The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
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55 巻, 6 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 真下 啓二, 品川 長夫, 平田 公一, 桂巻 正, 向谷 充宏, 牛島 康栄, 相川 直樹, 関根 和彦, 岩井 重富, 加藤 高明, 佐 ...
    2002 年 55 巻 6 号 p. 697-729
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1982年7月から外科感染症分離菌とその薬剤感受性に関する多施設共同研究を行っている。今回は1999年度 (1999年4月~2000年3月) の結果を中心にまとめた。調査対象となった207症例のうち169例 (816%) から411株の細菌が分離され, そのうちの184株は一次感染症から, 227株は術後感染症からのものであった。一次感染症では術後感染症に比べ嫌気性菌, Streptococcus spp., ならびにEscherichia coliの分離率が高く, 術後感染症では好気性グラム陽性菌の比率が高かった。全体としては, 好気性グラム陽性菌ではStaphylococcus aureus, 嫌気性グラム陽性菌ではPeptostreptococcus prevotii, 好気性グラム陰性菌ではE. coli, 嫌気性グラム陰性菌ではBacteroides fragilisの分離頻度が最も高かった。年次的には, 一次感染症において増加傾向にあった好気性グラム陰性菌の比率は減少し, 嫌気性グラム陰性菌の比率が増加したが, グラム陽性菌の比率は前年度とほぼ同等であった。術後感染症においては, 1990年以降増加し続けていた嫌気性グラム陰性菌の比率が減少し, 前年度減少した好気性グラム陽性菌の比率が増加した。S. aureus 41株から29株 (70.7%) のMRSAが検出されたが, 前年度に比較して, その株数および比率はともに減少した。薬剤感受性に関しては, E. coliおよびK.pneumoniaeが, 1998年度と同様に第三, 第四世代のセフェム系薬やオキサセフェム系薬, モノバクタム系薬に対して感受性の低下を示した。カルバペネム系薬のIPMおよびMEPMに対するP. aeruginosaの感受性は, 1997年度以降低下していることが明らかとなった。S. aureusにおいて, Arbekacin, Vancomycin, Teicoplaninに耐性を示す株はなく, 良好な感受性が認められた。
  • 2000年度分離菌を中心に
    品川 長夫, 平田 公一, 向谷 充宏, 桂巻 正, 牛島 康栄, 相川 直樹, 関根 和彦, 岩井 重富, 加藤 高明, 佐藤 毅, 由良 ...
    2002 年 55 巻 6 号 p. 730-763
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1982年7月から外科感染症分離菌に関する多施設共同研究を行ってきたが, ここでは2000年度 (2000. 4~2001. 3) の成績をまとめた。調査対象となった症例は234例であり, このうち165例 (70.5%) から388株の細菌が分離された。一次感染症から136株, 術後感染症から252株の細菌が分離された。嫌気性グラム陽性菌では, 一次感染症, 術後感染症ともに. Peptostreptococcus spp. が多く分離され, 好気性グラム陽性菌では, 術後感染症でEnterococcus faecalisの分離頻度が高く, 次いでStaphylococcus aureusであった。好気性グラム陰性菌では, 一次感染症からEscherichia coliの分離頻度が最も高く, 次いでKlebsiella pneumoniae, Pseudomonas aeruginosaなどであった。一方, 術後感染症からはP. aeruginosa の分離頻度が最も高く, 次いでEnterobacter spp., Klebsiella spp. などであった。嫌気性グラム陰性菌では, 一次感染症および術後感染症ともBacteroides fragilis groupの分離頻度が高かった。Vancomycin (VCM) 耐性のS. aureusあるいはEnterococcus spp.はみられなかった。B. fragilis group (49株) に対しMICが6.25μg/ml以上の株は, piperacillin (PIPC) で33株, cefimetazole (CMZ) で32株, flomoxef (FMOX) で28株, cefepime (CFPM) で48株などとセフェム薬で耐性株が多かったが, カルバペネム薬とminocycline (MINO) の抗菌力は優れていた。
