医療
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34 巻, 8 号
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  • 与那原 良夫, 安藤 裕, 正木 英一, 佐々木 由三, 高原 淑子, 石橋 章彦, 山岸 豊, 吉岡 達夫
    1980 年 34 巻 8 号 p. 685-692
    発行日: 1980/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    膵癌は1978年の統計では, 我が国消化器癌死亡率の第4位を占め, 漸次増加の傾向にある. 早期診断が極めて困難なこともあり, その治療成績は他の消化器癌よりもはるかに悪い現況にある. 現今総合イメージ診断方式や併用RIA法が用いられつつあるが, いまだに早期診断法の確立されたものはない. 膵癌に対するRIスキヤンの早期診断に対して, 多くの臨床家はなお疑問視している. 正常膵スキヤンの90~95%が膵疾患を否定出来, 一方膵異常スキヤン像は非特異像を示し, 有所見率は85.5%である.
    膵癌の診断は困難かつ複雑な問題を抱えている. したがつて臨床データやイメージングや臨床病理学的データもいまだに解明されているとは言い難い状況にある.
    それ故著者は総合イメージ診断や, 併用RIA法による診断率向上の知見をまとめてみた. さらにこれら非侵襲的診断の希望は, 近き将来臓器特異性があり病理学的にも特異性のある放射性標識化合物の発展により, 現在主体となつている解剖学的情報と同程度の動態的情報の出現が期待されよう.
  • 前川 高天, 八木 昭一, 小川 欽治, 清水 一良, 梶谷 幸夫, 粉川 晧仲, 疋田 義太郎, 小泉 欣也, 岡本 美穂二, 牧野 耕治 ...
    1980 年 34 巻 8 号 p. 693-701
    発行日: 1980/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    ERCPは膵癌の診断法として将来においても最も有力な検査法の一つと考えられる. 今回我々はERCPによる膵管像を異常所見別に分類し, 膵癌のそれぞれに占める頻度並びに微細な特徴を分析した. 膵癌に最も特徴的な主膵管の異常は“rat-tail”様狭窄及び狭窄を伴う壁不整像であり, 全例膵癌であつた. 次に特徴的な所見は完全閉塞で72.7%が膵癌であつた. 非膵癌の完全閉塞は膵癌のそれとは質的に異なつていた. 第三に特徴的なものは珠状拡張を伴う狭窄であり63.6%が膵癌であつた. 次には拡張を伴わない部分的狭窄及び走行異常で各33.3%と37.5%が膵癌であつた. 一方主膵管の硬化, 軽度珠状変化, smoothな拡張, 陰影欠損, 嚢胞状所見はいずれも良性の所見であつた. 膵野の部分欠損は膵癌及び胆道癌の各1例に認めた. 分枝の不整拡張, 部分的膵実質造影, multiple micro cystは全例非膵癌であつた. 膵管に異常をきたさず膵管異常の検討から除外した膵腫瘍の1例を経験した.
  • 大山 廉平, 丸谷 巌, 富田 濤児, 三浦 琢磨, 吉成 道夫
    1980 年 34 巻 8 号 p. 702-708
    発行日: 1980/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    近年, 内視鏡的膵・胆管造影は胆道精査法として著しく発達したが, 小児に対しては, その特殊性から, 消極的にならざるを得ず, わずか数例の成功例をみるのみである.
    我々は, 小児(6才, 7才)の2症例に対して, ERCPを行い, 良好な結果を得たが, その検討の結果, 小児ERCP用フアイバースコープの改良開発が望まれるが, 現在汎用されているオリンパスJF-B3でも, 小児に対して可能であることがわかつた.
    その適応として年令6才, 体重20kg及び身長110cm以上であれば, ERCPは可能であると考える. 更に重要なことは, 麻酔の問題であり, 小児に対しては, 経鼻的気管内挿管による全身麻酔を行うことが必須である. これにより, フアイバースコープ操作が容易となり, 安全かつ有効な検査が可能である.
    今後広く小児に対する日常検査としてのERCPの適応の拡大が期待される.
