血漿遊離アミノ酸,尿素N,グルコースおよびインスリン濃度の経時変化に及ぼすモネンシン添加の影響を,去勢牛(体重約250kg)4頭を用い,1期3週間とする反転試験法によて検討した.添加区では,モネンシンを配合飼料と混合して40ppmとした.配合飼料とグラスサイレージをそれぞれ2kgおよび10kgずつ,1日2回給与した.血液は,各期の最終日に給餌直前と給餌後6時間にわたり経時的に頸静脈より採取し,分析に供した.1) Ht値は,両区とも採食後に低下し,採食4~6時間目に回復したが,添加区で常に高かった.2) 血漿尿素Nは,採食2~4時間目まで上昇する傾向を示し,添加区で常に高かった.3) 血漿グルコース濃度は,両区とも採食4時間目にピークを示したが,モネンシン添加の影響は認められなかった.4) 血漿インスリン濃度は,採食1,2時間後に上昇し,6時間後まで高水準が続き,採食2~6時間後では添加区の方が高い傾向を示した.血漿グルコースによるインスリン分泌刺激は認められなかった.5) 血漿遊離アミノ酸は,両区で,総アミノ酸,必須アミノ酸,可欠アミノ酸とも採食2~4時間目に低下を示し,グリシン,アラニン,バリン,リジンでその傾向が顕著であった.総アミノ酸濃度は両区間に差はなかったが,必須アミノ酸は添加区で低く,その結果,必須アミノ酸と可欠アミノ酸の比は,添加区の方が対照区よりもやや低かった.
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