The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
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43 巻, 7 号
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  • 本廣 孝, 吉永 陽一郎, 佐々木 宏和, 織田 慶子, 荒巻 雅史, 川上 晃, 田中 耕一, 古賀 達彦, 島田 康, 冨田 尚文, 阪 ...
    1990 年 43 巻 7 号 p. 1183-1213
    発行日: 1990/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたCephem系の注射用抗生物質であるCefbdizime (CDZM) を23歳から28歳, 平均24歳, 体重54-73kg, 平均64kgの健康男性8例を各々4例ずつに1,000mg及び2,000mgを1日2回, いずれもワンショット静注で5日間投与し, 糞便内細菌叢に対する影響と糞便中濃度を測定, 同じ糞便から分離した種々の細菌に対するCDZM, Cefmetazole, Cafotadme (CTX), Cefbperazoneの薬剤感受性を測定すると共に副作用と種々の臨床検査値への影響を検査したところ, 次のような結果を得た。
    1.1,000mg1日2回投与群の糞便内細菌叢では投与開始3日後におけるEnterobacteriaceaeの検出例は2例減少し, 個々の菌種についてみた場合でも, 減少か検出限界以下 (102cells/g以下) のもめが多く, 投与開始5日後すなわち投与終了後のEnterobacteriaceaeも同様の傾向を示し, その後菌数は増加し, 投与終了10日後のEnterobacteriaceaeの平均菌数は投与開始日の平均菌数と同台にまで回復したが, 個々の菌種でみた場合には投与開始前の菌数に回復しないものもあつた。その他のグラム陰性桿菌では1例でPseudomonas sp. が投与開始3日後一過性に菌数が増加したが, その後は減少傾向にあつた。グラム陽性菌では一定の変化は示さなかつた。Yeasthkeorgallism (YLO) は投与3日後から投与終了3日後まで平均菌数の増加がみられたが, 投与終了10日後には減少した。嫌気性菌中Bacteroides fragilis group と総嫌気性菌数は特徴的な変化はなかつた。Clostridium difficile は2例から分離され1例は投与開始日, 投与開始3日後, 投与終了3-20日後1.1×103-2.0×106cells/g域を示し, 他の1例は投与終了20日後に1.8×105cells/g検出された。D-1toxinは投与開始前1例, 投与開始3日以後3例から250ng/gか500ng/g検出された。
    2,000mg1日2回投与群の4例ではEnterobacteriaceaeは投与開始3日後, 投与開始5日後 (投与終了日), 投与終了3日後は減少か検出限界以下例が多く, 個々の菌種についても同様で, 1,000mg1日2回投与群より影響は大で, その後菌数は漸次増加し, 投与終了20日後のEnterobacteriaceaeの平均菌数は投与開始日の平均菌数と類似の菌数にまで回復したが, 個々の菌種でみた場合には投与開始前の菌数に回復しないものもあつた。その他のグラム陰性桿菌, グラム陽性菌では特徴的な変化はなかつた。YLOは投与開始3日後, 投与開始5日後 (投与終了日), 投与終了5日後で菌数の増加がみられ, その後漸次投与開始前の菌数にまで回復した。嫌気性菌中B. fragilis group は投与開始3日後にやや減少傾向を示した例があり, 総嫌気性菌数では特徴的な変化はなかつた。C.difficileは2例から検出され, 1例は投与開始前3日, 投与開始日, 投与開始3日後にそれぞれ1.3×105, 1.0×104, 30×104cells/g分離され, 他の1例は投与終了5, 10, 20日後にそれぞれ1.3×106, 4.0×106, 1.0×107cells/g検出された。D-1toxinは投与開始前1例, 投与開始以後2例から250-1,000ng/g検出された。
    2.Bioassay法による糞便中濃度は1,000mg1日2回投与群中3例で投与開始3日後, 投与開始5日後 (投与終了日) で測定でき1.5-2,025μg/g域, 2,000mg1日2回投与群では4例で投与開始3日後, 投与開始5日後 (投与終了日), 投与終了3, 5日後のいずれかで判定でき, 0.8-4,195μg/g域を示し, 高速液体クロマトグラフィー (HPLC) 法による濃度と著しい違いはなかつた。
    3.本剤投与例の糞便から検出された種々の細菌の接種菌量108, 106cells/mlに対するCDZMのMICはグラム陽性球菌, グラム陰性桿菌共に菌種にもよるがCTXのMICと著しく差があるとは言えなかつた。
    4.副作用は1,000mg投与群に腹痛・下痢1例, 2,000mg投与群に下痢1例を認めたが各々投与終了翌日, 4日後に治療せずに消失し, 重篤なものではなかつた。臨床検査値の異常値はすべてのCaseに認められなかつた。
  • 微量液体希釈法を応用した成績
    出口 浩一, 横田 のぞみ, 古口 昌美, 中根 豊, 福島 よし子, 深山 成美, 石原 理加, 小田 清次, 田中 節子, 佐藤 久美子
    1990 年 43 巻 7 号 p. 1214-1224
