医療
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61 巻, 12 号
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  • 川井 充
    2007 年 61 巻 12 号 p. 779-780
    発行日: 2007/12/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 松村 剛
    2007 年 61 巻 12 号 p. 781-785
    発行日: 2007/12/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    筋ジストロフィー: progressive muscular dystrophy (PMD)では, 口腔咽頭筋障害による口唇閉鎖不全, 咀嚼力低下, 顎関節脱臼・拘縮・開口障害, 軟口蓋閉鎖不全, 嚥下障害などに加え, 巨舌や舌萎縮, 歯列不整や開咬, 高口蓋などの解剖学的異常が高頻度に認められ, 病型や発症年齢などで特徴を異にする. これらの異常は, 摂食嚥下機能障害や構音障害だけでなく, 丸呑みによる窒息の危険, 開口による非侵襲的呼吸管理時のエアリーク増大, 巨舌や開口障害による吸引や急変時処置困難などさまざまな影響を及ぼす. また, 運動機能の低下や歯列不整, 開口障害・巨舌などは口腔ケアを困難にするため, 筋ジストロフィーでは歯垢残存や舌苔が多く, う歯や歯周病, 誤嚥性肺炎のリスク要因となる. 歯科治療においては, アクセスの困難さに加え, 体幹筋力低下や変形による適切な治療姿勢保持困難, 開口障害や巨舌による視野確保・アプローチ困難などがある. また, 嚥下機能障害や呼吸不全, 心不全患者では処置中の誤嚥・窒息, 呼吸状態悪化, 麻酔薬中のエピネフリンによる不整脈誘発などが懸念され, 慎重なモニタリングと急変時への対応を準備して行う必要がある. これまで, 歯科学的問題に関する医科医療者の関心は十分とは言えなかったが, 医療技術の進歩により延命化が図られてきた現在, この問題が生活の質: quality of life (QOL)や生命予後に与える影響は小さくない. 適切な機能訓練や治療的介入, 定期的口腔検診などにより改善できる余地は大きいと思われ, 医科医療者と歯科医療者が連携して対処することが重要と考える.
  • 佐々木 俊明
    2007 年 61 巻 12 号 p. 786-790
    発行日: 2007/12/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    筋ジストロフィーの口腔・顎顔面領域の形態と機能における, これまでの知見について紹介する. この領域の研究は, Duchenne型筋ジストロフィー: Duchenne Muscular Dystrophy (DMD)を対象にしたものが数多く, 近年は筋強直性ジストロフィー: Myotonic Dystrophy (MyD)についての報告もなされるようになった. 形態的特徴では, 舌肥大はDMDに認め, 舌萎縮はMyDに認めた. 歯列弓は, DMDで上下顎の歯列弓幅径が増大し, 長径は短縮していた. MyDでは, 上顎歯列弓の幅径が減少し, 高口蓋との関係が示唆された. 不正咬合では, 開咬および反対咬合が高頻度でDMD, MyDに認められた. X線CTによる咀嚼筋の調査から, DMDの咬筋には脂肪組織の浸潤をともなう筋障害が認められ, 筋断面が増大する偽性肥大が示唆された. 内側翼突筋では, 咬筋ほど著しい筋障害, 偽性肥大は示さなかった. MyDでは, 咬筋, 内側翼突筋ともに高度な脂肪組織浸潤をともなう筋障害と筋萎縮が示唆された. また, DMDの顔貌においては, 顔面周囲長が咬筋断面積の影響を受けることが示唆された. 機能的特徴では, DMDでの最大開口力, 最大咬合力の調査から, 顎顔面の成長期での咀嚼筋は, 筋障害の進行による筋力低下よりも成長による筋力の増加が上回ることが示唆され, この時期では真性肥大の可能性も考えられた. 咬合面積は, DMD, MyDの両者で著しく小さく, 開咬, 反対咬合のためであると考えられた. 以上述べた筋ジストロフィーの口腔・顎顔面領域の形態と機能の特徴が、構音障害, 咀嚼・嚥下障害などを理解する上で一助となることが望まれる.
  • 梅本 丈二
    2007 年 61 巻 12 号 p. 791-796
    発行日: 2007/12/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    筋強直性ジストロフィー: Myotonic Dystrophy (MyD)患者の咀嚼障害の特徴は, 咀嚼筋力が弱く咬合状態が悪いために咬合力が低下すること, 弱い咬合力を高い咀嚼筋活動量で代償して咀嚼していることが挙げられる. 食品については有歯顎者であっても健常者の総義歯装着者と同等の食品数しか咀嚼できておらず, 食形態に配慮する必要性がある. また, 嚥下の準備段階としての食物の粉砕不足と食塊形成不全という形で, 咀嚼障害が嚥下障害に関与している可能性がある. 長期的にも日常生活動作(ADL)の低下にともなって, MyD患者の咀嚼障害は進行しており, とくに咀嚼筋の筋力低下による影響が大きいと考えられる. MyD患者の適正な食形態を検討するためには単一の咀嚼嚥下機能検査のみでは不十分で, 咬合力や咬合状態, 舌運動などを総合的に評価し, 経時的な咀嚼障害の進行も考慮する必要がある. そしてMyD患者にとって粉砕しやすく, 食塊を形成しやすい食形態を検討し, 嚥下に影響を及ぼさない食事を提供することが重要である.
