The Japanese Journal of Antibiotics
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33 巻, 9 号
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  • 中沢 進, 佐藤 肇, 新納 憲司, 中沢 進一, 鈴木 博之, 岩崎 章宣, 近岡 秀次郎, 平間 裕一, 成田 章
    1980 年 33 巻 9 号 p. 865-870
    発行日: 1980/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    百日咳は, 昭和25年に12万人をこえる発生をみ, その後, 予防接種の普及によつて毎年減少の傾向を辿り, 昭和49年には393人となつたが, ここ4, 5年来多発するようになり, 昭和52年5,420人, 昭和53年9,626人と増加し, 今年度はさらに増加の傾向がみられ, 新生児, 乳児症例に遭遇することも多くなつているのが本邦の現況であろう1)。
    従来, 百日咳の治療としては, 感性抗生剤であるMacrolide (ML) およびTetracycline (TC) 系製剤の内服が使用され, その有効性がみとめられているが, ただ, 難点とするところは, 新生児, 乳児の継続内服は必ずしも容易ではなく, この年令層では, 至適抗生剤の注射による治療法の出現が希望されていた。また, 年少小児の百日咳に合併しやすい肺炎では, 予後を悪化させ, しかも百日咳菌と他種菌との混合感染が原因となることが多く, この治療には, 百日咳菌ばかりでなく, 広く諸菌が感性な抗生剤の利用が必要とされている。
    新らしく本邦で製剤されたCephalosporin (CEP) 系製剤Cefbperazone (CPZ)(Fig.1) は, 松本等の報告によると, 百日咳菌に対するMICは0.006-0.013mcglmlに分布し, 従来の感性抗生剤であるMLs, TCsに比較して遙かに優れていることが明らかにされており2), 一方, 本剤には各種球, 桿菌も感性で, また, 静注によって呼吸器系に高度に移行することが証明されているので3), 今回, 年少小児の百日咳に対して本剤の静注を主体として治療をおこなつてみた。以下, 今日までの概況について報告する。
  • 岩井 直一, 佐々木 明, 宮津 光伸, 大須賀 民子, 猪熊 和代
    1980 年 33 巻 9 号 p. 871-890
    発行日: 1980/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefbperazone (CPZ) は, さきに富山化学で開発された新合成ペニシリン (Piperacillin) のMoietyである2, 3-Dioxopiperazineをセファロスポリンに導入してつくられた新らしいセファロスポリン系抗生剤である1)。グラム陽性菌および陰性菌に広範囲な抗菌スペクトラムをもち, その作用は殺菌的である1)。グラム陰性菌のなかでは, 従来のセファロスポリン剤が無効であつたPseudomone, EnterobacterおよびIndole陽性Proteusなどにも抗菌力をもち, β-Lactamaseに強い抵抗性を示すことによつて, 従来のセファロスポリン剤に耐性を獲得した細菌にも有効である1)。蛋白結合率は高いが, Cefazolinと同程度であり, その結合力は比較的弱い1)。また, 筋注あるいは静注によつて高い血中濃度がえられ, ほとんどが代謝されずに尿中あるいは胆汁中に排泄されるといわれる1)。
    以上のような特徴をもつた本剤は, 従来のセファロスポリン剤にもともと耐性であつた細菌や耐性を獲得した細菌による感染症が増加傾向にある現在, 小児科領域の細菌感染症を治療する上でも有用な武器となりうると考えられる。今回, 我々は, 本剤の抗菌力, 吸排および臨床的検討をおこなつたので, その成績を報告する。
  • 神谷 斉, 川村 芳秋, 井上 正和, 谷本 康夫, 桜井 実, 井沢 道
    1980 年 33 巻 9 号 p. 891-898