    発行日: 1990/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    臨床分離株のβ-ラクタマーゼ産生株を対象にSulbactam (SET) とAmpicimn (ABPC), SBTとCefoperazone (CPZ) の抗菌協力作用, すなわち, SBTのβ-ラクタマ-ゼ阻害効果を, 微量液体希釈法 (Microdilution brothmethod) を応用した方法で多数株を検討した。
    1. Staphylococcus aureus, Branhamella catarrhalis, Haemophilus influenzae, Escherichia colt, Klebsiella pneumoniaeのβ-ラクタマーゼ産生株はAcidimetry disc methodの基質の一つであるBenzylpenicmin (PCG) を分解して強い反応を示し, もう一方の基質であるCefazolin (CEZ) は非分解で陰性であることから, これらの菌種の産生するβ-ラクタマーゼは主にPenicillihase (PCase) であることを強く示唆していた。
    そして, これらPcase産生を示唆する臨床分離株に対するABPC, CPZのMIC分布はSET0.025-0.39μg/mlの存在下において, MIC値が1/4以下に低下した。
    2. Proteus vulgaris it Acidimetry disc method のCEZに強く反応し, PCGにも大部分が反応を示すことから, P. vulgaris の産生するβ-ラクタマーゼは, Oxyiminocephalosporinase (CXase) を示唆していた。そして, P. vulgaris に対するABPC, CPZのMIC分布はSBT0.20-0.39μg/mlの存在下において, MIC値が1/4以下に低下した。
    3. Pseudomonas aeruginosa it Acidimetry disc method のCEZに全株が強い反応を示し, 56%の株がPCGにも反応したが, 前者すなわちCEZに反応したβ-ラクタマーゼは構成型のCEPase, 後者のPCGにも反応するβ-ラクタマ-ゼはP. aeruginosa に伝達されたプラスミド由来のβ-ラクタマーゼであることを示唆していた。
    そして, P. aeruginosa に対するCPZのMIC分布はSBT1.56μg/mlの存在下において, MIC値が1/2程度に低下した。
    4.これらの検討結果から, SBTとABPC, SBTとCPZの抗菌協力効果は主としてPCase産生株, CXase 産生株に対しては, 従来報告されていた濃度域よりも, 更に低濃度のSET存在下において, 両者の協力効果が発揮されることを示唆していた。
  • 千村 哲朗, 斉藤 憲康, 森崎 伸之, 舟山 達
    1990 年 43 巻 7 号 p. 1225-1229
    発行日: 1990/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    腹式子宮全摘術を施行し, 術後感染予防の目的で投与したAztreonam (AZT) の腟内細菌叢への影響を検討し以下の結果を得た。
    1.AZT投与群 (n=48) を対象とし, 術前, 術後7日目, 術後14日目の腟内分離菌を検出した。なお, 対照のCephalothin (CET), Cefamandole (CMD), Latampxef (LMOX) の各投与時の結果と比較検討した。
    2.AZT投与群での腔内分離菌は術前後を通じて好気性グラム陽性菌の検出率が高く (68.8-81.4%), 好気性グラム陰性菌, 嫌気性菌の検出率は低い。
    3.腟内分離菌の術前後の変動を各投与群で比較すると, 好気性グラム陽性菌の増加率はLMOX>AZTを, 好気性グラム陰性菌の減少率はLMOX>AZT>CMDを示した。嫌気性菌の変動率はAZT及びCMD共に類以したパターンを示した。Candida sp. の増加率はLMOX>CET>CMD>AZTであった。
  • 青山 道彦, 加藤 秀平, 児玉 逸雄, 外山 淳治, 渡辺 俊彦, 川音 晴夫, 浅岡 宏康, 暮部 勝
    1990 年 43 巻 7 号 p. 1230-1237
    発行日: 1990/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Anthracycline系制癌剤であるDoxorubicin (ADR) あるいはME2303をラット静脈内に投与して心臓への影響をin vivoの系で検討した。
    動物は5週齢のSprague-Dawley系雌ラット (SPF) を用い, ME2303は3mg/kg及び9mg/kg, ADRは3mg/kgを1週間に1回の間隔で計3回, 尾静脈内へ投与した。その結果, ADR投与では体重増加の抑制, 摂餌量の減少及び摂水量の増加がみられ, 心臓の光学顕微鏡観察でも少数例に限局性の壊死や細胞浸潤, 心筋線維の浮腫や配列の乱れ等の変化がみられた。しかし, ME2303投与では9mg/kg投与で摂餌量の減少がみられた以外に著変はなかつた。又, 摘出潅流心の左室心機能に対する影響はADR及びME2303共になかったが, ADR投与では最終投与の1週間後においても心臓に133ng/g程度のADRが検出され, ADRでは更に長期間観察すれば左室機能抑制や心病変が発現することも十分考えられた。
    以上の結果から, ME2303のラットに対する心毒性は in vivo の実験でもADRより弱いことが示唆された
  • 門田 利人, 近藤 博志, 近沢 弘隆, 河野 茂生, 黒柳 幸司, 太田 敏, 石川 克己, 甲斐 修一, 河村 寿, 高橋 紀光, 舟橋 ...