  • 中村 広一
    2007 年 61 巻 12 号 p. 797-803
    発行日: 2007/12/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    平均64カ月間にわたって3-4週間に1回の頻度で専門家による機械的歯面清掃professional mechanical tooth cleaning (PMTC)を施行した6例の筋強直性ジストロフイー: Myotonic Dystrophy (MyD)入院患者の刷掃状況をO'Learyのプラークコントロールレコード: O'Leary's plaque control record (PCR) によって評価し, 以下の結果を得た. 1) 対象の初回平均PCRは86%で自力での刷掃能力は非常に低かった. 2) 電動歯ブラシの使用が刷掃効果の有意な改善にむすびつかない症例をみた. 3) 病棟スタッフによる刷掃介助が行われた症例においてPCRは有意に低下した. 4) 経口栄養から経管栄養へ変更をした症例ではPCRが著しく低下し刷掃介助が加わるとさらに顕著であった. 5) PMTC処置期間におけるう蝕治療は少数にとどまった. 6) 最終的な平均PCRは72%で初回に比べ有意の低下を示した.
  • 舘村 卓, 野崎 園子, 神野 進
    2007 年 61 巻 12 号 p. 804-810
    発行日: 2007/12/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    デュシェンヌ型筋ジストロフィー: Duchenne Muscular dystrophy (DMD)例での摂食嚥下障害の発症, 増悪に関わる歯科的因子について検討し, 早期の対応法を考えることを目的として, 国立病院機構刀根山病院神経内科でのDMD例35例(9-21歳, 平均14.7歳)を対象に予備的検討を行った. 検討対象は, 個人ごとに採取した上下顎の石膏模型により, 顎・歯列形態と口蓋の深さ, 模型と暦年齢による歯牙交換時期, 被験者による可及的最大開口量から上下模型を咬合させて計測した安静時開口量を減じた有効最大開口量, 簡易咬合力形による臼歯部咬合力について検討した. その結果, 歯列弓幅ならびに前歯列弓長は健常者と大きく相違はみられなかったが, 前歯列弓幅が大きく, 歯列弓長は短く, 第一大臼歯が近心外側に偏位していることがうかがわれた. また口蓋の深さについては健常者と大きく異なってはいなかった. 歯牙交換時期について, 同じ暦年齢の健常者での歯牙年齢(hellman dental age)よりもDMD例では低いステージ, すなわち萌出開始と完了が遅延していることが示された. 開口量については, 23人中13人においては開咬が認められず正常な咬合関係であり, グループ全体としても健常者と大きな相違はなかった. 最大咬合力は, 被験者全体を通して年齢による変化が認められず, 10歳頃の咬合力で推移することが示された. 今回のDMD例は, 上下の顎模型が採取できた症例であったことから, 舌の仮性肥大が重度になった症例では今回とは異なった結果になると考えられる. 舌の仮性肥大が重度になる以前に定期的な歯科的管理と早期からの口腔機能の賦活のための訓練の必要性が示唆された.
  • 有田 憲司
    2007 年 61 巻 12 号 p. 811-818
    発行日: 2007/12/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    Duchenne型筋ジストロフィー(DMD)は, 全身病状の進行につれて咀嚼筋の筋障害による閉口筋群と開口筋群との筋圧の不均衡ならびに舌肥大による舌圧と口唇・頬圧との不調和により, 口腔領域にも約90%の症例に上下顎歯列弓の側方拡大, 開咬および下顎角開大などの歯列・咬合異常がみられる. さらに, この口腔周囲の筋圧の不均衡および歯列・咬合異常の進行にともなって, 咬合接触面積の減少, 臼磨運動の障害および咬合力の低下や噛み切る能力など咀嚼機能に障害が現れるため, DMDでは口腔ケアの問題と並んで歯列・咬合異常による咀嚼障害が重大な歯科学的問題の一つとなっている. 近年, 医療の進歩によりDMDの平均寿命は延長しているとはいえ, 根本的治療法がなく呼吸器系および循環器系疾患などの合併症によりその予後はきわめて不良とされており, 生活能力の改善, 生活意欲の向上などQOLを尊重した治療や取り組みが重要であり, とりわけQOLと直結している摂食に関係する障害への対応は最優先されなければならない. しかし, 咀嚼障害に関して対処した報告はきわめて少なく, DMDの咀嚼障害に対する治療法に関しては未開発なまま残されている.
    本稿は, われわれがDMDの咀嚼機能回復を目的として考案した咬合床を装着した症例を報告し, 長期経過観察によりその有効性を検討することで, DMDの咀嚼障害への治療法確立への可能性および方向性を論じた.
  • 石川 秀俊, 梅崎 利通
    2007 年 61 巻 12 号 p. 819-827
    発行日: 2007/12/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 武田薬品工業株式会社医薬学術部
    2007 年 61 巻 12 号 p. 828-829
    発行日: 2007/12/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
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