医療
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38 巻, 10 号
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  • 東村 道雄
    1984 年 38 巻 10 号 p. 946-954
    発行日: 1984/10/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    Mycobacterium avium-M. intracellulare complexによる感染症研究の歴史を概説し, その細菌学的特徴, 肺感染症の臨床像について総説した. この総説を書くために文献を探索した結果, 非定型抗酸菌症(結核菌以外の抗酸菌による感染症)の最も古い記録は,ナポリのW.Kruse(1893)及びS.Pansini(1894)によるMycobacterium avium感染症の報告であることを発見した.
  • 束村 道雄
    1984 年 38 巻 10 号 p. 955-963
    発行日: 1984/10/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    Mycobacterium avium-M. introcellulare Complexによる肺感染症のX線像の特徴, 診断基準, 治療法について総説した. 治療法では, 従来の抗結核剤の3剤または多剤併用にまさる治療としてsulfadimethoxine, minocycline及びKitasamycinによる3者併用療法が出現した.
  • 第1報 術式とその基礎的研究
    大塚 護, 猪 忠彦, 小名 愛, 池田 美智子, 和田 翠, 脇 幾久子
    1984 年 38 巻 10 号 p. 964-968
    発行日: 1984/10/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    下咽頭頸部食道癌において, 咽頭喉頭食道摘出後の咽頭食道の再建は重要な課題である. 我々は, 次のような条件を満たした新しい皮弁法を開発し, 臨床上満足すべき結果を得た.
    1.術後早期に経口摂取が可能である. 2. 第2胸椎の高さまで, 食道と緊張なく吻合することができる. 3. 性別に関係なく, 適当な厚さの皮弁が得られる. 4. 再建手術による侵襲は少なく, 高令者でも安全な手術が可能である.
    また, 皮弁の血行形態, 血行動態を検討し皮弁の妥当を示した.
  • 第2報 臨床症例報告
    大塚 護, 猪 忠彦, 小名 愛, 池田 美智子, 脇 幾久子, 赤堀 俊也
    1984 年 38 巻 10 号 p. 969-972
    発行日: 1984/10/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    昭和56年5月より2年間に, 5例の下咽頭, あるいは頸部食道扁平上皮癌に, この術式を応用し, 4例の再建に成功した. 術後の合併症である小瘻孔は, 頸部皮膚の循環障害によるもので, 頸部の皮切に工夫が必要である. 食道発声を習得した症例を報告した. 失敗例には, 穿通枝の異常がみられた, よりよい手術のために, 留意すべき点をのべた.
  • ―Adult type, 2生検例の検索―
    原 正道, 北村 馨, 河内 四郎, 中谷 行雄
    1984 年 38 巻 10 号 p. 973-979
    発行日: 1984/10/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    極めてまれな腫瘍である, extracardiac, adult typeの横紋筋腫, 2生検例について超微形態学的検索を行つた. 症例は46才, 女性の咽頭腫瘍と, 47才, 男性の口腔底腫瘍である.
    両症例とも, 肉眼所見, 光顕組織像とも, ほぼ典型的な横紋筋腫であつた.
    起微形態学的検索で, 個々の腫瘍細胞は, いずれも明瞭な基底膜てかこまれ, 間質にはcolla-gen fibersがみられた. 細胞質には, thinおよびthickなmyofilamentsが縦横に走り, hypertrophic Z-bandが認められる. 一部にはA, M, I-bandもあり, 糸粒体, glycogen顆粒も多くみられた. 症例2(47才, 男性)では, 明瞭なT-systemが存在した. 細胞膜にはmicrocystic caveolae(pinocytotic vesicles)がみられた(症例1, 46才, 女性に著明). 過去の本腫瘍の超微形態に関する報告例について, 文献的考察を加えた.