    1990 年 43 巻 7 号 p. 1238-1242
    発行日: 1990/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    In order to investigate the single dose oral toxicity of BMY-28100 in juvenile animals, the drug was administered in single doses to 4-day-old and 14-day-old Crj: CD (SD) rats of both sexes at a dose of 2,000 mg/kg, and to 4-week-old beagle dogs of both sexes at doses of 500, 1,000 and 2,000 mg/kg by oral route.
    The results obtained are summarized as follows:
    1. In rats, decreases of the body weight gain were observed for male and female rats treated with the drug on postnatal day 4 through 5 days and 3 days after dosing, respectively. There were no apparent drug-related toxic signs. No deaths occurred during the observation period. Enlargement of the cecum was found in a few rats of both sexes administered the drug on postnatal day 4 or 14.
    2. In dogs, watery-mucous diarrhea observed at 2 to 3 hours after dosing in all dose groups was not dose-related. This finding lasted in some dogs till 4 days after dosing. An increased incidence of emesis was induced in all males at 2,000 mg/kg and all females of all dose groups except one female at 2,000 mg/kg.Body weights increased normally for all dogs, but one male at 1,000 mg/kg showed a transient decrease in food consumption. No drug-related histopathological changes were found.
    Based upon these results, BMY-28100 at 2,000 mg/kg induced no apparent toxic changes in the present experimental conditions. Therefore, the single dose oral toxicity of the drug in juvenile animals appeared to be very slight and generally similar to that in adults. The lethal doses were more than 2,000 mg/kg in juvenile rats and dogs.
  • 門田 利人, 近藤 博志, 近沢 弘隆, 河野 茂生, 黒柳 幸司, 太田 敏, 石川 克己, 甲斐 修一, 河村 寿, 高橋 紀光
    1990 年 43 巻 7 号 p. 1243-1259
    発行日: 1990/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    非エステル型の経口用のセフェム系抗生物質BMY-28100の安全性評価の一環として, 幼若動物における毒性を検討する目的で, 生後4日の雌雄Crj: CD (SD) ラットに1日250,750, 1,500mg/kgの3用量で4週間反復経口投与試験を実施し, 以下の結果と結論を得た。
    1.750mg/kg及び1,500mg/kg群で軟便又は下痢と関連する所見と考えられる肛門周囲の汚れが認められ, 出現頻度は用量依存的であった。750mg/kg及び1,500mg/kg群で食殺を含む3例の死亡がみられたが, いずれも投与過誤によるものと考えられた。
    2.投与期間初期に, 750mg/kg及び1,500mg/kg群で軽度な体重増加の抑制が認められた。
    3.投与期間後期及び回復期間に主として1,500mg/kg群で摂餌量及び飲水量の軽度な増加がみられたが, 偶発的変動で本薬投与との関連はないと思われた。
    4.血液化学的検査の数項目で軽度な増加又は減少がみられたが, いずれも正常範囲内の変動と判断された。又, 血液学的検査及び尿検査では本薬投与に関連すると思われる明らかな変化はなかった。
    5.1,500mg/kg群の雄で脳, 胸腺, 肺, 肝臓の絶対及び, 又は相対重量の減少がみられたが, 光学顕微鏡的病理組織検査ではこれらの器官に異常所見は認められなかったため, 毒性学的に意義ある変化とは判断されなかった。
    6.病理組織学的検査で盲腸の拡張が用量依存的に認められた。本変化は一般に抗生物質を投与した動物で報告されており, 腸内細菌叢に対する影響と考えられ, 可逆的変化とされている。なお, 光学顕微鏡的病理組織検査において, 盲腸の変化以外では本薬投与に起因すると思われる異常所見はなかった。
    7.電顕的病理組織検査でも1,500mg/kg群の肝臓, 腎臓で本薬投与に起因すると思われる異常所見はなかった。
    以上の成績に基づき, 雌雄幼若ラットにBMY-28100を4週間反復経口投与した場合の無影響量は, 盲腸の変化を除外して, 250mg/kg/日と推定された。
  • 舟橋 紀男, 清水 憲次, 森 洋, 秋江 靖樹, 小林 幸子, 小林 吉彦, 渡辺 雄二, 石塚 進, 長沢 和毅, 寿 愛子, 楯 美樹 ...
