医療
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48 巻, 1 号
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  • ―胸膜生換の臨床的意義―
    鈴木 恒雄, 武田 祐子, 豊田 恵美子, 川田 博, 可部 順三朗
    1994 年 48 巻 1 号 p. 3-8
    発行日: 1994/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    我々は胸膜炎の診断にあたって, 胸膜生検の臨床的意義を検討するため, その他の検査, 胸水の検査(ADA値, 腫瘍マーカー, 細胞診, 細菌学的検査)喀疾の検査と比較した. その結果結核性胸膜炎では, 胸膜生検の診断率は42%であり, 癌性胸膜炎では36. 8%であり, 決して高くはなかった. 結核性胸膜炎では胸水中ADA値, 胸膜生検, 喀疾, 胸水中の結核菌の検出の順で診断率は高く, 癌性胸膜炎では胸水申の腫瘍マーカー, 喀疾の順で胸膜生検と胸水中の細胞診が同じ診断率であった. 胸膜生検はベッドサイドでも検査できる簡単なものであるが, 盲目的検査であり, ガリウムシンチや超音波検査などの補助的-診断を併用し病巣部位を診断しその部位の生検によりさらに診断率は高値となるものと考柔られる. そgて胸腔鏡め併用によりその診断率は100%近くになるものと思われる.
  • 上田 修吾, 小泉 欣也, 難波 克明, 森田 通, 森賀 威雄, 露木 茂, 黒柳 洋弥, 具志堅 保, 大谷 哲之, 土屋 宣之, 西脇 ...
    1994 年 48 巻 1 号 p. 9-15
    発行日: 1994/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    1978年1月から1991年12月までの間に国立京都病院で手術された胃癌1540例中, 主として深達度se癌230例, 対照としてss癌310例に検討を加えた. 当然のことながら, se癌はss癌の進行した状態と考えられ, 腹膜播種性転移P, 肝転移H, リンパ節転移Nとも有意に進行しており, 予後不良だが, P0, H0でさらに組織学的リンパ節転移nO例のみに限定すると両群に有意差がないことは, 今後se癌の予後をSS癌に近づけるのに, 示唆を与えられた.
  • ―腺腫併存潰瘍性大腸炎との比較―
    中村 陽子, 安達 献, 斎藤 憲二, 橋本 哲, 嶋津 裕, 石川 主悦, 井出 哲, 渡部 幸夫, 安部 明郎, 浅尾 武士, 高橋 俊 ...
    1994 年 48 巻 1 号 p. 16-20
    発行日: 1994/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    過去30年間の癌併存UC・腺腫併存UC本邦報告例184例について1)腺腫あるいは癌の発見時年齢2)罹病期間3)UCの罹患範囲と腫瘍の存在部位4)dysplasiaの頻度, の4項目について検討した.
    癌併存UCは, 若年発症で, 罹病期間が長く, 全大腸炎型が多く, dysplasiaの併存率が高いことより, 炎症が発癌に強く影響している可能性が示唆された. と同時に長期観察群におけるサーベイランスの確立が急務であると考えられた. 更に, UC発症後20年目に多発大腸癌を併存した1剖検例を呈示した.
  • 若杉 英之, 大島 彰, 馬場 崇, 瀬尾 洋介, 南野 享子
    1994 年 48 巻 1 号 p. 21-26
    発行日: 1994/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    悪性腫瘍の中でも今日なお診療に難渋している膵癌(膵嚢胞腺癌を除く膵管状腺癌)と肝癌(肝細胞癌)をとりあげ, 当院における診療の状況とQuality of Life (QOL)の向上につき考察した. 最近みられる診療の著しい進歩(High risk groupの定期検査, PEIT, インターフェロン療法等)により後者の場合は生存期間も延長したが, 前者の場合は依然厳しい状況にある. 当院の座右銘は「病む人の気持を」そして「家族の気持を」であり, このような場合には各診療部門こぞっての集学的治療がなされ, QOLの向上(疼痛軽減・家庭復帰)のための努力がなされる. 前者においては生存期間が短く限られているゆえに, 後者においては生存期間が延長した分, いかに対応するかも課題となる. 当院はがん専門病院であるためストレスも大きい. 必ずしも癌告知はおこなわれず, 不安を和らげ希望を失わない程度に真実に近い形で説明する場合が多い. カウンセラーの協力を得, サィコオンコロジー面の充実も目指している.
