The Japanese Journal of Antibiotics
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30 巻, 8 号
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  • 第1報中枢および末梢神経系に対する作用
    高井 明, 平井 嗣郎, 渡辺 勲, 平岩 徹, 阿部 典生, 室田 恒夫, 大森 雅春
    1977 年 30 巻 8 号 p. 529-542
    発行日: 1977/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Sodium 6-[D(-)-α-(4-ethyl-2, 3-dioxo-1-piperazinecarboxamido)-α-phenylacetamido] penicillanate (T-1220) は, 当社綜合研究所で開発された新らしい半合成Ponicillin系抗生物質で, Fig.1に示すような化学構造をもつAminobenzyl peniciilinの誘導体である。本品は,グラム陽性および陰性菌に有効で, 特にPseuhmoms aeruginosa, Proteus sp. およびKlebsiella pneumoniaeに対して従来のPenicillin系抗生物質よりすぐれた抗菌力を示すことが, 明らかにされている1,2)。
    我々は, 各種の実験動物を用いて, T-1220の中枢および末稍神経系に対する薬理作用についてAminobenzyl penicillin (Sodium塩, ABPC) と比較検討し, 合わせて新らしい側鎖である1-Ethyl-2, 3-dioxopiperazine (P-32)の薬理作用についても検討した。
    新らしいAminobenzyl penicillin誘導体, Sodium 6-[D(-)-α-(4-ethyl-2, 3-dioxo-1-piperazinecarboxamnido)-α-phenylacetamido] penicillanate (T-1220) の中枢および末稍神経系に対する薬理作用についてAminobenzyl penicinin (ABPC)と比較検討した。T-1220をラットに投与したばあい, 500mghkg以上の静脈内投与で体温下降作用を示した。ウサギに静脈内投与したばあい, T-1220は2,000mghkgで体温上昇作用を示したが, ABPCは体温下降傾向を示した。また, T-1220をイヌに2,000mghkg静脈内投与すると, 全例に催吐作用を示し, ABPCも同様であつた。T-1220およびABPCのその他の中枢および末稍作用は, ごくわずかしかみとめられなかつた。新らしい側鎖である1-Ethyl-2, 3-dioxopiperazine (P-32) も, T-1220やABPCとほとんど同様の作用を示した。
  • 第2報循環系および血液に対する作用
    高井 明, 平井 嗣郎, 平岩 徹, 渡辺 勲, 大森 雅春, 岡野 悦子, 室田 恒夫
    1977 年 30 巻 8 号 p. 543-556
    発行日: 1977/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    前報1) において, Sodium 6-[D(-)-α-(4-ethyl-2, 3dioxo-1-piperazinecarboxamido)-α-phenylacetamido]penicillanate (T-1220) の中枢および末梢神経系に対する薬理作用について報告した。本報では, T-1220の循環系および血液に対する薬理作用について, Aminobenzyl penicillin (Sodium塩, ABPC) と比較検討し, 同時に新らしい側鎖である1-Ethyl-2, 3-dioxopiperazine (P-32) の薬理作用についても検討した。また, 一部の実験では, Carbenicillin (Disodium塩, CBPC) の薬理作用についても検討した。
  • 第3報平滑筋臓器に対する作用
    高井 明, 平井 嗣郎, 渡辺 勲, 平岩 徹, 大森 雅春, 中島 幸男, 中田 吉孝, 棚田 貴久子
    1977 年 30 巻 8 号 p. 557-570
