医療
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42 巻, 2 号
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  • 中山 昇二
    1988 年 42 巻 2 号 p. 116-121
    発行日: 1988/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    リウマチは寛解と増悪を繰り返して進行する難治性の疾患であり, 女性ことに家庭の主婦を侵すことが多く, 社会的にも重要な疾患で, 地域医療システムの確立が望まれる.
    その臨床的特徴は, 多臓器を侵す全身性疾患であるが, 病変の中心は関節で, 小関節から発病することが多く, 多発性, 両側性となる. 治療の目的は炎症を鎮静させ, 終痛を減じ, 関節や筋肉の機能を保持し, 変形を予防することにある. そのためには調和のとれた安静と運動の組合せを中心とした基礎的保存療法が大切である. 薬物療法は抗炎症剤が中心となるが, 長期にわたるため, 有効性の他に副作用が少なく, 耐薬性の高いことが求められる.
    近年リウマチの自然経過を変える可能性のある金剤, D-ペニシラミンなどが用いられるようになつたが, 個々の患者がたどるであろう臨床経過を想定し, 激症で急激に骨の破駿のすすむ症例では, 副作用をおそれず, これら薬剤を使用する必要がある.
  • 黒田 重臣, 前島 潔, 篠崎 有三, 小森 正樹, 大谷 良樹
    1988 年 42 巻 2 号 p. 122-130
    発行日: 1988/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    慢性関節リウマチ(RA)において病因関連物質が血漿を低温にした際にゲル状の沈殿物, いわゆるcryogelを形成することを応用したcryofiltration (CF)療法を24例のRA患者に試み, その除去物質であるcryogelを高速液体クロマトグラフイー法(HPLC), 免疫沈降法および動的光散乱法(DLS)で分析し, その性状を検討した.
    HPLCではcryogelはAからFまでの6個の物質に分離でき, A物質が著明であつた. A物質はさらに3個の分子量物質, A1;130万, A2;100万, A3;64万に分離された. 免疫沈降法の結果では, cryogelの主成分であるA物質は免疫グロブリンと異なる物質であつた. さらにA物質の分子レベルの性状をDLSで検討した結果, A物質は分子レベルにおいてもcryogelと同様な性状を示した.
    以上の結果はcryogelの主成分はA物質で, 免疫グロブリンとは異なる物質であることを示唆した.
  • 黒田 重臣, 前島 潔, 篠崎 有三, 小森 正樹, 大谷 良樹
    1988 年 42 巻 2 号 p. 131-136
    発行日: 1988/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    近年慢性関節リウマチ(RA)に対して血漿交換療法が試みられてきており, RAの新しい治療法として注目されてきている. 我々は24例のRA患者に対して血漿交換療法の一つであるcryofiltration (CF)療法を392回施行し, そのRAに対する臨床効果を検討した.
    CF療法に対する臨床的反応は大別するとリバウンド現象を起こすものと, 起こさぬものとに分けられ, 血清IgM濃度が両群の鑑別に良い指標と考えられた. RAに対するCF療法の効果は短期的にも長期的にも認められ, 特に入院時と退院時のLansbery scoreの減少率で判定した結果, 著効6例(25%), 有効10例(41.7%), やや有効6例(25%), 無効2例(8.3%)で, CF療法はRA患者にとつて有効な治療法であつた.
  • 佐川 秀明, 小野 寺功, 佐藤 知義, 石塚 玲器, 前川 隆
    1988 年 42 巻 2 号 p. 137-139
    発行日: 1988/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    肋骨原発軟骨肉腫の症例に対して, 広範なる胸壁切除を経験したので報告する. 症例は47才女性で, 左乳房下胸壁に, 硬い, 圧痛を伴う腫瘤を認める. CTにて左第5肋骨より発生した腫瘍で, 針生検にて非上皮性悪性腫瘍(術後軟骨肉腫)と診断された. 腫瘍部を上下各1本の肋骨と筋肉を含め, 広範に胸壁を切除した. 欠損部は14×12cmで, Marlex meshにて閉鎖し, さらに有茎広背筋弁にて補填した. 術後合併症をみずに退院した.
  • ―とくに石化人期の臨床像の特徴について―
    足位 克仁, 木村 千代美, 坂東 智子, 橋口 修二, 有井 敬治, 乾 俊夫, 中村 精一, 松家 豊
    1988 年 42 巻 2 号 p. 140-144
    発行日: 1988/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    症例は41才, 男性で, 進行性化骨性筋炎の孤発例である. 幼少時より駆走は遅かつた. 9才時, 頸部と股関節の運動制限をきたし, その後も症状は進行性で, 27才時, 開口制限, 上肢の腫脹及び挙上困難が加わつた. 40才時入院. 顔貌は仮面様で姿勢は強度の前屈位を示した. 歩行は前傾小刻みであり, 起立は介助を要した. 脊柱は構築性の右凸後側轡で, 両手・膝・足関節はわずかに可動域が残つているが, 顎・全脊柱・両肩・股関節の可動性はなく, 両肘関節は屈曲位強直を示した. また, 両側母指の短縮, 小指の屈曲短縮, 母趾の外反短縮がみられた. なお, 創傷, 骨折の治癒は迅速であり, その部に化骨を認めた.
