The Japanese Journal of Antibiotics
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38 巻, 2 号
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  • 新井 俊彦
    1985 年 38 巻 2 号 p. 199-202
    発行日: 1985/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年いろいろな感染症でブドウ球菌, 特にコアグラーゼ陰性ブドウ球菌によるものの報告が増加している1)。これは, 従来見過されていたコアグラーゼ陰性ブドウ球菌が正しく評価されるようになったことにもよるが, 又,β-Lactam剤, 特にセフェム系抗生剤の多用によって, これらの薬剤に通常の菌株でも抵抗性の高いグラム陽性菌が選択されて増加していることにもよろう。実際, われわれも尿路感染症の起因菌で, セフェム系抗生剤が大量静注使用されるようになった時期に, 腸球菌と共にコアグラーゼ陰性ブドウ球菌が増加していることを確認している2)。更に最近では, 化膿症や血液から検出されるブドウ球菌にセフェム系抗生剤に耐性の菌株が増加している3, 4)。
    これらの感染症の治療には, 更に大量のセフェム系抗生剤使用を考えるのではなく, 他系統の薬剤に変更すべきなことは言うまでもない。そこで, 作用機作の異なる常用抗菌剤の中から選択すべき薬剤を検索するために, 黄色ブドウ球菌と対比しながら表皮ブドウ球菌について各種抗菌剤の最小発育阻止濃度(MIC) を求めた。
  • 中田 穂出美, 秋吉 正豊, 赤司 興正, 原田 旨郎, 出口 隆志, 原 卓司, 脇 豊
    1985 年 38 巻 2 号 p. 203-211
    発行日: 1985/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    われわれは,Micronomicin (Sagamicin®, MCR) の聴器毒性並びに安全性を明らかにするために, モルモットに筋肉内投与 (秋吉ら1), 1977) 並びに静脈内投与 (秋吉ら2), 1983)を行い, それらの試験結果を報告してきた。今回はMCRを点滴静脈内投与した場合に起り得る聴覚障害並びに内耳障害の程度を明らかにするために, 協和醗酵工業株式会社安全性研究所で新たに開発された投与法を用いてモルモットに1時間のMCR静脈内注入投与を30日間行うことができたので, これらの結果を報告すると共に, これまで行ったモルモットでの筋肉内投与実験, 並びに静脈内投与実験の結果と比較検討したい。
  • 清水 篤, 河村 栄一, 福島 悦雄, 鈴木 秀宜, 荒木 日出之助, 近藤 秀弥, 加藤 寛, 陳 威伸, 樋口 和海, 松橋 一雄, 出 ...
    1985 年 38 巻 2 号 p. 212-222
    発行日: 1985/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefoxitin(CFX, マーキシン注射用®)は, Merck Sharp & Dohme Research Laboratoriesで開発されたCephamycin系抗生物質である。その化学構造上の特徴は, β-Lactam環にMethoxy基を有し, β-Lactamaseに対し安定であることで, β-Lactamase産生菌にも抗菌力を発揮することができる。本剤は, 広域の抗菌スペクトルを有し, グラム陰性桿菌, グラム陽性球菌並びに嫌気性菌に対し抗菌活性を持っている。
    本剤は開発以来, 広汎な研究, 臨床応用がなされ, その有用性は多くの分野で認められている。又, 安全性の高い抗生物質であることが認められており, かなりの大量使用でも毒性は認められていない1~4)。
    このような理由から,本剤はFirst choiceとして選択されるべき性質を有しているものであり, 広く感染症にFirst choiceとして, あるいは感染の危険の高い症例にProphylactic useとして使われており, その効果は認められている8~14)。
    われわれは, 先に, 本剤についていくつかの検討を行い, その成績を報告したが5~7), 今回, 多数施設によるGroup studyを臨床的に行い結果を得たので以下報告する。
  • 平山 博章, 松田 静治, 柏倉 高
    1985 年 38 巻 2 号 p. 223-229
