The Japanese Journal of Antibiotics
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35 巻, 4 号
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  • 清水 喜八郎, 嶋田 甚五郎
    1982 年 35 巻 4 号 p. 869-883
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
  • 張 南薫, 荒木 日出之助, 斉藤 裕, 真井 康博, 大石 親護, 小松崎 一則, 高崎 克哲, 松村 郁夫
    1982 年 35 巻 4 号 p. 884-891
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefoxitin (CFX, マーキシン注射用) はMerckSharp & Dohme Research Laboratoriesで開発されたCephamycin系抗生物質でグラム陰性桿菌, グラム陽性球菌ならびに嫌気性菌に対し広汎な抗菌スペクトルを有している. また, 化学構造中B-Lactam環にMethoxy基を有し, B-Lactamaseの作用を受けにくく, B-Lactamase産生菌にすぐれた抗菌活性を発揮するとされている1-4).
    一方, 安全性については海外ならびに国内における広汎な研究, 臨床応用の成果から, 非常に安全性の高い抗生物質であることが認められており, かなりの大量使用でも毒性は認められていない4).
    最近の産婦人科的感染症はグラム陰性桿菌が多く, また嫌気性菌の増加も目だつているが, このような意味でCefoxitinはFirstchoiceとして選択されるべき性質を有している. 更に, 安全性の高いことも選択の理由として重要な特性であり, 既に海外ではかなり大量をFirstchoiceとして, あるいは感染の危険の高い症例にProphylacticuseとして使われており, その効果は認められている7-14).
    われわれは, 先に, 本剤について検討した成績を報告したが5, 6), 今回は, 大量投与症例についての検討を行つたので以下報告する.
  • 伊藤 邦成, 岩崎 三樹, 加藤 文雄
    1982 年 35 巻 4 号 p. 892-896
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    抗生物質の発達に伴い, 整i形外科領域においても感染症の発生頻度は以前に比べて減少している. しかし, 我々が最も注意を払わなければならない感染症の1っに化膿性骨髄炎があり, 手術医にとつて頭を悩まされるところである.
    化膿性骨髄炎は従来の血行性の典型的な症例は減少し, 最近では開放性骨折に続発するもの, あるいは骨折に対する観血的整復術に続発する, いわゆる骨折後の骨髄炎が増加している. 化膿性骨髄炎の原因菌としてはブドウ球菌が圧倒的に多いが1), 最近ではグラム陰性桿菌が増加の傾向を示している2).
    化膿性骨髄炎に対する治療として, 抗生物質の投与および外科的手術による排膿, 病巣の掻爬などが施行される. しかし, 抗生物質を投与した場合, その薬剤が病巣部位へ移行しない, あるいは移行しても原因菌のMIC濃度より低い場合には治癒は望めないであろう. ゆえに, 骨髄血液への薬剤の移行濃度を知つておくことは非常に重要なことである.
  • 中村 孝, 橋本 伊久雄, 沢田 康夫, 三上 二郎, 斉藤 美知子, 八反田 薫, 戸次 英一, 西代 博之, 中西 昌美, 葛西 洋一
    1982 年 35 巻 4 号 p. 897-908
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    今日広く使用されているAminoglycoside系抗生剤のGentamicin (GM), Tobramycin (TOB), Dibekacin (DKB), Amikacin (AMK) などは, グラム陽性菌から陰性菌におよぶ幅広い抗菌スペクトルを有し, 少量にて抗菌性を発揮する低いMICをもち, しかも炎症組織への移行性の良好な特長を有しているが, 反面, 腎毒性と聴器および前庭神経障害があり, 蓄積性をもつとされ, 本邦では筋注による使用だけが適応とされている1-6). しかし筋注による投与は, 局所痛, 注射部位の硬結, 投与量の制限等の問題があり, さらに小児においては筋萎縮症の発生があるために適応に制限がある.
    一方, 現在広く用いられている合成Penicillin系製剤, CePhalosPorin系抗生剤に対する耐性菌の増加が近年になり指摘され, グラム陰性桿菌群がこの大部分をしめていることから, アミノ配糖体系抗生剤の検討が認識されることとなつて来た7).