  • ―遺族アンケートの結果から―
    篠 道弘, 江口 久恵, 吉本 文男, 矢島 聖, 大黒 正夫, 平賀 一陽
    1994 年 48 巻 1 号 p. 27-31
    発行日: 1994/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    1988年から1990年までの期間, モルヒネ製剤を服用していた患者の遺族310名に, アンケート用紙および服薬指導用小冊子を郵送した. 回収率は48. 6%であった. モルヒネについての説明の有無が, 疼, 痛の程度や鎮痛効果などに及ぼす影響について検討した. その結果, モルヒネに関する説明の有無と疼痛の程度との間には関連性は認められなかったが, モルヒネの説明と疼痛の説明の有無とは一致する傾向が認められた. また, モルヒネの説明を受けた群では受けなかった群に比べ, 鎮痛効果の得られる割合が有意に高く(p<0.05), モルヒネに関する理解度も有意に高かった(p<0.005).
    以上の結果より, モルヒネに関する理解を高めるための説明は, 鎮痛効果の向上につながることが判明し, そのための服薬指導用小冊子の有用性は高いと考えられる.
  • 若杉 英之, 右田 良克, 牟田 浩実, 大島 彰, 四宮 幸子, 馬場 崇, 山田 幸生, 井口 東郎, 王 暁宇
    1994 年 48 巻 1 号 p. 32-35
    発行日: 1994/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    臨床検査として最近導入された血清1,5AG(anhydroglucitol)につき臨床的意義を検討した. 外来通院糖尿病患者(慢性膵炎18例, NIDDM68例)を対象とし血清1,5AG, HbA1, 空腹時血糖(FPG)を測定した. 膵性糖尿病インスリン治療例で1,5AGは低値を示し, 経口剤・その他による治療例との間に有意差があった. 一次性糖尿病ではHbA1, FPG各々と1,5AGの間に有意相関がみられた. 両糖尿病とも1, 5AG, HbA1, FPGの異常頻度は高率で, 治療によりそれぞれ10μg/ml, 10%, 100mg/dl近傍へ推移した. 測定値の分布は1,5AGが最大で, その上昇はHbA1, FPGが正常化する時期に著明となり, 後二者が正常域にあっても1,5AG低値例がみられた. 以上より, 膵性糖尿病インスリン治療者で1,5AG低値例が多く, 1,5AG正常は血糖コントロール安定化を示唆するものと考えられる.
  • 池田 正仁, 家永 睿, 恵良 昭一
    1994 年 48 巻 1 号 p. 36-40
    発行日: 1994/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    完全に胃壁外に発育し, 術前に原発臓器の同定さえ困難であった胃平滑筋芽細胞腫の1例を経験したので文献的考察を加え報告した. 症例は65歳, 男性で胃の過形成性ポリープの内視鏡的治療のため来院した. その際施行した腹部エコー, 腹部X線CT検査にて胃と脾の間に径約5cmの腫瘤を偶然発見した. 胃X線造影検査および胃内視鏡検査ではすでに知られていたポリープ以外はただ穹窿部に胃壁外よりの圧排所見が認められたのみであった. 開腹したところ, 鵞卵大の腫瘍は左横隔膜下で胃と脾の間にあり, わずかに索状物にて胃穹窿部と連結していた. 楔状切除により腫瘍を摘出した. 病理組織学的には平滑筋芽細胞腫と診断された. 放射線感受性もなく, 有効な免疫化学療法もない現在, malignant potentialをもつ本腫瘍の正確な悪性度予測因子や生物学態度が明らかにされ, 術後の有用な合併療法が確立されることが望まれる.
