医療
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57 巻, 9 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 藤津 和彦, 橘田 要一
    2003 年 57 巻 9 号 p. 545-550
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    Informed consent, second opinionなどについて脳神経外科領域での最近の実情と問題点を論じた. 外科領域では, とくに手術を勧める場合は, あくまで一人の外科医自身の経験と成績とがinformed consentの為のevidenceとして示されるべきであると考える. ラジオサージャリーや血管内治療法などの低侵襲治療法の利点, 欠点を小さい聴神経腫瘍と海綿静脈洞周辺の内頸動脈瘤を例に挙げて論じた. コンピューターナビゲーションや術中MRIなどの支援装置の有用性についても記述し論じた. これらの最新の装置や治療法を手にしてもやはり実際の手術においてはマイクロサージャリーの手術手技の向上が絶対必要条件であることを強調した. 筆者の手術室における手術法, 手術指導法, 訓練法についてのいくつかの方法論を紹介し, さらに医師の卒後教育の問題点についても論及した.
  • ―ここ10年の進展と2002年の話題―
    香村 衡一
    2003 年 57 巻 9 号 p. 551-557
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    2002年は多発性嚢胞腎研究についてのエポックメーキングな年となった. 年当初にあと一歩でなかなか解明されなかった嚢胞腎最後の遺伝子とされる劣性型の遺伝子PKHD1が同定され, 後半では, ヒトも動物も嚢胞腎の原因遺伝子となる遺伝子産物はほとんどが, 尿細管上皮のciliaすなわち線毛上に認められ, その機能に関わっていることが判明した. また, 優性型の嚢胞腎の高血圧ではアンジオテンシンII受容体拮抗薬がCa拮抗薬よりも腎保護作用を認めることが判明し, さらに糖尿病薬のpioglitazoneが臨床にすぐにでも使えそうな嚢胞腎の治療薬候補として登場した. 今まで, リスクの高い手術しか方法の無かった嚢胞腎, 嚢胞肝の腹部腫大に対しては, 動脈塞栓術というよい治療法が確立した.
    本総説では, この10年あまりの日本の嚢胞腎診療の研究と臨床における発展と昨年のエポックメーキングな話題について概説した.
  • 竹内 仁司, 金崎 洋子, 山本 浩和, 牧野 泰裕, 斎藤 大治, 小長 英二
    2003 年 57 巻 9 号 p. 558-561
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2011/12/02
    ジャーナル フリー
    医療過誤を未然に防ぐためには現代医療の急速な進歩に対応した診療体制および管理体制を構築することが重要と考えられる. そこで当院で経験したインシデント報告1595例中671例(43%)と最も多く認められた誤薬の原因を検討し, その対応策について考えた. 第1発見者は直接患者と接する機会の多い看護師が最も多く(83%), また患者あるいは家族が間違いに気付く例(9%)も多く認められた. 医師に関する誤薬の原因は不明瞭記載35%, 口頭指示23%, 記載ルール違反16%, エンボスカードの間違い14%, 知識不足5%, 連絡不備その他が7%であった. インシデント全体の背景は, 確認不足が医師, 薬剤師, 看護師それぞれ73%, 78%, 49%と最も多く, 勤務状況が医師, 薬剤師, 看護師それぞれ18%, 20%, 17%とほぼ同じ割合を占めた. その他, 医師では連携の悪さが9%, 看護師では観察不足が33%占めていた. 経験年数1年以内は959例中848例(88%)と圧倒的に多く, 経験年数1年以内は重大なインシデント発生要因であった. 以上から, 患者を含めた医療チームの情報交換により知識の共有化が誤薬対策として最も重要である. また, 安全な医療管理を推進するためには新人教育を徹底すると共に, 過度の労働負担を解消しなければならない.
  • ―活動前後の比較―
    野上 玲子
    2003 年 57 巻 9 号 p. 563-566
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    平成14年10月1日実施の褥瘡対策未実施減算新設の告示を受けて, 平成14年7月より国立療養所再春荘病院での褥瘡予防対策活動を開始した. 依頼に応じて褥瘡の往診を行っていたそれまでと活動開始後を比較して(活動前:平成14年2月から6月まで, 活動後:同年7月から10月まで), 予防対策活動の効果を評価した.
