医療
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51 巻, 9 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 塚田 昌滋
    1997 年 51 巻 9 号 p. 393-397
    発行日: 1997/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    小児急性リンパ芽球性白血病は近年, 細胞学的研究の進歩とともに, 白血病細胞が詳細に分析されるようになり, その病態の解明, 分類や治療に大きな進歩がみられている. ことに免疫学的分類や, 染色体転座型などの分類がされ, 病型より特有の臨床的特徴を持つものや予後との関連性が強いものなどが明らかにされてきた. 予後に関連する因子の解析から, 予後良好な標準危険群や予後不良因子を有する高危険群などに分類し, それぞれに適切な治療法が行われている. 治療法は緩解導入療法, 強化地固め療法, 中枢神経系白血病予防治療と維持療法により構成され, その治療成績では, 長期生存率が60~80%となっている. 治療成績の向上とともに長期生存例が増加し, 晩発性の障害が問題となってきている.
  • ―定義の確認と臨床的重要性―
    千葉 陽一
    1997 年 51 巻 9 号 p. 398-402
    発行日: 1997/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    Leukoerythroblastosis=白赤芽球症について概説し, 当症の臨床的重要性を論述した. 当症の定義を記し, 類白血病反応と同義でないことを強調した. 当所見がみられる諸疾患・病態を挙げ, その機序を推察した. 当症の第1群はMyelophthisis=骨髄癆で, 骨髄癌症・蓄積病・肉芽腫・骨髄壊死が属し2群に血液疾患, 3群に他諸疾患が属す.
    当所見は骨髄癌症に多くみらる. 骨髄癆は骨髄が非造血細胞に占拠されている状態に用い, 再生不良性貧血には用いないことを提唱した. 最後に網状赤血球数と赤芽球数の比較による骨髄癌症と他疾患との鑑別式を提示し諸氏による追試を提案した.
  • 岸 洋一, 平野 美和, 井上 滋彦, 石塚 英司, 濱嵜 公久, 鈴木 基文, 藤田 喜一郎, 山田 徹
    1997 年 51 巻 9 号 p. 403-409
    発行日: 1997/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    99例の前立腺肥大症に対し, 経尿道的前立腺高温度療法(プロスタトロン)を施行した. 自覚症状としてのI-PSSの変化では治療前には20.1±7.0であったが, 4週後には10.8±6.7と著明に減少し, さらに6ヵ月まで徐々に減少し, 1年後にやや上昇しているが, いずれも有意な変化であった(p<0.0001). 満足度も同様の傾向であった. 他覚所見の推移では最大尿流率の変化が8.9±4.9ml/secから4週~6ヵ月後まで3~4mlの増加がみられ, 1年後にも9.7±3.1ml/secであった(p<0.018). 平均尿流率をみると, 治療前に4.3±2.5ml/secであるが, 8週後には5.8±2.6ml/secまで上昇し, 1年後には4.6±1.6ml/secとやや低下したが, 有意の変化は保たれた. また残尿量も1年後にも有意の減少を示した. 自他覚的所見の改善は少なくとも1年にわたって持続するので, 本療法は前立腺肥大症の治療の有力な選択肢の一つとなりうる.
  • (国立病院治療共同研究)
    山田 研一, 西村 元伸, 内野 厳治, 大石 明, 大石 まり子, 戸谷 有二, 加藤 泰久, 能登 裕, 三崎 盛治, 水野 治, 東輝 ...
    1997 年 51 巻 9 号 p. 410-416
    発行日: 1997/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    国立病院ネットワークを利用し糖尿病性腎症の多施設cross sectional studyを行った. 199人が登録され(1)腎症発症前又は初期では血糖のコントロール状態が尿中アルブミン, トランスフェリン, NAG排泄に有意に影響したが, 腎症進展とともに腎機能検査と血糖の相関性がなくなった. (2)血糖コントロール不良群では血漿過酸化脂質が高く酸化的ストレス亢進状態にあることが判明. (3)血漿ラクトフェリンは血漿過酸化脂質と正相関し酸化的ストレスの指標となりえると考えられた. (4)尿中IV型コラーゲン排泄は病期進展とともに増加. 血糖による影響は受けなかったが, 進展した病期ではクレアチニンクリアランスと負の相関を示し, 器質的変化を反映しうるものとして腎症評価のうえで有用と考えられた. 以上の結果をもとに今後prospective studyを行い糖尿病性腎症の発症進展阻止につなげていきたい.