  • 野村 修一, 鷲尾 一浩, 山野 寿久, 松本 英男, 永広 格, 東 良平, 佐々木 澄治
    1994 年 48 巻 1 号 p. 41-44
    発行日: 1994/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    症例122歳, 妊娠31週, 当院入院の前日夕方より腹痛があった. 腹痛は腹部全体におよび間歇性であったが, 入院翌日には右側に限局する傾向がみられ, 翌々日手術となった. 虫垂穿孔と右側腹腔への膿汁貯留が認められた. 妊娠40週で正常女児を自然分娩にて出産した. 症例225歳, 妊娠33週, 前日より心窩部痛があったが, 腹部全体の痛みとなり入院した. 腹痛はしだいに右側にかた寄るようになったため同日手術となった. 虫垂は穿孔はしていないものの著明に発赤腫大し, 周囲に膿汁貯留を認めた. 妊娠38週で帝王切開にて正常男児を出産した.
    妊娠優期においては, 子宮の増大と虫垂の変位により症状所見が非定型的で不明瞭であり, 診断が難しい場合がある. 虫垂炎に腹膜炎が加わると胎児死亡や早産の危険があり, 手術をためらってはならない.
  • 由井 靖子, 松木 美知子, 小田 修治, 村上 剛, 南部 征喜, 石田 孝敏, 岩野 健造
    1994 年 48 巻 1 号 p. 45-49
    発行日: 1994/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    アルコール性低血糖による意識障害で来院し, その後検査で無症候性原発性胆汁性肝硬変症(PBC)に橋本病を合併していたことが判明した61歳の男性例について報告する.
    慢性甲状腺炎には, 他臓器自己免疫疾患を合併することが多く, PBCも特異な病像を示す自己免疫疾患である. またアルコールは肝機能障害の一因となる物質であり, 本症例の病像をより複雑なものにしていた可能性がある. 断酒, 甲状腺ホルモンの補償療法を行ったところ, 甲状腺機能のみならず, 肝機能の改善, IgMおよび抗ミトコンドリア抗体価の低下を認めた. 本症例の経過から, T4製剤それ自体かT4製剤による全身の代謝の改善が免疫系に好影響を与えて断酒の効果も加わりPBCの改善をもたらしたと推定される. アルコールの影響はきておき, 内分泌環境と自己免疫疾患の関連について, より深い究明が必要であると考えられた.
  • 長瀬 精一, 羽田 忠, 清水 文雄, 斎藤 由美子
    1994 年 48 巻 1 号 p. 50-53
    発行日: 1994/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    症例は抑うつ状態から意識障害にいたり, 内分泌学的検査にて副甲状腺ホルモン(PTH-C)が16.6ng/mlと高値を示していたことより, 原発性副甲状腺機能亢進症と診断した67歳の男性である. 精神症状の治療には抗精神病薬や抗うつ薬などの投与とともに副甲状腺の摘出術を行い, 改善が得られている. 原発性副甲状腺機能亢進症にみられる精神症状に関する症例報告は, 本邦では少ないと思われたので, 若干の考察を加えここに報告した.
  • 宮井 将博, 戎野 庄一
    1994 年 48 巻 1 号 p. 54-56
    発行日: 1994/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    頻回の仙痛発作を繰り返した直径1cmの左腎杯憩室に対し腎部分切除術を行い良好な成績を得た. 本疾患は通常無症状で保存的治療が原則であるが, コントロール困難な痛みや感染の合併には憩室の外科的切除も考慮すべきものと思われた.