  • 肱岡 澄子, 中田 良子, 吉波 優子, 杉田 久美子, 西村 忠史
    2002 年 55 巻 6 号 p. 764-770
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    当院において1992年から2001年の10年間におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (以下MRSA) の状況を把握する為, 患者臨床材料より分離したMRSAの年次的検出推移及び有効抗菌薬に対する薬剤感受性ならびにコアグラーゼ血清型について検討した。黄色ブドウ球菌におけるMRSAの占める割合は1992年より年々増加し, 2001年では65.3%を占めた。入院患者の検出率は高く, 外来患者の3.2倍 (1992-2001年) であった。しかし1994年以降, 外来患者からの検出率も増加している。材料別MRSAの検出率は呼吸器系, とくに喀痰からが30.9%と高く, コアグラーゼ型別ではII型が85.7%と大部分を占めた。またMRSAに対するMIC90はABK4.0μg/mlで, ST合剤, VCM, TEICでは2.0μg/ml, MINOは8.0μg/mlであった。
  • 杉田 香代子, 上遠野 保裕, 内田 博, 小林 芳夫
    2002 年 55 巻 6 号 p. 771-777
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Helicobacter pylori感染が疑われる潰瘍患者の胃生検組織より分離されたH. pylori 41株に対する各種抗菌薬の抗菌力を, E testを用いて測定した。
    AMPCのMICは≤0.016~0.064μg/mlに分布した。マクロライド系薬のCAM, EM, AZMはそれぞれ≤0.016~64μg/ml,≤0.016~≥256μg/ml, 0.064~≥256μg/mlであつた。キノロン薬のCPFX, SPFX, LVFX, NFLXはそれぞれ≤0.0l6~≥32μg/ml,≤0.002~≥32μg/ml,≤0.002~≥32μg/ml, 0.064~≥32μg/mlに分布した。CAMにおいて, 41株中2株4.9%が≥64μg/mlを示す耐性株であつた。除菌治療が多く行われるようになつてきた現在, このような耐性菌対策も必要になつてくると思われた
  • 荒明 美奈子, 原 哲郎, 渡部 宏臣, 西野 武志
    2002 年 55 巻 6 号 p. 778-790
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新規経口キノロン系抗菌薬prulinoxacin (PUFX) の臨床分離菌株に対するin vitro抗菌力を既存のキノロン系薬と比較し, 以下の結果を得た。
    1) NM394 (PUFXの活性本体) はグラム陽性菌からグラム陰性菌まで幅広い抗菌スペクトルを示し, 特にグラム陰性桿菌に強い抗菌力を示した。
    2) NM394のPseudomonas aeruginosaに対する抗菌力はMIC80で2μg/mlであり対照薬に比べ最も強いものであった。
    NM394のMethicillin-susceptible Staphylococcus aureus, Streptococcus pneumoniaeおよびEnterococcus faecalisに対するMIC80はそれぞれ0.5, 2および4μg/mlであった。Escherichia coli, Klebsiella pneumoniaeおよびEnterobacter cloacaeに対するMIC80はいずれも0.06μg/ml以下, Serratia marcescensに対するMIC80は0.25μg/mlであり, 対照薬に比べ優れていた。
    3) NM394はP. aeruginosaに対して濃度依存的に殺菌作用を示し, MIC以下の濃度でも強い短時間殺菌作用が認められた。
    4) 常用量投与時のヒト最高血漿中濃度で種々のMICを示すP. aeruginosa12株に対しNM394は短時間でcipronoxacin, levonoxacinおよびtosunoxacinより強い殺菌力を示した。
  • Ciprofloxacin, levofloxacinおよびgatifloxacinとの比較
    清水 正樹, 田端 麻紀子, 原 哲郎, 荒明 美奈子, 渡部 宏臣, 西野 武志
    2002 年 55 巻 6 号 p. 791-799
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    キノロン系抗菌薬prulifloxacinの活性本体NM394のStaphylococcus aureus, Escherichia coliおよびPSeudomonas aeruginosaに対するin vitro短時間殺菌力と菌体内蓄積量をciprofloxacin (CPFX), levofloxacin (LVFX) およびgatifloxacin (GFLX) と比較した。
