大腸癌に対するスクリーニングとして,便潜血テストを胃集検に併用し,その施行上の問題点を検討した.ヘモカルト(グァヤック法,感度5千倍)を用い,胃集検X線検査の数日前から軽い食事制限を行い,3目連続で採便し,1日でも陽性塗示したものを陽性者とした.対象は,40歳以上の1090人で,陽性者は113人,10,3%であった二次スクリーニングとして,問診,理学的所見,直腸診と直腸診で採取した便で,便潜血スライドシオノギB(グァヤック法,感度2万倍)を用いでテスト,陽性者は,潜血食にて更に2日連続採便し,シオノギBで再検した.その結果要精検率を2.1%にしぼりえた.精検は先ず大腸X線検査を行い必要があれば内視鏡検査を行った.癌は発見されなかったが,ポリープ4例が発見された.この方法を全国的に普及させるためには,マスコミを通しての一般の啓蒙と対がん協会との協力関係の確立が必要である.
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