The Japanese Journal of Antibiotics
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47 巻, 4 号
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  • 斎藤 厚
    1994 年 47 巻 4 号 p. 309-332
    発行日: 1994/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Levofloxacin (LVFX,(-)-(S)-9-Fluoro-2, 3-dihydro-3-methyl-10-piperazinyl)-7)oxo-7H-pyrido [1, 2, 3-de][1, 4]-benzoxazine-6-carboxylic acid hemihydrate)は, ラセミ体であるOfloxacin (OFLX) の一方の光学活性S-(-) 体であり, OFLX同様第一製薬株式会社において創製され, 1985年に公表されたニューキノロン系抗菌剤である (Fig. 1)。
    LVFXはOFLXの活性本体として, 嫌気性菌を含むグラム陽性菌およびグラム陰性菌いずれの菌種に対しても, OFLXのほぼ2倍の抗菌活性を示す1~3)。一方, 本剤経口投与後の体内動態はOFLXに近似し, また, 体内での立体異性化も認められない。毒性についてはOFLXと同質, 同程度かやや弱い。本剤は, これらの基礎的特徴を反映し, 臨床試験においてOFLXの半量の経口投与で同程度の治療効果と副作用の軽減を示すことが認あられている。また, 安全にOFLXと同量まで増量ができ, 難治症例に対する治療効果の増強が示唆されている。
    以下4に本剤の基礎成績, 臨床成績について概説する。
  • 石引 久彌, 嶋田 甚五郎
    1994 年 47 巻 4 号 p. 333-340
    発行日: 1994/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
  • 島田 馨, 小林 寛伊
    1994 年 47 巻 4 号 p. 341-348
    発行日: 1994/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
  • 清水 喜八郎, 山口 恵三
    1994 年 47 巻 4 号 p. 349-356
    発行日: 1994/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
  • 大久保 豊司, 岡本 了一, 伊豫部 志津子, 高橋 綾子, 四方田 幸恵, 井上 松久
    1994 年 47 巻 4 号 p. 357-364
    発行日: 1994/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1990年分離Staphylococcus aureusの薬剤耐性の割合はベンジルペニシリン耐性が93.6%と最も高く, 次いでカナマイシン耐性51.5%, エリスロマイシン耐性49.0%, ゲンタマイシン耐性45.1%, キノロン剤耐性33.4%及びミノサイクリン耐性12.3%の順であった。これらの薬剤耐性を示す菌のほとんどがメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) であり, それらは同時に多剤耐性であった。
    MRSAの年次別推移をみると, MRSAは1981年以降増え, 1981年の分離率は18.9%, 1990年44.8%であった。一方, メチシリン感受性黄色ブドウ球菌 (MSSA) から検出される薬剤耐性菌の割合は年と共に著しく減少していた。
    MRSA及びMSSAのファージ型別を行ったところ, 100×RTD (Routine Test Dilution) でのその割合はそれぞれ73%, 86%が型別され, ファージ型別された菌のうちファージ感受性はIII群と混合群がMRSAで76%であり, MSSAの場合でも60%の割合を占めていた。
  • 出口 浩一, 横田 のぞみ, 古口 昌美, 鈴木 由美子, 深山 成美, 石原 理加, 小田 清次, 田中 節子, 中根 豊, 福本 寅雄
    1994 年 47 巻 4 号 p. 365-382
    発行日: 1994/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1990年1月~9月, 及び1993年1月~9月において当所で検出した主として外来患者由来臨床分離株を対象とし, cefuroxime (CXM) の抗菌活性を知る目的で, 他のセフェム系薬剤などを加えた最小発育阻止濃度を測定して, 以下の結果を得た。
    1. 対象としたStaphylococcus spp., Streptococcus pyogenes, Escherichia coli, Klebsiella spp., Proteus mirabilis, Haemophilus influenzae, Moraxella subgenus Branhamella catarrhalis, Neisseria gonorrrhoeae Peptostreptococcus spp.Propionibacterium acnes のMIC80は, 1980年代前半におけるCefuroxime axetil (CXM-AX) に関する諸家の報告と同等もしくは低値だつたが, Streptococcus pneumoniaeのそれはやや上昇していた。
    2. CXMと対照薬剤のMIC90には, 近年に登場してきた「新規の耐性菌」の値が反映していた。すなわち, Benzylpenicillin (PCG)-insensitive S. pneumoniae (PISP), セフェム耐性E. coli, セフェム耐性Klebsiella spp., ニューキノロン耐性H. influenzae及びN. gonorrhoeaeなどがそれである。そして, Methicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA)は市中感染症からも検出されており, そこで検出されているMRSAの性状からは, 市中においては引き続きMRSAが新生されている状況が示唆された。
    3. 過去における多剤耐性菌の増加は, 市中感染症患者由来株にもその兆候がMIC90に現れていたことから, 臨床分離株の経年的抗菌活性に関する検討とそこに示される結果はMIC90が大切である。
    4. 近年に検出した臨床分離株に対するCXMの抗菌活性には, 上記の問題点が残る。しかし, CXMの対照薬剤を含むMIC測定結果からは, Staphylococcus spp., Streptococcus spp., H. influenzaeに対するCXMの抗菌活性が相対的に強いことが示唆されたことから, CXM-AXは1990年代に入った今日においても, 臨床的な有用性が期待できる経口抗菌性物質の一つである。
  • 藤井 良知, 阿部 敏明, 田島 剛, 寺嶋 周, 目黒 英典, 佐藤 肇, 新納 憲司, 鈴木 博之, 豊永 義清, 中村 弘典, 砂川 ...