    各キノロン薬の菌体内蓄積量はS.aureus 209 PJC-1, E. coli NIHJ JC-2およびP. aeruginosa PAO1いずれに対してもNM394>CPFX>GFLX≥LVFXの順に多かった。E. coliおよびP. aeruginosaでは, MIC値が低い薬剤ほど高い菌体内蓄積量が認められた。しかし, S. aureusの場合は, 菌体内蓄積量がMIC値に反映していなかった。
    一方, キノロン薬の短時間殺菌力と菌体内蓄積量との関係を明らかにするため, 各薬剤作用後の生菌数の推移を比較した。各薬剤を同一濃度作用させた場合で比較すると, S. aureus 209P JC-1, E. coli NIHJJC-2およびP. aeruginosaPAO1いずれに対しても, NM394はCPFX, LVFXおよびGFLXに比べ短時間殺菌力が優れていた。NM394は他検討薬より強い殺菌力を示し, 高い菌体内移行が認められたことから, 本薬の短時間殺菌力の強さは, 菌体内蓄積量を反映していることが示唆された。
  • 松崎 薫, 渡部 恵美子, 吉森 可苗, 鹿野 美奈, 佐藤 弓枝, 長谷川 美幸, 小林 寅哲
    2002 年 55 巻 6 号 p. 800-807
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    2002年1月より6月までに分離された10菌種, 800株に対するgatinoxacin (GFLX) の抗菌活性を, 臨床で用いられている各種の経口抗菌薬と比較した。グラム陽性菌, 特にmethicillin感受性Staphylococous aureus (MSSA) および, Streptococcus pneumoniaeに対するGFLXの抗菌力はlevonoxacinおよびcipronoxacinより強い活性を示した。これらの菌株はclarithromycinおよびazithromycinに耐性株が多く (MIC90;>16~>64μg/mL), またGFLXはcefdinirより明らかに強い活性を示した。
    グラム陰性菌群のうち, Escheriohia coli, Klebsiella pneumoniae, Acinetobacter species, Haemophilus influenzaeおよびMoraxella (Branhamella) catarrhalisに対して, GFLXを含むニューキノロン系3薬剤は, いずれも強い活性 (MIC90;≤0.06~0.5μg/mL) を示した。他方, Pseudomonas aeruginosaのニューキノロン系薬感受性は, 尿路感染症由来株と呼吸器または耳鼻感染症由来株では異なる傾向がみられた。GFLXを含む3種のニューキノロン系薬はいずれも前者の菌株には活性が低かったが (MIC90;32~64μg/mL), 後者の菌株に対しては, 強い活性 (MIC90;05~2μg/mL) を示した。ニューキノロン系抗菌薬は, Neisseria gonorrhoeaeにはセフェム系薬剤と比較して, 明らかに活性は弱かったが, GFLXはニューキノロン系抗菌薬中で最も低いMICを示した。
    今回実施した検討は, 特に2002年前半に得られた新鮮分離株を対象としたが, S. aureus, S.pneumoniaeおよびグラム陰性菌群の多くの菌種に対して, GFLXは強い活性を有していることを確認した。
  • 阿部 友美, 福岡 隆, 佐藤 有紀, 伊東 和慶, 成 昌美
    2002 年 55 巻 6 号 p. 808-826
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Panipenem/betamipron (カルベニン®) の市販後調査を目的に, 2000年6月から2001年3月までに日本全国各地の医療機関15施設で分離された臨床分離株28菌種1355株に対するPAPMのMICを日本化学療法学会の微量液体希釈法を用いて測定し, 注射用カルバペネム系抗菌薬imipenem (IPM), meropenem (MEPM) および注射用セフェム系抗菌薬cefbzopran, cefepime, sulbactam/cefoperazoneと比較した。
    検討したほとんど全ての菌種に対してPAPMの抗菌力は, IPMとほぼ同等であった。MEPMとの比較では, グラム陽性菌とBacteroides属にはPAPMの抗菌力の方が優れ, グラム陰性菌に対してはPAPMの方が劣っていた。また, 注射用セフェム系薬との比較では, 検討したほとんどの菌種に対してPAPMの方が優れた抗菌力を示し, そのMIC rangeも他のカルバペネム系薬と同様にセフェム系薬よりも狭かった。