    発行日: 1985/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    ペニシリンやセフェム剤などβ-Lactam剤が現在広く使用されているが, 近年これら薬剤についてもβ-Lactamase産生菌による耐性の問題がクローズアップされてきた. 従って, これら耐性菌対策の1つとして, 最近はβ-Lactamase阻害剤と既存のβ-Lactam剤との併用が検討されており, 臨床的応用価値が期待されている。SulbactamはPfizer社で開発されたβ-Lactamase阻害剤1~4)であり, このものとCefoperazoneとの1:1の配合剤がここに報告するSulbactam/Cefoperazone注射剤 (配合剤) である。本剤の成分の1つであるSodium Sulbactam (SBT)は図1のようにペニシリン骨格を有し, それ自身の抗菌力は弱いが, β-Lactamaseに強い不可逆的阻害作用を有し, 安定性も高く, 注射用β-Lactam剤との併用により耐性菌に抗菌力を発揮し, 併用効果が期待される5, 6)。一方, これと配合されるSodiumcefoperazone (CPZ) はグラム陰性桿菌, 嫌気性菌を中心に広い抗菌作用を有するいわゆる第3世代のセフェム剤である7, 8)。又, SBT, CPZともよく吸収され, 毒性についても問題となる所見は得られていない。今回我々は本剤の提供を受け, 投与後の乳汁移行に関する検討を行うほか若干の臨床応用を追加する機会を得たので以下報告する。
  • 原 二郎, 出口 浩一, 張野 正誉, 田中 康夫
    1985 年 38 巻 2 号 p. 230-234
    発行日: 1985/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefroxadine (CXD) は,スイス Ciba-Geigy 社で合成された経口用のセフェム系抗生剤である。本剤はブドウ球菌属などのグラム陽性菌及びインフルエンザ菌, 大腸菌, クレブシェラ属などのグラム陰性菌に対して広い抗菌スペクトラムを有し, Cephalexin (CEX) より強い殺菌力を示し, 又, 高い安全性を有するとされている1~3)。
    本剤の眼科領域での評価については, 大石ら4, 5) の基礎的・臨床的検討の報告があり, 眼感染症に対する高い有用性が確かめられている。その臨床応用面での高い有用性を裏付けるものとして, 家兎での CXD の眼組織内移行の良好性4) があげられるが, 更に私らはヒト眼における薬剤移行について検討することとした。しかし, ヒトでの眼組織内からの検体採取は困難であるため, 臨床的に特に障害を与えることなく経時的に採取可能な涙液について薬剤移行を検討することとし, 対照薬として現在, 眼科領域で広く汎用されている CEX を用い, 比較検討した。
  • 室木 邦生, 石田 正典, 桑原 正雄, 今川 勝, 池田 美佐子, 中村 充宏, 平岡 俊仁, 藤上 良寛
    1985 年 38 巻 2 号 p. 235-243
    発行日: 1985/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefmetazole (CMZ) は1972年三共株式会社で開発された3位に Methylthiotetrazol基を, 7位に Methoxy 基を有する Cephamycin 系抗生物質である1)。その特長としてグラム陰性菌に対する幅広い抗菌域と β-Lactamase に対する高い安定性を有することがあげられる2, 3)。
    我々は, 本剤の臨床分離株に対する抗菌力を測定し, 胆道感染症を主とする内科領域感染症に対する効果を検討したので報告する。
  • 大久保 英久, 浅倉 英樹, 堀 誠
    1985 年 38 巻 2 号 p. 244-252
    発行日: 1985/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Bleomycin (Blm) 標品に約1:0-05のモル比で混在する Fe の共存下 (Fe制限条件), Blm に対して約 1~29 倍のモル比で Fe (II) を添加した条件下 (Fe充分条件) 及び対照として, Blmを含まず高濃度の Fe (II) だけの存在する条件の3反応条件下で SV40 DNA Form Iの鎖切断反応を行い, DNA鎖切断反応の諸性質を比較検討した。反応生成物として, Form II 及び Form III 以外には, 低分子化生成物をほとんど生じない限定条件下で行い, 未反応の Form I と反応生成物である Form II 及び Form III をアガロースディスクゲル電気泳動で分離し, Ethidium bromide で染色後, 各 DNA バソドの螢光強度をデンシトメトリーで分別定量して反応の進行を測定した。
