産婦人科領域の感染症10例に対し, Cefodizime (CDZM) の点滴静注投与 (2~4g/日) による臨床効果を検討し, 以下の成績を得た。
1. 子宮内感染5例 (産褥子宮内膜炎3例, 子宮内膜炎1例, 産褥熱1例), 骨盤内感染2例 (骨盤死腔炎1例, 子宮旁結合織炎1例), 外性器感染3例 (バルトリン腺膿瘍3例) の計10例に対する臨床効果は, 著効3例, 有効6例, 無効1例で9例/10例 (90%) に有効率を認めた。
2. 細菌学的効果では, 菌陰性化3例, 菌交代2例, 菌減少1例, 菌出現1例, 不明3例であった。
3. 本剤投与による自他覚的副作用及び臨床検査値の異常は認められなかった。
新しく開発されたCephem系抗生物質の一つであるCefodizime (CDZM) はCephalosporin骨格の7位にはCefbtaximeと同様の基を有するが, 3位にThiazolylthiomethyl基を新たに有することにより, 半減期が延長し, Disulfiram様作用がなく, 血液凝固系へ影響を与えない物質と言える。
本剤の抗菌スペクトルは, 広域でEnterobacteriaceaeをはじめ,
Streptococcus pyogenes, Streptococcus pneumoniae, Haemophflus influenzaeなどに対し強い抗菌力を有し, 組織移行性も優れ, 血中半減期は2~25時間と報告されている1)。
すでに臨床第II相試験の産婦人科領域での報告でも, 50例の各種感染症に対する臨床効果で44例/50例 (88.0%) に, 又, 分離菌別臨床効果で88.6%を認めている。今回, 我々は本剤の臨床試験に関する全国研究会に参加し,臨床的有用性を検討する機会を得たのでその成績を報告する。
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