    1990 年 43 巻 7 号 p. 1260-1274
    発行日: 1990/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    非エステル型の経口用のセフェム系抗生物質BMY-28100の安全性評価の一環として, 幼若動物における毒性を検討する目的で幼若ビーグル犬に1日50,160mg/kg及び500mg/kgの3用量で4週間反復経口投与し, 対照群及び500mg/kg群についてはその後4週間休薬させ回復性の検討を行い, 以下の結果と結論を得た。
    1.一般状態において, 投与期間中に500mg/kg群で嘔吐の発現頻度が高かった。
    2.投与期間終了時の剖検において, BMY-28100投与各群で盲腸の内容物増加による膨満が散見されたが, 内容物を除去した盲腸自体には肉眼的・病理組織学的には変化はみられなかった。又, 500mg/kg群の雌雄各1例で胸骨骨髄細胞の減少, 雄の同例で胸腺萎縮が認められた。
    3.休薬期間中には, 全例にEMY-28100投与による影響は認められなかった。
    以上の結果から, 本試験におけるEMY-28100の無影響量は, 盲腸に対する影響を除いては160mg/kg/日と推定された。
  • 河野 茂生, 河村 寿, 太田 敏, 高橋 紀光
    1990 年 43 巻 7 号 p. 1275-1288
    発行日: 1990/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    セフェム系抗生物質BMY-28100及びCefepimeの免疫学的性質についてCephalexin (CEX), Cephalothin (CET), Cefazolin (CEZ) 及びBenzylpenicmin (PCG) と比較検討し, 以下の成績を得た。
    1.BMY-28100及びCefepimeは免疫原性及び誘発原性ともCET及びPCGより弱く, CEXとほぼ同程度であった。
    2.BMY-28100及びCefepimeはCEX, CET及びPCGとの間に免疫学的交差反応性をほとんど示さなかった。
    3.BMY-28100のクームス陽性化作用はCETより弱く, CefepimeのそれはCET, PCGより弱くCEZと同程度であった。
    以上のように, 本実験条件下ではBMY-28100及びCefepimeとも免疫学的活性が比較的低いと結論される
  • 後藤 新, 天野 学, 酒井 篤子, 原 美奈子, 高橋 紀光
    1990 年 43 巻 7 号 p. 1289-1309
    発行日: 1990/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新規半合成経口セファロスポリンBMY-28100の一般薬理作用について検討し, 以下の結果を得た。
    1.BMY-28100はマウス, ラットの一般症状, 中枢神経系及びウサギの自発脳波活性に対する作用を有しなかった。
    2.BMY-28100はラット, モルモット, ウサギから摘出した各種平滑筋, ネコの神経節の節伝達に影響を及ぼさなかった。
    3.BMY-28100はモルモットの摘出心房あるいは摘出心臓に対して明らかな作用を示さず, ウサギの循環器におけるいくつかのパラメータにも影響を及ぼさなかった。
    4.消化器系において, BMY-28100はマウスの小腸炭末輸送能に影響を及ぼさなかつたが, ラットの胃液分泌を125mg/kg以上の用量で減少させ, 又, 500mg/kgの用量で胆汁分泌を亢進させた。
    5.BMY-28100はウサギの神経筋伝達に対して作用せず, モルモットにおいて局所麻酔作用を示さなかった。
    6.EMY-28100はラットの尿量及び尿中への電解質排泄を一時的に減少させた。又, ラットにおけるSulfobromophthalem (BSP) 排泄の抑制が最高用量で認められた。
    7.BMY-28100はラットあるいはウサギの血液凝固, 赤血球抵抗性に対し作用しなかった。
    8.BMY・28100のtrans-異性体BMY-28167について胃液分泌作用, 利尿作用及びESP排泄能に及ぼす影響を検討したところ, 作用が認められないか作用が認められてもBMY-28100に比べて弱いものであった。