    欧米諸国においては, 以前からAmino91ycoside系抗生剤の静注または点滴静注による使用が検討され, 臨床的にも使用されてきている. 本邦においても近年各種Aminoglycoside系剤の点滴静注による投与法の検討が行なわれ, とくに筋注との比較が血中濃度, 尿中排泄などについて検索され, 点滴静注の有用性が認められっつある8, 9).しかし臨床効果との関連について検討を行なうためには, 血中濃度よりも, 感染病巣である炎症組織内の抗生剤濃度の検索がより有用であると考えられ, この方面の研究が必要であろう. 著者らはDKBを用い, 筋注による炎症組織内濃度の検索を行ない10), さらに点滴静注による検討を加えてその有用性を報告し25), さらにTOBについても同様の検討を加えたが26), 今回は胆嚢炎, 腹膜炎に対してAMKによる点滴静注治療の検討を行ない, 筋注および点滴静注後の炎症組織内濃度の検索を行なつて若干の興味ある結果を得たので報告する.
  • 南谷 幹夫, 八森 啓, 鈴木 正敏
    1982 年 35 巻 4 号 p. 909-918
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    9, 3. Diacetylmidecamycin (MOM) は16員環マクロライド系抗生物質Midecamycin1) (MDM) のエステル型誘導体 (分子式: C45H71NO17) 2) である. 本剤の特徴としてin vitro活性がMDMとほぼ同程度でありながら, 実験的感染治療試験ではMDMよりはるかに優れた効果3) を示した, さらにその毒性試験の結果からきわめて毒性の低い物質であるとされた. また生体内代謝研究から代謝経路が解明され, 数種の代謝産物が得られるが, それら代謝産物はMOMと同等ないしそれ以上の感染治療効果3) を示すとされた.
    本剤の安全性については急性毒性, 亜急性毒性, 慢性毒性, 腎毒性, 胎仔試験, 幼若動物試験などから検討が行われ, 高い安全性を有することが確かめられている.
    成人領域における本剤の臨床的検討4, 5) がすすめられ, Staphylococcus aureus, Staphylococcus epidermidis, Streptococcus pyogenes, Streptococcus pneumoniae, Mycoplasma, 嫌気性菌など本剤感受性菌による一般感染症に対し1日量600mg (分3回) の投与で良好な臨床効果が得られたとされた.
    本剤は100mg及び200mg含有錠剤のほか, 1g中100mg含有のドライシロップ剤が開発された機会に, 小児科系感染症に対する臨床的評価を検討したので, その成績を報告する.
  • 藤田 誠, 永田 紀四郎
    1982 年 35 巻 4 号 p. 919-922
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    9, 3-Diacetylmidecamycin (以下MOMと略す) は明治製菓株式会社で開発されたマクロライド系抗生物質で, Midecamycinの誘導体である. MOMの特徴としてMidecamycinより吸収が良く, したがつて高い血中濃度が得られること, また代謝産物にも抗菌活性を有するため少量での治療効果が期待されることである.
    今回我々は, 本剤のドライシロップを31例の小児呼吸器感染症に使用する機会を得たので, その臨床成績を報告する.
  • 常盤 知宣, 妹尾 直樹, 崎浜 明子
    1982 年 35 巻 4 号 p. 923-944
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Netilmicin (NTL) は, 米国Schering社において開発されたAmino91ycoside系抗生物質で, Fig.1のような化学構造の硫酸塩である1).
    今回, 著者らは各種動物を用いてこの化合物の中枢神経系, 呼吸・循環器系および神経筋接合部に対する薬理作用をGentamicin (GM) のそれと比較検討した.
  • 長谷川 隆司, 平井 千晶
    1982 年 35 巻 4 号 p. 945-949
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Immunogenicity of netilmicin (NTL) was studied and following results were obtained.
    The antisera obtained from rabbits immunized with both NTL alone and NTL-I-ISA mixture did not shown positive response in the heterologous 3-hour PCA reaction and the passive hemagglutination test against the challenge of either NTL alone or NTL-OVA mixture.
