1996年に検出した臨床分離肺炎球菌を対象とし, Clindamycin (CLDM) の抗菌活性を検討して, 以下の結果を得た。
1. Macrolides (MLs) 耐性株の割合はPenicillin (PC)-susceptible Streptococcus pneumoniae (PSSP)48.0%, PC-intermediate S. pneumoniae (PISP)/PC-resistant S. pneumoniae (PRSP) 92.0%であった。
2. MLs耐性の内訳は,MLs-inducible resistant strains (MLs誘導型耐性株) がPSSP 24.6%, PISP/PRSP66.0%, MLs-constitutive resistant strains (MLs構成型耐性株) がPSSP 24.0%, PISP/PRSP26.0%であり, PSSPにはMLs構成型耐性株が相対的に多く, PISP/PRSPにはMLs誘導型耐性株が多かった。
3. CLDMは, MLs誘導型耐性株に対しては強い抗菌活性を示した。これにより, CLDMのMIC70はPSSP≤0.025μg/ml, PISP/PRSP0. 1μg/mlであり, MLs誘導型耐性株の占ある割合が高いPISP/PRSP感染症に対するCLDMの有用性が示唆された。
4. CLDMは, MLs誘導型耐性株には強い抗菌活性を示す。しかし, MLs構成型耐性株には抗菌活性が劣ることから, 肺炎球菌検出時の薬剤感受性テストでは, CLDMのテストを必ず実施すべきである。
抄録全体を表示