  • 唐沢 英偉, 三木 亮, 上野 高次, 大藤 正雄, 庵原 昭一
    1980 年 34 巻 8 号 p. 709-715
    発行日: 1980/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    リニア電子走査型超音波診断装置は, 簡便な操作により実時間で映像を観察できるため, 呼吸性移動や拍動の影響を受ける腹部臓器の微細病変や管腔構造の描出に著しい長所が見られる. 膵に関しては, 従来の超音波所見に加えて膵管像をも確実に捉えることが出来るようになつた. 著者らは, このようなリニア電子走査方式の特長を生かす臓器穿刺用探触子を作製し, 本方式により初めて超音波映像下の経皮的膵細胞診と経皮的膵管造影(Percutaneous Pancreatic Ductography=PPD)を行い良好な成績を得た. 経皮的膵細胞診は, 膵癌30例に施行し, 陽性率は80%であつた. 慢性膵炎4例では, すべて陰性であつた. 特に腫瘤形成型の慢性膵炎において, 膵癌との鑑別に有用であつた. 経皮的膵管造影を膵疾患17例に施行し, 14例に造影が成功した. 本法は, ERCPで造影することのできない拡張した膵管の造影に有用であつた. また, 経皮的膵管穿刺により得られた膵液の細胞診では, 施行した膵癌の6例中1例に癌細胞が認められた. 経皮的膵細胞診および膵管造影において, 特別な治療を要する合併症は認めなかつた.
  • 植田 昌敏, 神野 健二, 福島 正樹, 佐々木 伸彌, 三宅 周, 鷲田 哲雄, 榎本 正満, 中川 潤, 森 透
    1980 年 34 巻 8 号 p. 716-720
    発行日: 1980/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    急性膵炎診断治療上の問題点を明らかにする意味で, 過去9年間に国立岩国病院に入院した急性膵炎40例につき検討した. 患者は当院の診療圏ほぼ全域より来院しており, その頻度は年平均4.4人であつた. 入院経路は救急外来23例, 一般外来17例で膵炎の誘因としては胆石, 原因不明, アルコールの順に多く, 特に胆石症が多いのが全国調査と異なつた. 次に診断, 治療の困難であつた症例は, 1)25才女性, 胆石発作を繰り返していながら初回妊娠に入り, 6ヵ月目で膵炎発作併発して保存療法を行い, 10ヵ月目に手術により母児ともに救命しえたpregnancy pancreatitisの1例, 2)40才男性, 多量の飲酒歴を有する患者で, 第1回入院時軽度の膵機能障害をみたまま飲酒をつづけ, 上腹部激痛により再入院, 血, 尿アミラーゼ値の増加なく開腹により出血性膵炎を認めた. 以後断酒し, 6ヵ月後の膵機能は正常化していた.
  • 大西 英胤, 東 茂樹, 篠原 央, 井上 宏司, 呂 俊彦, 宇都宮 利善
    1980 年 34 巻 8 号 p. 721-726
    発行日: 1980/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    慢性膵炎の外科的治療のうちで, 膵切除術, 膵管空腸吻合術などの直接手術については多くの検討が行われてきているが, 胆道手術についての検討は少ない. 確かに, 胆道手術は, 膵に直接治療を行う根治手術ではないが, 我が国に多い胆石症に由来した胆道膵炎については, 自験例21例の結果よりみて, 胆道手術は有効な術式と考える.
  • 田村 和也, 福井 興, 阪東 慶一, 舟木 正明, 松本 恵一良
    1980 年 34 巻 8 号 p. 727-730
    発行日: 1980/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    6ヵ月以上経過追跡した慢性膵炎患者40例につき血清リパーゼ, 血清アミラーゼ活性値と症状, 予後との対応を検討した. 対照例は慢性膵炎以外の膵疾患, 胆道疾患及びリパーゼ, アミラーゼ値に影響する疾患を除いた消化器疾患患者40例, 正常人28例である. 慢性膵炎群と他疾患群, 正常群の両酵素活性値の間には有意差があり, また慢性膵炎例中の中等度~高度の症状を示す寛解遷延例と軽症で早期(6ヵ月以内)に寛解する症例の各酵素活性値間にも有意差が認められた. また各症例の慢性膵炎症状増悪, 軽快と血清リパーゼの増減傾向にも相関が認められた.
