日本人の間でも漸増している大腸癌を早期に発見するためには,効果的な検診体系を確立することが必要である.その一環として,簡便に実施できる便潜血反応の意義について検討を行った.進行癌182例,早期癌19例,良性ポリープ156例,および健常者315例の便潜血検査を行ったところ,オルトトルイジン法ではfalsepositiveが多いため,スクリーニングの目的には不適当であった.グァヤック法による早期癌のfalse negative率は32%であったが,これを3回繰り返して検査することによって,false negativeを7%にへらすことができ,同時に健常者のfalse positiveも13%にとどめることができた.
以上より大腸癌を治療可能な段階で早期発見するためには,グアヤック法を反復して検査することが効果的であることが強調された.
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