    Fe 制限条件及び Fe 充分条件では, Blm 及び Fe の両因子の濃度に依存し, 経時的な DNA 鎖の切断が起り, Form II 及び Form III が生成されるが, Form II は最初速やかに増加し最大量 (約65%) に達したあと減少するのに対し, Form III は徐々に増加した。両条件下の反応はいずれも特定塩基配列の Octanucleotides を添加した時にだけ競合的に阻害され, 温度にはあまり影響されず, 酸性条件下で著しく低下し, Cu (II) や Tiron の添加で阻害されるが, EDTA の添加では阻害されなかった。一方, Blm を加えない Fe (II) 単独による鎖切断反応は, Fe の濃度に依存した程度にまで進行して, 2分以内に停止してしまう速い反応で, 生成物は Form II が主体で Form III はほとんど検出されないと言う特微を有し, 塩基配列に無関係に種々の Octanucleotides により競合的阻害を受ける。又, 反応は温度依存性が高く, 酸性条件下及び Cu (II) の添加では阻害されず, EDTAの添加で阻害された。
  • 吉岡 一, 坂田 宏, 長 和彦, 藤田 晃三, 向井 直樹
    1985 年 38 巻 2 号 p. 253-262
    発行日: 1985/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    BRL 25000 は, 英国ビーチャム研究所で開発された β-Lactamase 阻害剤であるClavulanic acid (以下CVA) とAmoxicillin (以下 AMPC) との 1:2 の配合剤である1)。本剤は β-Lactamase 産生の AMPC 耐性菌に対しても相乗的に作用し, AMPC 本来の抗菌力を発揮させるだけでなく, 更に Klebsiella pneumoniae,Bacteroides fragilis にも抗菌力を示すことが知られている2)。
    今回, 我々は本剤を小児に投与し, 基礎的並びに臨床的検討を加える機会を得たので報告する。
  • 永田 紀四郎, 横山 雄
    1985 年 38 巻 2 号 p. 263-268
    発行日: 1985/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    今日の感染症に対する化学療法については, 広い抗菌スペクトラムと安全性から, β-Lactam 系抗生物質が主流である。しかしながら最近, β-Lactamase 産生菌が増加傾向にあり, これらの菌種に対しては, 当然ながら十分抗菌力を発揮できないことになる。
    BRL 25000 (以下本剤と略す) は, 英国ビーチャム研究所で開発されたβ-Lactalnase 阻害剤の Clavulanic acid (CVA) と Amoxicillin (AMPC) を 1:2 に配合することによつて, 本来の β-Lactam 系抗生剤耐性菌に対して十分抗菌力を発現できるようにしたものである1)。
    我々は本粒剤を小児各種感染症に使用する機会を得たのでその治療経験について報告する。
  • 目黒 英典, 益子 仁, 有益 修, 藤井 良知, 篠崎 立彦, 岡本 義明
    1985 年 38 巻 2 号 p. 269-286
    発行日: 1985/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    英国ビーチャム社で開発されたBRL 25000は, Amoxicillin (AMPC)と, β-Lactamase阻害剤であるPotassium clavulanate (CVA) との2:1の配合剤である。CVA配合により, β-Lactamase産生菌に対して, AMPC単独投与より優れた抗菌力を持つとされている1)。成人領域における使用成績はすでに報告されており, 良い結果が得られている2)。幼若動物に対する急性・亜急性毒性試験が行われ, 安全性が確認された。
    ここでは小児科領域におけるBRL 25000粒投与例について検討を行つたので, その成績を報告する。
  • 永松 一明, 堀口 貞子, 畑江 泰子
    1985 年 38 巻 2 号 p. 287-295