    本例は本症の終末期でいわゆる石化人と呼ばれる時期の症例であるが, 本邦文献上最高令に属する症例であり, 石化人期の臨床像の特徴を知る上で貴重である. また, 本例にみられる創傷治癒の促進現象は化骨過多と共に本症の病因と関連しているものと思われる.
  • ―骨折の適応拡大と種々の応用―
    横井 秋夫, 細川 昌俊, 加藤 哲也, 安藤 千博, 木原 正義, 橋本 健史
    1988 年 42 巻 2 号 p. 145-148
    発行日: 1988/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    ボルコフーオガネシアン創外固定器は, 細いピンを使用するが骨片の把持力が強いこと, 整復が容易で固定力が強いこと, を最大の特長としている. これらを充分に活かすことにより種々の応用が可能となつてくる. 過去5年間で28例に本器を使用し, 当初は比較的単純な骨折の整復固定を適応としていたが, 最近では手技的に習熟したため次第にその適応を拡大してきた.
    中等度までの粉砕骨折ならば, 中枢骨片と末梢骨片だけを強力に固定することにより, その間の第3骨片は外骨膜性仮骨により骨癒合する可能性が充分にあるので, 本器の適応がある. 高位脛骨骨切り術では, 元来骨癒合が良好な部位であり, 本器により固定期間を短縮できるわけでもないので, 適応は少ないと思われる. 膝または足関節固定術においては, Chanley器のような二次元的な固定よりも, 本器の方が立体的に安定した固定力を有するので, 本器の最適応である.
  • “Overgrowth & Reopening”説
    大井 静雄
    1988 年 42 巻 2 号 p. 149-156
    発行日: 1988/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    二分脊椎の発生病因論には数多くの学説があるが, いずれも決定的なものではない. 私共は, 国立療養所中央個別研究課題として, chick embryo1000体以上を用いた実験奇形モデルより同発生病因に関する研究をすすめてきた. そして, その結果として本実験モデルに示された二分脊椎の発生病態は, これまでに提唱のなかつた学説の可能性を示唆するものであつた. ここにその研究過程の報告を行い, 今後の研究の方向性につき検討した.
    二分脊椎の動物実験モデルの開発には, 催奇形因子を6群14種に分け, その作因特異性をみた. myeloschisisはサルチル酸, ACNU, BCNU, Phenobarbital, 糖負荷によつて出現した. そして, その時期特異性として, いずれも神経管閉鎖後Hamberger & Hamilton stage16以降の催奇形因子の作用によるものであつた. 病理組織学的には, myeloschisisを示す脊髄開裂部背面のplacodeに神経細胞の増殖から成るovergrowthの所見が著明に認められた. さらに免疫組織化学的検索によりこのovergrowthは, NSE positive elementを有する神経細胞の集団より成ることが判明し, 早期かつ異常にneural maturationが生じていることを示唆した.
    本研究は, これまでに認められてきたmyeloschisisのovergrowthの所見を明確に解析するとともに, その時期特異性より, これまでに提唱のなかつた新たな発生病因論ともいえる“Overgrowth & Reopening”説の可能性を示唆したものと考える.
  • 本田 正節, 中島 玲, 入交 修, 福原 俊一, 戸山 雅子, 石川 真一郎, 内藤 政人, 名越 秀樹
    1988 年 42 巻 2 号 p. 157-161
    発行日: 1988/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    僧帽弁逸脱症候群の病因についてはまだ明確な説明に至つていないが, それが複数であることは疑いがない. 488例の僧帽弁逸脱症患者について多変量解析による群別を行うべくクラスター分析を行つた. また, 30例については3年間の追跡調査を行いマルコフ分析を行つた.
    クラスター分析により10個の団塊ができた. これら単に数学的に作成された団塊に対し, 医学上の評価を加え分類を行つた. 大きな団塊は10個であつたが, 大ざつばには2つに分類できた. ひとつは, 扁平・陥凹した胸隔, パンケーキ状左房を示し弁の粘液腫様変性をみない群で, いまひとつは, 正常な胸隔・小さくない左房を示し, 弁の粘液腫様変化をみるものであつた. 後者の中で僧帽弁逆流をみるものは完成した進行型のみでなく初期の進行型も含まれていた.