    経過中アミラーゼとリパーゼが解離する例には症状が軽く早期に寛解するものが多い. P-Sテスト時の外分泌酵素誘発試験ではアミラーゼ, リパーゼいずれかの上昇はかなり高率であり, 正常群での脂肪食アルコール負荷後の成績から見てもその評価には再検討の余地がある. 更に各疾患でのリパーゼ測定時には測定前の食事制限を考慮する必要がある.
  • 森田 弘之, 津田 宏信, 高松 脩, 浅井 伴衛, 中田 理, 道場 昭太郎, 木下 睦之, 加藤 寛幸, 小山 信, 渡辺 駅七郎
    1980 年 34 巻 8 号 p. 731-735
    発行日: 1980/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    乳腺の針生検により得られた結果をもとにして, Aspirationによる膵の術中生検の検討を行つた.
    得られた結果は次のようである.
    1)針先が腫瘍の中心に達するように, 十分なMobilizationを行うこと.
    2)慢性膵炎を合併した場合, 生検する場所が問題になるが, 何カ所も深く穿刺するとよい.
    3)Incisional biopsyでは出血, 膵液瘻が多いが, 本法にはほとんど副作用は見られなかつた.
    4)乳癌ではScirrhous typeに偽陰性が多かつたが, 膵癌では組織型による適中率の差はまだ結論を出すには至つていない.
    5)膵病変の良悪性を診断するだけなら, Incisional biopsyよりAspiration biopsyの方がすぐれている.
    6)診断率は乳腺病変では88%(43/49), 膵では82%(14/17)であつた.
  • 河村 秀敏, 黒岩 英男
    1980 年 34 巻 8 号 p. 736-739
    発行日: 1980/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    現在行われている膵外分泌機能検査法PS試験は操作が煩雑であるばかりでなく患者に与える苦痛も少なくない. 合成ペプタイドN-benzoyl-L-tyrosyl-P-aminobenzoic acid (BT-PABA)は膵液中のキモトリプシンで特異的に分解され, P-aminobenzoic acid (PABA)を遊離して腸管より吸収され, 肝で抱合を受けたのち尿中に排泄される. この原理に基づいた膵外分泌機能検査法PFD試験が臨床に用いられるようになつた. BT-PABA500mg経口負荷, 6時間の尿中PABA排泄率の正常下限値は75%であつた.
    膵疾患, 胆石症の膵外分泌機能を検討した結果, 慢性膵炎, 膵部分切除例で著明な低下がみられたほか, 疾患群のPABA排泄率は正常例に比べ有意の低下を示した. PFD試験は簡便で副作用もなく同時に多数例を行うこともできる. 今後試験食用などで軽症例の診断も可能と考えられ, 有用な膵外分泌機能検査法と考えられる.
  • 広瀬 脩二, 船木 治雄, 大田 早苗, 神谷 直紀, 渋沢 喜守雄, 森 一雄
    1980 年 34 巻 8 号 p. 741-744
    発行日: 1980/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    45才男子で会社員. 入院1ヵ月前より心窩部痛が出現. その後, 落痛は次第に増強してきて左季肋部にも拡大. 嘔吐を繰り返し, 左背部痛も伴つてきたので入院. 翌日急性膵臓壊死との診断で緊急手術が施行された. 術後2日目ころから膵性脳症を併発し, 危険な状態に陥つたが, トラジロール, クロールプロマジン, ステロイドなどにより4日目から回復に向い, その後は順調に軽快退院した.
  • 8. 肺腫瘍の疑いで試験開胸を行った肺内血腫の1例
    荒井 他嘉司, 木村 荘一, 道躰 祥一郎, 平田 正信, 田島 洋
    1980 年 34 巻 8 号 p. 746-747
    発行日: 1980/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1980 年 34 巻 8 号 p. 748-749
    発行日: 1980/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
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