「急性期入院医療の定額払い」(DRG/PPS)が, 平成10年(1997)11月1日より, 8つの国立と2つの社会保険病院において開始された. 当時, 診断群分類(DRG)は183群で, そのすべてに定額払い(PPS)が設定された(適用率は, 全入院患者の約30%かそれ以下であった). その後2年間の資料を基礎として, 平成13年(2001)4月, 診断群分類を532(うち267に定額払いを設定)に, 病名コードをICD-9から同10に, 変更する改定が行われた.
このシンポジウムにおいて, 産業医科大学教授の松田先生は, フランスやヨーロッパ諸国でDRGがいろいろ応用されていることを解説し, 日本にふさわしい診断群分類を開発するための研究(松田班)を紹介した. 鈴木先生と吉田先生は, 国立病院の副院長として病院運営の立場から, DRGの効果は, 一部に不適切な分類があること, PPSが必ずしもコストに関連しないことから, 現行診断群分類の評価は困難であるが, 結果的に在院期間が少し短縮し経常収支の改善がみられたことを示した. DRGにクリニカルパスを応用することにより有効であると吉田先生は追加した. 診療情報管理士の阿南氏は, 医師から提出された臨床データを分析し, ICD-10コードを確実に病名と合わせるために, 医師と診療情報管理士の緊密な連携が必要であることを強調した.
DRG/PPSは, 日本の医療保険制度を変えつつある重要な問題であることから, 国立医療機関に働くわれわれは, いっそう理解を深め, さらに積極的関与が望ましいと考えている.
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