    発行日: 1980/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefbperazone (CPZ) は, 我国で開発された新らしいCephalosporin剤であり, 7-Aminocephalosporanic acid (7-ACA) の7位のAmino基をα-(4-Ethy1-2, 3-dioxo-1-piperazinecarboxamido)-a-(4-hydroxyphenyl) aceticacidでAcy1化した構造で, 3位にはMethylthiotetrazoyl基をもつ抗生物質である1)。
    本剤は, グラム陽性菌, 陰性菌に対して, 広範な抗菌作用をもち, グラム陰性菌のPgeudomonas, Enterobacter, Indole陽性Proteus等に対しては, 従来のCephalosporin系薬剤と比較して, 強い抗菌力をもつ特徴がある。
    今回, 我々ば, 本剤を小児に使用し, 種々検討する機会を得たので, その成績について報告する。
  • 西村 忠史, 広松 憲二, 高島 俊夫, 田吹 和雄, 小谷 泰
    1980 年 33 巻 9 号 p. 899-909
    発行日: 1980/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    抗生物質, とりわけセファロスポリン系抗生物質の開発・進歩は, 医療の多様化と相まつて, 感染症治療に大きく貢献している。しかし一方, 最近の化学療法は, 宿主条件および病原微生物の変化によつて生じた重症難治感染症の増加に伴ない, 新らたな観点からの強化の必要性に迫られている。このような状況下での化学療法の焦点は, 用法・用量への考慮はもちろん, 今目の病原菌の特徴をふまえた対応にむけられることはいうまでもない。事実, 抗菌力においても, より強力な殺菌効果と薬剤耐性打破, とくにβ-Lactamaseへの抵抗性保有の努力がなされている。今度, 本邦で開発されたCefoperazone (CPZ) は, 新らしい注射用セファロスポリン剤で, グラム陽性菌および陰性菌に対して, 広範囲な抗菌スペクトラムをもつており, とくにグラム陰性菌のうちPseudomonas, Enterobacterまで抗菌スペクトラムは拡大された。そして本剤はグラム陰性菌が産生するβ-Lactamaseに対して, 安定性は高く, かつ強い殺菌作用を示す。そして, 一般毒性も従来のセファロスポリン系薬剤と同程度または, それ以下である1, 2)。本剤は, 投与後ほとんど代謝されずに尿中および胆汁中に高濃度に排泄される。すでに本邦では, CPZに関する基礎的および成人領域における臨床検討がなされ, 第27回日本化学療法学会総会において, 本剤の評価がおこなわれた2)。今回著者ちは, その有効性と安全性の成績にもとついて, 小児におけるCPZの基礎的ならびに臨床的検討をおこなう機会を得たので, その成績について述べる。
  • 小林 裕, 森川 嘉郎, 春田 恒和, 藤原 徹
    1980 年 33 巻 9 号 p. 910-915
    発行日: 1980/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    前報1) において, Cefoperazone (CPZ) について基礎的検討をおこない, 本剤はEscherichia coliをはじめとするグラム陰性桿菌に, 広くかつ強い抗菌力を示し, 家兎の黄色ブドウ球菌性髄膜炎における髄液中移行は, 蛋白結合率が高いにもかかわらず, 個体差は大きいが, 一般に良好で, 髄液中からの排泄が速やかであることを報告した。
    今回は, 小児科領域検討会の1員として, 小児例における血中濃度, 尿中排泄および臨床使用成績について検討を加えたので, 報告する。
  • 岡本 喬, 大原 克明, 広瀬 政雄, 細田 偵三
    1980 年 33 巻 9 号 p. 916-924
    発行日: 1980/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefoperazone (CPZ) は, 本邦で開発された新らしい注射用Cephalosporin剤で, 構造式はFig.1のように7.Aminooephalosporanic acidのAmino基をα-(4-Ethyl-2, 3-dioxo-1-piperazinecarboxamido)-α-(4-hydroxyphenyl) acetic acidでAcy1化し, さらに位にMethylthiotetrazoy1基を導入したものである1)。本剤は, グラム陽性菌およびグラム陰性菌に対して広範囲な抗菌スペクトラムをもち, 特にグラム陰性菌のうちPseudomonas aeruginosa, Enterobacter, Indole (十) ProteusおよびSerratia marcescensなどに対しては, 従来のCephalosporin系薬剤にくらべてー段と強い抗菌力を示している。また, 筋注または静注後の各臓器への移行もよく, 毒性もきわめて少ないといわれている1)。