    今回の調査における各種耐性菌の分離頻度は, methicillin-resistant Staphyl aureusが39.3%, penicillin-intermediate Streptococcus pneumoniae (PISP) が47.3%, penicill Streptococcus pneumoniae (PRSP) が15.1%, extended-spectrumβ-lactama産生Escherichia coliが0.9%, ESBL産生Klebsiella pneumoniaeが3.4%, β-lactamase産生Haemophilus influenzaeが19.2%, β-lactamase-negative ampicillin-resistant (BLNAR) Hinfluemaeが24.0%, メタロ-β-lactamase産生Pseudomonas aeruginosaが1.0%であった。これらの耐性菌に対して, PAPMを含むカルバペネム系薬は概してセフェム系薬よりも優れた抗菌力を示した。PRSPとPISPの分離率は合計で62.4%と高率であったが, PAPMはこれらに 対して検討薬剤中で最も優れた抗菌力を示したことは注目された。全ての検討薬剤に対して, メタロ-β-lactamase産生P. aeruginosaは高度耐性化しており, BLNAR H. influenzaeも低感受性化していた。しかし, その他の菌種に対するPAPMの抗菌力は, カルベニン®の市販前の調査成績と比較してほとんど変化が認められなかった。今後も, PRSP, メタロ-β-lactamase産生菌, BLNAR H. influenzaeといった耐性菌の動向には十分な注意が必要である。
  • 阿部 友美, 福岡 隆, 佐藤 有紀, 伊東 和慶, 成 昌美
    2002 年 55 巻 6 号 p. 827-843
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefpodoxime proxetil (バナン®) の市販後調査を目的に, 2000年6月から2001年3月までに日本全国各地の医療機関15施設で分離された臨床分離株22菌種1090株に対するcefpodoxime (CPDX, バナン®の活性体) のMICを日本化学療法学会の微量液体希釈法を用いて測定し, 経口用セフェム系抗菌薬cefaclor, cefdinir, cefditoren, cefcapeneと比較した。
    市販前の成績と比較してCPDXの抗菌力に大きな変化が認められた菌種は, Streptococcus pneumoniaeおよびHaemopmus influenzaeであった。これは, バナン®が発売された1989年当時にはほとんど分離されなかったpenicillin-intermediate S. pneumoniae (47.3%), penicillin-resistant S. pneumoniae(PRSP, 15.1%) およびβ-lactamase-negative ampicillin-resistant H. infruenzae (24.0%) のような耐性菌の増加によると考えられる。これらの耐性菌に対しては, 他のセフェム系薬も低い抗菌力を示した。但し, PRSPに対してCPDXはMIC90値が2μg/mLと比較的良好な抗菌力を示した。Methicillin-susceptible Staphylococcus属, Streptococcus pyogenes, Streptococcus agalactiae, Moraxella catarrhalisに対してCPDXは市販前と同様にMIC90値が4μg/mL以下と良好な抗菌力を示した。キノロン耐性Neisseria gonorrhoeaeに対してもCPDXはMIC90値が0.5μg/mLと優れた抗菌力を示した。Citrobacter freundii, Enterobacter属, Proteus vulgaris, Marganella morganiiを除く腸内細菌科の菌種に対してCPDXは良好な抗菌力を示したが, Escherichia coli, Klebsiella属, Proteus属, Providencia属にはCPDXを含む全ての検討薬剤に対して高度耐性を示す株が存在した。Peptostreptococcus属に対するCPDXの抗菌力はMIC90値が8μg/mLで, そのMIC rangeも0.03~32μg/mLと市販前と同様に幅が広かった。本調査においては, 他の検討した薬剤と同様にCPDXの抗菌力はいくつかの菌種に対して低下していたが, ほとんどの菌種に対しては良好な抗菌力を維持していた。今後も耐性菌の動向について注意を払う必要がある。
  • 感受性測定法の比較
    原 哲郎, 荒明 美奈子, 渡部 宏臣
    2002 年 55 巻 6 号 p. 844-854