  • 川城 信子, 古賀 慶次郎, 荒木 昭夫
    1984 年 38 巻 10 号 p. 980-984
    発行日: 1984/10/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    小児の喉頭疾患は, 早くて確実な診断と早急な対処がのぞまれる. flexible fiberscopeによつて低年令, 低体重においても喉頭の観察が容易となつた. 症例は嗄声, 喘鳴, 嚥下障害などのため. 他科より依頼された35名である. fiberscopeはOlympus ENF type Pを使用した. 症例の年令は生後8日から7才であつた. 1才未満が23例と全症例の2/3を占めた. 疾患は喉頭軟弱症9例, 両側声帯まひ5例, 片側声帯まひ2例, 声門下狭窄4例, 喉頭Web 2例, 声帯結節7例, 炎症2例, リンパ管腫1例, 正常2例, 不明1例であつた. 喉頭軟弱症は喉頭疾患においてもつとも頻度が高い. この診断に関しては声門下の狭窄を念頭にいれて行う必要がある. 声帯まひが2番目に多い. この疾患は精神運動発達遅滞や他の奇形を合併することがある. fiberscope検査の利点, 欠点, 検査の際の注意について述べた.
  • 柿木 保明, 緒方 克也, 矢野 京子
    1984 年 38 巻 10 号 p. 985-990
    発行日: 1984/10/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    重症心身障害者(児)は, 口腔機能の障害および知的発達レベルの程度により, 言語発達遅延がみられることが多い. 今回, 言語能力と口腔機能のうち, 咀嚼・嚥下困難との関連性について分析する目的で, 摂食状態の評価を行つた. 言語能力については, 障害度を理解度, 表現手段, 表現内容, 発語明瞭度の4項目によつて評価を行い, それぞれを0~5度に分類し, 合計した障害度を言語能力の障害度とした. 対象は, 当院入院中の重症心身障害者94名であつた.
    その結果, 咀嚼・嚥下困難を有する者の言語能力は, 困難を有しない者に比して有意(P<0.001)に低かつた. また摂食時に介助を必要とする者は, 自立している者に比して有意(p<0.001)に言語能力が低かつた. 以上より口腔機能と言語能力との間に密接な関連性があることが推測され, 摂食状態の改善が言語発達にとつて非常に有意義であることが示唆された.
  • ―手術的療法―
    吉田 冲, 矢毛石 陽三, 深田 義夫, 藤田 博, 高橋 敬治, 片山 雅己
    1984 年 38 巻 10 号 p. 991-995
    発行日: 1984/10/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    門脈圧亢進症に伴つた食道静脈瘤に対する手術療法は多くの術式があり, したがつて適応基準も異にしているのが現状である. しかし最近重症の肝硬変症に合併した食道静脈瘤出血が増加の傾向にあり, 手術療法の適応の拡大の必要にせまられている. 今回我々は,従来の適応基準からいえば手術療法を回避していたような症例に対して, 手術侵襲を最少限にへらす目的で, 器械吻合による食道離断を施行している. これまでソ連式万能消化管吻合器を用いての食道離断術を34例に施行し, うち緊急手術を12例行つているが, 手術死亡5例(緊急手術4例)を見ている. しかし最近では, これまでの症例の検討から, 手術成績向上のため, 術後管理で特に腹水コントロールに重点をおき, 新鮮凍結血漿を術後に大量に投与することにより良好なる成績を得ている.
  • 三宅 周, 安原 高士, 岩本 龍夫, 村田 太郎, 尾上 公昭, 川口 憲二, 杉山 明, 河野 宏, 荒木 丈雄
    1984 年 38 巻 10 号 p. 996-1000
    発行日: 1984/10/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    私たちは33例の食道静脈瘤の症例に対して, 内視鏡的栓塞療法(以下「EIS」)を施行したので報告する.
    方法としては, 5%エタノールアミンオレイト(以下「EO」)あるいはアンギオグラフイン加EOを静脈瘤内に注入した. 緊急の場合には, 無透視下にEOを少量(10ml以下)注入し, その後S-Bチユーブで止血した.
    現在までに33例に施行した. 吐下血の既往のあるものは79%で, 術後再発例6例, 緊急例5例であり, 1例に平均1.6回施行した. 主な合併症は, 食道潰瘍16例, シヨツク4例であつた. 緊急例5例の内, 4例において止血に成功した. 内視鏡的には, 発赤所見の改善88%, 同消失66%, 形態(F)の改善84%であつた. 5剖検例の食道組織を検索すると, 1ヵ月後には静脈瘤は消失し, 8.5ヵ月後には線維化は完成していた. 本法の成績は満足すべきもので, 緊急止血にも優れており, 十分使用すべき治療法と考えられた.