    発行日: 1985/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    β-Lactamaseに安定性のある抗生剤を求めて, 新しいペニシリン系及びセフェム系の注射用抗生剤が多種開発されてきたが, 注射用より使用頻度の高い経口抗生剤の開発には, 新しい進展がみられなかつた。小児の感染症に多く使用されている経口抗生剤Ampicillin (ABPC), Amoxicillin (AMPC), Cephalexin (CEX), Cefaclor (CCL) にも耐性菌がみられ, 特に小児感染症の重要な起炎菌である黄色ブドウ球菌, インフルエンザ菌, 大腸菌のAMPC耐性株は年々増加しつつある。
    Clavulanic acid (CVA) は, streptomyces clavuligerusの産生する抗生物質であるが, 抗菌力が弱い反面, β-Lactamaseと不可逆的に結合してその作用を阻害する性質を有している1)。このβ-Lactamase阻害物質をAMPCと配合することにより, 抗菌スペクトルが広くなるだけでなく, AMPC耐性菌に対して抗菌力を強めることができる2)。BRL 25000は, AMPCとCVAを2:1の割合で配合した新しい型の経口抗生剤であり, 成人領域では, BRL 25000の錠剤による治験が行われ, 優れた成績をあげている3)。
    我々はBRL 25000小児用顆粒製剤の提供を受けたので, 小児感染症に対する治療成績について報告する。
  • 成田 章, 佐藤 肇, 近岡 秀次郎, 鈴木 博之, 田添 克衛, 新納 憲司, 松本 貴美子, 中澤 進一, 中澤 進, 中田 義雄, 平 ...
    1985 年 38 巻 2 号 p. 296-308
    発行日: 1985/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    BRL 25000は英国Beecham社研究所で開発されたAmoxicillin (AMPC)と, streptomyces clavuligerusATCC 27064の産生するβ-Lactamase阻害剤であるClavulanic acid (CVA) を2:1に配合した合剤である。CVAがβ-Lactamaseと不可逆的に結合してその活性を阻害するため, CVAとAMPCとの配合によつてAMPC耐性の諸菌に対して抗菌力を発揮できる特徴があり1), 従つて本合剤はAMPC感性並びに耐性菌に対しても抗菌性を発揮することになる。本合剤 (AMPC 2:CVA 1) Tabletを中心とした成人各科領域における検討はすでに広範に行われ, その詳細な成果が報告されており, 本合剤の有用性が認められている2~4)。今回本剤の小児用粒剤を使用しての小児科領域における-連の検討を行うことができたので, 以下今日までの概況について報告する。
  • 市橋 治雄, 保科 弘毅, 広澤 浩, 三国 健一
    1985 年 38 巻 2 号 p. 309-318
    発行日: 1985/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    BRL 25000は, 英国ビーチャム研究所で開発されたβ-Lactamase阻害剤のClavulanic acid (CVA)とAmoxicillin (AMPC) との1:2の配合剤である。CVAは, CVA自体の抗菌作用が弱いため, 単独での使用はほとんど不可能とされているが, 各種細菌の産生するβ-Lactamaseと不可逆的に結合してその活性を阻害することが知られており, その化学構造式はFig. 1に示すとおりである1, 2)。CVAとAMPCとの配合剤であるBRL 25000では, β-Lactamase産生性のAMPC耐性菌に対して相乗的な作用によりAMPC本来の抗菌作用が得られるとされている3)。
    今回, 我々は教室保存の臨床分離株のうちStaphylococcus aureus34株を用いて本剤の抗菌力を測定し, CVA, AMPCと比較検討し, 更にニトロセフィン法4)によりβ-Lactamase活性を調べその産生株について本剤とAMPCとの抗菌力を比較検討し, 又, 気道感染症23例及び尿路感染症4例の計27例について本粒剤を投与し, その臨床的効果を検討したので, その結果を報告する。
  • 砂川 慶介, 石塚 祐吾
    1985 年 38 巻 2 号 p. 319-326
    発行日: 1985/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたBRL 25000は, β-ラクタマーゼ阻害剤であるクラブラン酸 (CVA) とアモキシシリン (AMPC) を配合することにより, 近年増加の傾向にあるAMPC, アンピシリン (ABPC) 耐性菌にも抗菌力を示す薬剤である。
