岐阜県下の医療施設において, 2005-2006年に分離・同定されたインフルエンザ菌 (
Haemophilus influenzae) 194株の各種抗菌薬に対する感受性を測定し, 1999-2000年に分離された
H.influenzae280株の感受性と比較した。また, 2005-2006年に分離された株については, β-ラクタマーゼ (BL) 産生の有無, PBP3をコードする
ftsI遺伝子の変異, TEM型BL産生遺伝子の有無及び血清型を調べた。
CLSIの基準等を参考にして,
H.influenzaeを以下のように分類した。すなわち, BL非産生でampicillin (ABPC) 及びampicillin/sulbactam (ABPC/SBT) のMICが1μg/ml以下の株をβ-lactamase-negativeampicillin-susceptible (BLNAS), BL産生でABPC/SBTのMICが2μg/ml以下の株をβ-lactamase producing ampicillin-resistant (BLPAR), BL非産生でABPC及びABPC/SBTのMICが2μg/ml以上の株をβ-lactamase-negative ampicillinresistant (BLNAR), BL産生でABPC/SBTのMICが4μg/ml以上の株をβ-lactamaseproducingamoxicillin/clavulanicacid-resistant (BLPACR) とした。
1999-2000年分離株では, BLNAS71.8%, BLPAR7.9%, BLNARl9.6%, BLPACRO.7%の分離頻度であったが, 2005年-2006年分離株ではBLNAS38.1%, BLPAR4.6%, BLNAR54.6%, BLPACR2.6%であり, BLNAS及びBLPARが減少し, BLNAR及びBLPACRの分離頻度が増加していた。
ftsI遺伝子の変異及びTEM型BL産生遺伝子の有無に基づき, 2005-2006年分離株を分類したところ, gBLNAS24.2%, gBLPAR4.1%, gLow-BLNARlO.8%, gBLNAR57.7%, gBLPACR-II3.1%であり, 薬剤感受性による分類に比べてgLow-BLNARとgBLNARを合わせたBLNARの割合が高かった。
2005-2006年分離株に対する各種抗菌薬のMIC
50, MIC
90は, garenoxacinで0.0039, 0.0156μg/ml, tosufloxacin及びciprofloxacinで0.0078, 0.0l56μg/ml, levofloxacinで0.0156, 0.0313μg/ml, norfioxacinで0.0313, 0.0625μg/ml, piperacillin/tazobactamで0.0625, 0.25μg/ml, piperacillinで0.0625, 0.5μg/ml, ceftriaxone及びcefditorenで0.125, 0.25μg/ml, ceneram, chloramphenicol及びtetracyclineで0.5, 1μg/ml, cefbtaximeで0.5, 2μg/ml, ABPC, ABPC/SBT及びcefdinirで2, 8μg/mlであった。1999-2000年分離株と比較すると, 2005-2006年分離株に対するβ-ラクタム系薬のMIC
50は4倍以上に上昇した。
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