医療
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60 巻, 12 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 井手口 忠光, 山本 静成, 東田 善治, 楢崎 亜希子, 村中 光, 朔 元則
    2006 年 60 巻 12 号 p. 735-742
    発行日: 2006/12/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    近年, 画像診断のほとんどの領域がデジタル化されているが, マンモグラフィーにおいては例外的に進んでいない. この最大の要因は, デジタル画像はピクセルサイズが有限であるため従来のアナログ系に比し乳がん診断の生命線ともいうべき微小石灰化の検出能が劣る点にある. しかし最近これらの改善を目指してフラットパネル検査器を用いたフルデジタルマンモグラフィーシステム, また従来の半分の50μmのピクセルサイズの高解像度CRシステムが開発された.
    本稿ではデジタル検出器, デジタルシステムのマンモグラフィーへの開発から現在までの流れを解説し, ついでフラットパネルマンモグラフィーシステム, 高解像度CRシステムと従来のアナログマンモグラフィーの物理特性, ならびに信号検出能の比較検討結果をもとに, デジタルマンモグラフィーの今後を展望する.
  • ―1992年と2004年の比較―
    小長谷 正明, 井上 由美子, 藤田 家次, 久留 聡, 酒井 素子
    2006 年 60 巻 12 号 p. 743-749
    発行日: 2006/12/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    Duchenne型筋ジストロフィーDuchenne Muscular Dystrophy (DMD)の主観的QOLを, 同一の質問票を用いて6指標30項目について2検法で調査し, 1992年と2004年の変化を検討した. 対象は鈴鹿病院筋ジス病棟入院中のDMD患者で, 1992年は41例(年齢19.1±4.3歳, M±SD), 2004年は32例(年齢24.8±6.7歳)であった. 1992年と2004年における指標ごとの満足度は, A 自己の認識77.6%, 76.9%, B)療養への満足度65.9%, 76.9%, C)過去・現在・将来の評価47.7%, 60.0%, D)心理的安定43.9%, 63.8%, E)家族・社会・交友70.2%, 78.8%, F)生活の張り・活力・目的志向71.2%, 73.8%であった. B)とC)は5%以下, D)は1%以下の危険率で有意に2004年の満足度が増えていた. この12年間の人工呼吸器療法の普及など, 療養環境の変化が主観的QOLを向上させたと推定された.
  • 池田 恭治
    2006 年 60 巻 12 号 p. 750-751
    発行日: 2006/12/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 道川 誠
    2006 年 60 巻 12 号 p. 752-759
    発行日: 2006/12/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    アルツハイマー病は, 記銘・記憶, 思考, 判断力の低下などの認知機能障害を中核病態とする神経変性疾患である. 高齢社会に突入したわが国では, その患者数は増大しつつあり, 予防・治療法の開発が急がれている. アルツハイマー病の病理学的特徴は, アミロイドの沈着と神経原線維変化形成であるが, 近年, 原因遺伝子の同定とその機能解析が進み, 加齢や遺伝子変異にともなって脳内に沈着するアミロイドβ-蛋白が引き金となって神経原線維変化(タウ病変), 神経細胞脱落を引きおこし, やがて認知症を引きおこすのではないか(アミロイドカスケード仮説)と考えられるに至っており, この考え方に基づいた治療法の開発が複数試みられている.
  • 今井 剛
    2006 年 60 巻 12 号 p. 760-763
    発行日: 2006/12/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    健康で活動的な老化をすごす老化制御は古くから人類の望みであった. とくに, 現代日本社会にとっては切実な望みである. そこで本稿では可能な老化制御法の紹介と, われわれ老化制御研究部の研究している点を交えたい.