    この度, 成人領域での有効性, 安全性の検討が終り, 小児科領域での基礎的・臨床的検討を行う機会を得たので結果を報告する。
  • 秋田 博伸, 井原 正博, 小佐野 満, 岩田 敏, 老川 忠雄, 村井 孝安, 佐藤 吉壮
    1985 年 38 巻 2 号 p. 327-341
    発行日: 1985/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    BRL 25000は, β-Lactamase阻害剤であるクラブラン酸 (CVA) とアモキシシリン (AMPC) との1:2の配合剤で, 製剤的にはクラブラン酸カリウム (CVA-K) とアモキシシリンとの1:2の配合剤である (Fig. 1)。クラブラン酸は耐性菌の産生するβ-Lactamaseと不可逆的に結合してその活性を阻害する作用を持ち, AMPCと配合するとこにより, AMPCの抗菌力が強化されると共に, 抗菌スペクトラムも拡大すると言われている1~4)。今回, 本粒剤の小児科領域における抗菌力, 吸収, 排泄などの基礎的検討及び臨床的検討を行う機会を得たので報告する。
  • 溝口 文子, 片山 道弘, 柴田 元博, 岩井 直一, 種田 陽一
    1985 年 38 巻 2 号 p. 342-358
    発行日: 1985/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    BRL 25000は, 英国ビーチャム社で開発されたβ-Lactamase inhibitorであるPotassium clavulanate (CVA) とAmoxicillin trihydrate (AMPC) との1:2の配合剤である1)。
    CVAは, 抗菌作用が非常に弱く, 単独では抗菌剤としての有用性に乏しいが, 各種細菌の産生するβ-Lactamaseを不可逆的に不活化することから, 種々のβ-Lactam剤と配合する場合にはβ-Lactamaseによる失活を防ぎ, 配合された抗生剤の抗菌力を増強する特性を有している1)。一方, AMPCは, 小児科領域ではCephalosporin系抗生剤, Macrolide系抗生剤と並んで多用されている抗生剤であるが, 近年staphylococcus aireis, Escherichia Haemophilus influenzaeなどにおいてかなりの頻度でβ-Lactamase産生株がみられるようになつたこと, 又, Klebsiella pneumoniaeに対してはもともとみるべき抗菌力を示さないことなどの問題点を有している。
    BRL 25000は, CVAがβ-Lactamaseのうち主としてPenici11inase型β-Lactamaseを強く阻害することから, S. aureus, E. coli, H. influenzaeのAMPC耐性株にも抗菌力を示し, K. pneumoniae, Bacteroides fragilisなどAMPC耐性菌種にも優れた抗菌活性が認められている1)。更に, AMPC, CVA共に経口投与により高い血中濃度が得られ, 投与後のピークに達するまでの時間, 血中半減期及び尿中排泄などのパターンが類似していることから, 両剤の併用効果は長時間にわたつて期待できると言われている1)。
    今回, 我々は小児科領域におけるBRL 25000の有用性と安全性についての検討を行つたので, その成績を報告する。
  • 大倉 完悦, 黒木 茂一, 春田 恒和, 小林 裕
    1985 年 38 巻 2 号 p. 359-372
    発行日: 1985/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    BRL 25000はAmoxicillin (AMPC) とClavulanic acid (CVA) の2対1の合剤である1)。CVAは英国Beecham Research Laboratoriesで開発されたStreptomyces clavuligerus ATCC 27064株の産生するOxapenam剤で, それ自身の抗菌力にはみるべきものはないが, Penicillinase及びCefuroximaseに対して強い阻害作用を有し, Penicillin剤に併用することによつて, そのβ-Lactamaseによる分解を防ぎ2~6), AMPCとは配合比5対1から1対5の間で耐性菌, 感受性菌のいずれにも最も強い抗菌力を示すと言われる6)。
