The Japanese Journal of Antibiotics
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33 巻, 5 号
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  • 秋田 博伸, 城崎 慶治, 服部 春木, 堀田 昌宏, 山下 直哉, 南里 清一郎, 砂川 慶介, 原 典良, 小島 好文, 小佐野 満, ...
    1980 年 33 巻 5 号 p. 549-553
    発行日: 1980/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cephalosporin系薬剤は, 抗菌スペクトルが広く, 副作用の少ない点で, 現在最も使用されている薬剤である。本邦で開発されたCefazolin (以下CEZと略す) は, その中でも, 抗菌力に優れ, 高い血中濃度が得られ, かつ腎障害等の副作用も少ない点から, 小児科領域でも広く使用されている1~3)。Ceftezole (以下CTZと略す) は, CEZの類縁化合物として本邦で開発され, すでに数多くの基礎的・臨床的検討がなされている4)。すなわち, CEZと同様な抗菌スペクトルを示し, Escherichia coli, Klebsiella等のグラム陰性桿菌に優れた抗菌力をもつている。また, CEZと同様, 高い・血中濃度が得られ, 副作用も少ない。しかし, 血清蛋白との結合率は, CEZに比較すると低く, 体内動態も異なる薬剤といわれている。
    今回我々は, CTZの点滴静注時の基礎的・臨床的検討をおこなう機会を得たので, 多少の考察を加え報告する。
  • 菊池 英彰, 瀬野 武, 田村 伸介, 山本 徹也, 鍋島 健治, 杉本 忠彦, 大鶴 昇, 宝来 善次, 住 勝実, 松岡 瑛
    1980 年 33 巻 5 号 p. 554-557
    発行日: 1980/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    抗生物質投与時の肺組織における薬物濃度に関する知見は比較的乏しく, その理由として, 検体採集の困難が挙げられる。喀痰中の抗生物質濃度が, 正確に肺病巣内のそれを反映しているかどうかは疑問であるが, 少なくとも間接的な指標となりうるであろうし, また日常臨床の場で, 喀痰の採取であれば比較的容易である。このたび, 著者らはCefazolin (CEZ) 類似抗生物質として合成されたCeftezole (CTZ) を各種呼吸器疾患患者に投与し, その喀痰中への移行について検討したので報告する。
  • 李 雨元
    1980 年 33 巻 5 号 p. 558-573
    発行日: 1980/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年, 外科領域における, 手術手技, 麻酔, 術前術後の管理などの長足な進歩にともない, 外科手術の対象範囲が拡大された。それにともなつて, 感染に対する防禦能力の低下した患者に対しても, 手術するばあい, も多くなり, その感染症の病態も, ますます複雑多岐となつている。
    外科領域における感染症の起炎菌としては, グラム陽性菌からグラム陰性桿菌に変わつているのが一般的傾向であり1~5), それらのうちでも, いわゆる弱毒菌とされているPseudomonas, Klebsiella,Serratiaなどの分離頻度が増加している。
    これらの起炎菌に対して, 治療効果を期待しうる抗生剤としては, やはり, Gentamicin (GM), Tobramycin (TOB), Dibekacin (DKB), Amikacin (AMK) などアミノ配糖体系抗生物質が中心になると思われる1)。
    一方, 各種抗生剤は, その薬理学的性格が異なるために, その薬剤の生体内動態も異なることはい, うまでもない。そしてその解明のために, 抗生剤の細菌に対する作用機序, 抗菌スペクトラムおよび抗菌力についての検討とともに, 抗生剤の各種体液中濃度を測定することは, 重要である。
    従来, 抗生剤の菌に対する感受性と血中濃度の関係からその抗生剤の臨床面での有効性を判定しようとする傾向がみられていた。しかし, この考え方の前提には, 血中濃度と同じ濃度レベルが生体内の各組織内に維持されているという仮定がなくてはならないが, この仮定は, すべての抗生剤に必ずしもあてはまらず, 血中濃度と組織内濃度の関係は必ずしも一様ではない。
    組織そのものは, 細胞, 血液, リンパ液および問質液から構成されるものである以上, これらの各構成成分における抗生剤の移行濃度の検討は, 抗生剤の治療を考えるうえで, 重要な役割をはたすものと考えられる。
    著者は, 外科領域において使用頻度の高いアミノ配糖体系抗生剤のうち, Tobramycin, DibekacinおよびAmnkacinの3剤について, 比較的組織内濃度を反映すると思われるリンパ液中抗生剤移行濃度を, 雑種成犬を用いて, 経時的に測定することを企てた。また, 体液中移行の面において, 今日まで報告の比較的少ない膵液中への移行についても, 雑種成犬を用いて主膵管に直接カニュレーションすることによつて, 膵液中移行濃度の経時的測定をおこない, 一連の成績を得ることができたので報告する。
  • 秋田 博伸, 堀田 昌宏, 山下 直哉, 南里 清一郎, 砂川 慶介, 原 典良, 岩田 崇, 市橋 保雄, 加藤 一昭, 玉田 耕一, 小 ...
