我々は猫ひつかき病の1症例を経験したので, その臨床像について多少の文献的考察を加えてここに報告する.
患者は19才女子, 猫と共に生活し, 猫による擦過傷が絶えなかつたが, 入院2週間前より微熱, 及び頸部, 腋窩部のリンパ節腫脹を自覚, 本院内科受診し, 精査のため入院した. リンパ節はゴルフボールから栂指頭大を示し弾性であつた. 生検像では, 斑点状に細網細胞及び組織球の増生が顕著に認められ, また小膿瘍及び上皮性肉芽の癒合が散見され, 肉芽腫性リンパ節炎と診断された.
入院後, 微熱を認める以外は特別の自覚症状もなく, テトラサイクリンの使用により, 腫大リンパ節も縮小し, 第14病日, 軽快退院した.
我々は, 生活歴, 臨床像, 病理組織所見より, 猫ひつかき病(Cat scratch disease)と診断するに至つた.
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