医療
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62 巻, 8 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • ―肺がん合併例を含む自験26例の検討―
    藤原 清宏
    2008 年 62 巻 8 号 p. 421-426
    発行日: 2008/08/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    目的:平成16年1月から平成19年12月の間に診療した慢性閉塞性肺疾患: chronic obstructive pulmonary disease (COPD)26例に, 長時間作用型吸入気管支拡張薬を中心とした積極的薬物治療を行い, その意義を検討した. また, この26例中に4例の肺がん合併例が含まれていたが, それらの例の治療方針について検討した.
    結果:積極的治療を実施して, 気管支喘息合併例の1秒量は改善し, COPDの急性増悪は減少した. 肺がん合併例では肺がんの治療を安全に施行できた.
    結論:いずれにしてもCOPD症例に対して長時間作用型吸入気管支拡張薬を中心とした治療を実施することは患者のCOPDの病状を改善する効果が期待できた.
  • 笹田 伸介, 矢加 部茂, 小田 斉, 佐田 正之, 朔 元則
    2008 年 62 巻 8 号 p. 427-429
    発行日: 2008/08/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    症例は76歳, 男性. 幼小児期より右鼠径部の膨隆を自覚していた. 腹部膨満, 嘔吐を主訴に当院受診し, 腸閉塞の診断で緊急入院となった. 右外鼠径ヘルニア嵌頓と診断し, 緊急手術を施行した. 小腸が嵌頓しており, 虚血性変化は認めなかったが, 汚染した液体貯留を認めたため, メッシュは使用せず, 腸頸靭帯修復法(iliopubic tract repair法)で修復した. 麻酔覚醒時の腹圧で右恥骨上部が膨隆し, 膀胱上窩ヘルニアの合併も疑われた. これに対し, 後日待機的にKugel手術を予定していたが, 術後6日目に再度腸閉塞を発症し, 再度緊急手術を施行した. 手術所見で右膀胱上窩に小腸が嵌頓壊死していた. 壊死小腸を切除しKugel法でヘルニア修復を行った. 術後経過は良好であった. 外膀胱上窩ヘルニアは嵌頓の危険性が低いといわれているが, 小腸切除を必要とした外膀胱上窩ヘルニア嵌頓の1例を経験したので報告する.
  • 吉村 未央, 中尾 美也子, 古川 明日香, 荒武 弘一朗, 河部 庸次郎, 岩永 彩, 豊岡 辰明, 中山 敏幸, 内藤 愼二
    2008 年 62 巻 8 号 p. 430-435
    発行日: 2008/08/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    症例は75歳, 女性. 多発関節炎にて経過観察していたが, 顔面浮腫, 腹満感, 右鼠径リンパ節腫脹が出現してきたため入院. 腹部CTにて, 腹水と腹腔内リンパ節腫脹を認め, 腹水細胞診, 右鼠径リンパ節生検を施行した. 細胞診はClass 5, 悪性リンパ腫疑いsuggestive of malignant lymphoma, 生検病理診断は血管免疫芽球型T細胞リンパ腫: angioimmunoblastic T-cell lymphoma (AILT)であった. AILTは全身リンパ節腫大, 肝脾腫, 胸腹水, 発熱, 過敏性皮疹, 自己免疫性溶血性貧血, 多クローン性高γグロブリン血症, 体重減少など全身的な症状を呈する比較的まれな疾患であり, リンパ節において多彩な細胞像, 高内皮細静脈: high endothelial venule (HEV)および濾胞樹状細胞: folliclar dendritic cell (FDC)の著明な増生といった特徴ある組織像を呈する. 今回, 多発関節痛, 腹水貯留を呈し, 腹水に腫瘍細胞の認められたAILTの1例を経験した. 多彩な全身症状を呈し, 多発関節炎など慢性関節リウマチに類似した臨床症状を認めた場合には膠原病に加えリンパ腫随伴症状である可能性も疑い, とくにAILTを念頭にいれておくことが重要であると思われた.
  • 永井 英明, 池田 和子, 織田 幸子, 城崎 真弓, 菅原 美花, 山田 由美子, 今井 敦子, 遠藤 卓, 大野 稔子, 河部 康子, ...