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年の臨床分離株methicillin-sensitive Staphylococcus aureus (MSSA), methicillin-sensitive coagulase negative Staphylococci (MSCNS), Escherichia coli, Serratia marcescens, およびPseudomonas aeruginosaに対するfosfomycin (FOM) の試験管内抗菌力を種々の方法で測定し, 比較した。MSSA, MSCNSおよびE.coliでは, 測定培地にglucose-6-phosphate (G6P) を添加することによりFOMのMIC値が著しく低下した。S. marcescens, P. aeruginosaではG6P添加によるFOMのMICの変動は認められなかったが, 1975年に定められたホスホマイシンMIC測定小委員会法 (小委法) で測定したMIC値は化学療法学会標準法で測定したMIC値より低下した。MSSA, MSCNSおよびE. coliもこの方法でMIC値が低下した。そこで, 小委法培地にG6Pを添加し (小委G法) FOMの抗菌力を測定し, cefazolin, cefmetazole, cefotiamおよびpiperacillinと比較した。FOMの化学療法学会標準法でのMIC値はいずれの薬剤よりも高い値であったが, 小委G法での測定値はこれらの薬剤とほぼ同等か低い値であった。
    また, 今回使用した臨床分離株のFOMに対する感受性は1975年に報告されたものと同程度であり, 耐性化は認められなかった。これらのことから, FOMは臨床使用が開始されてから20年余を経た今日でも各種細菌に良好な抗菌活性を維持し, 各種感染症に有用であると考えられた。
  • 品川 長夫, 竹山 廣光, 谷口 正哲
    2002 年 55 巻 6 号 p. 855-860
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    消化器外科医を対象として, 急性腹膜炎手術 (汚染手術) での抗菌薬投与をどのように認識しているかについてのアンケート調査を行った。その結果は以下のごとく要約できる。抗菌薬は, 腹腔内に感染症が存在すると診断された時点から投与開始する。手術にて穿孔部位が判明した時点ですでに抗菌薬が投与されている場合, その抗菌薬が適切であるかどうかを必ず確認する。開腹時の腹水細菌培養は全例施行する。術後4~7日後のドレーン排液の細菌培養は, 経過にて施行する。細菌培養を施行した場合, 結果を必ず確認する。十二指腸潰瘍穿孔で最もよく使用する抗菌薬はcefotiam (CTM) であり, 術後経過が順調の場合の平均投与日数は, 4.1±1.2日である。下部消化管穿孔の場合, 目的とする細菌は, 大腸菌, バクテロイデス属, 肺炎桿菌, エンテロバクター属などの順である。結腸憩室穿孔では, カルバペネム薬がよく使用され, 平均投与日数は, 5.0±1.4日である。術後経過に問題がある場合に参考とする項目としては白血球数 (好中球数), 体温, CRPなどである。
  • 大塚 岳人, 奥川 敬祥, 金子 詩子
    2002 年 55 巻 6 号 p. 861-865
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Haemophilus influenzae (Hi) の耐性菌として近年増加しているβ-ラクタマゼ非産生耐性菌 (β-lactamase non producing ampicillin resistant Haemophilus influenzae: BLNAR) による細菌性髄膜炎の乳児例を経験した。現在, 一般に行われている細菌性髄膜炎の初期治療に用いられる抗菌薬では各種耐性菌に対する感受性が不十分なことも多い。起炎菌がHiと考えられる症例では, BLNARに対する有効性の点からMeropenem (MEPM) の併用も選択肢の一つと考えられた。
  • KEN MORIMOTO, MASAE KOH, HIROAKI KINOSHITA
    2002 年 55 巻 6 号 p. 866-874
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Background: We found that once-daily use of ofloxacin is beneficial from the standpoints of economy and patient compliance. Levofloxacin, has twice the antimicrobial activity and same toxicity of ofloxacin. We investigated the clinical usefulness of levofloxacin compared with ofloxacin in breast surgery.