    発行日: 1977/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    前報1,2) において, Sodium 6-[D(-)-α-(4-ethyl-2, 3-dioxo-1-piperazinecarboxamido)-α-phenylacetamido] penicmanate (T-1220) の中枢および末梢神経系, 循環系および血液に対する薬理作用について報告した。本報では, T-1220の平滑筋臓器に対する作用について, Aminobenzyl penicillin (Sodium 塩,ABPC) と比較検討し, 同時に新らしい側鎖である1-Ethyl-2, 3-dioxopiperazine (P-32) の薬理作用についても検討した。
  • 才川 勇, 高井 明, 中島 良文, 保田 隆, 清水 悦郎, 酒井 広志, 池上 輝久, 高木 多美子
    1977 年 30 巻 8 号 p. 571-581
    発行日: 1977/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    6-[D(-)-α-(4-Ethyl-2, 3-dioxo-1-piperazinecarboxamido)-α-phenylacetamido]penicillanic acid (T-1220) は, 広範囲な抗菌スペクトルをもち, 特にグラム陰性桿菌に対して強い抗菌性を示す半合成ペニシリンである1)。
    著者らは, T-1220の体内動態を知る目的で, 14C標識T-1220 (14C-T-1220) をラットおよびマウスに投与し, 血中濃度, 組織内分布, 尿中排泄, 糞中排泄, 胆汁排泄, 胎仔への移行, 蓄積性などを検討したので報告する。
  • 中島 良文, 保田 隆, 渡辺 泰雄, 酒井 広志, 清水 悦郎, 松原 信之, 才川 勇
    1977 年 30 巻 8 号 p. 582-586
    発行日: 1977/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    T-1220 (Fig. 1) は, 当社綜合研究所において新らしく合成されたペニシリンで, グラム陽性菌およびグラム陰性菌に対して広範囲な抗菌スペクトルを示し, 特に近年臨床上問題となっているグラム陰性桿菌に対して強い抗菌力を示すことが三橋ら1) によつて報告されている。
    また, 才川ら2)は, 各種動物を用いてT-1220の吸収・排泄等について検討し, その血中濃度および尿中排泄率はラット, ウサギ, イヌの順に高くなるが, 逆に胆汁中排泄率はイヌ, ウサギ, ラットの順に高くなる傾向を示し, 本剤の吸収・排泄パターンには動物種差があること, またヒトの吸収・排泄パターンはウサギあるいはイヌに近いことを報告している。
    今回, 著者らは, 本剤の臨床上での投与計画の一助として, 血中濃度の推移を薬動力学的に解析することを目的とし, CBPCと比較検討をおこない, 2, 3の興味のある知見を得たので報告する。
  • 佐藤 肇, 藤井 尚道, 平間 裕一, 中沢 進, 渡辺 修, 神田 修次
    1977 年 30 巻 8 号 p. 587-592
    発行日: 1977/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Midecamycin (Medemycin “Meiji”, 以下MDMと略記) はStrepotomyces mycarofaciens nov. sp. がつくる新邦製Macrolide系抗生剤で, すでに広範な臨床的検討もすみ1), 現在Capsule製剤として市販されている。今回, 年少小児にも容易に服用できるような甘味MDM細粒 (Medemycin細粒: Medemycin fine granules) が製剤された機会に, 小児急性気道感染症を対象としての一連の基礎的, 臨床的観察をおこなつたので, 今日までの概況について報告する。私等は, MDM capsule製剤についての成績は, すでに報告しておいた2)。
  • 富岡 一, 小林 芳夫, 重田 洋介
    1977 年 30 巻 8 号 p. 593-595
    発行日: 1977/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
  • 猪狩 淳
    1977 年 30 巻 8 号 p. 596-611