    従って, BMY-28100は臨床使用に際して重篤な有害反応に結び付く薬理学的性質をほとんど有しないと考えられる。
  • 中名生 宏, 石川 清康, 江角 凱夫, 高市 松夫, 神 義容, 郡司 忍, 石川 久子, 園部 順子
    1990 年 43 巻 7 号 p. 1310-1324
    発行日: 1990/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    14C-BMY-28100をラット及びサルに投与し, その体内動態を検討した。
    1.ラットに20mg/kg経口投与すると, 投与後1時間に最高血液中濃度6.30μg equiv./mlに達し, 以後2相性で消失した。AUCは37.0μg equiv.・hr/mlで, 静脈内投与時の97%を示し, 消化管からの吸収は良好であつた。
    2.サルに20mg/kg経口投与すると, 投与後3時間に最高血液中濃度426μg equiv./mlに達し, 以後ラットと同様に2相性で消失した。AUCは38.9μg equiv.・hr/mlでラットと同等であつた。
    3.20mg/kg経口投与した時の尿中排泄率及び糞中排泄率は, それぞれラットで60.9%, 38.1%, サルで40.3%, 51.2%であつた。
    4.ラットにおいて, 食餌により吸収速度の遅れが認められたが, 吸収量はほとんど一定であつた。
    5.ラットに経口で20, 60mg/kg投与すると吸収率はほぼ同程度であつたが, 200mg/kg投与すると, 明らかな吸収率の低下が認められた。
    6.ラットに20mg/kg経口投与した時の胆汁中排泄率は28.5%で, その39%が小腸から再吸収された。
    7.雌雄ラットに20mg/kg経口投与した時の, 吸収, 排泄はほぼ同等で, 性差は認められなかつた。
    8.ラットに20mg/kg経口投与した時, 放射能は速やかに全身に分布し, 消化管, 腎臓, 膀胱, 動脈, 肝臓に高濃度検出された。消失はいずれの組織においても速やかであつた。全身オートラジオグラムにおいても同様の分布を示し, 投与後30分, 1, 6, 24時間では動脈, 筋膜, 脊髄弓間靱帯に高い分布が認められた。
    9.In vivoにおける蛋白結合率はラットで56.8-73.5%, サルで36.3-58.6%を示し, 共に経時的に上昇した。In vitroでの蛋白結合率は薬物濃度0.4-50μg/mlでラットでは50.0-54.7%, サルでは32.3-35.0%, ヒトでは33.4-36.3%であつた。
    10.ラット血漿中での安定性試験の結果, 14C-EMY-28100は徐々に分解し, 極性の高い分解物が生成された。未変化体残存率は37℃, 8時間で53.2%, 24時間で5, 9%であった。
  • 中名生 宏, 石川 清康, 江角 凱夫, 高市 松夫, 神 義容, 郡司 忍, 石川 久子, 園部 順子
    1990 年 43 巻 7 号 p. 1325-1334
    発行日: 1990/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    14C-BMY-28100をラットに20mg/kg単回経口投与した時の胎仔移行性及び乳汁移行性と, 連続経口投与した時の体内動態を検討した。
    1. 妊娠18日目のラットにおける胎仔組織内濃度は投与後6時間に最高濃度を示したが, 最も高値を示した胎仔腎臓においても0.56μg equiv./gと低い値をとり, 胎仔移行性は低かった。又, 妊娠12, 18日目のラットにおける全身オートラジオグラムも同様の成績を示した。
    2. 乳汁中濃度は投与後1時間で最高濃度0.60μg equiv./mlを示したが, これは血漿中濃度の10%と低値で以後漸減した。
    3. 連続投与後24時間の血液中濃度は投与回数と共に上昇し, 最終 (21回) 投与後は単回投与時の3.8倍に達した。最終 (21回) 投与後24時間の組織内濃度は単回投与と同様, 動脈, 腎臓, 大腸に高濃度認められたが, それぞれの上昇率は1.7, 3.662.9倍と血液における上昇率よりも低値であった。尿, 糞中排泄率は2回投与以後ほぼ一定であった。
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