    1980 年 33 巻 5 号 p. 574-579
    発行日: 1980/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cephalosporin系注射用製剤として本邦において独自の立場で開発されたCefazolin (以下CEZと略す) の基礎的, 臨床的検討は, 以前からおこなわれてきた。それによると, 血中濃度のピーク値は従来のCephalosporin 系注射用製剤であるCephaloridine (以下CERと略す) の2倍, Cephalothin (以下CETと略す) の4倍といわれ1), 髄液への移行率は, CETより優つている2)。CETと比較すると, 抗菌力はGram陰性菌において優れている。Ampicillin (以下AB-PCと略す) との比較でも, Gram陰性菌においてCEZが優れている。特にKtebsiella, Escherichiacoliでは著明である3~7)。しかし, これらの基礎的, 臨床的検討は新生児, 未熟児では十分になされているとはいえない。新生児, 未熟児の血中濃度の推移も, 筋注によるデータばかりであった8)。近年, 小児科領域では, 四頭筋短縮症等の問題から, 筋肉内投与が敬遠され, 抗生剤の投与はできる限り経口または静脈内投与をおこなうようになって来た。その結果, 静脈内投与時の血中濃度の推移を知ることが意義のあることとなった。今回我々は, 新生児,未熟児へOne shot静脈内投与をおこない, 血中濃度の推移を検討する機会を得て, 多少の考察を加えたので報告する。
  • 第1報ラットおよび家兎に対する亜急性毒性
    小枝 武美, 小滝 益三, 佐々木 斉, 横田 正幸, 新里 鉄太郎, 渡辺 宏, 川音 晴夫, 平野 文也, 熊谷 和信, 石渡 信由, ...
    1980 年 33 巻 5 号 p. 580-598
    発行日: 1980/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Dibekacinは, 梅沢ら1) によつて合成されたKanamycin Bの誘導体で, 筋注剤として, 今日, 臨床的に広く用いられている。本剤も過量投与のばあい, アミノ配糖体系抗生物質特有の腎障害性をもつことは, 既に著者ら2~4) によつて, 報告されているが, 今回は, 本物質の静注剤としての安全性評価の一環として, ラットおよび家兎に対する亜急性毒性試験をおこなったので, その結果を報告する。
  • 第2報ラットに対する慢性毒性試験
    小枝 武美, 小滝 益三, 佐々木 斉, 横田 正幸, 新里 鉄太郎, 渡辺 宏, 川音 晴夫, 平野 文也, 石渡 信由, 綿貫 勤, 瀬 ...
    1980 年 33 巻 5 号 p. 599-612
    発行日: 1980/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Dibekacinは, 梅沢らによって合成されたKanamycin Bの誘導体で, 筋注剤として今日, 臨床的に広く用いられている。
    著者らは既に, 本物質をラットおよび家兎に投与して亜急性毒性試験をおこない, その安全性について検討したが1), さらにラットに対する慢性毒性試験をおこなったので, その成績を報告する。
  • 第2報ラットの妊娠前および妊娠初期投与試験
    小枝 武美, 森口 政英, 畑 俊明
    1980 年 33 巻 5 号 p. 613-617
    発行日: 1980/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Fosfomycinは, Streptomycetrsによつて産生された新規抗生物質で, 細胞壁生成を阻害することによって, 特にグラム陰性菌に対して卓越した作用をもつものである1)。
    我々は, 本剤のNa塩について, ラットまたはウサギを用いて妊娠前および妊娠初期投与試験, 胎仔器官形成期投与試験, 周産期および授乳期投与試験を, また, Ca塩について胎仔器官形成期投与試験を実施し, いずれのばあいも胚, 胎仔または新生仔等に対して特定の影響を及ぼさないとの結論に達し, すでに報告した2~5)。
    今回, 我々は, 本剤のCa塩を雄および雌ラットに投与したのち交配させ, 雌にはさらに妊娠初期にも投与して着床または胎仔への影響について検討したので, その結果を報告する。
  • SHUNRO MORI, TATSUO OGASAWARA, MASAMI NISHIMURA, HIROSHI MIURA, SHINJI ...