    Guinea pigs immunized with NTL alone did not exhibit systemic anaphylaxis when elicited with NTL alone.
    The antisera obtained from BALB/c mice immunized with NTL-OVA conjugate adsorbed to Al (OH) 3gel gave positive response in the 24-hour PCA reaction by the method described by MOTA, whereas did not respond to intact NTL in the same system.
    Similar responces were also obtained in the animals immunized with either gentamicin or gentamicin protein mixture used as control.
  • 1回投与時の体内動態および同系薬剤との比較検討
    宇田 文昭, 大橋 治陸, 常盤 知宣
    1982 年 35 巻 4 号 p. 950-959
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Netiimicin (NTDは米国Schering社で開発されたAmino91ycoside系抗生物質1) で, 現在用いられている同系抗生物質に耐性を示す1部のグラム陰性菌に対しても抗菌活性を示すことが報告されている2, 3).
    著者らは, NTLの有効性と安全性に関する基礎的研究の一環として, ラットにおける吸収, 分布および排泄に関する実験を行つたのでその結果を報告する.
  • 連続投与時の蓄積性の検討
    大橋 治陸, 宇田 文昭, 藤野 明治, 常盤 知宣
    1982 年 35 巻 4 号 p. 960-966
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Netilmicin (NTL) は, 米国Schering社で開発されたAmino91ycoside系抗生物質である1). 著者らは本剤のラットにおける吸収, 分布, 代謝および排泄の検討を行い, NTLが他のAminoglycoside系抗生物質と同様の生体内動態を示すことを明らかにし2), 今回, 更にNTLの連続投与時における血漿および組織内蓄積性について検討した.
  • <USP>14</USP>C-Netilmicinによる体内動態の検討
    宇田 文昭, 藤野 明治, 常盤 知宣
    1982 年 35 巻 4 号 p. 967-978
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    NetilmicinはAminoglycoside系抗生物質で, 現在用いられている同系抗生物質に耐性を示す一部のグラム陰性菌に対しても抗菌活性を示すと報告されている1-3).
    著者らは, 前報においてBioassay法を用いラットにおける吸収, 分布, 排泄に関する試験を行つた4, 5). 今回, さらに14Cで標識されたNetilmicin (14C-Netilmicin) を用いて, ラットにおけるNetilmicinの生体内動態に関する試験を行つたのでその結果を報告する.
  • 腎内貯留性, 胎盤通過性および乳汁移行性の検討
    藤野 明治, 宇田 文昭, 野村 章, 常盤 知宣
    1982 年 35 巻 4 号 p. 979-986
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Netilmicin (以下NTLと略す) は, 米国Schering社において開発されたAmino91ycoside系抗生物質である1~3).
    著者らはこれまで, この薬剤の安全性評価研究の一環として, ラットにおける生体内動態に関する試験を行つてきたが4~6), 今回, 腎内貯留性, 胎盤通過性および乳汁移行性について検討したので, その結果を報告する.
  • 常盤 知宣, 大橋 治陸
    1982 年 35 巻 4 号 p. 987-992
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Netilmicin (NTL) は米国Schering社において開発されたAminoglycoside系抗生物質であり1), Fig.1のような硫酸塩の化学構造を有する物質である. 今回, 本剤のビーグル犬における吸収, 排泄および代謝試験を行い, 同系薬剤Gentamicin (GM) と比較検討を行つた.
  • 松岡 瑛, 住 勝実, 吉本 浩子, 高瀬 美幸, 高嶋 隼二, 三村 幸一
    1982 年 35 巻 4 号 p. 993-1003
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    現在, セファロスポリン剤の中で抗菌力の強い半合成剤がつぎつぎに実用化されつつあり, Cefotiam (略号CTM, Pansporin®) もそのひとつで, 武田薬品工業株式会社中央研究所で開発されたセファロスポリン剤である. 本剤は特にグラム陰性菌に強い抗菌力を持つとされ, 体内移行やその濃度1-6), 動物実験7), 各種疾患の臨床効果等8-11), 多くの報告がなされており, 私どもも最近臨床材料から分離した各種細菌について, その抗菌力を調べ本剤について若干の知見を得たので報告する.