    発行日: 1977/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年, 各種化学療法剤の開発および化学療法の発達は感染症に対する治療法を飛躍的に向上させたが, 一方, 起炎菌にも大きな変化をもたらし, 感染症の病態を変化させたことも事実で, 薬剤耐性菌の出現, 菌交代症の問題とともに, 常用抗生剤に自然耐性を示すことの多い緑膿菌や変形菌の増加が新らたな問題としてとりあげられている1)。この細菌種による感染症の増加は, これらのもつ薬剤感受性の特徴に加えて, 生体側の諸因子の介在もその要因として考えなければならない。種々の悪性腫瘍, 白血病を含む血液・造血臓器疾患, 免疫不全症などの感染抵抗性の減弱をきたしやすい病態や大手術, 放射線療法, ステロイド剤や免疫抑制剤の使用頻度の増大などは従来弱毒菌といわれた細菌にも易感染の機会を増加させた。そして, これらは菌交代症, Opportunistic infectionとして重篤な難治感染症を惹起している2~4)。
    耐性菌による感染症あるいは菌交代症, Opportunistic infectionとしての難治感染症には, 低毒性で副作用の少ない抗生剤の大量投与を治療手段として一部採用せざるを得ないと考えられている5, 6)。これは, 尿路感染症においても例外ではない。
    著者は中等度耐性菌による尿路感染症の化学療法に関して, 次の諸点について基礎的検討を加えたので報告する。
    まず, 尿路感染症の原因菌の変遷について十分な理解がなくては本症の適切な治療はおこなえないと考え, 過去11年間の尿路感染症患者尿から分離された細菌の統計的観察をおこなつた。
    次に, 尿路感染の主要病原菌と考えられ, 最近増加傾向のあるグラム陰性桿菌の各種薬剤に対する感受性の現状を知ることも化学療法実施上重要なことである。そこで, 各種臨床材料から分離された主要グラム陰性桿菌について, 合成ペニシリン剤, セファロスポリン剤の最小発育阻止濃度を測定した。
    さらに, 合成ペニシリン剤, セファロスポリン剤を用いて耐性菌による尿路感染のモデル実験をおこない, 最小発育阻止濃度より低濃度あるいは高濃度の薬剤が作用したばあいの尿中細菌数の変動を観察し, 尿路感染症の化学療法剤大量療法の基礎的検討をおこなつた。
  • 高橋 靖昌, 三田 俊彦, 石神 襄次
    1977 年 30 巻 8 号 p. 612-618
    発行日: 1977/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Combipenixは, 広範囲合成ペニシリンであるAmpicillin (AB-PC) とIsoxazolyl系の半合成ペニシリンであるDicloxacillin (MDI-PC) を2: 1の割合で配合した複合広範囲抗生物質である。近年, ブドウ球菌, Klebsiella, Escherichia coli, EnterobacterなどのAB-PCに対する耐性菌の出現頻度が増加しており, Pseudomonas, Serratiaなどには元来AB-PCは無効とされている。これら耐性菌は, ペニシリンを加水分解するβ-Lactamaseを産出してペニシリンを不活性化することが知られている。一方, MDI-PCがβ-Lactamaseの阻害剤であることを利用してAB-PCとMDI-PCを併用することによつて両者の特長が生かされ, 抗菌スペクトラムの拡大と協力作用とによつて, さらに有力な抗生物質になることが, 五島1~8) らによつて確かめられている。今回, 私達はCombipenixを複雑な尿路感染症に使用し, その臨床的知見を得たので報告する。
  • 深谷 一太
    1977 年 30 巻 8 号 p. 619-621
    発行日: 1977/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Doxycycline (DOTC) は, テトラサイクリンの新誘導体として米国Pfizer社において開発され, わが国に導入された。わが国における検討成績は, 1969年にまとめて発表されている1)。そのさいには専らカプセル剤が使用され, その後ひろく市販されている。今度, 服用しやすさと胃腸障害軽減などを目的としてフイルムコーティング錠剤が作製されたので, 両者の吸収排泄にかんする比較をおこなうために以下の検討を実施した。
  • 加藤 博, 西村 欣也, 北垣 康夫, 桑原 佑一, 中村 光男, 大西 一也
    1977 年 30 巻 8 号 p. 622-630