    1994 年 47 巻 4 号 p. 383-408
    発行日: 1994/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しく開発された経口ペネム剤SY5555のドライシロップおよび錠剤について小児科領域における体内動態及び臨床的検討を実施し, 以下の成績を得た。
    1. 吸収排泄試験成績小児64例にSY5555ドライシロップ, 1回3mg/kg (以下投与量はすべて力価表示) 食後, 5mg/kg及び10mg/kg空腹時あるいは食後投与時, 1回15mg/kg食後投与時の体内動態を検討した。
    SY55553mg/kgを食後投与時のCmaxは033μg/ml, T1/2は0.95時間, 5mg/kgを空腹時あるいは食後投与時のCmaxはそれぞれ2.09±1.25μg/ml, 1.21±0.70μg/ml, T1/2は1.20±1.07時間, 1.33±0.90時間, 10mg/kgを空腹時あるいは食後投与時のCmaxはそれぞれ2.96±1.89μg/ml, 2.45±1.37μg/ml, T1/2は0.89±0.43時間, 1.17±0.53時間, 15mg/kgを食後投与時のCmaxは4.30±2.15μg/ml, T1/2は0.82±0.09時間であつた。3mg/kg, 5mg/kg, 10mg/kgおよび15mg/kg投与間にはほぼ用量相関が認められた。0~6時間の尿中排泄率は, 3mg/kg食後投与で1.71%, 5mg/kg空腹時投与で4.13±1.40%, 食後投与で4.17±3.29%, 10mg/kg空腹時投与では6.02%, 食後投与では4.64±2.81%, 15mg/kg食後投与では7.97%であった。
    2. 臨床試験成績
    総症例数627例 (ドライシロップ投与例614例, 錠剤投与例13例) から除外・脱落の113例 (ドライシロップ投与例108例, 錠剤投与例5例) を除いた514例 (ドライシロップ投与例506例, 錠剤投与例8例) を有効性解析対象例とした。
    まず, 以下ドライシロップ投与例について述べる。
    1回投与量は5~10mg/kgを中心に, 主として1日3回経口投与され, 1日投与量は15mg/kgを中心とする12mg/kg以上18mg/kg未満が全症例の46.6%を占め最も多かった。
    臨床効果は起炎菌判明例301例において93.0%の高い有効率が得られた。起炎菌不明例205例の有効率は92.7%であり, 両群を合計すると, ドライシロップ投与例506例の有効率は92.9%であった。1日投与量別では12mg/kg以上18mg/kg未満投与の有効率は945%で, 18mg/kg以1.27mg/kg未満投与の91.7%, 27mg/kg以上33mg/kg未満投与の91.3%と比較して遜色なかった。
    細菌学的効果は82.3%の菌消失率であつた。
    3日以上続けた先行化学療法が無効であつた62例のうち本剤投与により有効以上と判定された症例は56例, 有効率90.3%であり, 菌消失率は72.4%であつた。
    副作用は安全性解析対象例566例中36例 (6.4%) に認められたが, その大部分は一過性の下痢または軟便 (32例5.7%) であり, 重篤なものはなかった。
    臨床検査値の異常変動としては好酸球増多, GOT上昇, GPT上昇などがみられたが, 従来のセフェム剤と同程度の出現率であり, 重篤なものはなかった。
    服用性については, 「のめない」は1例もなく, 「のみにくい」は0.7%のみであり, 「非常にのみやすい」または「のみやすい」と評価された割合が58.3%と高く, 本ドライシロップは小児用経口抗生剤としては服用しやすい薬剤に属すると考えられる。
    錠剤は1日15.8mg/kg~24.5mg/kg分3または分2投与し, 8例中7例が有効以上, そのうち起炎菌が判明した3例についてはいずれも著効かつ起炎菌も除菌されており, ドライシロップと同様の高い効果が得られた。副作用および臨床検査値異常変動は全く認められなかった。
    以上の成績から, 本剤は1日標準量として1回5mg/kg, 1日3回, 3~14日間投与, 症状により用量を適宜増減 (但し成人1日最大量1,200mgを越えない) し, 中等症までの小児市中感染症に対して有用な薬剤であると考えられる。
  • 本廣 孝, 半田 祥一, 山田 秀二, 沖 眞一郎, 吉永 陽一郎, 佐々木 宏和, 荒巻 雅史, 織田 慶子, 阪田 保隆, 加藤 裕久, ...