  • 村瀬 光春, 新家 敏之, 片山 善章, 武内 望
    1982 年 35 巻 4 号 p. 1004-1008
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    最近, 化学療法剤の中でセファロスポリン剤の研究開発は目ざましいものがあり, つぎつぎに新しいセファロスポリン剤が臨床に使用されてきた.
    Cefotiam (略号: CTM, Pansporin®, 以下CTMと記す) もその1っで, 既存のセファロスポリン剤では十分な抗菌力を示さなかつたインドール陽性Proteus, Citrobacter属, Enterobacter属などに対し, より強い抗菌力を示すセファロスポリン剤として武田薬品中央久究所で開発されたものである.
    今回私どもは, 臨床材料から分離された各種病原細菌に対するCTMの抗菌力について検討したので報告する.
  • 岡田 敬司, 河村 信夫, 大越 正秋, 佐竹 幸子, 河喜多 龍祥
    1982 年 35 巻 4 号 p. 1009-1021
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    最近市販された, いわゆる第3世代のCEPs系抗生剤のCTX, CPZ, CZX, LMOXとこれから市販されると思われるCMXの5剤と, 対照の意味で第1, 2世代の代表としてCEZ, CTM, さらにアミノ配糖体系の代表としてGMを使用し, 東海大学病院泌尿器科由来の臨床分離菌9菌属, 511株についてMICを測定し, 各薬剤の特徴を検討した. 接種菌量は106cells/mlで, 日本化学療法学会標準法に従つた.
    P.aeruginosaに対しはCEZ, CTMを除き, CFSを使用した. 各薬剤ともE. coli, K.pneumoniae, Indole陰性Proteus sp. に対してはほとんどの菌株が25μg/ml以下の濃度で発育阻止された.
    Indole陽性Proteus sp.ではCEZで75.9%, CTM, CPZで各々17.2, 13.8%が25μg/ml以下の濃度で発育阻止されなかつた. C.freundiiに対してはLMOXが最も良く, S.marcescensに対してはCZX, CMX, CTX, LMOX, Enterobacter sp. に対してはGM, CMX, P.aeruginosaに対してはCFS, GM, CPZが良い成績を示した. S.faecalisに対してはGM以外の成績は悪く, S.epidermidisに対してはどの薬剤でも良好な成績であつた.
    第3世代のCEPs系5剤はβ-Lactamaseに安定であることは共通であるが, 体内動態, 抗菌力に多少の差があり, また構造式によつてはAntabuse様作用のような新しい副作用の問題もあるので, これらの点をふまえて使用せねばならないと考えられる.
  • 小酒井 望, 猪狩 淳, 熊本 悦明, 酒井 茂, 西尾 彰, 永井 龍夫, 茂田 士郎, 白岩 康夫, 阿部 和夫, 田崎 寛, 入 久巳 ...
    1982 年 35 巻 4 号 p. 1022-1044
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    In vitro activities of antibacterial agents against. E.coli, Klebsiella, Citrobacter and Proteus which were isolated from patients urinary tract infections at8hospitals in Japan, were investigated by agar dilution method from July to October in 1979.
    The summarized results are as follows.
    1.Among oral antibacterial agents, MPC and PPA have showed potent antibacterial activities against. E.coli and Klebsiella. Among parenteral antibiotics, CTM was the most active against E.coli and Klebsiella. However, ABPC-resistant. E.coli and Klebsiella have appeared to occupy about40% and 96% of bacteria isolated from urinary tract infections, respectively.
    2.In vitro activities of antibacterial agents against Proteus and Citrobacter showed not so potent.
    3.Causative organisms in female patients with simple urinary tract infections were mainly E.coil and Klebsiella.<USP>*<USP>
    4.Among oral antibacterial agents, PPA have showed similar antimicrobial activities againts E. coli isolated from simple and complicated urinary tract infections.ABPC and MPC have been influenced in some degree by these factors.However, parenteral antibiotics are not influenced by these factors.On the other hand, in vitro activities of antibacterial agents against Klebsiella isolated from simple and complicated urinary tract infections were similar.