    本剤の成人領域における基礎的, 臨床的研究成績は第29回日本化学療法学会総会において新薬シンポジウムとして討議され, その有効性と安全性が認められた1)。
    今回小児用製剤であるBRL 25000粒が小児科領域研究会において検討されたが, そのなかでわれわれが得た成績を報告する。
  • 中村 弘典, 堀 誠, 杉田 守正, 高橋 孝行, 黒須 義宇, 豊永 義清
    1985 年 38 巻 2 号 p. 373-413
    発行日: 1985/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Clavulanic acidは, 1977年READINGら1)がStreptomyces clavuligerusの代謝産物として発見したβ-Lactam抗生物質であるが, そのもの自身としては抗菌力が弱いため, 単独では抗菌剤としての臨床効果は望めないが, Penicillinase型β-Lactamase (PCase) と不可逆的に結合して, その酵素活性を阻害すると言われている2~4。一方, Amoxicillin (AMPC) は, 小児科領域でも広く外来にて用いられている経口広域性合成Penicillin系抗生物質であるが, 各種PCaseにより加水分解され, これらの酵素を産生する菌には無効であり, 現在, 小児科外来においてよく検出されるStaphylococcus aureus, Streptococcus pneumoniae, Haemophilus influenzae及びEscherichia coliの中に低感受性株が増加しているのも事実である。
    英国ビーチャム研究所では, 以上のことから, in vitro及びin vitroの検討を加え, CVAとAMPCを1: 2の割合で配合することにより, AMPC耐性の各種分離株に対する抗菌力が最も強くなり, 抗菌スペクトラムも拡大すると言う結謝こ達し, BRL 25000を開発した。
    今回, 我々はBRL 25000粒を使用する機会を得たので, 本剤について抗菌力, 血中・尿中濃度などの基礎的検討を行うと共に, 各種細菌感染症に使用したので, それらの成績について報告する。
  • 金田 一孝, 八森 啓, 南谷 幹夫
    1985 年 38 巻 2 号 p. 415-422
    発行日: 1985/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    BRL 25000は英国Beecham社研究所で開発されたβ-Lactamase阻害剤であるPotassium clavuianate (CVA) とAmoxicillin trihydrate (AMPC) を1: 2の割合で配合した合剤である。CVAの構造式はFig. 1のようで, 抗菌作用は弱く, 単独では抗菌剤として使用できないが, β-Lactamaseと不可逆的に結合してその活性を阻害する作用があり, CVAとAMPCとの併用によりAMPC耐性菌に対しても相乗的作用を示し, AMPCの本来の抗菌力を発揮1) させる特徴を有する。
    更にKlebsiella pneumonias, Bacteroides fragilis2, 3) にまで抗菌スペクトラムが拡大されたとされている。BRL 25000の抗菌力, 吸収, 排泄, 毒性などの基礎的検討の成果から, 成人領域における臨床研究は, 1980年3月から全国規模のもとに約1年間にわたつて行われた。本剤は錠剤 (1錠中AMPC 250mg, CVA 125mg含有) として成人1,460例に使用され, 評価に耐える全臨床領域1,408例での有効率は83.9%, 分離菌別細菌学的効果86.4%, AMPC耐性菌症例390例に対する有効率も75.9%であり, 副作用解析対象1,460例における副作用発現率は6.8%と発表4, 5) されている。
    更に各種感染症に対しBRL 25000とAMPCの二重盲検法による薬効比較試験が行われ, BRL 25000投与群の有効性が高い6) とされた。
    今回われわれは, 小児科領域における各種感染症に対しBRL 25000の分包粒剤を使用する機会を得たので, その成績を報告する。
  • 早川 文雄, 久野 邦義, 上田 佐智恵, 袴田 享, 中島 崇博, 宮地 幸紀
    1985 年 38 巻 2 号 p. 423-430
