ハンセン病の後遺症としての, 特に視覚障害や四肢末梢の神経(知覚, 運動とも)麻痺は, 何らかの日常生活上の不自由をもたらす. 従来は, このような不自由の軽重を, 簡便なADLテスト(不自由度調査票)によつて評価してきたが, これでは不自由の実態をとらえきれないために, そのイメージ化もかねてからのぞまれていた.
そこでまず, 不自由度調査票による結果を再検討し, 人間の基本的欲求が強く影響する排泄, 摂食, 身の回りの整理, 身だしなみなどの動作の自立は, その内容はともかく, もつともそこなわれにくいことをあらためて確かめた. つぎに, これらの動作に関係のある触知覚, 視覚, 手指の使用, 体の室内移動などの身体機能に加えて, コミユニケーシヨン, 理解, 会話, 屋外の行動その他を, 6層の同心円内にたがいに関連づけて配置し, 全体としての構造的な相関の図示を試みた. なお検討の余地はあるが, 不自由をイメージ化するための一助にはなろう.
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