  • 長田 恵弘, 河村 信夫
    1982 年 35 巻 4 号 p. 1045-1047
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    一般に抗生物質は男子生殖器内には移行しにくい1). 1つにはこれら造精能に関連する器管にはバリアーがあって, 血清濃度に比べて低い濃度の薬剤しか移行させず, その機能を保護しているのだといわれている2). このため副睾丸炎や前立腺炎のときに, 使用し得る効率の良い薬剤の種類は限定されてくるし, その使用量も場合によっては加減せねばならない. また抗生剤を大量に使つた場合の男子造精能への影響については, 現在ほとんど検討が行われていないのが実状である.
    また最近いわゆるピギー包装として, 抗生剤を短時間内に大量に投与する風潮があるが, これらは本当に, いかなる体の状態でも, これ位の量が必要なのであろうか, 単純に点滴中と, そうでない時でも, 体内各所の薬剤の濃度は違つてくると考えられる.
    今回我々はセフォチアム (略号CTM, Pansporin®, 以下CTMと略記) を使つて, これらの点を多少追及してみたので報告する. また手術時に得られた材料でCTMの体内分布をある程度追及できたので, そのデータも合せて記す.
  • 栗原 正典, 山田 国正, 芦川 和高, 前田 尚徳
    1982 年 35 巻 4 号 p. 1048-1052
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cephalosporin系抗生物質であるCefotiam (略号: CTM, Pansporin®) は, β-Lactamaseに強い抵抗性をもちグラム陽性菌はもとより, グラム陰性菌にも強い抗菌力を示し, 従来のCePhalosPorin系抗生物質では効果の期待できなかつたインドール陽性Proteus, Citrobacter, Enterobacterにも有効であることが認められている1).
    外科領域における術後感染症, とりわけ頻度の高い手術創感染, 腹腔内感染などの起炎菌の多くは, Escherichiacoli, Klebsiella, Enterobacter, Citrobacter, Proteusなどのグラム陰性菌である2).
    術後感染症の予防ならびに治療で, 筋肉内や静脈内に投与された抗生剤の血中濃度を調べた結果は多数みられるが, 静脈内に投与されたCTMの腹腔内滲出液への移行についての報告は少ない.
    われわれは救命センターで緊急開腹術を施行した4例にCTMを静脈内投与し, 薬剤の腹腔内滲出液への移行を測定した結果について報告する.
  • 菊地 臣一, 星加 一郎, 松井 達也, 蓮江 光男
    1982 年 35 巻 4 号 p. 1053-1056
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    人工関節, 内固定材料の発達にともない, 最近の整形外科では巨大異物を挿入する機会が増加している. このことは感染の危険性の増大はもちろんのこと, いつたん感染が発生すれば重篤な合併症となりその対策に苦慮する. 我々は術後感染予防のために広範囲スペクトルを有している合成PenicillinやCephalosporin系の抗生剤を術前に投与をおこなつている. 今回, Cephalosporin系の新しい抗生剤であるCefotiam (略号: CTM, Pansporin-R-) の骨髄血および骨組織への移行性を測定したので報告する.
  • Cefbtiamの胆嚢組織および胆汁中への移行
    斉藤 信義, 吉田 篤
    1982 年 35 巻 4 号 p. 1057-1062
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    In 12 patients undergoing operation, 1 g of cefotiam (CTM) was administered intravenously and CTM levels in gallbladder tissue and gallbladder bile were examined. CTM concentration in gallbladder bile was high in patients with patent cystic duct, while very low in those with cystic duct obstruction. CTM concentration in gallbladder tissue was low in patients with chronic inflammatory gallbladder.
    CTM activities of T-tube bile were compared with those of CMZ by cross over method in 2 cases.CTM showed extremely higher concentration in bile than CMZ.
    In a case with excessive output of bile, CTM activity, total bile acids concentration and canalicular flow/ductal flow ratio were low.It can be presumed that CTM was diluted by incresed ductal secretion.