    発行日: 1985/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    BRL 25000は, 英国ビーチャム研究所で開発されたβ-ラクタマーゼ阻害剤であるクラプラン酸 (CVA) とアモキシシリン (AMPC) との1: 2の配合剤である。クラブラン酸が耐姓菌の産生するβ-ラクタマーゼと不可逆的に結合して, その活性を阻害することにより, アモキシシリン耐性菌に対しても感受性菌と同等の抗菌力を示すばかりでなく, クレブシエラ属, バクテロイデス属にまで抗菌スペクトルが拡大された1)。成人領域での本剤の使用成績は, 第29回日本化学療法学会総会で報告されている2)。今回, 我々は本剤を使用する機会を得たので, その結果を報告する。
  • 田吹 和雄, 高木 道生, 西村 忠史, 高島 俊夫
    1985 年 38 巻 2 号 p. 431-440
    発行日: 1985/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年抗生物質特にβ-Lactam系薬剤の開発はめざましいものがある。一方, 最近の感染症は, 宿主条件及び病原微生物の変化によつて生じた重症難治性感染症が増加しており, 化学療法もこのような状況下においては, 特に強力且つ適正な対応が望まれる。
    事実, β-Lactamase安定で, 強い抗菌力を示す抗生物質の開発はあざましく, すでに幾種ものものが実際臨床的使用の段階にあり, その評価も高い。
    この度, 英国ビーチャム社で開発されたBRL 25000は, β-Lactamase阻害剤であるPotassium clavulanate (CVA) とAmoxicillin trihydrate (AMPC) との1: 2の配合経口薬剤である。特にCVAは抗菌作用は非常に弱く, 単独では抗菌剤として使用することはできないが, 細菌の産生するβ-Lactamaseと不可逆的に結合して, その活性を阻害する作用がある1, 2)。従つてAMPCとの併用によりAMPC耐性菌に対して, 相乗的に作用して本来の抗菌作用を示すだけでなく, Klebsilla pneumoniae, Bacteroides fragilisにまで抗菌スペクトラムが拡大されるようになつた3, 4)。BRL 25000はすでに本邦において成人領域での評価が行われ, その有効性と安全性が確認されている4)。
    そこでこれらの成績をもとに小児科領域でも多施設共同で本剤に対する研究が開始され, 著者らもこの研究に参加し, 本剤の基礎的並びに臨床的検討を昭和58年6月~昭和59年1月まで行つたので, その成績について述べる。
  • 山下 文雄, 富永 薫, 田中 耕一, 石本 耕治, 冨田 尚文, 久田 直樹, 本廣 孝, 藤本 保, 古賀 達彦, 西山 亨, 島田 康 ...
    1985 年 38 巻 2 号 p. 441-480
    発行日: 1985/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    英国ビーチャム研究所で開発されたβ-Lactamase阻害剤であるPotassium clavulanate (CVA-K) 1) はFig. 1に示したような構造式を有し, その化学名はPotassium (Z)-(2R, 5R)-3-(β-hydroxyethylidene)-7-oxo-4-oxa-1-azabicyclo [3. 2. 0]heptane-2-carboxylateで, それ自体の抗菌作用は非常に弱いことから, 単独では抗菌剤として使用できない。しかし本剤は種々の細菌が産生するβ-Lactamaseと不可逆的に結合して, その活性を阻害することから, 既存のPenicillin系経口剤であるAmoxicinin (AMPC) との合剤すなわちBRL 25000が製剤化された。
    BRL 25000はCVA-KとAMPCが配合比1: 2からなる薬剤で, AMPC耐性菌に対し感受性菌と同等の抗菌力を示すばかりでなく, Klebsiella pneumoniae, Bacteroidessp. にまで抗菌スペクトルは拡大されており2~7), 本邦ではすでに第29回日本化学療法学会総会において新薬シンポジウムにとりあげられ, その基礎的検討及び成人での臨床評価が論じられたが8), 本剤をヒトに投与した場合の糞便内細菌叢に対する影響を検索した成績はない。
    そこで成人にBRL 25000と対照薬としてAMPCを経口投与し, 糞便内細菌叢の変動を観察, 両薬剤投与時における糞便中の各薬剤濃度を測定, 分離株のAMPC, CVA-K, BRL 25000に対する薬剤感受性を測定すると共に副作用を検討したのでその成績を報告する。
  • 市川 昭, 田中 地平, 浦部 大策, 小野 栄一郎, 田中 永一郎, 加藤 栄司, 山下 文雄, 江口 春彦, 坂本 博文, 松尾 宏, ...
