文化という現象は,一方では継続性と統一性を持ちながら,同時に変化と不統一を含むダイナミックな現象である.小論では,文化進化のダイナミックなプロセスを説明するモデルである文化進化のプロセス・モデルを組織現象に適用することによって,組織の環境適応プロセスを分析するための枠組を示す.この枠組は,組織現象についての最近の多様な研究に意味を与えることができるし,組織の適応力をたかめるための実践的な示唆を与えることもできる.
コーポレート・カルチャーの問題は,企業側の論理だけでは論じられない.メンバーの期待や社会の要請という視点からもアプローチする必要がある.
コーポレート・カルチャーを,本稿では組織文化の視点から論ずるが,そこでの中心テーマは,組織文化の変革と適応というやっかいな問題である.組織文化は変革の対象ともなれば,企業活動の土台でもあるからだ.
自治体は独自の組織的与件のもとで,企業とは根本的に異なる組織文化を発達させている.
たとえば,組織の公的な目的に制約されて,業績やコストなどを明示できないことが多い.そのため,規範的な非効率によって条件づけられるような組織文化が醸成されている.また,運営技術上の非効率も自治体の組織文化の活性化を妨げている.
企業の人間的側面である企業文化は,企業の業績,社会的適応や存続性と関連が深いといわれる.しかし,他の組織現象との関係は,説明モデルがいくつか提案されているものの,測定の問題としてアプローチされている.
本研究は組織活性度調査OBSを用いて組織の人間的側面を測定し,他の組織現象との関係を分析することによって,組織活性化の糸口を探ろうとしたものである.
組織の長期的環境適応には戦略策定能力のみならず,策定された戦略の実行力が必要である.この戦略実行力のコアは,組織の行動様式である企業文化であると考えられる小論では,進化ある組織の本質が,環境の変化に対応して自らの目標,組織構造,行動様式を主体的に変革する能力にあるとするセルフ・オーガニゼーション・パラダイムに基づいて,進化論的戦略と企業文化との関係が考察される.
現代は国際化の時代である.日本の多くの企業が海外直接投資活動に従事している.現代の国際企業は,過去の植民地企業のように力を行使することはできない.受け入れ国の要請に従わなければならない.受け入れ国は純粋なる子会社方式を容認しないケースが多い.合弁会社方式を奨励し,相互に均衡の関係を保持することを主張している.そこで,本稿では,時代の要請である企業形態というべき国際的合弁会社の形態を理論的に考察する.