  • 松下 健二
    2006 年 60 巻 12 号 p. 764-772
    発行日: 2006/12/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    歯周病は, 日本成人の約8割が罹患する疾患であるが, その病因論は十分に確立されていない. 歯周病の病因論は, 宿主-細菌相互作用を中心に論じられてきたが, 加齢と生活習慣の蓄積がその発症と進行を左右している可能性がある. 老化にともなう血管と歯肉機能の低下とともに歯周病関連細菌Porphyromonas gingivalisによる血管炎の惹起と血液凝固の亢進が歯周病の発症に大きくかかわっている. P. gingivalisが産生するトリプシン様酵素gingipainsは血液凝固第X因子を活性化し, 活性化血液凝固第X因子(FXa)を生成する. FXaとgingipainsは炎症性サイトカインやmatrix metalloproteaseの発現を誘導して強力に炎症反応を惹起するとともに, 局所および全身の血管の炎症と血栓形成を促すと考えられる. このような歯周病関連細菌の免疫病理活性は, 全身病としての歯周病を考える上できわめて重要であり, 歯周病病因論のパラダイムシフトのきっかけとなる可能性があると考える. また, プロテアーゼカスケードの制御は歯周病治療の新しい可能性を開くと考えている.
  • 松浦 弘幸, 野田 信雄, 小井手 一晴, 根本 哲也, 中野 正博
    2006 年 60 巻 12 号 p. 773-779
    発行日: 2006/12/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    多くの医療機器は, 非観血と低侵襲を目指して, 患者さんのQOLを改善すべく発展卿してきた. 血糖値測定機器の臨床現場では, グルコースを特異的に加水分解するグルコースオキシダーゼという酵素を利用して, 血中のグルコース値を測定している. その代表的な測定原理には, 反射光度法と固定化酵素電極法がある. しかし, ヒトの体表面から立ち上るガス状化学物質を分析して, 血糖値を推定する皮膚ガス生化学分析法や, 新たに複合センサーを開発し, 生体の代謝に関する熱エネルギー, 酸素供給量, 血流量などの各種の生理学的パラメータから, 血糖値を推定する機器などは, 新規の非観血的低侵襲検査法といえる. 放射光を用いた位相差法やX線暗視野法は, 従来のX線撮像法では得られなかった軟骨, 乳癌細胞や小脳などの軟部組織に対する新たな観察法を提案した. さらに, フェムトテクノロジーとしての放射線治療は, 試験的ではあるが炭素イオンやネオンイオンなどの重粒子を用いた治療に重点が移動しつつあり, その成果が期待されている.
  • 細井 孝之
    2006 年 60 巻 12 号 p. 780-782
    発行日: 2006/12/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    高齢者の医療における先端医療のターゲットは多岐にわたり, 高齢者総合機能評価によって評価される各要因がそれにあたることが考えられる. 「先端医療」の意味を広くとらえ, 高齢者にとって全人的にみて最良のアウトカムを得るための工夫が必要であろう. 国立長寿医療センター先端医療部は長寿社会における健康長寿を実現するための先端的な医療を開発し, 実施することのみならず, 国内外の情報を整理して発信することを使命としている.
  • 三谷 真紀, 陣内 研二, 勝田 房世, 神野 進
    2006 年 60 巻 12 号 p. 784-787
    発行日: 2006/12/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    2005年9月全国27施設の筋ジストロフィー病棟に対し, 人工呼吸器装着患者の入浴方法の実態についてアンケート調査を行った. 鼻マスクによる間欠的陽圧人工呼吸(以下NIPPV)患者の半分は, 呼吸補助なしで入浴していたが, 気管切開患者の83.2%は入浴時に何らかの呼吸補助が必要であり, その内訳は救急蘇生用バッグ用手補助呼吸が56.8%, 人工呼吸器装着が25.4%, 酸素投与が1%であった. 救急蘇生用バッグ補助に関しては臨機応変に対応でき, 準備・操作・移動が簡単でよいが, 人手がかかり, 介助者によって補助の仕方がばらつくなどの意見がでた. 人工呼吸器装着に関しては安定した呼吸が確保されて安心だが, 準備・移動に手間, 時間がかかり, 機械の故障や, 漏電, 感電の心配があるなどの意見がでた. 介助側, 患者側の意見に大差はなかった. 患者側からは人工呼吸器による補助を希望する意見が多かった. これらの意見を踏まえ, 人工呼吸器装着での入浴介助を導入する際には準備や移動の工夫, 安全確認手順の確立と機械の安全性に関する検討がさらに必要である.
  • 下肢動脈・下肢静脈疾患のチェックポイント
    水島 美津子, 岩下 淨明, 上條 敏夫, 山口 秀樹, 高須賀 康宣, 中島 哲, 武山 茂
    2006 年 60 巻 12 号 p. 788-796
    発行日: 2006/12/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
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