著であった.総アミノ酸濃度は両区間に差はなかったが,必須アミノ酸は添加区で低く,その結果,必須アミノ酸と可欠アミノ酸の比は,添加区の方が対照区よりもやや低かった.
  • 小堤 恭平, 岡田 光男, 山崎 敏雄, 河上 尚実, 臼井 実
    1982 年 53 巻 8 号 p. 553-558
    発行日: 1982/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    山岳育成が肥育牛に及ぼす影響を調べるために,山岳地帯で育成し,その後平場で肥育したホルスタイン種去勢牛11頭と,平場で育成•肥育したホルスタイン種去勢牛10頭について,それぞれの諸器官重量,枝肉組成および肉組成について比較検討した.これらの牛の屠殺前体重は約600kgであり,結果は次の通りであった.山岳育成した肥育牛の心臓,脾臓,横隔膜および複胃の平均重量は平地で育成した肥育牛よりも有意に大きかった(P<0.01)が,小腸および大網膜の平均重量は平場で育成した肥育牛の方が山岳で育成した肥育牛よりも有意に大きかった(P<0.05).枝肉中の筋肉および脂肪の平均重量は両者間に差はなかったが,山岳で育成した肥育牛の平均骨量は平場で育成した肥育牛より有意に大きかった(P<0.01).筋肉の組成には両者間で有意な差は認められなかった.
  • 小堤 恭平, 伊藤 健, 川西 隆智
    1982 年 53 巻 8 号 p. 559-564
    発行日: 1982/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    肥育期間中における最長筋肉の脂肪酸組成の変化および分布について知るために,放牧後100日間(3頭)および200日間(4頭)肥育したホルスタイン種去勢牛7頭を供試した.各々の最長筋肉から,(第4,6,8,10および12胸椎と第1,3および第5腰椎)全脂質を抽出し,その脂肪酸組成について調べた.100日間と200日間肥育した牛の筋肉内の脂肪酸組成は統計的になんら相違は見られなかった.しかしながら,肥育期間中にC 18:0は若干減少し,C 18:1は若干増加の様子が観察された.第4,6,8および10胸椎の最長筋は第12胸椎と第1,および腰椎のそれと比較すると,C 16:0とC 18:0が多く,C 16:1,C 18:1および全不飽和脂肪酸含量が少ないことが見いだされた.この脂肪酸組成の相違は最長筋肉内における成長速度の相違に関連があるものと推定される.
  • 相井 孝允, 代永 道裕, 田中 博
    1982 年 53 巻 8 号 p. 565-573
    発行日: 1982/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    去勢牛の第一胃内容液(RJ)からトリメチルアミン(TMA)をGC-MSにより分離同定した.次に,第一胃フィステル装着の去勢牛4頭に,5.0kgのルーサンヘイキューブ及び3.5kgの配合飼料(Diet I),8.0kgのルーサンヘイキューブ(Diet II)あるいは8.0kgのイタリアンライグラスウェハー(Diet III)をそれぞれ給与し,GCを用いRJ中のTMA濃度の推移を調査した.いずれの牛においてもTMA濃度は,給与開始後2~3時間に最高濃度に達し,その後減少する傾向を示した.Diets I, II及びIII給与時の最高平均TMA濃度は,RJ100ml当たりそれぞれ695,706及び418μgであった.RJ中のTMA-N:NH3-N比は,TMA-Vの最高濃度時において1:8.6であった.これらのことは,通常飼料給与時において牛の第一胃内で,TMAが生産されることを推測させる.また,TMAの前駆物質であるベタイン,コリン及びトリメチルアミンオキサイド,あるいはフィッシュミール,ナタネ粕及び大豆粕を,それぞれフィステルを通じ去勢牛の第一胃内に投与したところ,TMAが第一胃内で生産されることが確認された.しかしながら,カゼインあるいはスターチと混合した尿素を投与したところ,TMAの生産は認められなかった.このことから,通常の飼料給与時に認められるRJ中のTMAは,上記TMAの前駆物質などに由来するものであり,アンモニアのメチル化によって生じるものではないと推定した.
  • 松本 光人, 浜田 龍夫
    1982 年 53 巻 8 号 p. 574-578
    発行日: 1982/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    離乳山羊の肝臓,骨格筋,横隔膜および心筋グリコーゲン含量に及ぼす絶食の影響を,7週齢までに離乳した12週齢の山羊9頭を用いて検討した.山羊は,飽食,48時間絶食および96時間絶食の各区に3頭ずつ割り当てた.飽食区のグリコーゲン濃度(mg/g,平均±標準誤差)は,肝臓19.7±2.1,骨格筋4.79±0.70,横隔膜5.48±1.10,心筋6.68±0.89であった.肝臓の総グリコーゲン含量は,48時間あるいは96時間の絶食により,それぞれ81%,91%減少した.骨格筋グリコーゲンは48時間および96時間絶食区で飽食区に比して有意(P<0.05)に低かった.しかし,横隔膜では,96時間絶食によってグリコーゲン濃度が有意(P<0.05)に低下したものの,48時間絶食では有意な低下は認められなかった.心筋グリコーゲン濃度には各区間に有意な差は認められなかった.血漿遊離脂肪酸濃度は,飽食区に比較し両絶食区で有意(P<0.05)に上昇した.血漿グルコース濃度は,96時間絶食区で飽食区より有意(P<<0.05)に低下したが,48時間絶食区は飽食区あるいは96時間絶食区と比較して有意な差は認められなかった.
  • 高坂 哲也, 新村 末雄, 石田 一夫
    1982 年 53 巻 8 号 p. 579-581
    発行日: 1982/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
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