日本大腸肛門病学会雑誌
Online ISSN : 1882-9619
Print ISSN : 0047-1801
ISSN-L : 0047-1801
25 巻, 3 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 吉川 宣輝, 麻生 礼三, 原 満, 進藤 勝久, 村井 紳浩, 安富 正幸, 陣内 伝之助
    1972 年 25 巻 3 号 p. 169-176,228
    発行日: 1972年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    本邦における原発性大腸肉腫201例の集計のなかから88例について治療及び予後に関する文献的考察をおこなつた.
    肉腫は癌腫に比して管外性に発育するため早期発見が困難で術後の成績は不良であるが,予後は肉腫の組織学的所見によつて著しく異なる.例えば,細網肉腫,リンパ肉腫,円形細胞肉腫はリンパ行性に転移し早期に死亡する症例が多いが,平滑筋肉腫,線維肉腫は血行性に転移し,一般に予後良好であるが術後3年以上たつて再発することがある.黒色肉腫は全身の臓器に転移しうるもので,予後は全く不良である.
    5年以上の長期生存例は現在迄12例あり,そのうちわけは平滑筋肉腫6例,細網肉腫,線維肉腫各2例,リンパ肉腫,黒色肉腫各1例である.
    治療は手術的に病巣をできるだけ広範に切除することがもつとも大切であり・化学療法・放射線療法は勿ろ2次的手段である.
  • 隅越 幸男, 高野 正博, 岡田 光生, 平塚 襄, 佐藤 昭二
    1972 年 25 巻 3 号 p. 177-184,228
    発行日: 1972年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    われわれは第23回大腸肛門病学会で痔瘻の新しい表現法を提唱した.しかしこれは,いわば平面的な表現,であるので,痔瘻が直腸肛門管壁のどの層を通って肛囲皮膚,あるいは粘膜面に開口.しているかとういこと.が不明で,これを共に表わして始めて痔瘻の立体的な分類が出きるものと思う.そこで諸家の痔瘻の分類を参考にして,われわれは独自の分類を行ない,痔瘻の立体的な表現法を行なっているので,ここにその大要を記してみる.
    肛門括約筋,肛門挙筋を基準にして内括約筋の内側すなわち,直腸粘膜および肛門上皮と内括約筋の間の腔をI,内外括約筋間をII,挙筋下の腔をIII,挙筋上をIVとする.そして歯状線より下力に走る瘻管を低位(L)歯状線より上方に向うものを高位(H)とし,一側にゆくものを片側(U),両側を(B)で表わしさらに瘻管が簡単な走行をとるものを単純型(S)それ以外を複雑型(C)とする.
    これらを平面的な分類と合わせて記述することによって,適確に痔瘻の姿を表現できるものと考えている..これらの表現法の例を2,3示し,合せて以上の分類法にもとついて,われわれの痔瘻手術症例の統計を示す.
  • 鳴海 裕行, 見滝 伸忠, 遠藤 尚孝
    1972 年 25 巻 3 号 p. 185-189,230
    発行日: 1972年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    経肛門的手術による直腸脱の治療効果について検討を加えた.
    1)術式は直腸の粘膜結紮術と肛門輪の縮小術とを同時に施行する方法である.
    2)最近6年間の症例は32例で,男女比は16対16,年齢は最低5歳最高が78歳であった.
    3)術後満1年以上を経過した27例の遠隔成績をみると,消息の判明した24例のうち19例に良好な結果を得ることができた.
    4)以上の成績から本法は高齢者や年少者に推奨すべき方法であることを強調するとともに,開腹して固定術を施行するに先立ちまず最初に試みるべきことを強調するものである.
  • 秋山 太一郎
    1972 年 25 巻 3 号 p. 190-198,231
    発行日: 1972年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    人工肛門造設後のリハビリテーションの立場から,便を受け入れる器具の問題はとくに重要である.この研究の対象は医学と工学にわたるいわゆる境界領域の問題であるが,これまでのような道具的感覚から脱却して新しい視点に立ち,もっと高い次元で扱うべきである.この観点から構造研究を進めるにあたってプロテーゼの概念を導入し,オペレーションズリサーチの手法をとり入れた.人工肛門プロテーゼの構成要素を5人のパネルメンバーによって30項目選びだし,これから要素分析をして6項目を設定した.(1)清潔性,(2)装着性,(3)適合性,(4)運動性,(5)簡易性,(6)経済性等これらの各項目についてそれぞれ評価の基準をきめ,価置分析をしていくと,プロテーゼはアダプターリング,アダプターカバー,採便袋,丸ゴム腰バンドの4部品になる.さらにプロテーゼ使用面からは(1)常用,(2)入浴用,(3)術後用,(4)就寝用の四種別化の必要があるが(1)と(2)とは1部共通,(3)と(4)は共通できることがわかった.
  • 鳴海 裕行, 見滝 伸忠, 神 雅彦, 丹 英太郎
    1972 年 25 巻 3 号 p. 199-204,231
    発行日: 1972年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    最近6年間における直腸肛門内異物36例について検討を加えた.
    1)男女比は25:11で,男性にその頻度が高くなっている.平均年齢は51.4歳で,40歳代,50歳代といった高齢者に圧倒的に多かった.
    2)異物の種類として経口的なものと経肛門的なものとに分けられたが,前者は33例で後者が3例であった.経口的なものでは魚骨が19例とその大部分を占め,経肛門的なものとしてはウィスキーグラス,割箸,.止め針が夫々1例ずつとなっている.
    3)合併症としては魚骨刺入による膿瘍形成が最も多く,その他糞便栓塞,尿閉などであった.
    4)いずれも経肛門的に別出が可能であったが,麻酔を必要としたものは27例,観血的な剔出を必要としたものは23例であった.
  • 荒川 健二郎
    1972 年 25 巻 3 号 p. 205-212,232
    発行日: 1972年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    1950年代にBlaisdell,Barron等によって開発された痔核結紮器は,無麻酔で外来において内痔核を根治せしめ得るので米国で広く用いられている.著者は2098例の痔核(痔核のみ1113,痔核+痔裂543,痔核+痔瘻442)をMcGivney Hemorrhoidal Ligatorを用いて治療した.低位腰麻を行い内痔核部を本器を用いて数カ所(平均3カ所)結紮し,外痔核部は別に手術的に切除する.遠隔成績については未だ報告し得ないが,この療法の結果発生したと思われる肛門狭窄は1例も経験せず,反応性の線維化の少いことは本療法の最大の特長と考える.2次性出血は11例(0.5%)に認められ,6日目より15日目の間に起り縫合を必要とした.結紮を米国で行なわれているように厳密に内痔核のみに限れば,軽度の疼痛・不快感・便意等のみで,Poor riskの患者にも無麻酔で使用出来る.
  • 蔵本 新太郎, 片山 圭男, 安藤 博文
    1972 年 25 巻 3 号 p. 213-215,232
    発行日: 1972年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    Authors experienced an old patient with complicated fistula-in-ano and diabetes mellitus followed an unhappy course.
    Generally, at first, the conservative therapy is used to accept in the anal disease. In regard to the anal fistula, it is not correct, especially in old patients.
    Surgical operation should be performed to the old patient with anal fistula in early stage.
  • 1972 年 25 巻 3 号 p. 216-219
    発行日: 1972年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
feedback
Top