    発行日: 1977/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    抗生剤のin vitroにおける抗菌力の強弱は, 通常MIC値によつて判断されているが, その値は細菌と薬剤とを18~20時間接触し続けたばあいの菌の発育の有無 (静菌作用) を測定することで決められている。しかし, 抗生剤1回投与時の生体内存在はそれほど長くないことから, 細菌と抗生剤とを比較的短時間接触させる条件下で細菌の消長を観察することは, 臨床応用面等で有用な知見を得られると考え, 著者らは, 注射用Cephalosporin系抗生剤のEscherichia coliに対する短時間作用時の殺菌効果を検討し報告した1)。
    今回, 著者らは, 前報において得られた知見をもとに, 経口剤であるCephalexin (CEX) のStaphylococcus aureus10株に対する短時間作用時の生菌数の減少とCEX除去後の生幾菌の再増殖とをColony count法を用い検討し, CEXの剤型改良に有用と思われる成績が得られたので報告する。
  • 前川 秀幸, 高岸 靖, 岩本 健三, 土居 義男, 小倉 敏弘, 伊藤 昌男, 北村 和緒, 藤元 春海
    1977 年 30 巻 8 号 p. 631-638
    発行日: 1977/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cephalexin (以下CEX) の体内からの消失速度は, 他の多くの経口抗生物質と同様, 比較的速いため, 通常6時間ごとの投与が必要とされている。経口抗生物質は, 主として外来患者に使用され, 患者にとつて6時間ごとの服用はかなり煩雑であるため, 実際には1日3回の分服になつたり, 自覚症状が改善・消失してくると, 無意識に服用が不規則となることも生ずる。不規則な服用は, 有効性を低下させ, ばあいによつては再発を誘発したり, 耐性菌の出現の原因にもなりかねない。もし12時間ごとの投与が可能な持続性の製剤ができれば, 患者にとつて服用回数の減少という面で便利となると同時に, 治療の確実性の向上にもつながるであろう。また, 加藤ら1) はin vitro試験においてStaphylococcs aureusの10株, Escherichia coliの6株に対するCEXの殺菌力は, MIC (最小発育阻止濃度) 以上の濃度範囲では濃度を上げてもほとんど変らず, 作用時間が長いほど強くなると報告している。このことが生体内にも適用できるとすると, CEXを持続性製剤とすることによつてその有効性の向上をも期待され得る。
    さて, 一般に持続性製剤は, 薬物の体内濃度を速やかに有効濃度に達せさせるための速放部と, 有効濃度を長時間維持するための徐放部から構成される。
    一方, CEXの吸収部位は, ラット, イヌでは主に腸管上部であるという報告2,3)がみられることから, ヒトにおいてもCEXの主な吸収部位は比較的限局されていることが推察される。したがつて, CEXの持続性製剤において, 速放部については, 含有されるCEXが速やかに溶出することが必要であることは明確であるが, 徐放部として適当な吸収遅延があり, かつ良好な吸収効率が得られる剤型を設計するには, かなりの困難を伴なうことが容易に推察され, 今回少くとも次の条件を満足する製剤を設計するため, 種々の検討をおこなつた。
    (1) 1日のCEX用量は通常の製剤と変らず, 1回量は通常製剤の2倍量であること。
    (2) 有効血中濃度への到達時間および血中濃度のピーク値が通常製剤とほとんど変らないこと。
    (3) 有効血中濃度を長時間持続すること。
    CEX 250mgの通常製剤の食後1回投与において3.13μg/ml以上の血中濃度を示す時間は約2時間である。したがつて, 本剤500mg力価の投与において, この時間が4時間以上持続すること。ただし, 3.13μg/mlとは臨床的に分離された黄色ブドウ球菌の約70%溶血性連鎖球菌と肺炎球菌の約100%の菌株のCEXに対するMICを越える濃度であり4~13), 今回この濃度をCEXの有効濃度とした。
    なお, 以下に述べるヒトのCEX血中・尿中濃度の測定は, Streptococcus hemolyticus Dを検定菌とした重層法によるBioassayにより, 血中濃度は, いずれのばあいも血清濃度を測定した。また, ラットin situの吸収実験およびin vitroの溶出実験におけるCEXの測定は, ヨード法によつた。
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