    Method: Between July, 1996 and April, 1999,199 consecutive patients hospitalized in our department for treatment of breast cancer were enrolled in this study with their informed consent and 181 patients were evaluated.
    Results: Four (4%) of the 99 patients in the levofloxacin group had wound infections, as did 5 (6%) of the 82 patients in the ofloxacin group. The median times needed for wound care, with 25th and 75th percentiles, were 13 [9, 16] days in the levofloxacin group and 11 [9, 16] days in the ofloxacin group. From infected wound three strains of Staphylococcus aureus were detected from the levofloxacin group and two strains were from ofloxacin group, but no methicillin-resistant strains were isolated. Multiple regression analysis showed that only wound dehiscence was a significant factor in the occurrence of wound infection and the period of wound care. No signs or symptoms suggesting levofloxacin or ofloxacin toxicity were observed. Laboratory test changes before and after treatment were similar in the two groups.
    Conclusion: It appears that levofloxacin is not superior to ofloxacin in prophylactic efficacy for postoperative wound infection after breast surgery.
  • 三鴨 廣繁, 二宮 望祥, 玉舎 輝彦
    2002 年 55 巻 6 号 p. 875-881
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    カルバペネム系抗菌薬の効率的な投与方法について, 婦人科感染症である子宮労結合織炎と診断された女性患者72名を対象として検討した。カルバペネム系抗菌薬であるイミペネム・シラスタチン, パニペネム・ベタミプロン, メロペネムを治療薬として選択し, イミペネム・シラスタチン0.75g, 2回/日投与群, イミペネム・シラスタチン0.5g, 回/日投与群, パニペネム・ベタミプロン0.75g, 2回/日投与群, パニペネム・ベタミプロン0.5g, 3回/日投与群, メロペネム0.75g, 2回/日投与群, メロペネム0.5g, 3回/日投与群にランダムに割り付けて, 治療開始前と治療開始4日目の1日最高体温, 白血球数, CRP値について比較検討した。カルバペネム系抗菌薬3剤のいずれにおいても, 1日最高体温, CRP値ともに, 1日2回投与群と1日3回投与群の間では, 統計学的に有意に, 1日3回投与群において, 治療効果が優れていた。カルバペネム系抗菌薬の投与にあたっては, 宿主の状態や症例に応じて, time above MICなどのPK/PDに基づいた抗菌薬投与法を考慮することにより, 薬剤の有効性を高めることができると考えられる。
  • 谷 真理子, 前橋 一紀, 荒明 美奈子, 渡部 宏臣
    2002 年 55 巻 6 号 p. 882-885
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新規プロドラック型キノロン系薬であるprulifloxacinの活性本体NM394のPseudomonas aeruginosa PAO1由来, II型topoisomeraseに対する阻害活性をciprofloxacin (CPFX), levofloxacin (LVFX) およびgatifloxacin (GFLX) と比較検討した。NM394がDNAgyraseのスーパーコイリング活性およびtopoisomerase IVのデカテネーション活性を50%阻害する濃度 (IC50)は, それぞれ, 1.21および21.1μg/mlであった。両酵素に対するNM394のIC50値は, CPFXとほぼ同等でLVFXおよびGFLXのそれより低い値であった。DNA gyraseに対する各薬剤のIC50は, P. aeruginosa PAO1に対する抗菌活性と良く相関し, またtopoisomerase IVに対する各薬剤のIC50はDNA gyraseに対するそれよりも17.4~242倍高い値であった。以上のことから, 緑膿菌ではDNA gyraseが一次作用点であり, NM394はDNA gyrase活性を強く阻害することにより優れた抗菌活性を発揮するものと考えられる。
  • 2002 年 55 巻 6 号 p. 887-913
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
  • 2002 年 55 巻 6 号 p. C3-
    発行日: 2002年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
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