  • 小島 精, 和賀 志郎, 森川 篤憲, 岡田 昌彦, 古野 正和, 清水 健夫
    1982 年 35 巻 4 号 p. 1063-1067
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    脳神経外科領域における診療は手術用顕微鏡やComputed tomographyが導入されて以来, 著しい進歩を遂げている. しかし脳神経外科手術による感染率は3-5%1), 0.3-2%, 特に脳室腹腔もしくは脳室心房短絡術による感染率は高く6-23%2) と報告されている. これ等頭蓋内感染症は脳浮腫を増強し, 種々の重篤な症状を起し, 時に患者の生命をも危うくすることがある. そこで当然種々の抗生物質の予防的投与が行われるが, 脳には身体他臓器と異なつて血液脳関門があつて抗生物質の血液から髄液内移行が非常に悪く3), 髄液中の抗生物質の濃度が各種細菌の最小発育阻止濃度に達しないことが多い4-9).
    われわれはCephalosporin系の新抗生物質であるCefotiam dihydrochloride (略号: CTM, Pansporin®, の経静脈内投与を行い, 髄液中のCTM濃度を武田薬品中央研究所の協力により測定したので若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 徳力 康彦, 武内 重二, 半田 肇
    1982 年 35 巻 4 号 p. 1068-1071
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    脳外科疾患においては, 抗生剤の使用に際して, その抗生剤の抗菌力, 抗菌スペクトル等の他に, 次の2点について検討されなければならない. すなわち, 1.全身投与に際して髄液中移行が良好か否か. 2.直接髄腔内に投与した場合に, 神経系に副作用を及ぼさないかどうかということである.
    1.従来の抗生剤では, 血中濃度の1/10-1/100程度というのが定説のようであるが, これは髄膜に炎症が認められる場合には, もう少し高濃度の結果が得られているようである.
    2.操作の際にContaminationをおこす危険性などから, 明らかに髄腔内に感染の所見のみられる場合に限られるが, 痙攣, Chemicaameningitis等の副作用がみられる事も多く, 使用に際しては慎重を要する. 少なくとも, 全身投与と平行して行なわれるのが普通である.
    今回, 新しく開発されたCefbtiam (CTM, SCE-963) の髄液内移行度を測定するため, 静注後, 髄液内濃度を経時的に測定したので報告する.
  • 脳室腹腔短絡術留置例について
    今川 健司, 川崎 道朗, 戸田 稲三, 林 誠之, 浅井 昭, 野村 隆吉
    1982 年 35 巻 4 号 p. 1072-1079
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    脳神経外科手術後の重篤な合併症である頭蓋内感染症の予防および治療を目的として, 比較的大量の抗生物質の全身投与がおこなわれているのが現状であろう.
    今日まで, 種々の抗生物質の脳および髄液移行について多数の報告がなされているが, 従来の報告の大部分は2, 3, 6, 7, 13, 17, 19), 正常脳あるいは髄膜炎時の観察結果であり, 正常な髄液循環動態では, Chaoramphenicol, Sulfonamide, Tetracycline以外の抗生物質は, 全身投与された場合, 血液, 脳および脳脊髄液関門のために, ほとんど髄液中に移行しないか, 移行しても少量であるとされている3, 5, 18). 髄膜炎がみとめられる場合は, 全身投与の抗生物質も比較的多量に髄液中に移行することが知られている12, 14, 18).
    一方, 脳神経外科領域で何らかの侵襲 (開頭術, 脳腫瘍, 脳血管障害など) が加わつた場合の髄液内移行についての報告は散見されるにすぎない4, 6, 8, 9, 10, 15) 手. 術後においては, 手術侵襲, 疾患などの条件が, 血液, 脳および脳脊髄液関門の破綻の程度に影響し, 抗生物質の髄液内移行の程度にも反映することが考えられる. そこで, われわれは, 脳神経外科領域で髄膜炎の合併が比較的高頻度に発生する11, 20) 脳室腹腔短絡術 (V-Pシャント) を施行した症例に, 経時的に髄液を採取し, 抗生物質の種類, 疾患別による髄液内移行度と全身投与の意義につき検討したので報告する.
  • 1982 年 35 巻 4 号 p. 1080-1083
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
  • 1982 年 35 巻 4 号 p. 1084-1086
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2013/05/17
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