    今回我々は, 小児細菌感染症に対して使用する機会を得たので, 報告する。
  • 古川 正強, 岡田 隆滋, 平尾 文男
    1980 年 33 巻 9 号 p. 925-930
    発行日: 1980/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    最近, 小児科領域における感染症においても, 第1選択剤として使用されている既存の広域スペクトルの抗生物質に対する耐性菌の出現が多くみとめられるようになつた。その結果, 起因菌および薬剤感受性が判明したときには, 病状が進行し, 予後に悪影響を与える結果も生じている。そこで, 最近増加傾向にある弱毒グラム陰性桿菌感染症にも効果ある, 広範囲で, 高抗菌性の新らしい抗生物質の出現が求められている。
    今回われわれは, 新らしく開発されたセファロスポリン系抗生物質, Cefbperazone (CPZ) を各種小児感染症に使用する機会に恵まれたので報告する。
  • 宮尾 益英, 黒田 泰弘, 田中 弘, 水井 三雄, 宇山 祐子, 湯浅 安人
    1980 年 33 巻 9 号 p. 931-934
    発行日: 1980/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cephalosporin系抗生物質は, 化学構造上Penicillin系抗生物質に類似し, ともにβ-Lactam環をもつている。このβ-Lactam系抗生物質の抗菌作用のメカニズムは, 増殖期細菌の細胞壁合成阻害であり, 宿主である生体の細胞には細菌細胞壁に相当するものが存在しないため, β-Lactam系抗生物質の副作用は少ない。Ampicillinに対する耐性菌の出現がみられるようになつたので, Cephalosporin系薬剤の有用性はますます高くなり, 最近では最も多く使用されている。
    本邦において開発されたCefoperazone (CPZ) は, Serratia, Proteus, Pseudomonas群といつたグラム陰性菌にもすぐれた抗菌力をもつており, 広域スペクトルをもっCephalosporin系薬剤としては, 特にPseudontonas aeruginosaに対して, 現在世界中で一番低いMICを示している。標準菌に対する抗菌力も, 他のCephalosporin系薬剤に劣らず, 筋注, 静注によつて高い血中濃度が得られ, その持続性もCefazolinを上回り, 高濃度で尿中, 胆汁中に排泄される1)。
    今回われわれは, 小児急性感染症にCPZを使用する機会を得たので, その臨床成績について, 多少の検討を加え報告する。
  • 松田 博, 吉田 哲也, 加賀田 典孝, 新野 正治
    1980 年 33 巻 9 号 p. 935-940
    発行日: 1980/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新らしく開発されたCephalosporin系薬剤Cefoperazone (CPZ) は, すでに体内への吸収, 移行, 排泄, 安全性などについての基礎的検討を終え, 内科領域では成人に対する臨床効果についての検討がなされ, グラム陽性菌およびグラム陰性菌に対して広い抗菌スペクトラムをもち, 特にグラム陰性菌のPseudomonas aeruginosaなどに対しては, 多くのCephalosporin系薬剤めうちで最も強い抗菌力をもつと報告されている1)。
    今回, 小児期感染症の患者に対して, 注射用Cephalosporin剤CPZを使用する機会を得たのでジその結果について報告する。
  • 本廣 孝, 武知 哲久, 副島 典子, 渡利 寛, 大橋 久美子, 阪田 保隆, 西山 亨, 江崎 泰之, 横山 隆, 中島 哲也, 小松 ...
