臨床検査として最近導入された血清1,5AG(anhydroglucitol)につき臨床的意義を検討した. 外来通院糖尿病患者(慢性膵炎18例, NIDDM68例)を対象とし血清1,5AG, HbA
1, 空腹時血糖(FPG)を測定した. 膵性糖尿病インスリン治療例で1,5AGは低値を示し, 経口剤・その他による治療例との間に有意差があった. 一次性糖尿病ではHbA
1, FPG各々と1,5AGの間に有意相関がみられた. 両糖尿病とも1, 5AG, HbA
1, FPGの異常頻度は高率で, 治療によりそれぞれ10μg/ml, 10%, 100mg/dl近傍へ推移した. 測定値の分布は1,5AGが最大で, その上昇はHbA
1, FPGが正常化する時期に著明となり, 後二者が正常域にあっても1,5AG低値例がみられた. 以上より, 膵性糖尿病インスリン治療者で1,5AG低値例が多く, 1,5AG正常は血糖コントロール安定化を示唆するものと考えられる.
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