われわれは第23回大腸肛門病学会で痔瘻の新しい表現法を提唱した.しかしこれは,いわば平面的な表現,であるので,痔瘻が直腸肛門管壁のどの層を通って肛囲皮膚,あるいは粘膜面に開口.しているかとういこと.が不明で,これを共に表わして始めて痔瘻の立体的な分類が出きるものと思う.そこで諸家の痔瘻の分類を参考にして,われわれは独自の分類を行ない,痔瘻の立体的な表現法を行なっているので,ここにその大要を記してみる.
肛門括約筋,肛門挙筋を基準にして内括約筋の内側すなわち,直腸粘膜および肛門上皮と内括約筋の間の腔をI,内外括約筋間をII,挙筋下の腔をIII,挙筋上をIVとする.そして歯状線より下力に走る瘻管を低位(L)歯状線より上方に向うものを高位(H)とし,一側にゆくものを片側(U),両側を(B)で表わしさらに瘻管が簡単な走行をとるものを単純型(S)それ以外を複雑型(C)とする.
これらを平面的な分類と合わせて記述することによって,適確に痔瘻の姿を表現できるものと考えている..これらの表現法の例を2,3示し,合せて以上の分類法にもとついて,われわれの痔瘻手術症例の統計を示す.
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