The Japanese Journal of Antibiotics
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27 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 小栗 豊子, 設楽 政次, 小酒井 望, 只野 寿太郎
    1974 年 27 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 1974/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    化学療法の発達普及した現在, 溶血連鎖球菌 (以下, 溶連菌と記す) 感染症は激減したが, 学童, 小児の上気道への感染は, 今日でもなお重視されている。溶連菌は, 比較的簡単に同定でき, バシトラシン・テストによるA群溶連菌のScreening testは, 以前から日常検査にとり入れられてきている。最近ではLANCEFIELDの分類に用いる抗血清が市販され, さらにA群の型別法も確立されており, これらの方法をとり入れる検査室も増加してきた。現在, 溶連菌はBenzylpenicillin (PC-G), Ampicillin (AB-PC) をはじめ, PC剤に依然として強い感受性を示しているが, Tetracycline (TC), Chloramphenicol (CP), マクロライド剤, Lincomycin (LCM) の常用抗生物質に対しては, 耐性菌の増加が注目されている。私共は先に溶連菌の群別薬剤感受性成績を報告した1) が, その後, 福島県, 沖縄県の分離株を検査する機会を得たので, 今回は薬剤感受性の地域による差を検討した。
  • 第1報吸収, 分布ならびに排泄について
    山田 重男, 馬屋原 敬民, 三橋 矩昭, 若林 一夫, 平塚 幸蔵, 定岡 啓三, 中沢 進, 渡辺 修, 佐藤 肇, 松本 朋徳, 野田 ...
    1974 年 27 巻 1 号 p. 8-14
    発行日: 1974/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    薬物の作用機序を解明する1方法として, 化学構造-活性相関々係 (Structure-activity-relationship: SAR) からみた研究がなされてきた。この方法には, 2つの大きな目標が存在する。その第1は, 類似した薬理活性をもつ多数の薬物について, それらに相互に共通する活性の構造分子を見出し, 薬物と受容体の反応様式を化学的に究明しようとするものである。第2の目的は, 第1の目的とは逆に, 1個の薬物について検討するもので, 薬理活性をもつ最小部分の構造式に種々の反応基をつけ, SARを見出し, さらにより活性の強いものを合成するという意義をもつている。この両者は, 研究の性質からみて, どちらが先行するということではなく, 平行して進められるのが普通である。
    メタンスルホン酸コリスチンナトリウム (メタコリマイシン (CL-M)) は, ポリミキシン系抗生物質で, SARの研究中に東海林1) らによつて見出された薬物であり, コリスチン塩基の遊離アミノ基 (-NH2) をメタンスルホン酸化 (-NHCH2SO2) することによつて得られたものである。ポリミキシン系抗生物質に関するSARの報告では, 栗原2) らは, コリスチンの遊離-NH2基をアルキル化し, またN-アルキリデン化したものを多数合成して, それらについて構造-抗菌活性を比較し, その結果, N-アルキル体は, N-アルキリデン体より抗菌作用は強く, N-アルキル体化合物の中でも, 置換基の炭素数によつて活性は異なり, 炭素数が大きいものほど抗菌力は減弱されるという。さらに横田3) は, 循環器系に対するこれら薬物の薬理作用を比較し, 置換基の炭素数の増加は降圧を増強するという。以上は, コリスチン塩の遊離-NH2のN-アルキルおよびアルキリデンコリスチン系物質について今まで知られているSARである。コリスチン塩をメタンスルホン酸化したばあいは, 塩類にくらべ毒性は軽減され4), 胆汁, 血清などによつて不活化され難いという数々の利点を備えているという5, 6)
    。本薬の吸収, 排泄に関する報告はまだ少なく, SCHWARTZ5) らおよび西浦7) らの報告では, 筋注では速やかに血中に移行し, 1時間後には尿中に排泄されるという。詳細な経時的推移については不明である。
    今回, 著者らは, CL-Mの吸収, 排泄, 臓器内分布を明らかにするため犬, ラットおよびヒトについて経時的な変化を詳細に検討したので, その成績を報告する。
  • 秋吉 正豊, 佐藤 喜一, 中田 穂出美, 田島 たよ子
    1974 年 27 巻 1 号 p. 15-26
    発行日: 1974/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    UMEZAWA, et al.(1967) は, R因子をもつているGram陰性菌 (大腸菌) による抗生物質の非活性化機構の1つが, 抗生物質Kanamycin (KM), Dihydrostreptomycin (DSM) のOH基のリン酸化にあることを初めて明らかにした。次いで, UMEZAWA, et al.(1971) は, 上記の耐性菌によつてリン酸化されるOH基を除去することによつて, 耐性菌に対して抗菌作用をもつ化合物を合成しうることを明らかにし, 3', 4'-Dideoxykanamycin B (DKB) の合成に成功した。