    1980 年 33 巻 5 号 p. 618-622
    発行日: 1980/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    As previously reported 1, 2), a new antitumor anthracycline antibiotic aclacinomycin A (ACM) was isolated from Streptomyces galilaeus MA144-M1 (ATCC 31133). It was characterized and the structure was determined. In this paper, the physicochemical properties and stability of ACM hydrochloride (ACM-HCl) are described.
  • 実験ブドウ球菌感染ラットを用いたばあい, とくにSerratiopeptidaseの影響
    荒谷 春恵, 建石 英樹, 禰宜田 純子
    1980 年 33 巻 5 号 p. 623-635
    発行日: 1980/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    抗生物質の治療効果は, 抗菌作用とその体内動態によるところが, もつとも大である。そして病態での体内動態, とくに標的臓器や組織への抗生物質の移行は, 消炎酵素剤の併用によつて高まることが, すでに報告1~4, 13, 19, 20, 23, 24) されている。
    著者らは, 先にKlebsiella Pneumoniiaeによる実験的肺炎ラットでのCiclacillinの病巣への移行が, Serratiopeptidase の併用によつて増加すると述べた3)。
    今回は, 実験的局所感染として, ブドウ球菌を, ラット歯肉部に接種してつくることができたので, 病巣部へのCiclacillin, Ampicillin, CephalexinおよびMinocyclineの4種の抗生物質の移行を検討した。なお, 上記4種の抗生物質は, 経口剤として, 歯科領域で使用されているので選んだ。
    つぎに, 投与量は100mg/kgとして, 歯肉内移行を比較し, また, 同一動物で, 感染部と比較的炎症がみられない他側の歯肉内移行, あわせて, 近接組織として舌および咬筋ならびに体内動態を知る手がかりとして, 肝臓内濃度をも検討し, 比較することを試みた。
  • (16) 緑膿菌に対するPolymyxin Bの効果
    尾花 芳樹, 大槻 雅子, 平井 芳美, 西野 武志
    1980 年 33 巻 5 号 p. 636-640
    発行日: 1980/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    H. EAGLEら1-5) は, β 溶血性連鎖球菌, 肺炎球菌などのグラム陽性球菌を用いて, Penicillin Gの治療効果を投与法の面から検討し, 感染症の化学療法において, 薬剤の治療効果を最大限に発揮するためには, 使用薬剤の適切な投与法が重要な鍵となりうると述べている。そこで我々は, H. EAGLEらの理論に着目し, 各種化学療法剤の投与法に関する実験的解析をおこなっており, 現在までに緑膿菌に対するSulbenicillin 6), Piperacillin 7), Ticarcillin 8), Carbenicillin8)などの合成ペニシリン, Gentamicing), Sagamicin 10) などのアミノ配糖体抗生物質, Pipemidicacid 11), Miloxacin 11) などの合成化学療法剤および大腸菌に対するCephalothin 12), Cefazolin 13), Cefoxitin 14), Cefmetazole 13)などのセファロスポリン系あるいはセファマイシン系抗生物質について発表してきた。そして, その結果で治療効果を左右する大きな要因は有効濃度の維持時間と有効濃度の高さとに大別できるが, 個々の薬剤によつてその性質が異なり, また使用菌種菌株によつても効果が異なることを報告してきた。
    今回, 私共は, グラム陰性菌にだけ有効で, 第1次作用点として細胞質膜障害を示すべプタイド系抗生物質Polymyxin Bの投与法についてで緑膿菌感染症を対象に, 実験的解析を試み, 2, 3の知見を得たので報告する。
  • 中神 和清, 矢谷 裕二, 刑部 義美, 国枝 武文, 鈴木 一, 里見 智正, 猿田 栄助, 野口 英世
    1980 年 33 巻 5 号 p. 641-644
    発行日: 1980/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年, 各種抗生剤の進歩およびその使用の増加によって, 感染症における起因菌の変化や耐性菌の出現が問題となつている。今回, 肺気腫に胸水の合併を主訴として入院し, 経過中Klebsiella肺炎に罹患したため, CO2-Narcosisの状態となリ, 調節呼吸とAmikacin (AMK) の静脈内点滴注射によつて, CO2-NarcosisとKlebsiella肺炎から離脱させた症例を経験したので報告する。
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