  • 二村 敦朗, 松井 順五, 堀部 廉, 広瀬 敏勝, 水津 博
    1984 年 38 巻 10 号 p. 1001-1004
    発行日: 1984/10/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    1977~1982年の6年間に先天性食道閉鎖と, 気管食道瘻の患児12症例を経験した. その救命率は12症例中8症例の67%であつた. WaterstonのRisk分類では, A群の5人は全員救命したが, B群は2例中1例, 50%, C群では5例中2例, 40%の救命率であった.
    先天性食道閉鎖症の予後を左右する因子としては, 盲端のGapの大きさ, 未熟児, 肺合併症, および重症合併奇形が関与するといわれてきた. 今回死亡した4症例を検討し, 救命率をあげるには, 1)一期的根治術を行い, 術後は積極的に十分な期間レスピレーターによる呼吸管理と, 2)重症合併奇形(特に心大血管奇形)の早期診断, 治療を開始する必要性が考えられた.
  • 岡部 正人, 並川 和男, 高城 克義, 由布 雅夫, 川村 亮機, 宇都宮 高賢, 浜田 勢治, 有田 哲正, 光野 利英
    1984 年 38 巻 10 号 p. 1005-1008
    発行日: 1984/10/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    最近6年間に食道癌44例を経験したので, その治療成績を検討した. 年令は42~81才,平均64.8才で男性36例, 女性8例であつた. 占居部位はIm27例, Iu, Eiが各々7例, Ea 3例で, 切除例の肉眼的進行度はStage I 2例, II 4例, III 8例, IV 5例で, 非切除の15例はすべてStage IVであつた. 頸部吻合によるBypass術を8例に行つた. 再建臓器は大彎側胃管16例, 右側結腸2例で, 再建経路は原則として胸骨後で行つた. 非切除および非手術の理由として, 周囲臓器への癌浸潤によるものが大部分を占めていた. 切除およびBypass例(27例)の術後合併症は, 縫合不全14.8%, 肺合併症7.4%と低率で, 切除直接死亡率は1例5.3%であつた. 遠隔成績について累積生存率をみると, 1年生存率が切除例で50%, 非切除および非手術例で12.5%, 2年生存率はそれぞれ21.4%, 4.2%と極めて悪い成績であつた.
  • 柳沼 厳弥, 俣野 一郎, 東福寺 元久, 小泉 雅典, 西連寺 愛弘, 渡辺 晃, 柴崎 信悟
    1984 年 38 巻 10 号 p. 1009-1013
    発行日: 1984/10/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    従来より憩室を伴う食道気管支瘻は, その成因について先天性か後天性かの鑑別は困難とされているが, 我々は最近先天性と思われる症例を経験したので, 症例を提示し若干の文献的考察を加え報告する.
    症例は67才女性で, 食事摂取後に咳嗽発作を生じるようになり受診した. 症状が出現する約半年前に, すでに集団検診にて憩室を指摘されていたが無症状であつた. 憩室は門歯から34cmの位置にあり, 左B10と交通していた.左開胸すると瘻管は食道側, 径1.5cm, 肺側, 径0.5cm, 長さ2.5cmであり, 周囲の炎症所見は認められなかつた. 瘻管上皮は扁平上皮であり粘膜筋板を認めた. 扁平上皮から気管支上皮への移行は明らかではなかつた.
    憩室を伴う先天性食道気管支瘻は, 形態学的にBraimbridge I型に相当するが, 本邦における自験例を含めた10例について検討し, その成因および症状発現が遅延する原因について考察を加え, その診断基準を提案する.
  • 10.小児麻酔
    川添 太郎
    1984 年 38 巻 10 号 p. 1014-1016
    発行日: 1984/10/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1984 年 38 巻 10 号 p. 1017-1018
    発行日: 1984/10/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1984 年 38 巻 10 号 p. 1018-1019
    発行日: 1984/10/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
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