    1994 年 47 巻 4 号 p. 409-427
    発行日: 1994/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しい経口Cephem系抗生物質Cefditoren pivoxil (CDTR-PI, ME1207) の粒剤を小児感染症例に投与し, 臨床分離株に対する抗菌力, 体内動態, 有効性及び安全性について検討したところ, 次のような成績が得られた。
    1. 薬剤感受性試験ではCDTR-PI投与症例から分離された5菌種30株を対象としてStaphycoccus aureusにはCefaclor, Cefixime, Cefteram, Cefotiam, Cefpodoxime, Methicillin(DMPPC) の6剤とCefditoren (CDTR) の計7薬剤, その他の4菌種はDMPPCを除く6薬剤についてMICを測定した。CDTRにおけるMICはグラム陽性球菌でS.aureus(16株)0.78~100μg/ml以上, Streptococcus pyogenes pyogenes(5株)0.025μg/ml以下, Streptococcus pneumoniae(2株)0.10μg/mlか0.39μg/mlで, 従来のCephem系抗生物質及びDMPPCと同等以上で, グラム陰性桿菌ではHaemophilus influenze(3株)0.025μg/ml以下, Escherichia coli(4株)0.10μg/mlか0.20μg/mlで, グラム陽性球菌と同じく, 従来のCephem系抗生物質と同等以)上であつた。
    2. CDTR-PI粒剤を1例に3.0mg/kg, 2例に6.0mg/kgを食後30分に経口投与してのCDTRの血漿中濃度は, 前者では投与4時間後, 後者では投与1時間後か投与2時間後に最高濃度を示し, 各々1.91, 346, 4482μg/ml, 半減期は前者では1.01時間, 後者ではそれぞれ0.81, 0.88時間, AUCは各々8.62, 9.89, 13.52μg・hr/mlで, 最高濃度において両投与群間に用量依存性があり, AUCでも6.0mg/kgの1例を除くとその傾向がうかがわれた。
    3. 血漿中濃度を測定した同一症例における尿中濃度は320mg/kg投与の1例では投与後4~6時間, 6.0mg/kg投与の2例は投与後4~6時間か投与後2~4時間が最も高い濃度で, それぞれ126.0, 195.0, 234,0μg/ml, 投与後8時間までの回収率は各々18.2, 24.6, 21.3%であつた。
    4. 臨床効果は13疾患53症例中著効は32例60.4%, 有効は21例39.6%とすべて有効以上で, 極めて優れた成績を示した。
    5. 細菌学的効果は5菌種30株中29株96.7%が消失し, 非常に優れた成績であった。
    6. 副作用は54症例について検討でき, いずれの症例も出現がみられなかつた。
    7. 臨床検査値では末梢血の好酸球増多が29例中3例10.3%, GOTの異常十昇が17例中1例5.9%に出現した。
  • 千村 哲朗, 平山 寿雄, 阪西 通夫, 小田 隆晴, 斎藤 憲康, 沼崎 政良
    1994 年 47 巻 4 号 p. 428-439
    発行日: 1994/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    婦人科領域の悪性腫瘍患者の化学療法後に発生した深在性真菌症及び不明熱を対象とし, Miconazole (MCZ) とG-CSFの併用療法の臨床的検討を行った。
    1. 真菌感染症 (真菌血症, 消化管真菌症, 呼吸器真菌症) 7例を対象とし, G-CSF 100~250μg/日とMCZ400~800mg/日, 各種抗生物質併用時 (1群) の有効率は3/3であった。また, MCZ 200~1,200mg/日と各種抗生物質投与群 (III群) ではやや有効2/4であった。真菌消失率は3/5であった。
    2. 不明熱群 (n=8) に対し, MCZ 400~800mg/日とG-CSF 100~250μg/日, 各種抗生物質投与時 (II群) の有効率は4/4であつた。またMCZ 400~800mg/日と各種抗生物質投与群(III群)での有効率は3/4であった。
    3. G-CSF投与例7例 (I群・II群) における白血球の推移では, 投与前<1,000/μlから投与後5~8日で6/7例が>5,000/μlの上昇を示し, MCZ, 各種抗生物質投与により臨床効果は全例に有効であった。
    4. 本治療法における自他覚的副作用は1例に軽度の嘔気を認めたのみで, また臨床検査値の異常の出現は認められなかった。
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