The Japanese Journal of Antibiotics
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49 巻, 4 号
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  • 長島 正人, 五島 瑳智子, TATSUMI YOSHIDA, 松永 敏幸, 下平 博仕, 小川 正俊
    1996 年 49 巻 4 号 p. 303-323
    発行日: 1996/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Sulopenem (CP-70, 429) は新しく開発された注射用ペネム系抗菌薬である。Sulopenemのinvitmおよびin vivo抗菌力をImipenem (IPM), Flomoxef (FMOX), Cefuzonam (CZON), Cefotaxime (CTX) と比較実験した結果, 下記の成績を得た。すなわちSulopenemはグラム陽性菌およびグラム陰性菌に対し広域の抗菌スペクトラムを示し, Staphylococcus aums, Staphylococcusepidermidis, Enterococcus faecalis, Streptococcus pyogenes, Streptococcus pneumoniaeおよび腸内細菌科に対してIPMより優れた抗菌力を示した。特に, 本剤の腸内細菌科に対する抗菌力は, 対照薬剤の4倍から260倍強かった。また, Haemophilus influenzaeに対する殺菌作用は強く, 本剤の0. 20μg/ml (1MIC) 添加8時間後で, 添加時の生菌数を99. 9%減少させ, IPM 1.56μg/ml (1MIC) 添加時と同様の殺菌効果であった。マウス全身感染に対する治療実験において, 本剤はほぼMICを反映し, Imipenem/Cilastatin (IPM/CS), FMOXおよびCZONより優れた治療効果を示した。Eschertchia coliBacteroides fragilisのマウス混合感染モデルにおいても本剤はIPM/CSより優れた治療効果を示した。
    Klebsiella pneumoniaeを感染菌としたモルモット呼吸器感染では, IPM/CS, FMOXとほぼ同等, CZON, Cefotiamより優れた治療効果を示した。
  • 吉田 辰巳, 舘田 映子, 平松 啓一, 横田 健
    1996 年 49 巻 4 号 p. 324-337
    発行日: 1996/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新規注射用ペネム剤SulopenemのMethicillin-susceptiSbtlaep hylococcuasu reus (MSSA), Methicillin-resistant S. aureus (MRSA), Coagulase-negative staphylococci, Streptococcus pyogenes, Streptococcus pneumoniae, β-streptococci, Enterococcus faecalis, Enterococcus faecium, Escherichiacoli CS 2 (R+), Klebsiella pneumoniae, Proteus mirabilis, Proteus vulgaris, Morganella morganii, Providencia rettgeri, Citrobacter freundii, Enterobacter cloacae, Serratia marcescens, Pseudomonasaeruginosa, Pseudomonas cepacia, Xanthomonas maltophilia, Acinetobacter calcoaceticus, AmpicillinresistantHaemophilus influenzaeおよびBacteroides fragilisの12~80株に対するMIC80はそれそれ0.20, 50, 3.13, ≤0.013, ≤0.013, 0.05, 12.5, ≥100, 0.10, 0.05, 0.10, 0.20, 0.39, 3.13, 0.20, 0.39, 1.56, 50, 3.13, ≥100, 1.56, 0.39μg/mlおよび0.20μg/mlであった。
    Sulopenemの抗菌力はグラム陽性菌に対しFlomoxef, Cefuzonamより強く, グラム陰性菌に対し3剤中最も強かったが, Pseudomonas aeruginosaに対してはImipenem (IPM) より劣っていた。
    SulopenemはS. aureus, E. coli, P. vulgaris, S. marcescensのすべてのペニシリン結合タンパク (PBPs) に対してIPMより高い, P. aeruginosaのPBPsに対してIPMと同等の親和性を示した。中でもS. aureusのPBPs-1および-3に, E. coliのPBP-2に対して親和性が強かった。
    Sulopenemはすべての型のβ-Lactamaseに対して, 概して低いKi値を示すことに加え, Ia型およびIIb型β-Lactamaseに対してはIPMより強い永久不活化力を示した。またSulopenemの血清補体との協力的殺菌作用は顕著ではなかったが, マウス培養Mφには1/8MIC以上の濃度存在下で, E. col性細胞をよく食菌消化した。
    ブタおよびヒトのDehydropeptidase-1による加水分解に対してはIPMより安定であった。
    また, mecAを保有するMSSAS 507株を使用し, Sulopenemに対する耐性亜株 (いわゆるMRSA) の出現誘導能を検討したが, MRSAの出現 (出現率は106CFUに1CFU以下) は認めなかった。
  • 井上 栄子, 香本 恵利, 谷山 由美, 三橋 進
    1996 年 49 巻 4 号 p. 338-351
    発行日: 1996/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新規注射用ペネム薬Sulopenemのin vitro抗菌力, 殺菌力, β-Lactamaseに対する安定性およびグラム陰性菌のエンドトキシン (LPS) 遊離に及ぼす影響について対照薬剤との検討を行った。