    活動開始前は, 皮膚科医が往診するのは発症から日数が経ったステージIII, IVの深い褥瘡に限られていたのに対し, 活動後全例を回診するようにしたところ, ステージI, IIで発見され, 比較的短期間に治癒する症例が増加した. 危険要因の把握や予防に対する看護職員の認識が高まったことや, 閉鎖式ドレッシング材の適切な利用などが, 深い褥瘡の発生を予防し, 治療期間の短縮につながったと考えられる.
  • 濱田 嘉徳, 辻 正子, 長町 典夫, 宇都宮 正裕, 三野 正博, 井下 謙司
    2003 年 57 巻 9 号 p. 567-571
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    自己免疫性肝炎の母親から生まれた児に, 生後1カ月よりdiscoidskin様の発疹, 肝脾腫を認めた. 母親は出産1年前に, 抗核抗体, 高ガンマーグロブリン血症を認め, SLEとして治療を受けていた. 母親は妊娠中, 肝機能正常であったが, 出産10日後より, 39℃まで12日間の発熱を認めた. 同時にGOT183単位, GPT113単位を示し, 抗核抗体1,280倍, 抗DNA抗体は80倍で自己抗体を認め, ルポイド肝炎と診断された. 生まれた新生児は40週, 出生体重3,310g. 生後1カ月, 口内炎, 下痢および顔面, 胸部, 上肢にdiscoid様の発疹を認めた. 患児は入院時GOT 282IU/l, GPT 311IU/l, 抗SS-A抗体16倍, 抗SS-B抗体2倍, 抗核抗体80倍を示し, 母親からのSLE関連抗体が児に移行して, 発症したものと考えられた. 抗SS-A抗体ならびに抗SS-B抗体は生後4カ月で消失し, 抗体の低下とともにGOTならびにGPTは5カ月で正常化した.
  • 勝岡 宏之, 郡山 達男, 松本 信夫, 村田 芳夫, 籾迫 博幸, 田村 泰三, 三森 康世, 松本 昌泰
    2003 年 57 巻 9 号 p. 572-574
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    患者は51歳男性. 44歳頃から足がもつれてふらふらするようになり, 歩行が少しずつ難しくなった. 45歳から喋りにくさを自覚した. 46歳から臥床状態となり, 2002年6月頃から嚥下障害, 呼吸困難感も伴うようになり, 孤発性オリーブ橋小脳萎縮症(OPCA)の診断のもと当院へ入院した. 8月下旬より難治性吃逆が出現し, 経鼻胃管を導入, 10月に上部消化管内視鏡検査を施行し, その際下部食道に発赤をともなう線状びらんを認め, 経皮内視鏡的胃瘻造設術を施行した. 本例は孤発性OPCA患者で, その脳幹障害のため難治性吃逆を合併し, 経鼻胃管による粘膜擦過や, 胃液の逆流などで食道びらんを生じたと推定した. このような状況では, 吃逆の早期の抑制, あるいは早期胃瘻造設などの対策が望まれる.
  • 相澤 志優, 大原 信
    2003 年 57 巻 9 号 p. 575-580
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    複数の医療施設での診療の連携や臨床研究データの参照を可能にしていくという方向性にともない, 患者診療情報の共有が求められている. 今回, 国立病院・療養所における成育医療ネットワーク施設長を対象として, 診療情報の共有化について質問紙調査を行った. その結果は, 成育医療ネットワーク上で, 各施設の診療データを共有したいと答えた施設は9割に達した(39施設, 91.7%). 一方, セキュリティの確保, 個人情報の保護, 倫理面での配慮など問題を指摘するコメントも多かった. 本研究では, この質問紙調査の結果を報告するとともに, 診療データの共有化を実現するために, 成育医療関連施設における病院情報システムの環境及びデータの構造などについて考察した. 今後の課題として, データ取扱い指針や診療情報の2次利用指針などが必要であり, またデータベースを標準化するために病院間での統一コードが必須であることを強く感じている.
  • ―頸動脈内膜剥離術の現状―
    一ツ松 勤, 井上 亨
    2003 年 57 巻 9 号 p. 581-584
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
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