    DKBは, 耐性菌および緑膿菌に阻止作用をもち, 特に後者に対してはGentamicin (GM) よりも強い抗菌作用を示すこと, また他の菌種に対してもGMよりもやや弱いか, 同等の阻止作用をもつていることが明らかにされている。
    今回われわれは, DKBの聴器毒性を実験動物で判定するにあたつて, 化学構造上同じようにアミノ配糖体抗生物質に属するKMおよびGMの聴器毒性を機能的ならびに病理形態的に比較検討することにした。機能検査用には今回初めて, 12,000Hz, 15,000Hz, 20,000Hzの高周波数の純音刺激による耳介反射試験をおこない, 高周波数音域から始まる聴覚障害を測定するよう努めた。また, 聴覚系および平衡感覚系の末梢部に抗生物質によつてひき起こされる感覚上皮細胞の障害像を観察比較するために, 内耳のセロイジン連続切片について病理組織学的観察をおこなつた。
  • 志村 秀彦, 久次 武晴, 古沢 悌二, 今泉 暢登志, 山本 泰寛, 品川 護郎, 田中 昭
    1974 年 27 巻 1 号 p. 27-31
    発行日: 1974/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    胆道の感染症に対する化学療法で問題となるのは, 起炎菌が高い感受性をもつことのほかに, 肝に親和性があり, 胆汁内に高濃度に排泄されること, および副作用の少ないことであろう。胆道感染の起炎菌は, 主として腸内細菌であり, 大腸菌, 肺炎桿菌を主体として, 変形菌群, 腸球菌, Enterobacter cloaca, Enterobacter aerogenes, Citrobacter, 緑膿菌などが上げられる。これらの起炎菌は, 従来, セファロリジンに対して高い感受性をもつことと, 副作用が少ない点から, 胆道感染症の治療に広く使用されている。しかし, 胆汁内排泄濃度は必ずしも高くなく, だいたい血中濃度に相当する程度であり, しかも最近は耐性菌の増加が問題となつている。今回, 同じセファロスポリン系の抗生剤としてセファゾリン (以下, CEZと略) が開発され, 胆汁内排泄がきわめて良好であり, しかもグラム陰性菌にすぐれた感受性を示すことが明らかにされた。筆者らは, 胆道感染症や胆道手術後の胆管炎や膵炎に対して使用し, 好成績を得たので報告したい。
  • 山中 康光, 大西 黎子, 河野 静子, 建石 英樹, 荒谷 春恵
    1974 年 27 巻 1 号 p. 32-40
    発行日: 1974/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Macrolide系抗生物質であるClindamycinの誘導体の1つであるClindamycin-2-phosphatel 1) は, 苦味が少なく, しかも中性付近でのpHで水溶性 (pH7.4で>300mg/ml) となるなどの秀れた抗生物質である。さらに, それ自体ではほとんど抗菌作用をしめさないが, 加水分解されてClindamycinとなり, 抗菌作用をしめすことが報告されている。
    その薬理作用について, LD50は経口投与群では2,888mg/kg (ラット) および2,633mg/kg (マウス), 皮下注射群では3,861mg/kg (ラット) および1,095mg/kg (マウス) であり2, 3), ラット2) に30~90mg/kg皮下注射またはイヌに60~120mg/kg静脈内注射を1カ月間連続適用したさいの臨床的, 組織学的および病理学的所見ならびに中枢作用4) についても, ほとんどみとむべきものがないと述べられている。
    私どもはClindamycin-2-phosphateを入手する機会を得たので, その一般薬理作用を検討し, 以下に述べる成績を得た。さらに, 先に報告したClindamycinらの成績5, 6) と比較した。
  • 関根 理, 薄田 芳丸, 大野 マサ, 樋口 興三, 渡辺 京子
    1974 年 27 巻 1 号 p. 41-46
    発行日: 1974/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Carbenicillin (以下CB-PC) は, 変形菌, 緑膿菌にも抗菌力をもつ広域性合成Penicillin剤として, 各種感染症領域で広く使用されている。
    われわれの病院では, 腎不全患者の血液透析用シャント造成術, あるいは外シャント抜去術をおこなつたあとの感染予防や, 血液透析時の発熱などにCB-PCを用いることが多いが, 今回は16例の感染症例に対する治療成績を報告し, 基礎的事項についても知見を得たので, 併わせて報告する。
  • 冨田 祐史, 関 紘志, 志賀 美代
    1974 年 27 巻 1 号 p. 47-50
    発行日: 1974/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    ペニシリン過敏症の大部分は, ペニシリンGに対する抗体によつておこるとされており, セファロスポリンC系抗生物質はペニシリンと類似の構造式をもつため, ペニシリンGとの交叉アレルギーが推定されている。
    ペニシリン系およびセファロスポリンC系薬剤の投与にさいしては, これらによる過敏症を予測するために, 事前に問診でアレルギー歴を確かめ, その薬剤の皮膚反応を実施することが望ましいとされている。
    われわれは, 市立池田病院歯科の入院および外来の患者でセファロリジン (CER) を投与する患者に, 予めCER皮内反応, およびその一部にセファロチンナトリウム (CET) 皮内反応を実施し, 局所の発赤と膨疹の状況を検討したので報告する。
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