  • 倉澤 卓也, 池田 宣昭, 山鳥 英世, 佐藤 敦夫, 中谷 光一, 高橋 憲太郎, 井上 修平, 鈴村 雄治
    1994 年 48 巻 1 号 p. 57-62
    発行日: 1994/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    術前化学療法が奏功し, 治癒手術を施行し得た42歳, 男性の扁平上皮癌の1例について報告した.
    症例は, 右上葉原発の中枢型扁平上皮癌で, 精査にて臨床病期cIIIA(cT3N2MO)と判定し, 3コースのCDDP+MMC+VDS(CMV)併用化学療法後腫瘍は著明に縮小し, 臨床病期cI(cTINOMO)となり, 右上葉切除術・気管支形成術を施行した. 病理病期もpI期(pTINOMO)であり, T因子は肺門部早期癌の範疇内の広がりであった.
    肺の非小細胞癌に対するCMV併用療法の奏功率は40%以上と報告されており, 術前の化学療法の施行により, より高い治癒切除率が期待し得るものと思われる.
  • 堀田 卓宏, 児玉 安紀, 勇木 清, 谷口 栄治, 黒木 一彦, 橋詰 顕
    1994 年 48 巻 1 号 p. 63-67
    発行日: 1994/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    中脳周囲に限局した出血源不明のくも膜下出血の2症例を経験したので報告する. 症例1は高血圧を有する46歳の男性で, 突然, 激しい頭痛で発症し当科に担送された. 意識は清明で, 頭部CTにて左迂回槽と四丘体槽に限局するくも膜下出血を認めた. 脳血管撮影を行ったが異常を認めず, 脳虚血症状なく退院した. 発症10年を経過して再出血はない. 症例2は1~2分でピークに達する頭痛で発症した49歳の男性で, 来院時意識は清明, CTにて脚間槽に高吸収域を認めた. 脳血管撮影で異常を認めず, 神経脱落症状なく退院, 発症2年を経過して再出血はみられていない. 出血源不明のくも膜下出血の中でも特に良性な型として, この二症例のような中脳周囲に限局したくも膜下出血が注目されているが, 病理学的検証がなされていない現在, CT所見を参考にし, かつ慎重な4-vessl angiographyでの陰性所見が, このentityに含まれると診断できる最低条件である.
  • 君島 康一, 石名 田洋一, 泉田 良一, 川久保 誠, 小玉 隆一, 潮田 隆一, 小泉 淳, 鈴木 孝司
    1994 年 48 巻 1 号 p. 68-72
    発行日: 1994/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    40歳, 男性. 飲酒時の両下肢の脱力を主訴とし, 約2年間に脱力症状の頻度および持続時間に進行性の増悪を認めた症例である. 脊髄造影ではwormlikeapPearanceがあり, 造影MRIでは下位胸髄背側にenhancementが存在し, conusは軽度腫大の所見を呈していた. 髄液検査では, 髄液還流障害の所見であった・脊髄動静脈奇形が疑われ血管造影を行ったところ右第1腰動脈から上位胸髄におよぶsinglecoiled様の異常血管を認め, 左第1腰動脈からは側副血行路も確認された. Adamkiewicz arteryは, 左第10肋間動脈より造影された. 右第1腰動脈をmainfeederとする硬膜動静脈痩と診断し, 人工塞栓術(TAE)を行った. TAE後, 足底部のシビレは残ったが, 下肢の脱力症状は消失した. TAE後1ヵ月の血管造影では, Main feederおよびcollateralからは異常血管は造影されなかった. 髄液還流障害やconUSの腫大を認めたため静脈圧上昇による脊髄の欝血が脱力症状の主因と考えられた.
  • 1. 過伸展肺
    藤井 恭一, 花田 清彦, 桜木 博章, 木村 真二郎, 渡辺 文雄, 工藤 宏一郎
    1994 年 48 巻 1 号 p. 73-76
    発行日: 1994/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1994 年 48 巻 1 号 p. 77-79
    発行日: 1994/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
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