    2008 年 62 巻 8 号 p. 436-439
    発行日: 2008/08/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    緩和ケア病棟における後天性免疫不全症候群(AIDS)患者の受け入れ状況を調べるために, 139施設に対してアンケート調査を行い98施設から回答が得られた. AIDS患者の入院基準を決めている施設は17.3%, AIDS患者を受け入れられないとしている施設は36.7%, 検討予定の施設は40.8%であった. 終末期の悪性腫瘍患者がヒト免疫不全ウイルス(HIV)陽性であった場合の受け入れについて, 受け入れ可能と答えた施設は52.2%, 受け入れられないと答えた施設は47.8%であった. HIV感染者を受け入れられない理由としては, AIDS拠点病院が受け入れることになっている, 受け入れ体制ができていない, 未検討・基準がない, HIV感染症の治療経験がないなどがあげられた. 悪性腫瘍合併のないAIDS患者の受け入れ基準についての検討, 抗HIV療法を行うための診療報酬の支援, 職員のHIV感染症についての研修, HIV陽性の悪性腫瘍終末期患者を受け入れる体制の整備などが必要と思われた.
  • 松井 弘稔
    2008 年 62 巻 8 号 p. 440-443
    発行日: 2008/08/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 横山 幸美, 河野 雄平
    2008 年 62 巻 8 号 p. 444-450
    発行日: 2008/08/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    メタボリックシンドロームは, 内臓脂肪の蓄積をともなう腹部肥満に脂質異常, 血圧高値, 血糖高値が重複合併した病態である. メタボリックシンドロームを呈する者は多く, 厚生労働省が発表した平成17年度国民健康・栄養調査によると, 中高年者におけるメタボリックシンドロームやその予備軍は男性で2人に1人, 女性で5人に1人であった. わが国のメタボリックシンドロームの診断基準は腹部肥満を必須項目としており, 腹囲径で男性85cm以上, 女性90cm以上とされているが, 外国の診断基準では男性が女性より腹囲径は大きくなっている. メタボリックシンドロームは, 過食や運動不足など日常の生活習慣に密接に関連しており, 心筋梗塞や脳梗塞など動脈硬化性の心血管疾患をきたしやすいことから注目されている. 生活習慣病は, わが国における死因別死亡割合や, 国民医療費の約1/3を占めており, 今後, 人口の高齢化がさらに進展することからその割合は一層増加するものと考えられる. 生活習慣病の対策は疾病予防, 医療の視点からだけでなく社会的にも重要で, 生活習慣病を危険因子として発症する動脈硬化性疾患をいかに予防するかが今後の課題である. メタボリックシンドロームについては, 動脈硬化の危険因子重複の危険性を十分認識して, 治療と管理を行い, 患者にとって良好なQOLが維持できるように, 生活習慣の改善に向けた自己管理への動機づけや教育, 看護が求められる. また, 医療機関だけでなく地域と連携を図ることがメタボリックシンドロームを含む生活習慣病への対策として重要であり, 2008年4月からの厚生労働省の新しい健診, 生活習慣改善指導の義務化による成果が期待されている.
  • 羽藤 晋, 山田 昌和
    2008 年 62 巻 8 号 p. 451-457
    発行日: 2008/08/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    角膜内皮細胞はNa-K ATPaseによるポンプ機能と細胞間接着分子によるバリア機能により角膜の透過性の維持に寄与している. 角膜内皮機能不全は角膜に浮腫性の混濁をもたらし, 視力低下をきたす(水庖性角膜症). 角膜内皮機能不全の治療は従来から全層角膜移植手術が行われていたが, 近年の手術技術の発達にともない, DSEKを主とする角膜内皮移植が開発されてきている. DSEKは全層角膜移植に比較し術後の乱視が少なく, より低侵襲であることなどでメリットが大きい. 現在のところ, 角膜内皮機能不全に対する薬物治療は確立されてないが, 最近の基礎研究から, 角膜内皮細胞のNa-K ATPaseはデキサメサゾンやインスリンにより活性が上昇することがわかってきている. こうした角膜内皮の活性化機構. が解明されれば, 角膜内皮機能不全を角膜移植によらずに治療できる新しい治療法となる可能性がある.
  • 大鵬薬品工業株式会社 関東学術部
    2008 年 62 巻 8 号 p. 458-459
    発行日: 2008/08/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
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