    1. 抗菌力試験において, Sulopenemはグラム陽性菌, およびPseudomonas aeruginosaを除くグラム陰性菌に対し優れた抗菌力を示した。
    2. Sulopenemは供試した全ての菌種 (Staphylococcus aureus, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Citrobacter freundii, Enterobacter cloacaeおよびSerrtia marcescens) に対して強力な殺菌力 (MIC/MBC) を示した。また, S. aureus, E. coli, E. cloacaeおよびC. freundiiの増殖に対し強い殺菌力を示した。
    3. SulopenemはP. aeruginosaおよびStenotrophomonas maltophiliaを除くβ-Lactamase産生菌に対して, 対照薬剤よりも強い抗菌力を示した。
    4. Sulopenemは各種β-Lactamaseに対して他剤と比較し, 極めて安定であった。SulopenemはC. freundiiおよびE. cloacae由来Cephalosporinase (CSase) およびProteus vulgaris由来Oxyiminocephalosporinase (CXase) に対し, 高い親和性, 低いVmaxを示し, またPenicillinase (PCase) およびKlebsiella oxytoca由来CXaseに対しては, 親和性, 加水分解速度ともに低かった。
    5. SulopenemおよびImipenemでは, 殺菌作用に伴い遊離エンドトキシン量の減少を認め, 静菌的濃度域におけるそれも減少していた。一方Ceftazidimeでは, 殺菌作用に伴う顕著な遊離エンドトキシン量の上昇を認めた。
  • 香本 晃良, 大槻 雅子, 西野 武志
    1996 年 49 巻 4 号 p. 352-366
    発行日: 1996/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新規ペネム系抗生物質Sulopenem (CP-70, 429) のin vitroおよびin vivo抗菌作用について, Imipenem (IPM), Meropenem (MEPM), Ceftazidime (CAZ) およびFlomoxef (FMOX) と比較検討を行った。Sulopenemは, グラム陽性菌およびグラム陰性菌に対して幅広い抗菌スペクトルを有していた。SulopenemはStaphylococcus aureus, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniaeおよびAcinetobacter calcoaceticusに対して濃度依存的な殺菌作用を示した。形態変化像の観察において, SulopenemはE. coliおよびK. pneumoniaeに対し, 低濃度では球形化を, 高濃度では溶菌化を引き起こした。実験的マウス感染モデルに対する防御効果について検討した結果, Streptococcus pneumoniaeに対してはIPMと同等でMEPM, CAZおよびFMOXより優れたED50値を示した。しかしながら, S. aureus, K. pneumoniae, A. calcoaceticusに対してはIPMよりも弱かった。
  • 渡辺 邦友, 加藤 直樹, 田中 香お里, 田中 保知, 加藤 はる, 上野 一恵
    1996 年 49 巻 4 号 p. 367-376
    発行日: 1996/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    経口化学療法剤であるSulopenem (CP-70, 429) の嫌気性菌に対するin vitro抗菌力を参考菌株19属66菌種66株および臨床分離株392株を用いて, Imipenem, Flomoxef, Cefuzonam, Cefoperazone, Sulbactam/Ampicillinと比較検討した。Sulopenemは嫌気性菌に対して幅広い抗菌スペクトルを示し, 参考菌株を用いた検討ではほとんどの菌株に対して, MIC 0.78μg/ml以下と対照薬より低いMICを示した。しかし, Bifidobacterium spp. には最も高いMICを示し, Lactobacillus spp. にはImipenemより劣った。臨床分離株に対して, Clostridium difficileを含めて試験したすべての菌群あるいは菌種に対しMIC90は3.13μg/ml以下であり, Bacteroides thetaiotaomicronなどいくつかの菌種に対して抗菌力は最も強力であった。中でもBacteroides fragilisに対する抗菌力は極めて強力であった。Sulopenemは試験したB. fragilis 4菌株のうちMetallo-β-lactamaseであるB. fragilis GAI-30144が産生するβ-lactamaseには加水分解を受けたが, 本菌群が産生する優勢な酵素であるOxyiminocephalosporinase I型には極あて安定であった。
    さらに, 本薬剤のin vivo効果をB. fragilis NCTC 10581とE. coli 65-2株によるマウス腹腔内混合感染モデルを用いてImipenem/Cilastatinと比較検討したところ, 1回量120mg/kg, 1日3回, 4日間の投与で膿瘍形成阻止率および膿瘍内細菌重量でImipenem/Cilastatinに匹敵し, 膿瘍内細菌減少効果では勝る傾向を示した。Sulopenem投与マウスの盲腸内C. difficileの異常増殖は観察されなかった。
  • 出口 浩一, 古口 昌美, 鈴木 由美子, 田中 節子, 深山 成美, 石原 理加, 小田 清次, 中根 豊, 福本 寅雄
    1996 年 49 巻 4 号 p. 377-385
    発行日: 1996/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1993年1月~1994年12月に検出した血液及び髄液由来臨床分離株を対象とし, Meropenem (MEPM) の抗菌活性を知ることを目的に, 対照薬剤を加えた最小発育阻止濃度 (MIC) を測定して以下の結果を得た.