  • 多田羅 勝義, 笹原 賢司, 西條 隆彦, 松岡 優, 黒田 泰弘
    1997 年 51 巻 9 号 p. 417-420
    発行日: 1997/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    筋ジストロフィー3例にnasal pressure support ventilation(以下NPSV)を導入した. 睡眠時閉塞型無呼吸の頻発する10歳の知的障害を伴うDuchenne型, 従量式人工呼吸器を使用したNasal Intermittent Positive Pressure Ventilationで口腔からの大量のエアーリークがコントロールできなかった19歳のDuchenne型, 21歳の先天性(福山型)の3例で, いずれも機種はPB335(ピューリタンベネット社)を用いた. 3例とも結果は良好であった. 以上の結果, 筋ジストロフィー患者の人工呼吸法としてNPSVは注目すべき方法と評価できた. またその易導入性は知的障害者, 小児の人工呼吸法としても一考に値すると思われた. 一方, 使用にあたっては, 患者の病態変化により低換気となる危険性を常に念頭に置いた充分な観察が必要である. また筋ジストロフィー患者の人工呼吸の質を問うにあたって, NPSVは未解決の問題は多いが注目に値する方法と考えている.
  • 山内 明, 茅野 真男, 秋山 泉, 渡辺 豊治, 板倉 絋一, 和泉 滋, 山本 紳一郎, 毛利 誠
    1997 年 51 巻 9 号 p. 421-424
    発行日: 1997/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    婦人科疾患における重篤な合併症として肺塞栓症が挙げられるが, 下大静脈フィルター挿入の適応に関しては今のところ定説がない. 我々は最近経験した2例を報告し, 考察を掲げる. 症例1;46歳女性. 子宮筋腫を指摘された10日後にショックにて入院, 肺血流シンチで肺塞栓と診断. 子宮筋腫による静脈圧迫が原因と考え, 筋腫摘出手術を予定した. 周術期に抗凝固剤の中止が必要なため, 右大腿静脈より下大静脈フィルターを挿入, 手術は順調に経過した. 症例2;39歳女性. 下肢静脈血栓症を伴う卵巣癌で, 右腸骨静脈血栓と低酸素血症があり, 精査にて肺塞栓と診断された. 右内頸静脈より下大静脈フィルターを挿入. 卵巣手術は順調に経過したが, 下肢浮腫が出現した. 今後婦人科手術では, 肺塞栓または下肢静脈血栓がある患者には, 抗凝固剤の中止・手術操作による肺塞栓予防として下大静脈フィルターを挿入すべきだと考える.
  • 古山 輝久, 金谷 誠久, 村上 元正
    1997 年 51 巻 9 号 p. 425-427
    発行日: 1997/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    自家末梢血幹細胞移植(PBSCT)施行後1年目に特発性血小板減少性紫斑病(ITP)を生じた急性リンパ性白血病の1小児例を経験した. 症例は4歳の女児. 急性リンパ性白血病に罹患し, PBSCTが施行された. 移植後の経過は順調で, 無治療で経過観察していた. 移植後1年目に下肢を中心に出血斑が出現した. 骨髄検査と血小板関連IgGの増加よりITPと診断した. γ-グロブリン大量療法とステロイド投与により速やかに症状は改善した. ステロイド断薬後もITPの再燃はみられず経過順調である.
  • 佐伯 圭介
    1997 年 51 巻 9 号 p. 428-431
    発行日: 1997/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    老人性紫斑に対して動物性コラーゲンが奏功した症例を経験した. 70歳男性, 脳梗塞の既往があり, 6年前にも胃癌に対し亜全摘+再建術が施行された, 鉄欠乏を伴う貧血と残胃潰瘍のある終日臥床の患者. 抗HCV抗体陽性.
    胃部不快感が強く薬物治療が困難な上, 紫斑はびらん・潰瘍を伴っており, 14週間各種の保護・外用にも全く反応せず. 本症例に対し, 血管を丈夫にし老化を防止するとされる豚足アキレス腱部のゼラチン化食(339/日)を治療として応用できないかと考え投与してみたところ, わずか3週間で略治したので報告し自験例について近年のコラーゲンに関する文献をもとに考察を試みた.
  • (1) 歴史, 手術適応
    福島 鼎
    1997 年 51 巻 9 号 p. 432-434
    発行日: 1997/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1997 年 51 巻 9 号 p. 436-438
    発行日: 1997/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
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