Cephalosporium acremoniumが, グラム陽性菌およびグラム陰性菌の増殖を阻止する物質を産生することがBROTZUによって報告されて以来, 多くの学者らによつてこの研究がひきつがれ, 1955年にいたつて, NEWTON, ABRAHAM らが新らしい物質としてセファロスポリンCを分離した。ついで, アメリカEli Lilly社研究陣が1962年にCephalothin (CET) を開発し, 2年後の1964年に, Glaxo社およびEli Lilly社によつてCephaloridine (CER) の出現をみた。このCETとCERの違いは, その構造中における7-Aminocephalosporanic acidのアセトキシ群をピリジンと置換した点にある。著者らは, 先にSodium cephalothin (CET) 大量投与による毒性について検討し, ラットでは,投与量がきわめて大きいための動物的影響が相加されているにもかかわらず, 腹腔内投与および筋肉内投与とも500mg/kgでは著明な変化をみとめなかつたことを報告した1,2)。
CERの毒性に関しては, すでに多くの報告がみられ3,4), またCETとCERの家兎に対する腎毒性については, 動物の種差4) を考慮に入れてもCETにくらべてCERに高い毒性を示すことが知られている5)。
著者らは, 今回, CETの実験と同様に動物実験の分野からCERの安全性を検討し, さらに最終投与日におけるCERの血中濃度を測定し, これと毒性発現との関連性についても検討を加えたので報告する。
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