  • 大高 興
    1988 年 42 巻 2 号 p. 162-167
    発行日: 1988/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    ハンセン病患者にみられる各種の痛みに対して, ハリ治療を試み好成績を得た. 方法はハリ電極パルス刺激装置による, ハリ電極通電法(PG)によつた. これを, ハンセン病患者の顔面痛, 筋緊張性頭痛, 頸肩部痛, 上肢痛, 前腕痛, 坐骨神経痛, 下肢痛, 腰痛及び慢性関節リウマチの計29例に試みた結果, 24例すなわち82.7%が有効であつた.
    PGは非ハンセン病患者におけるよりも, ハンセン病患者に対してはるかに効果がある. その理由は不明であるが, 現在のところ考えられる二, 三について述べた.
  • 国立病院動脈硬化症研究班
    1988 年 42 巻 2 号 p. 168-172
    発行日: 1988/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    急性期心筋梗塞(AMI)26例, 陳旧性心筋梗塞(MI)22例, 狭心症19例, 脳梗塞13例の計80例にvon Willebrand因子(vWF), VIII因子活性, antithrombin III (AT III)を測定し, 44例の正常対照と比較した.
    VIII因子活性とvWFは年令と有意な(P<0.05)相関が認められた. AMI, MI, 脳梗塞のvWFは, 同年令層の正常人に比較し有意な高値を示した. (p<0.05). VIII因子活性は, 高値傾向がみられたが, 正常人と有意差は認められなかつた. ATIIIは, MIと脳梗塞で有意な(p<0.05)低値を示した. AMIでは, vWFの異常高値を示した群が, 正常人と比較し有意な(p<0.01)低値を認めた.
    vWFの高値は, AMIと脳梗塞の死亡の危険因子と考えられ, また動脈硬化の進展の有用なマーカーと考えられ, 予後の推定に役立つと考えられる.
    AT III活性の低下は, 消費によるものと考えられる.
  • 「(ハンセン病における日常生活上の)不自由のイメージ
    1988 年 42 巻 2 号 p. 173-181
    発行日: 1988/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    ハンセン病の後遺症としての, 特に視覚障害や四肢末梢の神経(知覚, 運動とも)麻痺は, 何らかの日常生活上の不自由をもたらす. 従来は, このような不自由の軽重を, 簡便なADLテスト(不自由度調査票)によつて評価してきたが, これでは不自由の実態をとらえきれないために, そのイメージ化もかねてからのぞまれていた.
    そこでまず, 不自由度調査票による結果を再検討し, 人間の基本的欲求が強く影響する排泄, 摂食, 身の回りの整理, 身だしなみなどの動作の自立は, その内容はともかく, もつともそこなわれにくいことをあらためて確かめた. つぎに, これらの動作に関係のある触知覚, 視覚, 手指の使用, 体の室内移動などの身体機能に加えて, コミユニケーシヨン, 理解, 会話, 屋外の行動その他を, 6層の同心円内にたがいに関連づけて配置し, 全体としての構造的な相関の図示を試みた. なお検討の余地はあるが, 不自由をイメージ化するための一助にはなろう.
  • 大高 興
    1988 年 42 巻 2 号 p. 182-184
    発行日: 1988/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    8例のハンセン病患者の口唇下垂を治療するために, 私の案出した独自の方法で, ハリ治療をおこなつた.
    その結果, 8例中5例に口唇下垂の軽快をみた. ハリを何回おこなうかは各症例によつて異なるが, およそ20回ないし35回で軽快し, 効果の持続期間は, 40日ないし4ヵ月に及んだ.
    今後さらにハリの良き治療方法を検討したいと思つている.
  • 岩野 瑛二, 上江 洲篤郎, 村岡 貴, 丸谷 盛雄, 大林 直嗣, 三宅 周, 河野 宏
    1988 年 42 巻 2 号 p. 185-188
    発行日: 1988/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    私たちは, 白血球減少症, 抗Sm抗体陽性を示し, SLEの疑いで治療中に, 幻覚, 妄想, 人格退行の精神症状を呈し, その後発熱, 痙攣, 昏睡状態になつた中枢神経系SLEを経験した. 本症例においては, prednisoloneの増量やmethylprednisoloneのpulse療法が奏効しなかつたので, plasma pheresisを行つた. しかし, plasma pheresisのみではSLEの活動がおさえられず, plasma pheresisに加えて, methylplednisoloneのpulse療法を行い, はじめて寛解期に導入できた. また治療経過中, 症状改善に伴つて, 抗Sm抗体価, 抗RNP抗体価の低下が認められた.
  • 2.呼吸器感染症起炎菌の変遷と現況
    宍戸 春美, 永武 毅
    1988 年 42 巻 2 号 p. 189-192
    発行日: 1988/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 42 巻 2 号 p. 193
    発行日: 1988/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
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