    1. グラム陽性の3菌種, すなわちBenzylpenicillin (PCG) 低感受性株又は耐性株を含むStreptococcus pneumoniae, Streptococcus agalactiae, Listeria monocytogenesに対するMEPM, Imipenem (IPM), Panipenem (PAPM) のMIC-range, 50% MIC (MIC50), 90% MIC (MIC90) はほぼ同等であり, Ampicillin (ABPC) とCefotaxime (CTX) に勝っていた.
    2. グラム陰性のEscherichia coli, Haemophilus influenzaeに対する上記Carbapenems 3薬剤のMIC-range, MIC50, MIC90には差があり, E. coliに対するMIC90はMEPM≤0.025μg/ml, IPMとPAPMが各々0.2μg/ml, H. influenzaeに対するMIC90はMEPM 0.1μg/ml, IPM 25μg/ml, PAPM 6.25μg/mlであり, MEPMの抗菌活性がIPMとPAPMに大きく勝っていた.H. influenzaeに対するIPMとPAPMのMIC90が高い値を示したのは, 供試17株に存在したIPM耐性の3株に対するMICがIPM12.5~25μg/ml, PAPM 3.13~12.5μg/mlの結果を反映していたからである.
    3. S. pneumoniaeのPCGの低感受性又は耐性を示した6株を含む20株に対するABPC, CTXのMIC90は各々の0.39μg/ml, 0.1μg/mlであり, これらの値はCarbapenems 3薬剤の値に比較して高く, E. coliの供試13株にはABPC高度耐性の8株 (ABPCのMIC値100μg/ml), 及びCTxのMIC値0.39μg/ml, 3.13μg/mlを示す各々1株, 更にH. influenzaeのβ-ラクタマーゼ産生株は29.4%であった.
    4. 血液及び髄液由来臨床分離株に対するCarbapenems, 中でもMEPMの強い抗菌活性が示唆されたことから, MEPMは敗血症や化膿性髄膜炎を含むEmpiric therapyにおける第一選択剤としての有用性が期待できる.
  • 杉田 麟也, 出口 浩一, 木村 繁, 原田 品子, 藤巻 豊, 渡辺 洋, 内藤 雅夫, 野村 隆彦, 田中 幹夫, 小松 信行, 清水 ...
    1996 年 49 巻 4 号 p. 386-398
    発行日: 1996/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    市中診療所を受診した小児急性化膿性中耳炎に対するCefditoren pivoxil (CDTR-PI) 粒剤の臨床的並びに細菌学的検討を行い, 以下のような知見を得た.
    1. 210症例から推定起炎菌248株を分離したが, Streptococcus pneumoniae 42.3%, Haemophilus influenzae 38.8%と2菌種で81.1%とその大半を占めた.また, S. pneumoniaeに占めるBenzylpenicillin (PCG)-insensitive S. pneumoniae (PISP) またはPCG-resistant S. pneumoniae (PRSP) の割合は36.2%であり, 全分離株の15.3%, 全症例の18%を占めていた.
    2. 中耳腔と上咽頭細菌の相関性ではStreptococcus pyogenes, S. pneumoniae, H. influenzaeでは80%以上の一致率であったが, Staphylococcus aureusでは同時に検出される例はなかった.S. aureus, Coagulase-negative stapbylococci (CNS) などは検体採取時の外耳道での汚染混入と考えられた.
    3. S. pneumoniaeの年齢別分離頻度では0~4歳の低年層が高く, またPISPまたはPRSPについても同様な傾向がみられた.
    4. 主要分離菌のS. pneumoniae及びH. inftuenzaeに対するCDTRと関連経口抗菌薬の最小発育阻止濃度 (MIC) を測定し, CDTRが両菌種に対して強い抗菌活性を有することが認められた.また, CDTR-PI粒剤3mg (力価) /kgl回投与で耳漏内に平均濃度で0.58μg/mlが移行していた.
    5. 中耳腔と上咽頭細菌の除菌効果については, 中耳腔ではいずれも80%以上の除菌率で各菌種間で大差はなかったが, 上咽頭ではPISPは30%の除菌率でPSSP及び他菌に比し有意に低い除菌率であった.
    6. 臨床的効果では有効率89.4%, 細菌学的効果92.2%, 安全性では副作用なし90.5%で, 有用性は89.4%の成績が得られた.
    7. 以上の結果から, CDTR-PIはPISP感染症なども含めた小児急性中耳炎に有用な経口抗菌薬と考えられる.
  • 森岡 英次, 浅原 章稔, 長野 光之, 川崎 千香, 吉田 哲也, 内田 俊毅, 中島 浩昭, 鈴宮 淳司, 木村 暢宏, 久野 修資, ...
    1996 年 49 巻 4 号 p. 399-402
    発行日: 1996/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    血液疾患に合併した深在性真菌感染症と考えられる症例に対し, Fluconazoleの投与を試み, 60. 0%の有効率が得られた。副作用も少なく, 重症例に対しても安全かっ高い効果が得られることより血液悪性腫瘍に合併した真菌感染症と考えられる症例にEmpiric therapyとしFluconazoleは有用な薬剤と考えられた。
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