The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
Print ISSN : 0368-2781
ISSN-L : 0368-2781
32 巻, 6 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 厚井 文一, 頼 敏裕, 依光 聖一, 北川 中行, 時岡 正明, 高橋 功, 喜多嶋 康一, 木村 郁郎, 吉沢 圭子, 安井 晃栄
    1979 年 32 巻 6 号 p. 649-654
    発行日: 1979/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年の癌化学療法の進展には目ざましいものがある反面, 治療経過中に宿主は頻回, 長期にわたつて諸々の免疫不全状態を呈し, いわゆるOpportunistic infectionを合併し, その後の癌化学療法が困難となることがある。とくに, 一過性の骨髄低形成期を経過することを必要とする急性白血病の寛解導入治療中において, 感染症にもとつくと思われる発熱は, きわめて高頻度に惹起され, その予防の目的でBioclean roomの導入および非吸収性抗生物質の投与が, またその治療の目的で顆粒球輸注や抗生物質大量併用投与が広く試みられていることは周知のとおりである。我々は今回, とくにAmikacin (以下AMK) の大量と考えられる量の点滴静注投与を中心とした多剤併用療法を, 急性白血病に合併した感染症治療に用い評価し得る成績を得たので報告する。
  • 高本 正紙, 原田 泰子, 山田 穂積, 石橋 凡雄
    1979 年 32 巻 6 号 p. 655-660
    発行日: 1979/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Kanamycin (KM) 誘導体であるAmikacinは, 耐性獲得機序に基づいて, KMの構造中, 不活化をうけるアミノ基をアシル化することによって, 耐性菌の産生する不活化酵素の作用をうけにくくさせようという新らしい考えから, 我が国のBristol万有研究所で開発された新らしい半合成抗生剤である。Amikacinの特徴は, 理論的にはKMと交叉耐性を示さず, KM耐性菌に殺菌的効果を発揮することであつたが, 研究段階で, ある種のGentamicin (GM) 耐性菌にも有効であることが判った。Amikacinは, ブドウ球菌およびPseudomnonas aeuuginosaをふくむグラム陰性桿菌に強い抗菌力を示すが, H. KAWAGUCHIら1)によると, KM耐性のEscherichia coli, Klebsiella, P. aeruginosaに強い抗菌力を示し, BODEYら2)はGM, Tobramycin (TOB) に耐性で, Amikacinに感受性を示すP. aeruginosaの存在することをみとめ, 今後増加するであろうこれら耐性菌による感染症に対してAmikacinは威力を発揮するであろうことを示唆している。
    一方, Amikacinは, 従来のAminoglycosideと比較して, 耳および腎の毒性の低いことが判明し3), Physicians'desk referenceによると血中濃度35μg/ml以下で使用するように警告しているが, PRICEら4)によると, GMの最高許容血中濃度は10μg/mlであり, Amikacinのそれを20μg/mlと低く見積つても, カバーされる感受性菌の比率は, 両薬剤間に差がみとめられなかつたという。
    呼吸器感染症におけるグラム陰性菌の占める役割は, Haemophilus influenzae以外は非常に少ないが, 近年確実に増加の傾向にある。特に, 種々の基礎疾患をもつ症例の肺感染症においては, グラム陰性菌は起炎菌として重要である。
    ブドウ球菌, 肺炎桿菌による肺感染症は, 胸膜炎, 膿胸を合併する頻度の高いことが知られている。しかし, 各種抗生物質の胸水内移行の報告は非常に少なく, 特にAmikacinのそれは皆無であり, 胸膜疾患における有用性は不明であった。
    今回我々は, 呼吸器感染症にAmikacinを使用する機会を得たので, 報告する。また, 各種病因によって胸水をきたした症例について, Amikacinの血中濃度および胸水中濃度を測定したので, あわせて報告する。
  • 院内感染に関連して第2報
    山 博, 山田 薫, 辻本 兵博
    1979 年 32 巻 6 号 p. 661-667
    発行日: 1979/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Seuuatia mnaucescensは, 自然界に広く分布している。以前は無毒菌または弱毒菌として, ほとんど忘れられていた。最近, セファロスポリン系抗生物質に抵抗性をもつことから, 基礎疾患をもつている患者やCompromisedhostには2次的に感染をひき起こし, 菌交代現象または菌交代症として定着することが観察されつつある1, 2)。
    当院でも, S. maucescensは1974年末から臨床材料から徐々に検出され, 特に脊髄損傷患者尿から高頻度に検出されている3)。今回, S. mnaucescensのO抗原による血清型の分布と各種抗菌物質に対する感受性をMICによって検討した成績の概要を報告する。
  • 出口 浩一
    1979 年 32 巻 6 号 p. 668-674
    発行日: 1979/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    著者は, 開業実地医家およびベット数200以下の病院から提出される各種臨床材料 (検体) から分離される各種の臨床分離菌株について種々検討をおこなつているが, このたび, 外来患者の臨床材料 (検体) から分離される菌種のなかで, 比較的分離頻度の高い7菌種 (属) に対して, 外来患者に比較的繁用されていると考えられる常用抗生剤6剤の感受性分布 (MIC) を検討した。
    GOULD2) (1968) は, 家庭で罹患した初回単純性尿路感染症患者尿から分離された大腸菌にはほとんど耐性菌はみられないと報告しており, 小林1) (1973) は, 大腸菌の入院患者と外来患者・正常人の耐性菌の出現頻度の違いを検討し, 大きな差違があると報告している。今回の検討が, 外来患者に由来する臨床分離菌株の耐性菌の現状に一歩でも近づくことができれば幸いである。