    1985 年 38 巻 2 号 p. 481-506
    発行日: 1985/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年抗生剤の中でもCephem系, Aminoglycoside系の薬剤及び合成抗菌剤の開発がめざましく, Penicillin系薬剤 (PCs) は1歩遅れをとつているが, 既存のPCsとβ-Lactamase阻害剤との合剤が種々考案され, その最初として, Fig. 1に示したような構造式を有し, その化学名はPotassium (Z)-(2R, 5R)-3-(β-hydroxyethylidene)-7-oxo-4-oxa-1-azabicyclo [3. 2. 0] heptane-2-carboxylatoで, 一般名がClavulanic acid (CVA) であるβ-Lactamase阻害剤が英国ピーチャム研究所で開発1) され, PCsの経口剤であるAmoxicillin (AMPC) との合剤すなわちBRL 25000が製剤化された。
    BRL 25000はCVAとAMPCが配合比1: 2からなる薬剤で, AMPC耐性菌に対し感受性菌と同等の抗菌力を示すばかりでなく, Klebsiella pneumoniaeや嫌気性菌のBacteroides fragilisにまで抗菌スペクトルは拡大され2~7), 本邦ではすでに第29回日本化学療法学会総会の新薬シンポジウムでとりあげられ, その基礎的評価及び臨床面での有用性が論じられた8) が, 小児科領域での成績はない。
    そこで, 私たちは本剤の臨床分離株に対する抗菌力, 小児での体内動態, 種々の細菌感染症における臨床効果, 細菌学的効果及び副作用について検討したので, その成績を報告する。
  • 市川 昭, 田中 地平, 浦部 大策, 田中 永一郎, 加藤 栄司, 小野 栄一郎, 山下 文雄, 江口 春彦, 坂本 博文, 松尾 宏, ...
    1985 年 38 巻 2 号 p. 507-537
    発行日: 1985/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児の皮膚・軟部組織感染症の起炎菌はStaphylococcus areusによることが多く, Penicillin系薬剤では耐性ブドウ球菌用ペニシリンを除き, 耐性菌が多い。
    Clavulanic acid (CVA) は, 英国ビーチャム研究所で開発されたβ-Lactamase阻害剤1) で, Fig. 1に示したような構造式を有し, 化学名はPotassium (Z)-(2R, 5R)-3-(β-hydroxyethylidene)-7-oxo-4-oxa-1-azabicyclo [3. 2. 0] heptane-2-carboxylateで, それ自体の細菌に対する抗菌力は弱いが, 細菌の産生するβ-Lactamaseと不可逆的に結合し, その活性を阻害するので本剤とAmoxicillin (AMPC) との1: 2の配合剤すなわちBRL 25000が製剤化され, AMPC耐性のS. aureusにも抗菌力の増強が認められており2, 3), 成人におけるS. aureusの皮膚・軟部組織感染症に対し良好な臨床成績が報告4~6) されている。
    そこで, 私たちはBRL 25000の粒剤を小児の各種皮膚・軟部組織感染症に投与し, これらの症例から分離したS. aureusの薬剤感受性を測定すると共に, 臨床効果及び副作用を検討したのでその成績を報告する。
  • 1985 年 38 巻 2 号 p. 538-541
    発行日: 1985/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
  • 1985 年 38 巻 2 号 p. 542-544
    発行日: 1985/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
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