The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
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52 巻, 9 号
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  • 花木 秀明, 稲葉 陽子, 平松 啓一
    1999 年 52 巻 9 号 p. 563-570
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    FaropenemのStreptococcus pneumoniaeに対する抗菌力について検討した。PenicillinsensitiveS.pneumoniae (PSSP) に対するMIC90値は, faropenem, penicillin G, cefaclor, cefeapene, cefditorenの順に, 0.032, 0.063, 2, 0.25, 0, 25μg/mlであり, penicillin-resistantS.pneumoniae (PRSP) に対するMIC90値は, 0.5, 2, >128, 1, 1μg/mlであった。また, PSSP2株とPRSP1株に対する殺菌力を, 1/4, 1, 4MIC値の濃度で他剤と比較した。Penicillin GのMIC値が0.008μg/mlのPSSPに対する殺菌力は, 上記5剤ともほぼ同等の殺菌力を示したが, penicillin GのMIC値が0.063μg/mlのPSSPに対してはfaropenemのみが1MIC (0.Ol6μg/ml) で殺菌力が認められ, 他剤は4MICを必要とした。更に, penicillin GのMIC値が2μg/mlのPRSPに対しても, faropenemのみが1MIC (0.5μg/ml) で殺菌力が認められた。
  • 松崎 薫, 小山 英明, 千葉 亜希子, 大美賀 薫, 原田 幸恵, 佐藤 弓枝, 長谷川 美幸, 小林 寅哲, 金子 明寛, 佐々木 次郎
    1999 年 52 巻 9 号 p. 571-584
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1998年1月から12月にかけて全国の医療機関より送付された各種領域臨床材料から分離した新鮮多数株を用いてlevofloxacin (LVFX) と同系統の抗菌薬ならびに各種β-lactam薬との抗菌力を比較検討した。
    その結果, グラム陽性球菌においてStaphylococcus aureusのうちmethiciliin resistant Staphylococcusaums (MRSA) の多くおよびcoagulase negative Staphylococcus (CNS) の一部にはキノロン系抗菌薬に対する耐性株が存在したが, LVFXのMRSAに対するMIC50は6.25μg/mlと試験に供した薬剤では最も低かった。また, Staphylococcus epidermidisには今回用いたキノロン系抗菌薬に対し耐性株は少なかった。各種Streptococcusに対しても同様で, LVFXのMICは全て1.56μg/ml以下と優れた抗菌力を示した。特にpenicillin resistantStreptococcus pneumoniae (PRSP) を含むStreptococcus pneumoniaeに対してもLVFXのMICは1.56μg/ml以下であった。
    EnterococcusにおいてはEnterococcus faecalisに対しampicillin (ABPC) の抗菌力が最も強かったが, Entmcoccus species。こはABPC耐性株が多く存在した。これらの耐性株を含む各Entmcoccusに対してもLVFXは優れた抗菌力を示した。
    一方, グラム陰性菌において各種腸内細菌に対し今回用いたキノロン系抗菌薬3薬剤は優れた抗菌力を示した。Citrobacter, Serratiamarcescens, Proteusの一部にキノロン系抗菌薬に対し耐性を示す株が存在したが, その頻度はいずれも低く, 10%以下であった。ブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌においても同様でPseudomonas aeruginosaに対しLVFXはciprofloxacin (CPFX) に次いで低いMIC値を示した。またAcinetobacterに対してはLVFXはCPFXに比べより強い抗菌力を示した。
    その他のグラム陰性菌において, Haemophilus influenzae, Branhamella (Movaxella) catarrhalis, およびVibrio cholerae各菌種に対し, キノロン系抗菌薬は優れた抗菌活性を有し, それらの菌に対するMIC90はLVFX, CPFXともに0.10μg/ml以下であった。Neisseriagonorrhoeae, Campylobacterの一部の株はキノロン系抗菌薬に対し中等度耐性株が存在したが, MIC50では, LVFXはCPFX同様に0.39μg/ml以下であった。
    嫌気性菌2菌種においてPeptostreptococcusの一部にキノロン系抗菌薬に抵抗性を示す株が存在したが, Prqpionibacteriumacnesでは他のβ-lactam系抗菌薬同様, キノロン系抗菌薬のMIC90は全て0.78μg/ml以下であった。
    以上の結果からLVFXは近年分離された感染症起炎菌に対して幅広い抗菌スペクトラムを有し臨床において有用な抗菌薬であることが示唆された。
  • 久我 明男, 矢野 寿一, 岡本 了一, 佐藤 優子, 宮田 愛子, 井上 松久
    1999 年 52 巻 9 号 p. 585-594
    発行日: 1999/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    臨床材料より分離されたEscherichia coli, Klebsiella pneumoniae由来のextended spectrumβ-lactamase (ESBL) 産生菌に対する種々のβ-ラクタム系薬及びβ-lactamase阻害薬 (clavulanic acid) 併用のMICを求めた。さらに, これらの結果をもとにESBL産生菌を検出する手順を提案した。
    β-lactamase産生菌に対するβ-ラクタム系薬のMICを検討した。まず, 感受性型別やE.coliK-12接合伝達株から抽出したβ-lactamaseの基質特異性を検討した。次いでPCR法によりβ-lactamase産生遺伝子の同定を行った。各菌株に対するβ-ラクタム系薬, 及び混合型のβ-lactamase産生菌に対するMICの結果からESBLを含むβ-lactamase産生菌を識別するための各β-ラクタム系薬の検出濃度を決めた。それぞれのβ-ラクタム系薬の濃度は, ampicillin (64μg/ml), ampicillin/clavulanic acid (32/5μg/ml), piperacillin (64μg/ml), cefbtaxime (1μg/ml), ceftazidime (1μg/ml), cef廿odoxime (2μg/ml), cefhletazole (4μg/ml), cefminox (2μg/ml), cefepime (0.5μg/ml), aztreonam (1μg/ml) 及びimipenem (1μg/ml) を用いることによりβ-lactamaseのclass分けが可能と考える。この方法は, ESBL産生E.coli及びK.pneumoniaeによる院内の汚染状況をも検討するための参考になるであろう
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