  • 藤井 良知, 山岡 桂子
    1979 年 32 巻 6 号 p. 675-684
    発行日: 1979/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    抗生剤の消費状況を知ることが耐性菌の現状を理解し, その将来の予測からさらに対策にまで結びつくことはいうまでもない。
    その抗生剤の使用の実態を知るには, 年間抗生物質検定量で日本の逐年の傾向を知ることができるので, この方面からの調査をおこなって来た1, 2)。その他の方法として, 病院薬剤部における受払, 病院における処方箋・患者病歴に記入された処方の記録からのぬきとり調査である程度の傾向を推定した研究はあるが, 抗生剤消費の正確な数値を把握し, 願各年度における比較, 各診療科における差を大学病院レベルで観察した成績はない。
    高価な抗生物質がどのように使用されているかの実態を知ることは, 病院・薬剤部の業務上の参考となるばかりでなく, その病院内における耐性菌の発生と防止にも有力な参考となるものであるが, これがおこなわれていないことは, その作業がはなはだ困難であることによる。
    私達はこの度, 昭和49, 50, 51年の3年間, 帝京大学病院において発行された院内処方箋をすべて調査し, その中から抗生物質使用件数を集計し, その抗生剤の種類, 使用頻度と使用量, 経口, 注射剤の区分, 入院・外来患者別, また診療科別の特徴の有無を観察した。なお, 小児科については, さらに昭和53年度までの分析調査をおこなつているが, これは改めて報告する。
    なお, 本病院では抗生剤の使用についての特別な管理はおこなわれておらず, 各科各医師の自由こまかされている。なお, 小児科には感染症専門家がおり, ある程度, 抗生剤使用について管理がおこなわれている。
    研究方法: 当該年度の院内処方箋で抗生剤の処方がおこなわれているものの件数を調査した。経口剤では, 外来患者が主となる。また, 急性感染症, 慢性感染症では, 処方箋の処方日数が異なり, 小児・成人では処方量に大差があるので, 抗生剤別に使用量を総計して同時に示した。両者を併せて, 使用の傾向が明らかにされよう。
    注射剤では, 処方箋によつて払出して, 病室または外来において使用された注射剤のバイアルまたはアンプル数で示した。また, その容量に差があるので, 各抗生物質としての全重量を計算し併記した。なお, 局所用抗生剤は除外した。
  • 有田 隆一, 宮崎 勝己, 小柳 知彦, 辻 一郎, 西海 秀作, 相川 練二, 村瀬 潤一
    1979 年 32 巻 6 号 p. 685-692
    発行日: 1979/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年, 化学療法の進歩に伴ない抗生剤の使用量が顕著に増大しているが, これに伴なつて耐性菌の増加が大きな治療上の問題となつている。現在, 広範囲合成ペニシリンとして臨床的に広く用いられているAmpicillin (以下AB-PC) についても例外でなく, 大越ら1)の調査によると, 泌尿器科外来患者から集められたグラム陰性桿菌 (以下GNB) の70%余りを占めるEscherichia coliの耐性菌出現頻度は20%程度であるが, 入院患者では約96%にも達し (1973~1974年), またGNBの中でE. coliにっぐ菌種であるKlebsiellaおよびPuoteusについても全国的に感受性低下の傾向がみられ, 後藤ら2)の調査によると, 1971年におけるKlebsiellaおよびPuoteusの感受性は, それぞれ62%および40%であつたが, これが1974年にはそれぞれ46%および29%に激減している。これら耐性菌の耐性化の機構としては, 主として菌の産生するβ-Lactamaseによって, AB-PCのβ-Lactam環が開裂して不活性なAminobenzylpenicilloic acid (以下AB-PA) が生成することに起因することが明らかにされている3) (Fig. 1) 。
    これらβ-Lactamase産生菌が起因菌となる感染症においては, AB-PCで治療をおこなつても, 菌の産生するβ-LactamaseによつてAB-PCが不活性化されて, 生体内で十分に抗菌作用を発揮できない可能性が容易に推察される。ところが, 抗生剤の生体内動態に関しては, ほとんど健常成人だけで研究され, 実際に抗生剤の投与対象となる感染症患者において検討された例は比較的少なく, Cefazolinについて藤井ら4), Sulbenicillinについて松本ら5), またAB-PCについて土井ら6)の報告がみられるにすぎない。
    著者ら7)は, すでにAB-PCのβ-Lactam環が開裂したAB-PAを特異的に螢光法で定量する方法を確立し (Fig. 2), これを用いて健康成人におけるAB-PCの体内動態を検討した結果, 経口投与後6時間までに尿中に排泄されるAB-PAは, 総排泄量 (AB-PC+AB-PA) の平均10.6±2.3%であり, その値にばらつきが少なく, 個人差が小さいことを報告した。
    今回, 著者らはこの螢光法を用いて, 尿中菌数が多く, その尿中にβ-Lactamaseの存在が十分に予測される複雑性尿路感染症患者尿におけるAB-PCの分解およびAB-PCを尿路感染症患者に経口投与したさいの尿中排泄動態ならびにβ-Lactamase阻害作用をもつ8, 9) Dicloxacillin (以下MDI-PC) を併用したさいのAB-PCの分解抑制作用について検討したので報告する。
  • 1979 年 32 巻 6 号 p. 693-694
    発行日: 1979/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
  • 1979 年 32 巻 6 号 p. 694-
    発行日: 1979年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
  • 1979 年 32 巻 6 号 p. 694a-
    発行日: 1979年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
feedback
Top