    1980 年 33 巻 9 号 p. 941-958
    発行日: 1980/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    注射剤としてのCephalosporin系薬剤は, Cephalothin (CET), Cephaloridine (CER), Cefazolin (CEZ), Ceftezole (CTZ), Cephapirin (CEPR), Cephacetrile (CEC) の6剤がすでに使用されているが, β-Lactamaseにきわめて強い抵抗性を示すCephamycin系薬剤のCefoxitin (CFX), Cefmetazole (CMZ) の2剤が本年2月市販されるにおよんで, これら薬剤をCephem系と総称するようになった.
    新らしく開発されたCefbperazone (CPZ) は, Fig.1の構造式をもつ新らしい注射剤で, グラム陽性菌およびグラム陰性菌に対して, 広範囲の抗菌スペクトルをもち, 前述の薬剤に比較しHaemophilus, Citrobacter, Enterobacter, Pseudomonas aeruginosa, Serratia marcescensなどには, 一段と強い抗菌力を示し, 安全性は高く, 1979年の第27回日本化学療法学会総会の新薬シンポジウムでその有用性が論じられた1)。私たちは本剤を小児に投与し, 血中, 尿中濃度および尿中回収率, 髄液中濃度を測定し, また, 種々の細菌に対する感受性試験をおこない, 小児の各種の細菌感染症に投与して臨床効果および副作用を検討したので, その成績を報告する。
  • 浜口 均, 南 信行, 田中 公, 岩田 吉史, 高橋 玲子, 仮谷 嘉晃, 井土 熊野
    1980 年 33 巻 9 号 p. 959-963
    発行日: 1980/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftezole (CTZ) は, 最近開発されたCephalosporin系抗生物質であり, その構造はCefazolinに類似する。今回我々は, 造血器悪性腫瘍を基礎疾患とする感染症に本剤を使用したので, その成績を報告する。
  • 加納 英行, 榊原 健治, 温田 信夫, 溝上 雅夫, 高仲 知永, 青木 紀生, 成瀬 順, 出田 修
    1980 年 33 巻 9 号 p. 964-969
    発行日: 1980/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefbxitin (CFX) は, 1972年, 米国Merck Sharp & Dohme Research Laboratoriosによつて開発されたCepllamycin系の抗生物質である。CFXは, 図1のような構造式をもち, 抗菌スペクトラムは広く, 特にインドール陽性Proteus, Bacteroidesfragilis, Serratiaなどにも抗菌活性をみとめ, 他剤耐性のEscherichia coliなどにも有効であるといわれている1~4)。
    今回, 私共はこのCFXを使用する機会を得たので, その臨床成績を報告する。
  • 金沢 裕, 安部 政弘, 松本 清幸
    1980 年 33 巻 9 号 p. 970-974
    発行日: 1980/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ampicillin (ABPC) と耐性ブドウ球菌に有効なCloxacillin (MCIPC) の複合抗生剤 (1: 1) は, 組み合わせによって, 抗菌スペクトルの拡大, 抗菌力の増強が期待されるとともに, 耐性ブドウ球菌にも有効であり1, 3~5), MCIPCのABPC不活化に対するInhibitor2) 作用によつて, 他剤耐性の各種菌株に対しても効力を失わず, その抗菌作用は殺菌的である。投与は, 注射, 経口いずれによつても吸収は良好で, 高い血中濃度が得られ, 毒性も少なく, 副作用もほとんどみられない等の特長をもつた合剤が市販され, 臨床面に供されている。
    単一ディスク (Single-disc) を用いるMIC近似値測定も含めた化学療法剤の感受性測定については, たびたび報告して来たが, 複合剤のディスクについては, 従来からほとんど検討されていない。しかし, 合剤を使用する立場からみれば, 起炎菌に対する迅速な感受性判定の結果は, 臨床適用判断上必要なことで, この点から合剤の感受性ディスク法について検討をおこなつた。
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